cinema(2002)

マイノリティ・リポート スピルバーグとトム・クルーズが組んだSF超大作!スピルバーグは好きなんですがチョットという感じでした。前作『AI』もイマイチというところでしたが、それと比べても少し落ちるような気がします。物語の展開は面白いのですが荒削りが目立ちます。もっともそういうのを気にしないところがスピルバーグの良さでしょうか。割り切ったら面白い。
「2054年ワシントンD・C。全ての殺人は3人のプリコグ(予知能力者)によって予知され犯人は犯罪予防局によって捕らえられる。チーフであるトム・クルーズにとってそれは完璧なシステムであった、彼が殺人犯として予知されるまでは。執拗な追跡と陰謀・・」
ジョンQ 息子の命を救うために自分の命を捨てられますか?映画を観終わって出るときに何人かの女性が泣いていました。その立場にならないとわかりませんが・・・私だったら、ただおろおろするばかりで社会に対して不満を言うだけかなと思いました。もちろん映画という絵空事の世界ですからこんな事ができるんですね。
「死を宣告された息子を救うために自らの命をかけて大病院の救急病棟をジャックした父(ジョンQ)。彼の要求はただ一つ『息子の命を救うこと』ジョンQの長い一日が始まった」感動超大作とありましたがちょっと出来すぎの気もします。
OUT 1998年「日本推理作家協会長賞」を受賞した桐野夏生の原作です(bookで紹介)。
深夜弁当工場で働く四人の主婦達・・その1:家庭崩壊、その2:老人介護、その3:カード破産、その4:夫の暴力。最悪の人生からの脱出(OUT)劇、うまく描いています。
4人の女性を演じる女優さんがしっかりはまっている。原作とはラストが変わっていますが、映画はこれで成功していると思います。原作そのままはとっても無理です。テーマを「女達の再生」としたところが成功です。(外国の映画祭にも出品が決まっているとか)。
すごいテーマですが、原作者が女性ということを考えると何となく納得します。
たそがれ清兵衛 最近日本映画が続いています。この映画は私の大好きな藤沢周平原作(「たそがれ清兵衛」「竹光始末」「祝い人助八」)を寅さんの山田洋次が撮った初めての時代劇です。
藤沢作品が映画になったのは初めてとのこと、幕末に生きた名もない下級武士とその家族の絆を通して『本当の幸せとは何か』ということを描いています。
親子のふれあい、幼なじみとの秘めた恋、そして命を賭けた壮絶な果たし合い!
井口清兵衛は、御蔵役五十石の平侍。私達サラリーマンの世界とまったく同じです。
”たそがれ”とは、定刻(たそがれ時)なるとまっすぐ
家に帰る清兵衛に付いたあだ名。
with・・・

若き女性美術作家の生涯
With Ambition(志を持って)と、一人ネパールに渡り、貧困地区の小学校で1年間美術教師のボランティアした佐野由美さんの短い生涯を追ったドキュメンタリー映画です。
大学一年のとき阪神大震災に遭い家を失う「美術なんか何の役にも立たない、でも私には美術をやるしか道はない。精一杯生きた証を残したい」とネパールへ・・・。五百枚を越えるスケッチと日記を残して23歳の命を終える。哀しいラストに
言葉を失います。『若い人に観てもらいたい映画です』全国で自主上映の動きが拡がっています。
2003.3.8(土)に飯塚NGOの報告会で上映します。
阿弥陀堂だより 監督は日本アカデミー賞で11部門の優秀賞を受賞した「雨あがる」の小泉堯史です。
東京で暮らす熟年の夫婦。医師として大学病院で働いていた妻・美智子は、パニック障害という心の病にかかってしまう。東京での生活に疲れた二人が夫・孝夫の実家のある長野県に戻ってきたところから物語は始まります。

阿弥陀堂に住む96歳のお梅ばあさん(北林谷江)からみんな生きる感動をもらう。『質素なものばかり食べていたのが長寿につながったとしたら、それはお金がなかったからできたのです。貧乏はありがたいことです』 ぜひ、若者に観てもらいたい映画です。
海は見ていた 黒澤明が、最後に撮りたかったのはラブ・ストーリーだった?原作は、山本周五郎の「なんの花か薫る」と「つゆのひぬま」です。遊女の哀しくて切ない恋の物語です。
『粋な江戸っ子が住む深川のはずれにある岡場所(非公認の私娼地)。そこで働くまだ年若いお新(遠野凪子)は、女将さんや姐さん(清水美砂)から「客に惚れちゃいけない」と事あるごとに教えられていた。にもかかわらずお新は恋してしまう。裏切られ・・・。女たちのさまざまな想いが交錯する中、嵐がやってくる・・・』
どんな、どん底の中でも希望を失わない女たちの心意気が粋です。
チョコレート 「ついに開かれたの!」黒人で初のアカデミー主演女優賞を受賞した、主演のハル・ベリーの言葉です。映画の内容と同じように、アカデミー賞の歴史も塗り替えました。
『死刑囚の夫と幼い息子を相次いで亡くした女と、愛を注ぐことを知る前に息子を目の前で失った人種差別主義者の男。それぞれの家族の死をきっかけに、交わるはずのない二人が心を通じ合わせていく・・。深い悲しみの中から、愛を知ることによって人生を取り戻す男と女の新たな出発を描いた、心に沁みるラブ・ストリー』ですが、テーマはなかなか深いし、素晴らしい映画でした。ハル・ベリーが最高に綺麗です。
赤毛のアン
アンの結婚
『もし、アンがこんな人生を歩いていたら・・』と17年前に第一作が制作されたがキャストはその時のままの完全オリジナルストーリー(1880年代を1910年代にしてある)。
このシリーズは俳優さんを含め大好きです。今回で三部作完結になりますが人間のやさしさとプリンス・エドワード島の素晴らしさは健在でした。
「ギルバードと婚約、ニューヨークで作家への夢を・・。プリンス・エドワード島で結婚したのもつかの間、ギルバードは軍医として第一次世界大戦へ。行方不明の彼を追って、アンもヨーロッパへ、フランス、イギリス、ドイツ・・勇気と愛で真の幸福を!」
インソムニア インソムニア=不眠症。『24時間太陽が沈まない街、アラスカのナイトミューで17歳の少女が殺された。その死体は髪を洗われ、爪を切られ、全裸のままゴミ袋に入れられていた』 ここから物語が始まります。L.Aから助っ人にやってきた二人の刑事、白夜の眠れない6日間!追いつめる立場から逆に追いつめられていく恐怖と、不眠症によって体力、冷静な判断力、そして人間性をも失っていく恐怖!
アル・パチーノ、ロビン・ウイリアムズ、ヒラリー・スワンクと三人のオスカー俳優の共演、特にアル・パチーノの不眠症演技がすごい、見ている方も不眠症に陥ってしまいそう。
ウインドトーカーズ ジョン・ウー監督(フェイス/オフ、M:I−2)の戦争映画です。
「太平洋戦争中サイパン島に上陸した海兵隊ジョー(ニコラス・ケイジ)とナボハ族(インディアン)の通信兵ボン。戦争相手の日本軍には解読不可能な暗号。それを守るための人間の戦い!」ジョン・ウーの作品にしては賛否両論あります(時代認識がどうのこうのとか・・)が、それは観る人の感性と思います。戦闘シーンは得意のスローモーションと火薬をふんだんに使って迫力満点です。(でも、フェイス/オフの方が面白かった)
最近、戦争映画を観るたびに『何で人間ってこんなに馬鹿なんだろう』と思います。
トータル・フィアーズ 原作は「恐怖の総和」(レットオクトーバーを追え!の作者と同じ)ですが、「恐怖の連鎖」と言った方がぴったしでした。
『ボルチモアのスーパーボウルの会場で核爆弾が爆発、爆弾の出荷元は新大統領が就任したばかりのロシアと判明、これは世界大戦の序曲・・』CIAの情報分析官ジャック・ライアンが真相の究明を命じられる。裏にネオナチなど現代でも息づいている闇の世界が面白い。でも、アメリカはじめ何故こうもメンツにとらわれたアホがいっぱいいるのか?(程度の差こそあれどこの国でも一緒ですが)人間の愚かさの見える映画です。
猫の恩返し 『耳をすませば』『千と千尋の神隠し』など少女の自立をテーマにした宮崎アニメの最新作です。「猫の国。それは、自分の時間を生きられないやつの行くところ。猫になってもいいじゃないッ?」17歳の主人公ハルは、やや自立にかけた女子高校生。ある日トラックに轢かれそうになった猫を助ける。その猫が『猫の国』の王子だったことから、物語は始まります。
周囲に流れて何となく生きている若者たちにカツを入れたいという宮崎監督の思いが伝わってきます(実際の監督は若手の森田宏幸『ホーホケキョ・・・』です)。
スター・ウォーズ

エピソード2
『スター・ウォーズ』5作目に当たります。今回はエピソード1から10年後の物語です。
紛争と混乱の中にある共和国で、女王の座を退いたバドメの暗殺未遂事件から物語が始まります。彼女の身辺護衛のため呼び出された19歳になったジェダイの騎士アナキンとの恋をからませながら・・・。一作目ができてから25年経っていますが面白さは相変わらずです。ただCGを使いすぎている感じもしますが・・・、ヨーダは完全なCGとか。演じる俳優さんが大変そうです。エピソード3を観ないとダース・ベイダーの秘密はわからないようです。  ナタリー・ポートマン(バドメ役)はハーバード大生とか。
マジェスティック 『ショーシャンクの空に』『グリーンマイル』につづくフランク・ダラボン監督の”希望”の物語です。奇跡と感動の三部作ここに完結というふれ込みですがこんな話はわりと好きです。やさしさと勇気のお話、自分の心もやさしくなります。
「赤狩りの時代1951年
アメリカ西海岸の小さな町。ある日海岸に一人の男が打ち上げられる。その姿を見て驚き、驚喜する人々。その町では誰もが彼を知っていた。この町での生活を愛し始めた時に事件が・・・」米国の良心を再現しようとするねらい?善意過ぎる町の人々、幻想の町?『グリーンマイルよりいい』とかいろんな評があります。
スパイダーマン やはり観ました。バットマン、スーパーマンといづれも好きですが今回のヒーローは気弱なごく普通の高校生です。故に何か親近感が持てます。
高いところの好きな私には『手先からクモの糸を出し、高層ビルをはじめどこへでも飛び回り、スウィングもできるスパイダーマン』の空中アクションが最高でした。
物語は
「彼女に恋の告白もできない高校生が課外授業の時クモに刺されて、身体に変化が起きてくる・・・」悪と戦いながら恋に悩む主人公を演じるトビー・マグワイアがうまいです。   残念ながら世界貿易センタービルのシーンはカットされたとのこと。
インティマシー
(親密)
2001年、ベルリン映画祭でグランプリ、主演女優賞、嘆きの天使賞の3部門を受賞した映画。『愛のコリーダ』『ラスト・タンゴ・イン・パリ』などに属する愛の傑作!
お互いの素性も知らず、言葉も交わさないまま水曜日毎にセックスする男と女。この男女は女を買う男でもなく、娼婦でもなく、愛に傷ついた普通の男と女。しかし、それだけですむはずはなく、やがてセックスだけの関係を越え純粋な愛を感じていくのです。
舞台はフランスよりずっと固く、閉鎖的な英国社会を背景にしなければ物語は成立しないと脚本家は考えたそうですが、なるほどと思えます。(映画好きな人の映画です)
突入せよ!「あさま山荘」事件 1972年2月19日、軽井沢の保養所に連合赤軍の5人が人質を取って立てこもった事件。映画は、当時、警察の指揮官だった佐々淳行の原作を基に、警察が10日間何をしてきたかに的を絞っている。事件の主役である赤軍側がはチラッとしか登場しない。
ところが面白い。官僚組織のエゴ、警察庁と県警との対立、マスコミと一般大衆のワガママなどなど、今の自分たちと相通じるものがあります。
主人公佐々(役所広司)を格好良く描きすぎてはいますが、そこは原作者に断りを入れたと監督の弁。一瞬しか写らない犯人も大物が出ています。
アザーズ 72年生まれの、スペイン映画界の俊英・アレハンドロ・アメナーバル監督、大好きなニコール・キッドマン主演のサスペンス・ホラー!
「1945年、イギリス。孤島の霧に包まれた屋敷に若い母親グレースと二人の子供が住んでいる。子供たちは極度の光アレルギーのため、屋敷のカーテンは常に閉じていなくてはならず、その他にも「次にドアを開ける前に、前のドアに鍵をかけなくてはいけない」「静寂を重んじる」などのルールがあった。そこに、3人の男女が使用人としてくる。屋敷に不可思議な現象が起こり始める・・・」
思いもよらない結末!面白いです。
ブラックホーク・ダウン 1993年、アイディート将軍による略奪と虐殺が続くソマリアでの米軍特殊部隊の活躍を描いています。「1時間で終了するはずの作戦が、多数の死傷者を出しながらも15時間もかかった」実話を、兵士の証言をもとに作ったものです。従って、米軍の『正義』が強調されている(?)。米国ではうけたかもしれない・・・。しかし、監督のリドリー・スコット(「ハンニバル」)は「観客には、軍事介入がどんな事態を招いているかについて思索を巡らせて欲しい」と言っている。ラストに兵士が呟く「何故外国の戦争を戦いにいくのか・・・」と。日本はいい国?有事3法案もしっかり見ておかないとね。
ロード・オブ・ザ・リング 「指輪物語・第一部」の映画化です。いわゆるお子さま向きの『ハリー・ポッター』とは趣が違います。原作を読んでからの鑑賞だったので不安と期待が入り交じっていましたが、かなり良くできていました。50年以上も前に書かれた物語を今の映像技術を駆使して素晴らしいファンタジーに仕上げてあります。原作を読んでいても読んでいなくても、面白い映画です。人間の欲、自然に逆らうことの怖さなど・・テーマは大きいです。
「3000年も前に闇の冥王サウロンが密かに作った、世界を滅ぼす魔力を持った指輪。時は過ぎ、サウロンの手に渡らぬように指輪を葬るための旅が始まります」
キリング・ミー・ソフトリー 検閲の厳しい中国では絶対にできなかった官能ミステリー。チェン・カイコー(陳凱歌)監督がロンドンで制約なしに撮った作品です。
「信号待ちの交差点で知り合った謎の男(登山家)との愛に溺れていく女の恐怖!幸せな新婚生活もつかの間、無記名の手紙から彼の周りの女性たちが次々と不審な死を遂げていたことに気づき、彼を疑い始める・・・」
ミステリーはあまり語るといけないのですが、意外な結末へと・・ということになっています。しかしそんなに怖くもなかったし筋立てもおおざっぱでちょいと期待はずれでした。
オーシャンズ11 1960年、フランクシナトラ主演の「オーシャンと十一人の仲間」のリメイク版。旧作は、40年前高校生の頃に観ました。今回は、ジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット、マット・デイモン、アンディ・ガルシア、ジュリア・ロバーツの五大スターの共演です。
仮釈放中のオーシャン(クルーニー)が刑務所暮らしの中で練った犯罪は、ラスベガス3大カジノの現金が集まるという地下200フィートの金庫を襲うというものだった。彼のもとに集まったのは親友でプロの詐欺師ラスティー(ピット)やスリの名人(デイモン)など11人。オーシャンの元妻(ローバーツ)も絡みエンターテインメントの世界へ!
アメリ 「幸せや願望を追い求めることに疲れたことは?そんな気分を心地よくいやしてくれます」とあった。少し変わったパリの下町娘の可愛い恋と日常を綴るハッピー・シネマ!
モンマルトルのカフェで働く22歳のアメリは、小さい頃から空想好き。彼女の楽しみは周囲の人たちをちょっとだけ幸せにしてあげること。だが自分の幸せには無頓着、そんな彼女が少し変わった青年ニノに出会った・・・。

アメリ役のオドレイが最高に可愛いです。監督は「エイリアン4」のジュネですが180度の転換です。古き良き時代のフランス映画といった感じがして心温まる映画です。
息子の部屋 2001年カンヌ映画祭・パルムドール賞受賞作品です。イタリア映画。
テーマは「家族の絆」。2001年のカンヌ。辛口の批評家やジャーナリストが集まるマスコミ向け上映会で、全員が総立ちになって拍手を送った作品がこれです。
監督・主演はフェリーに亡き後、イタリアを代表する映画監督”異端児の名匠”として知られるナンニ・モレッティです。物語は「成功した裕福な精神分析医ジョバンニは、事故で息子を失う。彼は、妻、娘とともに悲しみと後悔にさいなまされながら、生きていかねばならない。そんなある日、息子にガールフレンドがいたことがわかる・・・。」
バンディッツ バンディッツとは強盗。かつての名画「明日に向かって撃て」を思い出す。
主演がブルース・ウイルスなのであまり乗り気はしなかったけど素敵な映画でした。
男が二人、直情型と慎重型という対照的な組み合わせ。人を傷つけず、殺さず、政府からの保証がある銀行からだけ大金を奪うという彼らなりの哲学がある。仕事がうまくいっているそこへ、女が一人強引に仲間入りしてくる。二人の男対一人の女・・・どうなることやら。監督は「レインマン」のバリー・レビンソン。女優のブランシェットがいい。
ある映画評に「小気味よくまとまった知性溢れる犯罪映画の快作」とあった。
バニラ・スカイ 97年スペイン映画「オープン・ユア・アイズ」をトム・クルーズが映画化権を買い取ってリメイクしたものです。物語は「若くしてNYの出版界で成功を収めたデビッドは、車の転落事故で顔が醜く変貌してしまう。整形手術を繰り返し奇跡的に成功するが、彼の運命は思わぬ方向へ転がり始める・・・。”バニラ・スカイ”の世界へ」というものですが、ストーリーそのものより「人間の心の中にある潜在意識、又人生をどう選択し、その責任は?」といったことがテーマです。なかなか見応えのある映画です。主演の二人が実生活でも恋人同士であるだけにラブシーンもホッとです。