book(2000)

蒲生邸事件

(宮部みゆき)
1996年日本SF大賞受賞作!文庫本ながら700ページ近い長編ですがすごく面白かった。
私の大好きなタイムトリップ(時間旅行)の物語です。予備校受験のため上京した青年がホテル火災に見舞われ、間一髪で時間旅行の能力を持つ男に救助される。1994年の冬の東京から1936年の同日同刻同地点へと時間移動をする。そこは「二・二六事件」の現場である。1994年に火事になった平河町のうらぶれたホテルは、1936年年には陸軍大将の邸宅だった。おりしもその邸内で大将が死ぬ。自殺か他殺かはわからない。
「俺ね、過去を見てきたの。それで判ったんだ。過去は直したってしょうがないものだし、未来のことを考えて心配したって駄目なんだってことがね。なるようにしかならないんだから。だけど、だからこそ俺、ちゃんと生きようと思ってさ。言い訳なんかしなくていいようにさ。そのときそのとき、精一杯やろうってさ。だから父さんは学なんかなくっても、そのときそのときで精一杯やってきたんだからもういいんだよ」。  宮部みゆきはいいね、最後は涙が出ました。
あふれた愛

(天童荒太)
”ふたりでいても、かなしい。ひとりでいても、いとしい。” 「永遠の仔」からこぼれ落ちた題材を描いたという四つの中編。
腎臓を患う夫と育児ノイローゼの妻との摩擦をつづる『とりあえず、愛』。ストレスで休職した会社員と心に病を抱えた少女のすれ違いを描く『うつろな恋人』。精神病院の<社会復帰病棟>で知り合った二人の再生の物語『やすらぎの香り』。コンビニでバイト中の青年の前で男性客が突然死する『喪われゆく君に』。
ひとつひとつは切ないのに四つを読み終えると爽快感が残ります。私は三つ目の『やすらぎの香り』が大好きでした。
”人と一緒に生きるってことは・・・大事な相手を傷つけたり、こっちが傷つけられたりすることも、増えるってことだから・・・・本当は怖いことだし、危うい面も、あるはずだろ?”
”悲しい出来事が起きたとしても、つらい、苦しいという一面からだけ見るんじゃなくて、逆から見る癖を、少しずつでいい、身につけていくといい”

大好きな浅田次郎が「精神を置き去りにして進化する社会の中で、この一巻の短編集を読むことの意義は大きい」と言っています。浅田次郎とは違う切なさです。
ハリー・ポッターと秘密の部屋
(J.Kローリング)
第二巻までくると、このファンタジーにはまってしまいます。出版社に寄せられた愛読者カードは3歳から98歳まで「面白い、懐かしい、こんな長い本を一気に読んだ、家事を放り出して読んだ、子供に読ませるつもりが自分がはまってしまった・・・」。第3巻の出る2001年の夏が待ち遠しくなりました。
第二巻の展開は「魔法学校で一年間を過ごし、夏休みで家に帰ったハリーは意地悪なおじ、おばに監禁され餓死寸前。やっと、親友に助け出される。しかし、新学期が始まったとたん、又事件に巻き込まれる。ホグワーツ学校を襲う姿なき声。次々と犠牲者が出る。そしてハリーに疑いがかかる。・・・ヴォルデモートとの対決が迫る。」
”「紅の汽車」に乗り、9と3/4番線から、さあ、又ホグワーツの世界へ飛んでいきましょう。”
イギリスでは第四巻は発売と同時に六百万部以上が売れたという。生活保護を受けていた作者は高額納税者になり、各賞や名誉の称号が与えられたが彼女が一番嬉しいのは「お金の心配をせずに本を書くことができる」ことだそうです、又「私の本が子供にビデオ・ゲームを忘れさせ読書に熱中させていると聞かされる時、私は一番幸せで、光栄に思う」
ハリー・ポッターと賢者の石
(J.K.ローリング)
やはり読みました。今、第二巻の「ハリー・ポッターと秘密の部屋」がベストセラー街道を走っていますがこれは第一巻です。
作者は1965年生まれの英国人。シングルマザーで乳飲み子を抱え生活保護を受けながら1997年に書いた本がベストセラーに!今や世界3600万部のベストセラー。
2003年まで毎年一冊の出版予定で七卷シリーズとなる。2001年にはワーナーで映画化も決定。
”9と3/4番線から魔法学校行きの汽車が出る。ハリーを待ち受けていたのは夢と冒険、友情、そして生い立ちをめぐるミステリー”
物語は「主人公ハリー・ポッターは孤児、意地悪な従兄に
いじめられながら11歳の誕生日を迎えようとしたとき、魔法学校からの入学許可証が届き、自分が魔法使いだと知る。・・・・両親を殺した邪悪な魔法使いヴォルデモートのと運命の対決へ」 子供はもちろん大人もしっかりと楽しめます、子供の心失った大人たちに読んでもらいたいです。
次は第二巻をお楽しみに!
君ならできる

(小出義雄)
説明しなくてもいいと思います。金メダリスト高橋尚子の小出監督がシドーニーの前に書いた本です。
有森裕子、鈴木博美そして高橋尚子を育てた監督の金メダルにかけた夢の話です。「2000年、シドニーへの道」 「高橋尚子、強さの秘密」 「人を育てる魔法の言葉」 「これが世界に勝つ戦略だ」 「マラソン競技の面白さ」 「心は鍛えるほど強くなる」などなど。
”人間は、出会いやめぐり会いを何より大事にしなくてはならないと思う。有森裕子がいなかったら、鈴木博美が、高橋尚子がいなかったら、私という存在もありえなかった”

”こちらが一所懸命になれば、必ず相手も一所懸命になってくれる。反対に、こっちが手を抜くと必ず相手も手を抜く”
”おまえが30,40になって、母親になったときに『お母さんはこんなに頑張れたんだよ』って、子供に自慢できるお母さんになれ”
”さあ、高橋、次に進もう。今度は自分の一生の絵を描くんだ。30歳になったら、40歳は、50歳の時はこういう人間になっていたい・・自分の一生の最高の絵を描くんだよ”
絶対・幸福主義


(浅田次郎)
”人生、楽しんでいますか?”志を貫き、夢を実現した直木賞作家浅田次郎が熱く語った「新Enjoy Life幸福論。」
「足るを知り、つまりは自分を知り、その自分にできることを着実にこなして小さな幸せを蓄積していくことによってこそ、人間は成長できるのです。そして、少しずつ前より幸せになっていけるのではないでしょうか。」   「本や新聞を読まない人間でも、いわゆるエリートコースに乗ることができます。テレビばかり見て、視覚的にしか物事を判断できない人間だけが年を取り、中身は子供のまま大人として存在しいます。」   「年齢八掛け説・・・今の40歳は32歳くらいのレベルということ」   「今の社会が、20台なのに無職という若者を生む温床となっている・・・能力がないから仕事が見つからない、等ということは言い訳になりません」    「日本人の国民性として、”既成事実に弱い”という欠点があります。皆揃って”今までこうだったんだからしようがないじゃない”と考えてしまう。」   「私はプロ野球の大ファンです・・・しかし、同時に昔から巨人軍が大嫌いです・・・33億円もかけて補強した長嶋巨人・・」   「”俺は不幸だ”とばかり言っていると、いつまでたっても夢は叶わない」 などなど、まだいろいろと納得させられることばかり。
貴賓室の怪人・飛鳥編

(内田康夫)
我が浅見光彦、世界の大海原へ・・・「巨大な密室」と変貌した豪華客船”飛鳥”での殺人事件に挑む。
世界一周のクルーズに仕掛けられた罠。うごめく殺意の影。絶対不可能な状況の中で、犯人はなぜ、凶行に及んだのか。浅見光彦と岡部和雄、二人の名探偵が、船上の「罪と罰」に迫る。とくるとすごく面白そう!
この文句につられて買ったが、「オリエント急行殺人に件」をしっかりと思い出します。こんなことを書くと犯人が見えてきますけど・・・
物語は「浅見光彦に”飛鳥”の取材をして欲しいという依頼が舞い込む。しかもタダで。出港直前”貴賓室の怪人に気をつけろ”という謎の手紙を受け取りついには殺人に件が」
横浜・神戸・香港・シンガポール・マーレ・ムンバイと舞台は移っていく。一番安いところで300万円(一番高いところは1600万円)という100日間の世界一周の船旅。
今回はまだその一部ですが船旅を楽しむつもりで読むと肩が凝りません。物語に「内田康夫」という偏屈な小説家が出てくるのも面白い。
火車


(宮部みゆき)
ミステリーでありながら山本周五郎賞をもらった平成4年の作品です。
「休職中の刑事が遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者の行方を捜すことになった。彼女は自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して・・・なぜ、彼女はそこまでして自分の存在を消さねばならなっかたのか?いったい彼女は何者なのか?謎を解く鍵は、カード会社の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた」
ミステリーの形を取りながら現代社会の地獄の深さをみせてくれます。作者は藤沢周平についての座談会で「藤沢先生はどうして女性の微妙な心情を見抜いてしまうのか不思議に思った」また「笑うようなものでも・・・しらずしらず最後には泣いてしまうような。そういうものを書けるようになるには、どんなふうに自分が年と取ったらいいのだろうと思う」と不安をもらしたそうですが、この作品ではそういうところがしっかりと書けています。
火車(かしゃ)とは「火がもえている車。生前に悪事をした亡者をのせて地獄に運ぶという。ひのくるま」  **職員や子供の防犯指導にも使えそうです**
顔に降りかかる雨

(桐野夏生)
[OUT」の桐野夏生の第39回江戸川乱歩賞をもらった1993年の作品で、「女流ハードボイルド作家の誕生」ということで当時話題になった作品です。
32歳・ダンナに自殺された過去を持つヒロイン、「いやな夢をみていた」の書き出しから始まるこの物語、だんだんと悪夢めいた世界へと引きずり込まれていく。
「親友のノンフィクションライターが1億円の金とともに消える。大金を預けた男は親友の恋人で暴力団上層部につながる暗い過去を持っている。あらぬ疑いをかけられたヒロインはその男と解明に乗り出す。二転三転する中、事件の真相は?」
物語の中盤からヒロインが見聞することになる、性風俗の世界、それもSMや屍体嗜好、異装趣味といった倒錯的な裏世界、そしてネオナチの世界。
ネオナチが徘徊する旧東ベルリンと多様な性風俗が狂い咲く東京との対比など女流作家の目は鋭くいろんなことを見つめています。
桐野夏生の文章は情景描写などほとんどなく主人公が見聞したことをストレートに表していきます、このような作品にはぴったりです。このあと「OUT」が生まれることになります。
蝉しぐれ

(藤沢周平)
タイトルを見ただけで藤沢周平とわかります。文春文庫秋の100冊フェアの1冊です。最近ちょっとこういうタイプから離れていたこともあってさわやかな気持ちで読みました。
朝、川のほとりで蛇に咬まれた隣家の娘を救う場面から始まる。淡い恋、友情、そして悲運と忍苦、ひとりの少年藩士が成長してゆく姿をやさしい目で見つめています。
読む人の哀惜をさそい、相変わらずラストは胸迫るものがあります。
「うれしい。でもきっとこういうふうにおわるのですね。この世に悔いを持たぬ人などいないでしょうから。はかない世の中・・・・」一言一言が身にしみます。
解説の中で「少年の日のように読んで徹夜してしまった。・・。本を読むことにかけては、すれっからしである。この『蝉しぐれ』はそんなすれっからしを少年の心に還してくれた」
「青春とは、友と恋との場面において、若者が一人ずつ、一人の人間となって直立し、現実に直面し、自分の生の証を見出そうとする光景」 これは、青春小説である。


(柳美里)
壮絶な生と死の物語である。現在、柳美里31歳。17歳から約10年間一緒に生活していた男性の癌宣告のとき、別の男性との4年間の報われない愛の末に芽生えた一つの命。
生と死を同時進行で見つめていく。”在日”という宿命を背負いながら両親、妹、家族がそれぞれに私達の想像を超えた生き方をしている。いいとか悪いとか言える問題ではない。
ベストセラーに入っているので何となく読みたくなった(「家族シネマ」以来)。読み始めて最初は暴露本かと思ってちょっとイヤな気分がした。「石に泳ぐ魚」がプライバシー裁判になっているので同じようなことかな・・・。それに登場する人が実名(さすがにこれはと思う人はAさん)だしどうなんだろう?と、作者が精神的に参っていたのかそれとも作家としてのテクニックなのか私にはよくわからない。ただ、読み進むうちにだんだんとはまり込んでしまう。死にゆく者への愛情と生まれくる者への愛しさと不安!書き手としてすごい才能です。
「大切なものは、失いかけたときにはじめて、いかに失ってはならないものだったかということを思い知らされるのだ。・・・本当は全ての人の命が日々失われているというのに、そのことに鈍感になっている。いや、鈍感にならなければ生けていけないのだ・・・」
話を聞かない男・地図が読めない女
(アラン・ピーズ+バーバラ
ベストセラー快走中!世界22カ国の誰もがうなずいた、納得の内容。という宣伝コピーにつられて買ってしまった。
”こんな疑問にお答えします。” 「なぜ男は一度に一つのことしかできないのか」 「なぜ女は方向音痴なのか」 「なぜ女はよくしゃべるのか」 「なぜ男は一人っきりになりたがるのか」 「なぜ男はセックスをしたがり、女は愛を求めるのか」 「なぜ男は結論を欲しがるのに、アドバイスを聞きたがらないのか」 「なぜ女は愛の言葉を欲しがり、男は釣った魚に餌をやらないのか」・・・・など。
著者はアラン・ピーズとバーバラ・ピーズの夫婦共同執筆です。アランはボディランゲージの世界的な権威者、バーバラは世界各地の企業や政府を対象にトレーニング講座やセミナーを開催している。男は目の前しか見えず、女は広くものが見えるとか・・・。
「男と女の役割は違う」それは男は狩りをして、女は木の実や果実を採った。男は守り、女は育てた。それを続けた結果両者の身体と脳は全く別ものになった。というもの。
身につまされる部分も結構ありますが”エッ”と思う部分もあります・・・まあ読んでみてください。
秋田殺人事件

(内田康夫)
久しぶりに肩の凝らない推理小説を読んだ。飛行機や電車などで旅をするときはこんな本が一番いいですね。
物語はご存じ浅見光彦探偵もので「秋田県の副知事として着任予定の女性キャリア(43歳美人)のもとに二通の不吉な警告文が・・・・。おりしも、秋田県では二件の不審な自殺事件が起きていた。警視庁キャリアの弟である我が浅見探偵が副知事のボディーガードに!推理が冴えて秋田杉に絡む第三セクターの闇を抉る」といったもの。
知事、議員、警察の不祥事などなど今はやりの要素がいっぱいの小説です。
何となく軽いのりで物語は進みます、謎解きというより正義と悪との闘いといったもの。上質な料理を食べるようなものです。
最近のベストセラーに顔を出していました。
薔薇盗人

(浅田次郎)
「活動写真の女」で、本屋に並んでいる浅田次郎の本はほとんど読んだと書きましたが8月25日に新刊が出ました。
短編の第一人者が贈る六つの感動!さすがに泣けます。
出版社をリストラされたカメラマンと、場末の温泉場で出会ったストリッパーとの一夜の交情が哀切な「あじさい心中」。親愛なるダディ報告しなければならない出来事がありますー。船乗りの父へ宛てた手紙形式で綴られた「薔薇盗人」。他に技巧が光る「死に賃」「奈落」「佳人」「ひなまつり」。
「ひなまつり」から”ものごといいか悪いか、多いか少ないかで決まるわけじゃないと思う。もしそうなら、民主主義というものはまちがっていると思う。” ”世界中の人が変な人だって言っても私はそうは思わない”小学生の女の子が一所懸命に自分の気持ちを伝える場面です。
人間の優しさが身にしみます。「あじさい心中」ちょっと切なすぎますけどね・・・
キャリー

(スティーヴン・キング)
1972年の冬に、メイン州に住む一人の主婦がくずかごに捨てられていた小説の原稿を拾い上げて読みはじめた。やがてハイスクールで英語を教えている夫が帰宅したとき、彼女は箸にも棒にもかからない駄作と思いこんで自信喪失していた夫を励まして原稿を完成させた。
こうして1974年に刊行された。これが今をときめくベストセラー作家スティーヴン・キングの処女作「キャリー」です。

狂信的な母親に育てられたキャリーは16歳。絶対的な母親の権威と、止まるところを知らぬクラスメート達の悪意(いじめ)。・・・キャリーは極度に追いつめられていく。そして誰も知らなかったのは、彼女が念動能力(テレキネシス)の持ち主であることだった。キャリーが精神のバランスを崩したとき街が炎に包まれる。
先生をしていただけあって、ハイスクールの生徒達の描き方もいいし、”いじめ”についても考えさせられます。
最近読んだ本の「クロスファイアー」(宮部みゆき)を思い出しますが、もちろんこちらが本家です。
活動写真の女

(浅田次郎)
タイトルの”写真”は旧漢字を使ってあります。舞台は昭和44年の京都が舞台、映画大好きの京大生が巻き込まれる不思議な事件。
物語の初めに「僕の青春、そして喪われた親友と、永遠に愛する初恋の人へー」とある。

映画と浅田次郎が大好きな私としてはたまらない本でした。99年1月にBSで6回連続でTVドラマ化されたものです。その時は本を読んでいなかったのでTVは観ていません。
「幸せはいつも手の届くところにあったのに、いつもあの子ォの指の先で、くるりと背を向けた」
「いきなり、早苗は唇を重ねてきた。いつでも同じだったが、僕らにとっての接吻はすべての理性と良識をたちまち無効とする。いわばオールマイティの切り札のようなものだった」
「貧しさと豊かさのはざまで、僕らはみな満たされることなく、飢え渇していた。だが、清家の苦悩を、僕らの青春と較べることはできない」
セリフ回しがとても良いです。   これで、本屋に並んでいる浅田次郎の本はほとんど読んだことになります。                                                                                                                             
                     
占星術殺人事件

(島田荘司)
名作と言われるだけあって面白かった。特にトリックが本格的推理ものです。島田荘司は前回の「御手洗パロディ・サイト事件」それにずっと以前に読んだ「寝台特急はやぶさ60/1秒の壁」に続いて3冊目だったがこれが一番です、しかもこれがデビュー作とのこと(昭和56年に刊行されたもの)、驚きです。
「昭和11年---密室で異様の死体となって発見された画家が残した奇怪な遺言状。その内容は”肉体を支配する星座に従って、6人の若い女性から必要な各部を切り取り、新しい不滅の肉体を合成する”というものだった。そして一ヶ月後、6人の女性が行方不明となり、遺言通りに次々にバラバラ死体となった発見された・・・・40
年以上たった昭和54年の春にいたっても未解決の事件とは」 謎が謎を生みます。
この難事件に名探偵御手洗潔が挑みます。あまり書くと面白くなくなるのでこの辺で止めますが、謎説き大好きな人は是非挑戦してみてください。途中に二回ほど作者からの挑戦状が届きます。我と思わん人は挑戦してみてください。
GO

(金城一紀)
恥ずかしいけれど、この小説を読むまで「在日韓国人・朝鮮人、韓国籍・朝鮮籍、民団・総連」などということを真剣に考えたりしたこともなっかたし又よく知りもしなっかた。
こう書くと難しい小説のようだか”僕はアッケなく恋に落ちた、彼女はむちゃくちゃ可愛らしい日本人だった”という物語。
作家の山田詠美さんは「古き青春小説として読むか、新しいレジスタンス小説の誕生として受け止めるかは、あなたのご自由。いずれにせよ、愉快、痛快な物語の主人公に、読者ははからずも涙する。」と書いています。私は古きよき青春小説として読んだが、作者は1968年生まれの青年です。
映画が好きで、日本で生まれ育ったが常に「在日」が着いてまわる主人公の痛快な生き方。「国籍とか民族を根拠に差別するやつは、無知で弱くて可哀想な奴なんだ。だから、俺達が色々なことを知って、強くなって、そいつらを許してやればいいんだよ」「・・・その犬みたいに好きな人を愛したいってこと。その犬の鳴き声は、私がこれまで聴いたどんな音楽よりもきれいだった。私、好きな人をきちんと愛し続けて、もしその人を失ったとしても、あの犬みたいに泣けるような人間になりたいの・・・」
  素敵な小説です。(123回直木賞)
朗読者

(ベルンハルト・シュリンク)
”なんて悲しい物語なんだろう”とラストにでてくる。作者は1944年生まれのドイツの法律学者で、発表後5年間で20カ国以上に訳され米国では200万部を越えるベストセラー。
日経新聞春秋欄から「”バーンホーフ通りにあったあの家は、いまはもうない”。小説の命は書き出しの数行、という定説に従えば、導入部に続く一見何気ない冒頭が巧みである。世代の異なる男女の恋の記憶を通して、国家が犯した歴史の罪過が遠景からひっそりと立ち上がる・・・」
15歳の少年ミヒャエルが経験した初めての切ない恋、けれど21歳年上のハンナは突然失踪してしまう。彼女が隠していたいまわしい秘密とは・・・。タイトルの「朗読者」が非常に重要な意味を持ちます。(あまり書くと読む人に面白くありませんから解説から引用してます。)映画化の話もあり「イングリッシュ・ペイシェント」の監督アンソニー・ミンデラがメガホンをとるとのこと。解説の中でこの本を2度読むように勧めているが、それでなくてももう1回読みたいと思いながら読みました。
東電OL殺人事件(佐野眞一)
ノンフィクション
彼女の手帳には、想像を絶する堕落の日々が記されていた。エリートOLは、何故殺されたのか?逮捕されたネパール人は真犯人なのか?事件発生から無罪判決までを描破したルポルタージュ!ということだが読んでいくうちにだんだん腹が立ってきた。この事件に対し世間・マスコミは異常な反応を示した。このような中で筆者は「私の本意は彼女のプライバシーを暴くことではない。あえていうならば、この事件の真相にできるだけ近づくことによって、亡き彼女の無念を晴らし、その魂を鎮めることがことができれば・・・」と言っているが読み終わってあまり感じのいいものではなかった。大げさな表現、無意味な比喩、正義ぶったところ等、中には「胸も尻もたるみにたるんでいるが、アフリカ難民のように、下腹部だけはぷっくりでてる・・・」と言ったような表現まである。ただ、警察・検察の動きそれに彼女のとった(おそらく誰にも理解できない)行動はよく調べて(あるいは推理して)ある。彼女の行動に坂口安吾の「堕落論」引用しているがそんなものではないと思う。何故か悲しくなってきます。(読みたいと思う人は申し出てください。)
壬生義子伝

(浅田次郎)
上下2巻
浅田次郎初の時代小説、壬生浪(みぶろう)と呼ばれた新選組にあってただ一人「義」を貫いた吉村貫一郎の生涯。
物語は斉藤一、稗田利八ら維新を生き延びた新選組関係者らによって語られる形をとっている。
生きんがために国を捨て、妻子に背を向け、あげくには狼となり果てて朝廷に弓引く不埒者となっても自分の道(義)を貫き通した。
「義」とはいったい何なのか?涙なしには読めない非業の隊士吉村貫一郎の物語。男(武士)としては最高の生き方だが私には絶対にできない。
「貧と賤と富と貴とがけっして人間の値打ちを決めはしない。人間たるもの、なかんずく武士たる者、男たる者の価値はひとえに、その者の内なる勇気と怯懦とにかかているのだ」「きれいな目をした人でした。皆が皆、他人を上目づかいに見たり、あるいは見下げたり、時には横目をつかったり、けっして物を正面から見ようとしない世の中であの人はいつも、誰に対しても、あのきれいな目をまっすぐに向けていましたよ」     浅田次郎構想20年の成果です。
聖土


(黒岩研)
ものすごく怖くてとても面白い本でした、もちろん黒岩研は初めてです。
日経新聞の読書欄「ミステリー・これが読みたい」で紹介されていたもので「重量感あふれるパニックホラー。今や多様化したペットという身近な素材を素にモンスターをつむぎだし、戦時中の皇軍兵士にさかのぼる因果話に結合させていく。不可解な事件の断片をたたみかけてくる導入部から、何ものか未知の恐怖をかきたてるホラーの息づかいが嬉しい」とあったが、まさにその通り、怖いけど途中でやめられません。
”スティーブンキングとの真っ向勝負だ”などなどいろいろな評があります。
地獄の闇がたちこめ、腐臭が漂うなか、化け物たちが舞う。精緻につづられた物語をたどって、ついにはとてつもない恐怖にさらされる・・地獄の名は東京、化け物の名はペット!    読んでみたいと思いませんか。
御手洗
パロディ・サイト事件

(島田荘司)

初めて呼んだ「御手洗」もの。名探偵・御手洗潔生みの親の島田荘司以外の人が書いた22編の短編が中心になっています。
物語は、御手洗シリーズでお馴染みの女子大生里見の友人が突如謎の失踪を遂げる。事件を説く鍵は、インターネットに流れる22編のパスティシュ・ノベル(「御手洗に懐くハスキー犬と、財宝を示す暗号」「歌舞伎町で自殺したフィリピン人青年の謎」「音楽教室で“月光”を弾くベートーベンの幽霊」「ALiS」等)の中に・・・石岡(シャーロック・ホームズにおけるワトソン君の役)と里見は果たして真相にたどりつくのか?
はじめは、短編22編も作者が書いたのかと思っていたら全く別人が書いたものというのをインターネットで知りました。
この一冊では島田荘司の良さは分からなかった。次に名作といわれている「占星術殺人事件」を読んでみたいと思います。
長崎
ぶらぶら節


(なかにし礼)
歌と、恋と、無償の愛・・・こんなに一途に生きた女がいた。
物語の舞台は明治から昭和にかけての長崎・丸山。主人公の愛八(あいはち)は、50に手の届く年齢にもかかわらず、今も丸山5人組に数えられるほどの名芸者である。この愛八が生涯でただ一度本当の恋に巡り逢う、その人を想うだけで胸が高鳴る・・これが恋というものか?
その人と長崎に眠る数々の埋もれた歌を探す旅、忘れられ消えかけていた「長崎ぶらぶら節」との出会い、両親を亡くした貧しい少女への無償の愛・・・
愛八は実在した人物で、その芸の才は偶然レコードを聴いた、なかにし礼が「人にこびない潔い歌いっぷりに惹かれた」と小説執筆のきっかけにした。
ラストは涙無しでは読めません。   吉永小百合で映画化されます(監督は夢千代日記の深町幸男で初の映画作品)。 (直木賞)

クロスファイア

(宮部みゆき)
 上下2巻
前作”はんさい”の続編として読んだ方が確かにわかりやすい。
映画の評判は今一のようですが、こちらの方はそれなりに面白い、特に私のように「必殺仕掛人」大好き人間にはよく合います。

今のような殺伐としたこの時代に「予防処置」は守備範囲外という警察には頼れない、犠牲者がでてからしか動かない、自衛しか方法はないのか?
念力放火能力を持ったヒロインに、(警察とは違う)自衛組織の一団それに警察が絡む・・・・ホントの正義とは何か?

凶暴な力を持って生まれたヒロイン、その力のために人を愛することもあきらめ常に身を潜めるように生きていかねばならぬ辛さ・孤独。
ラストは何となくもの悲しい。

鳩笛草


(宮部みゆき)
今、話題になっている宮部みゆきの初めての映画化作品「クロスファイア」を買いに行ったら、その中に「この作品は続編ものの作品です、ですから”はんさい”(注:難しい字でひらがなにしました。)という中編を先に読んでいただいた方がより楽しめる」と作者が書いていたので買った本です。
「鳩笛草」 「はんさい」 「朽ちてゆくまで」の三つの中編が載っています、いずれも「超能力」を持った女性が主人公。
8才の時に交通事故で両親をを無くし自分だけ助かり記憶喪失に、その時失った能力が記憶が甦るとともに・・・(鳩笛草)、念力放火能力を持つ超能力者(はんさい)・続きは次回「クロスファイア」で、人の心を読める投資能力を持つ捜査課の女性・・・(鳩笛草)。
いずれの作品も女性ならではの情感溢れる素晴らしいミステリー(ちょっとほめすぎか?)
日輪の遺産


(浅田次郎)
1993年の作品、「鉄道員」で浅田次郎が直木賞をもらう4年前の作品。”極道作家”の烙印を払拭した作品とのこと。
この後、「プリズンホテル」等とは別のジャンルとして「地下鉄に乗って」 「蒼穹の昴」 そして「シェエラザード」と続くことになる。
遅咲き作家としては早い作品だが、本人は文庫本刊行にあたって「へたはへたなりに涙ぐましい努力を払っている・・・」と書いている。
物語は、終戦直後帝国陸軍がマッカーサーから奪った時価二百兆円に上る財宝を日本が敗戦から立ち上がるための資金として極秘裏に隠匿する。
それから五十年後、一人の老人が残した手帳から真相が明らかになっていく。
勤労動員の女生徒達、密命を帯びた軍人、財宝を守るために生き、死んでいった人々の姿。やはり読み終わったときの感動は浅田次郎です。 
亡国のイージス


(福井晴敏)
まるで映画を観ているような面白さ! 読者の声に「国産品でこれだけの重量感と読みごたえのある作品は久し振りだ」とある。
北朝鮮のミサイル発射事件を契機として、海上自衛隊の新しい戦域ミサイル防衛構想が計画される中、個人、組織、国家の意地やメンツをかけた戦いが始まる。
”現在、本艦の全ミサイルの照準は東京首都圏に設定されている。海上自衛隊護衛艦「いそかぜ」その弾頭、通常に非ず” (イージス=楯)
「何かを期待すればそこには必ず手ひどい裏切りと痛みが待っている。昔からわかっていたことだ。どうせすべては幻。確かなものなんてこの世には存在しない。」こういう主人公のつぶやきに人間とは何か?壮大なテーマながらラストまで一気に読ませます。
ラストに「子供が最後に呼びかけるのは、やはり母親か。父親という立場のあやふやさ、所在なさに改めて思い至った・・・」サスペンスでありながら人間描写も素晴らしい。 昨年のミステリー上位の作品です。
勇気凛凛ルリの色・四十肩と恋愛
(浅田次郎)
昭和30年代半ばの超人気テレビドラマ「少年探偵団」のテーマソング ”ぼ、ぼ、ぼくらは少年探偵団  勇気凛凛ルリの色 のぞみに燃える歌声は  朝焼け色にこだまする・・・・” 知ってますか?少年探偵団と怪人20面相が対決する冒険ドラマ。
大好きな浅田次郎のエッセイ集(4冊)「笑っていなけりゃ泣けてくるから、人は笑うのだ」と・・・

本人は「キワモノである、下品である、悪意と偏見に満ちている、全然安らぎを与えない、エッセイの本義に悖る・・・」と言っているが、どうしてどうして!
理不尽について、沖縄について、男の生き方について、自衛隊について、自分の奥さんを忘れて帰ったり等々喜怒哀楽がいっぱい詰まっています。
やさしく、人間くさく、笑いと涙と感動がいっぱいのエッセイです。
だからあなたも
「生きぬいて」

(大平光代)
中学2年の時いじめを苦にして割腹自殺を図る、その後、坂道を転げ落ちるように非行に走る。16才で「極道の妻」になり(刺青まで)、6年間その世界に生きる。ある人との出会いをきっかけに「猛勉強」の末、一発で司法試験に29才で合格。現在少年犯罪を担当する弁護士となって、4年たつ。
「涙もいっぱいでるけど、元気もたくさんでる本です」とあるがまさにそのとおりです。
子供に読ませたいと思って買ったのに自分が勇気づけられることばかりでした。一晩で読み終えました。
自分に自信がなくなったり、子育てに悩むようなことがあったら必ず役立つ本と思います。
「今こそ出発点  人生とは毎日が訓練である  ・・・  失敗もできる訓練の場である  生きているを喜ぶ訓練の場である ・・・ 」
グリーン・マイル
(スティーヴン・キング)

全6巻
「グリーンマイル」とは刑務所で死刑囚が電気椅子にたどりつくまでに歩く通路(床が緑のリノリウム)、つまり人生最後の道。
私の大好きな(ベスト10に入る)映画「スタンド・バイ・ミー」「ショーシャンクの空に」などの原作者キングの作品、恐怖小説ではありません。
1932年舞台はアメリカ南部の刑務所死刑囚舎房、少女殺しの黒人が死刑囚として入ってくる、はたしてこの男は真犯人なのか?
信じられない出来事の起こる中人間に救いと癒しはあるのか、5巻6巻になると絶対に途中でやめられない、ストーリーテーラーとしてさすが!
ただ、久し振りに読んだ翻訳物。表現に物語の流れを阻害している感じがないでもない、村上春樹を思い出す。
毎月1冊ずつ刊行された(アメリカで大評判)、6巻といっても文庫本で1冊が150〜200ページ弱で読みやすい。
もちろん今度も映画化される(主演:トム・ハンクス)監督は「ショーシャンクの空」のフランク・ダラボン、映画も絶対面白いと思います。
蒼穹の昴
(浅田次郎)

 上下2巻
とにかく長い(ハードカバー2段組で750ぺーじを越える)しかも中国名がなかなか覚えきらずに苦労する。「珍妃の井戸」を読んでいたので登場人物に多少の理解があったのでよかったけど・・・しかし下巻にはいると俄然面白くなる。ラストの2章はさすがに浅田次郎ということになる。
中国清朝末期を舞台に科挙進士と宦官(紫禁城に務める男を捨てた人間)の二人を軸に西太后、李鴻章、光緒帝、袁世凱など歴史上の人物が次々と登場し、三国志、ラストエンペラーくらいしか知らなかった私にはとても興味深いものがあった。
ラストに「難しく考えるな、知恵も力も何もいらない。やさしさだけがあればいいんだ。大地も空も時間も、すべてを被い尽くすほどのやさしさがあればー」と・・・・4億の民と四百余州に及ぶ広大な土地を守るため虚々実々の駆け引き等見所もいっぱいです。
十三番目の人格
ISOLA
(貴志祐介)
貴志祐介(「黒い家」)のデビュー作(第三回日本ホラー小説大賞長編賞佳作)
Empath(エンパス=相手の感情を読み取る特殊な 能力を持った人間)と多重人格障害の少女との闘い。
少女の中には性別、年齢、IQまで全く違う13の人格が同居する、その中で13番目に現れた人格がISOLA(雨月物語「吉備津の釜」”磯良”が出典?)で復讐心が非常に強い。
エンパスの女性と少女は次第にうちとけていくつかの人格と言葉を交わすようになるが、ISOLA
(悪魔)の出現で・・・  キーワードは「ISOLATION TANK」      (映画は黒澤明監督の孫が演じてる)
白夜行
(東野圭吾)
2000年版「このミステリ−がすごい」で第2位の作品(第1位は「永遠の仔」)。その中で”絶対面白さは保証します”とある。やはり面白かった(お薦めです)。
20年間にわたる昭和の時代を背景に、ホントに怖い2人の白夜行・・・しかしなぜか哀しい。
昭和40年代後半、大阪で中年の質屋店主が殺される。容疑者の未亡人にはアリバイが又有力容疑者は交通事故死、これは物語のほんの序章。一人のベテラン刑事が退職後までこの事件を追う。
小説の構成が非常にうまい、すべての出来事が丁寧に積み重ねられてラストへと引っ張っていく。
珍妃の井戸

浅田次郎
「洋人達はこの国にひどいことをしました。茶葉や器のかわりに阿片を持ち込み、 それを拒めば、鋼鉄の船を並べて、大砲を撃ち込みました。大勢の人々を、犯し、拐かし、傷つけ、殺しました。自らの利のために人を殺す。
日々の暮らしがそんなにも貧しいから、きっと心までも貧しくなってしまったのでしょう。」
「すなわち恋とは、・・・・愛し合う心と心が強く猛々しくたがいの愛を求め合うさま」清朝第11代皇帝光緒帝とその側室珍妃の義和団事件の渦中に生じた悲劇を描いている。
「王妃暗殺」事件のなかに人を愛することの切なさがしみてくる。  (浅田次郎の実力と技量がよくわかる)
暗殺の年輪

(藤沢周平)
藤沢周平が文壇にデビューしてから「暗殺の年輪」で直木賞(47年下半期)を受賞するまでの2年間に書かれた短編5編が収められている。
もちろん時代小説で、憑かれた男、非情な男を描いているが、どの作品にも切なくそして美しい女が登場する。
むしろこの女達が物語の主人公と思える。

「ただ一撃」の、舅に試合に勝たせるため体を与えあとで自害する嫁・三緒 「暗殺の年輪」の、菊乃とお葉 「黒い縄」の、おしの 「囮」の、おふみ・・・等どの女もかなしい。
シェエラザード
(浅田次郎)     
 上下2巻
昭和20年、弥勒丸は嵐の台湾海峡に沈んだ、2300人の命と金塊を積んで・・・
平和と繁栄のうちに葬り去ったものは・・・弥勒丸は日本人の良心そのものだった。
50年もの間、人間の良心と戦ってきた男達!一つの愛を何年も貫きとおす女達!
「偶然なんて、人生に早々あるものではありませんよ。偶然という言葉はね、事実の免罪符。人はみな都
合の悪いことがおこると、偶然のせいにする。そうではない。偶然などというものは、人生にいくつもない」

人の心は切ないくらいに今も昔も変わらない。(「シェエラザード」とはリムスキー・コルサコフの交響組曲)