book(2011)



あんじゅう
(宮部みゆき)

48
図書館21
これも長い本でした、全ページ挿絵入り(南伸坊画)で550ページを超えます。2年ぶりに宮部みゆきを読みましたがさすがに面白いです。三島屋変調百物語事続です、三島屋の行儀見習い、おちかのもとにやってくるお客様は、みんな胸の内に「不思議」をしまっているのです。『逃げ水』 『藪から千本』 『暗獣』 『吼える仏』の四つのお話があります。中でも気に入ったのが三つ目の『あんじゅう=くろすけ。とても切なく、とても温かい話です。くろすけの優しさ、それを受け止め行動する新左衛門』とグッときます。それにしてもこの作家は江戸時代に生きていたのではと思えます、頭の中はどんな構造に?
不連続の世界
(恩田陸)

47
図書館20
2008年にこの人の本を2冊紹介していますが今度も不思議なお話です。
『月の裏側』に登場した塚崎多聞が再登場します、@神田川沿いの古びた家から受ける不思議さA奈良を舞台にした”山の音”をテーマに怖い話B尾道を舞台に過去にとらわれた男の話C鳥取砂丘と、松本清張記念館が出てくる話Dこれが一番面白い「妻と別居中の多聞を三人の友人が夜行列車で怪談をやりながら讃岐うどんを食べに行く話だが、目的は全く違うところに」 以上不連続な五編の話です。 解説にはトラベルミステリーと書いてあったが、それとはちょいと違った面白さ(不思議さ)があります。
モダンタイムス
(伊坂幸太郎)
46
図書館19
厚さ4.5センチ、600ページを超える単行本(しかも二段組みでイラスト入り)です。『魔王』(読んでいません)の続編だそうですが、読んでいなくても十分に楽しめます。時代は今からおよそ50年くらい先の話です。あることを検索したことから身の回りに危険が迫ってきます。「29歳の主人公、ある時唐突に酷い目に。いったい何でこんな目に合わないといけないのか。けれど返ってくるのは『あんたを痛めつけるのが仕事だから』『よく分からんがそういうシステムになってるらしい』。そんな答えばかり。世の中には明確な「悪の親玉」や「悪の組織」なんてない。など・・」結構引き込まれます。
外事警察
(麻生幾)

45

図書館18
2009年にNHKでドラマ化され、来年6月に映画化されるそうです。それに関係なく読みましたが『破断』とは違い、テロリストと闘う外事警察と呼ばれる者たち、そのすべてが秘匿作業で、決して姿を公に晒すことはないという裏の警察の物語です。日本の危機管理のあり方を問うています、作者の麻生幾はジャーナリスト兼作家でメディアで殆ど素顔を明かすことのない謎の人物だそうです。ドラマと原作はだいぶ違うようですが、読みながらほんとにこんな世界もあるのかな?と思いつつも、絶対にあるだろうと思います。かなりの迫力で一気に読んでしまいます(政治と官僚の闘いも見物です)。
嵐が丘
上・下
(エミリー・ブロンテ)


45
サマーセット・モームによる『世界十大小説』の中の一冊であり、世界文学史上に輝く名作です。小説も映画(1939年制作、ローレンス・オリヴィエ主演)もずいぶん前の記憶しかありませんが昨年の『カラマーゾフの兄弟』に引き続き再び古典に挑んでみました。やっぱり面白い、圧倒的な迫力であっという間に結末まで読んでしまいます。1847年に発表されましたが作者のエミリー・ブロンテは30歳の若さで亡くなり書いた小説はこれ一冊のみです。内容は「イギリススのヨークシャーの荒野に立つ荒れ果てた館”嵐が丘”を舞台に、復讐に燃えるヒースクリフの愛憎を描いた」ものです。有名なセリフ『魂が何でできているか知らないけど、ヒースクリフと私の魂は同じ』 『80年かかってもおれの一日分も愛せるものか』人間は愚かで悲しい生き物!
破断
越境捜査3
(笹本稜平)

44

図書館17
『末端の警官の小さな犯罪は摘発しても、組織の根幹を揺るがすような巨悪は徹底して隠し通そうとする警察機構』に反旗を翻す警視庁捜査一課と神奈川県警の刑事達の活躍です。話自体は面白いのですが読みながら『こんなことありかよ?』と思うところいっぱいです。それでも、フィクションと割り切って読むとスカッとします。敵は公安警察、組織は腐るとこうなるのはどこも一緒でしょうか?『この国の大半の役人がそうであるように、上にへつらい、長いものに巻かれ、アリバイ程度に仕事をし、可もなく不可もなく勤め上げれば退職金は満額支給される。そんな人生が自分にとって、いったいどれほどの価値がある』
謎解きはディナーのあとで
(東川篤哉)

43
2011年本屋大賞を受賞し、140万部のベストセラーになっているとか、しかもTVドラマ化されているのです。“謎解き”しながら軽快なテンポで話が進み肩がこらずに読めます。
「いくつもの企業を擁する世界的に有名な『宝生グループ』、宝生家のお嬢様麗子(国立署の刑事)が主人公ですが、その運転手兼執事の影山が謎を解明しない麗子に時に容赦ない暴言を吐きながら、事件の核心に迫ってい」というものです。ユーモアたっぷりのふたりの掛け合いが楽しい連作ミステリです。今回6つの事件を扱っていますが眠れない夜にどうぞお読みください!
あめりかむら
(石田千)

42
図書館16
朝日新聞の「著者に会いたい」に掲載されて面白そうだったので図書館で借りました。著者は43歳エッセイストで初めての小説集です。この人の本は主語の私がなく、ひらがなが多いのが特徴です。表題作は芥川賞候補で、ほかに4編が収めれています。「病気の再発におびえる女性が主人公で、旅先の大阪で人のやさしさに触れ、自殺した世渡り上手の知人を思い、死は防げなかったのかと自問する」姿が描かれています。
『全力を尽くさないひとに冷淡になり、あたりさわりのない世間話で距離をはかるつきあいはすべて、身をけずる損に思えた。適当な仲を一掃すれば、すがすがしかった』
照柿
上・下

(高村薫)


41
『マークスの山』『レディー・ジョーカー』など合田雄一郎刑事シリーズ の一つで1994年の作品です。この人の本は単行本から文庫化するにあたって、大幅な改作を行うので文庫で読んだ方が面白いです。相変わらず重厚な内容ですが読み応えがあります。
<帯コピー>より「野田達夫、35歳。17年働き続けてきた平凡な人生に何が起こったのか。達夫と逢い引きする女、佐野美保子はほんとうに亭主を刺したのか。美保子と出会った瞬間、一目惚れの地獄に堕ちた刑事合田雄一郎はあてもなく・・・。照柿色に染まった男二人と女一人の魂の炉」
。情念渦巻く世界に釘付けになります。
生還

(大倉崇裕)


40
『山岳捜査官』とは山の犯罪を専門に担当する捜査官のこと、でも実際には存在しない。その捜査官を主人公に描いた短編集で、『山と渓谷』に掲載されたものです。
山と推理が好きな人にはそれなりに面白いと思いますが、ただ、舞台となる山も架空のものなのでちょいと迫力に欠ける気はします。『生還、誤解、捜索、英雄』の四編です、その中の『生還』は「北アルプスで起きた滑落事故。遭難者の女性がダウンジャケットをナイフで雪面に刺し抜き息絶えていた。さらに両足の靴ひもがはずされていた・・・。果たしてこれは何を意味するのか?」暇なとき気軽に読める本です。
ピース

(樋口有介)


39
熊本でも福岡でも本屋さんに山積みしてあり『店員オススメ』のポップが添えられていたので思わず買ってしまいました。埼玉県秩父地方が舞台です「元警察官のマスターと青年が切り盛りするスナック”ラザロ”の周辺で、ひと月に二度もバラバラ殺人事件が発生した。被害者は歯科医とラザロの女性ピアニストだと判明するが、捜査は難航し、三人目の犠牲者が。退職2年前のベテラン刑事は…。」意外な犯人、ラストのどんでん返し。本の表紙のピースサインをした絵が謎を解く鍵になります。 『貧乏も病気も歳をとることも死んでいくことも、生きている寂しささえ我慢できりゃあ、人間てのは何でも我慢できる』
我が家の問題
(奥田英朗)


38
図書館15
『空中ブランコ』で直木賞を受賞した奥田英朗の短編集です。退屈そうに見える日常の中に、「家族の絆」が浮かびあがってきます。ささやかだけど悩ましい平成の家族の6つの物語です。今の世の中「本当に、家族は個人の集まりに過ぎなくなってしまったのか、それとも希薄ながらも心のつながりはしっかりと存在するのか?」淡々と描いていますが、確かに絆はあることが確認できて、どれも読後にほろりとし、心が温かくなります。生活も気持ちもバラバラのように見えても、心のどこかで思いやっています。あらためて『家族はいいものである』とうなずける気持ちになります。
ヘッドライン
(今野敏)


37

図書館14
2008年に紹介してます、『隠蔽捜査』の作家によるものです。面白いですが何となく軽すぎます、ということは読みやすくあっという間に読めるということです。「自由奔放だが緻密な取材を手掛けるテレビの報道記者・布施や、警視庁のベテラン刑事・黒田らが活躍するシリーズものです。未解決の女子学生猟奇殺人事件や、少女失踪事件、謎の新興宗教集団など、複雑にからまった事件を布施や黒田らが解決していく・・・」テーマはなかなか興味深いのですが盛り上がりに欠けます。前の『隠蔽捜査』のような緊迫感がなく、いつの間に終わった?という感じです。息抜きの気楽な読書にはもってこいの本です。
グラスホッパー
(伊坂幸太郎)


36
「マリアビートル」が面白かったので読んでしまいました。殺し屋たちがたくさん出てくるお話です、発想がユニークで面白いです。「『マリア・・』にも出てくる元教師の鈴木は妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。どうやら”押し屋”と呼ばれる殺し屋の仕業らしい、復讐する前にやられてしまったが・・・」この後、てんやわんやの物語が展開します。よくまあこんな話を思いつくものと感心します。『この国では一年間に何千人もの人間が交通事故で死んでいる。無作為に一万人近くも殺すテロリストなんていない。それなのに車に乗るのはやめようと誰も言い出さない。命なんて二の次だ、大事なのは利便性なのだ』
マリアビートル
(伊坂幸太郎)

35
図書館13
読んでいないのですが『グラスホッパー』に続く殺し屋達のお話です。最高のエンターティンメントです。殺し屋達を乗せた東北新幹線。東京発盛岡着、2時間30分の物語「酒浸りの元殺し屋木村は、幼い息子に重傷を負わせた悪魔のような中学生王子に復讐するため、東京発盛岡行きの新幹線〈はやて〉に乗り込む。取り返した人質と身代金を盛岡まで護送する二人組の殺し屋「蜜柑」と「檸檬」は、車中で人質を何者かに殺され、また身代金の入ったトランクも紛失してしまう。そして、その身代金強奪を指示された、ツキのない殺し屋七尾は、奪った身代金を手に新幹線を降りるはずだったのだが・・・」。
ポニーテール
(重松清)

34
図書館12
「母を亡くした小学4年生のフミ、親の離婚で苗字も学校も変えなくてはならなかった小学6年生のマキ。それぞれの親が再婚して『家族』となった二人の少女が過ごした始まりの日々・・・」をやさしく見つめる心温まる小説です。
この人の本はびっくりするくらい人の気持ちを描ききっていると思います、ウンウンと思わずうなずいてしまいます。「『難しい年頃』というのは、親がどう扱えばいいか難しい。何より自分が一番自分のことを難しいと思っている。世界中のどんな難問よりも自分の心を理解することが難しい」 読み終わった後に爽やかな風が吹いてきます。
プラ・バロック

(結城充孝)


33
第12回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した作品です。図書館に申し込んでいる本がまだ順番が来ないので本屋で文庫本を物色していたら面白そうだったので買ってみました。ミステリーファンには結構面白いと思います。これも又主人公は女刑事です、「雨の降りしきる港湾地区、埋立地に置かれた冷凍コンテナの中から14人の男女の凍死体が発見される。睡眠薬を飲んだ上での集団自殺と判明するが、それは始まりに過ぎなかった・・・」といところから始まります。インターネットを駆使した犯罪、全編にわたって描かれるのは降りしきる雨、べったりと暗い夜。映画を観ているような感覚です。
居眠り磐音2
寒雷ノ坂
(佐伯泰英)


32
シリーズ第二作、(気軽に読んでいます)「江戸・金兵衛長屋で浪々の日々を送る坂崎磐音。相も変わらぬ貧乏暮らし、仕事を求めて奔走する数々の事件に出くわし解決していく。そんな中、豊後関前藩との予期せぬ関わりが出てくる。幼なじみ三人を襲った忌まわしい事件は、改革を良しと思わぬ守旧派の陰謀だったのか?」
日常を絡めながら話が進んでいて飽きさせません。このように正と悪がハッキリしている物語は安心して読めます、このシリーズにはまって一気に36巻読んだ人もいます。煩わしい世間を離れたいときはいいかも・・・。
還るべき場所
(笹本稜平)


31
児玉清が『これほど心をしめつけられ、しかも、これほど熱き勇気、生きる勇気を与えてくれた小説がかってあっただろうか?僕は涙し、、号泣した。ああ・・』と書いています。この作家のものは2001年『時の渚』を紹介していますが、山岳小説を書いていると知りませんでしたが、すごく面白く感動の物語です。何故山に登るのか?主人公達の還るべき場所とは?山に登る人はぜひ読んでもらいたい本です。「世界第二の高峰K2、未踏の東壁を攻略中主人公の翔平は最愛のパートナー聖美を喪ってしまう。ロープを自分で斬ったのか?失意の日々、四年後再びK2へ」。 『山に登ることで魂の糧を得た・・』。
笑う警官
(佐々木謙)

30
「道警シリーズ」の第1作目です、今ごろ読みました。面白いです!
2004年に刊行され2009年に映画化されています(映画はWOWOWで観たけどちょっと荒唐無稽?やっぱり原作がいい・・)。当初は『うたう警官』というタイトルでしたがわかりにくいと言うことで『笑う・・』になったそうです。『うたう』とは自白することを意味する隠語で警察官の場合には内部の不正などを外部に漏らすことを意味する言葉です。実際に北海道警に起きた事件をモデルに組織の隠蔽体質が浮き彫りになっていく話です。「くだらない点数主義が組織を腐らせたってことだ」 どこかの組織も気をつけないと・・・ですね。
居眠り磐音1・陽炎ノ辻
(佐伯泰英)


29
「磐音シリーズ」第一作です。NHKでも二度シリーズ化され放映されました。現在、文庫で37巻出ています。作者は19423年2月北九州生まれです。なかなか本が売れなくて時代小説を書き出してから売れ出したとか・・。「主人公は坂崎磐音。九州の豊後関前藩(架空)の中老である坂崎正睦の嫡男。幼なじみの河出慎之輔、小林琴平とともに直心影流の佐々木玲圓の道場で修行し、3人で藩政改革を志していたが、あることから、許嫁である奈緒の兄・琴平を討ち取ることになってしまう。傷心の磐音は、豊後を離れて浪人として江戸に戻り、江戸深川の金兵衛長屋に住むことになる」。気楽に読める面白い本です。
アウトバーン
(深町秋生)


28
暴力も、金も、悪党すら利用する。欲しいのは真実だけ。上野署組織犯罪対策課警部補・矢神瑛子35歳、誰もが認める美貌。こんなヒロインが活躍する警察小説です。「3年前に夫を亡くし、身ごもった娘を流産したときから修羅の道に入った。苛烈な捜査で数々の犯人を挙げてきた。そんな時女子大生殺人事件が起きる」 。何故彼女はこうなったか?胸の中には、夫の死を自殺と断定した警察組織に対する不振と憎悪が渦巻いたいた。
所長を始め、警察幹部、先輩刑事達から疎まれながらも自分の捜査方法を変えようとしない姿は読んでいて気持ちいいです。読んでスカッとします。
廃墟に乞う
(佐々木譲)


27
図書館11
第142回直木賞受賞作品です。話は「北海道警察本部捜査一課の敏腕刑事だった仙道孝司は、ある事件をきっかけに心を病み、自宅療養中の身。やっと回復してきた仙道に、次々とやっかいな相談事が舞い込む」 短編6作で構成されていますが話はつながっています。その中でもタイトルになった『廃墟に乞う』がなかなかいいです。
実際に起きた犯罪や時代とリンクさせて話を深めています。主人公は休職中の身であるため警察手帳も持たず、拳銃も持てない中、どのような捜査をするのか?というところも普通の警察ものと違って面白いところです。
迎撃せよ
(福田和代)


26
図書館10
「航空自衛隊岐阜基地から、ミサイル搭載戦闘機F−2が盗まれた、猶予は三十時間。緊迫が高まる中、ミサイル迎撃に向けて官邸、自衛隊、公安・・が動き出す」。
『亡国のイージス』と印象が似ているなと思いながら読みましたが、『亡国・・』には及ばないかな?でも、面白かった。興味深かったのは自衛隊をめぐる法律の難しさでした。緊急時でも、要請や承認がなければ動けないのです。我が国をミサイル攻撃する戦闘機を見つけても『まず強制着陸を呼びかけ、応じずミサイルを発射した場合、ミサイルを打ち落とすまでの間しか撃墜できない』難しい問題ですが知っていましたか?。
悪の教典
上・下
(貴志祐介)

25
図書館9
「このミス1位、週刊文春1位、山田風太郎賞、早川ミステリ2位」などいろんな賞をもらっています。こんなにむかつくような悪人はあまりお目にかかりません「主人公は私立高校教師32歳、生徒に絶大な人気を誇り、PTAや職員の間でも抜群に評判のいい教師が反社会性人格障害(サイコパス)だったとき、惨劇へのカウントダウンが始まります・・。高いIQをもつ殺人鬼ゆえに手が付けられません」あまりのむごたらしさに目を背けたくなるようなシーンも出てきます。サイコパスの存在、それを一般の人は理解できませんがこのよう人間も今の世の中にはたくさんいるのでしょうね。すごく恐いです。
ワシントン封印工作
(佐々木謙)


24
「第二次大戦秘話三部作」に連なる話です。真珠湾攻撃により”だまし討ちの、卑怯な日本”という評価を受けることになった、その理由もわかります。何故か?「アメリカ国務省の高官、日系女性タイピスト、日本人の貧乏留学生・・・。日米開戦前、三人の男女が三角関係に陥る中、日本は戦争への道を突き進んでいく」解説に『1941年のそのとき、日本が本当に一丸となって和平を望んでいたら、和平交渉は実現していたかもしれない』とありました。歴史の影でいろんなことが動いています。
『ベルリン飛行指令』に始まるこの一連の大戦ものは『本当のこと』を書いているのです。
ふがいない僕は空を見た
(窪美澄)

23
図書館8
第24回山本周五郎賞受賞、本屋大賞2位、「R−18文学賞」受賞。これがデビュー作です、著者は高校3年生の息子と二人暮らしの45歳。息子には『この内容なので読まないで』と言っているそうです。物語の構成としては『告白』と同様いろんな人の視点から章ができています。書評に『最初は官能小説だが、最後まで読むと家族小説になる』とありましたがすごい本です。「高一の男子、好きだったとクラスメートに告白されても、頭の中はコミケで知り合った主婦のことで頭がいっぱい。同級生との関係、助産院を営む母、16歳のやりきれまい思いは周りの人達に波紋を広げ、それぞれの生き方に影響を与えていく」
県庁おもてなし課
(有川浩)


22
図書館7
作者は「アリカワヒロ」といい女性です。話は「高知県庁にできた新部署『おもてなし課』。若手職員・掛水は、地方振興企画の手始めに、人気作家に観光特使を依頼するが、しかし、お役所仕事と民間感覚の狭間で揺れる掛水の奮闘が始まった・・」。
高知県庁に『おもてなし課』は実在しますがフィクションです。『役所のシステムには非効率であることを義務づけられている、全ての業務にマニュアルがあり、即応性を求められる事柄も手続きで停滞する。そこで縛らねば信用できない。つまり、そこで働く者の堕落が織り込まれている』など、 自分の仕事がお役所仕事と感じている人はお読み下さい。
ストックホルムの密使
上・下
(佐々木謙)


21
「第二次大戦秘話三部作(ベルリン飛行指令、エトロフ発緊急電)」の完結編です。文句なしに面白いです。ベルリンに飛んでいった軍人のその後もわかります。
「1945年7月、日本を救う極秘情報を携えて、二人の密使がストックホルムから放たれる・・」ところからは物語は始まります。戦後の後始末の中で日本の護持を考える者、何が何でも戦争遂行を言い張る一派、軍のいいなりになる政治家、原爆を使いその力を世界に示したいアメリカ、ポツダム宣言受諾前に参戦し獲るものを獲りたいたいソ連など、愚かな人間たちの終末へ向かう話です。大本営の発表は、今の原発事故にも通じています。
月と蟹
(道夫秀介)


S
図書館6
第144回直木賞受賞作品で、作者は2009年に「向日葵の咲かない夏」を書いた人です。『やり場のない心を抱えた子供たちが、ヤドカリを神様に見立てるささやか儀式。やがてねじれた祈りは大人たちに、そして少年たち自身に、不穏なハサミを振り上げる・・・』という紹介に惹かれて読みました。何気ない日常を描いていていて「向日葵・・・」とは趣の違う話ですが、読み終わって静かに胸にしみてきます。日常に転がっている嫉妬やいじめの話など、やはりうまいのでしょうね。
最後は、少年たちの一夏が切なく胸に迫ります。
愛おしい骨

(キャロル・オコンネル)


R
2011年版「このミス・海外編」の第一位になった本です。久しぶりの翻訳物ミステリーでした。登場人物が増えるたびに謎が増え、又いたるところに伏線が絡み合っていて一語一語に目が離せない状態です。ですから100ページくらいまでは気が抜けませんが、後は一気にいきます。「十七歳の兄と十五歳の弟、二人は森へ行き戻ってきたのは兄一人だった。20年ぶりに帰郷した兄を迎えたのは、時が止まったように保たれた家。誰かが玄関先に弟の骨を置いていく。何が起きているのか・・・」最近の日本のミステリー物と違い、ストーリーの展開と人物の造形には『さすが』と唸ってしまいます。
婢伝五稜郭
(佐々木謙)


Q
図書館5
明治維新の立役者は、坂本龍馬を初め薩長土肥の下級武士にスポットライトが当たっていますがこの話は明治に入り、函館戦争の最終局面で官軍により恋人を惨殺された一人の女性の戦いが描かれています。「主人公は、医師・高松凌雲のもとで看護婦として働いていた20歳の女性・志乃。官軍による箱館病院分院での虐殺(史実)をきっかけに、彼女は戦う女性として変貌を遂げていきます・・・」なかなか面白い一気に読ませます。これは『五稜郭残党伝』『北辰群盗録』に続く、箱館戦争後日談で「五稜郭三部作」の最後です。本作とは関係ないけど西郷隆盛が最後に中央から離れたのもうなずける黄がします・・・。

ーオモニー


(姜尚中)

P
十六歳の春、見合いした青年と結婚するため日本に一人旅立った著者のお母さんの物語です。この人の本は初めて読みましたが、思想色は薄いし、日韓の歴史を語るということでもなく母への追慕を綴ったものです。あの貧しかった時代、在日の人がたくましく生きてきた姿を戦後から現代まで描いています。出てくる場所(地名)も知っているところばかりで何か懐かさを感じながら読みました。「カネはあることにこしたことはなか。でもカネに汚かこつしちゃいけん。困った人がおるならカネは使わんと。カネは使わんと増えんけんね」どんな苦しい時でも『何とかなる、何とか』と言って耐えてきた母の強さが胸にしみます。

(桜庭一樹)


O
図書館4
サブタイトルに「贋作・里見八犬伝」とあります。この人の品は直木賞をもらった『私の男』2010)に続いて二作目でしたが、相変わらずすごいです。女性が書いたと思えないようなシーンもあります。滝沢馬琴やその弟が出てきたりで縦横無尽に話は展開していきます。「その昔里見の里の物語から因果は巡り、江戸の世に、14歳の少女が命をかけた伏(犬人間)狩りが始まります」。アニメ映画化されるとか・・・。『伏に人の情けはない。善がないから悪もない。物心ついたころから人の心を支配しはじめてやがてはがんじがらめとする、罪も、恥も、道徳も、世間という名の共同体も、何もない、世界にいる』わかる気がします。
冤罪

(藤沢周平)

N
家の本棚に眠っていた本です。35年以上も前に書かれた時代小説です。時代物はいつまで経っても色あせないからいいですね。
久々の藤沢周平でした、表題作の「冤罪」初め九つの短編からなっています。どの作品も下級武士と周りの女性との絡みがうまく出ています。もちろん藤沢流で、立派な人間でもない、英雄でもない普通の人間の心情が淡々と書かれて読む人の心を打ちます。
デビューして3年くらいで、こんな興趣あふれるものを書いているこの作家のすごさを感じます。雨の休日ゆっくりと読みにはいい本です。
喪失の国、日本
(M・K・シャルマ)


『インド・エリートビジネスマンの日本体験記』です

M
ニューデリーの市場調査会社から派遣されて日本にやって来て1990年代前半の東京に1年8カ月滞在したビジネスマンの日本体験記です。
最初はあまりにも違う異文化にとまどう姿がユーモラスに描かれていますが、しかし、37歳のインド人は日本社会の現在についてするどく考察しているのです。二十数年前に今の日本を予言しています。
「日本は信頼が先行する文化を実現している。世界の『安全な国』というのは武器によって守られているが日本は丸腰で人間の善性を信じ、自らを投げ出すことで対手の善性を引き出し、秩序を維持する」
「日本文化を象徴する言葉『結構です』とか『いい』、これは『大変いい(ので、ください)』という場合もあれば『よくない(ので、いりません)』という正反対の意味を持ち、状況によって使い分ける」
「日本では一人に何種類もの器が使われるが、持ち上げていいものといけないものがあるという。法則があって汁の入っていないものは持ち上げない、汁の入っているものは持ち上げる、例外があってご飯茶碗だけは持ち上げる。器の形状による法則もあり、ご飯の上に料理がのっている汁なし料理の丼は持ち上げてよく、同じ料理でも器が角形である重は持ち上げてはいけない」
「日本の異常な小社会現象(意識の細分化、アトム化など)、特に若者、ここのところ社会意識のバロメーターである選挙の投票率がひどく低下しているそうだが、市民であり国民でもあることの意識を放棄した新しい人類である彼らは、未来に対してどのような夢と理想を抱いているのだろうか」
「日本人は個人的ロマンティシズムに美学を、インド人は集団的リアリズに美学を感じる国民といえそうである。日本人は目的よりも対面や手段のあり方に拘泥し、ややもすると目的を見失う。いっぽうインド人は目的のためにあらゆる手段を講じ、いかなる場合も目的と手段を混同することがない」
「ここに数本のそれぞれ違ったデザインの鉛筆があるとする。戦前の教育では、親や教師はその中の一本を選んで『これを君にあげよう』といって与えた。戦後の教育では全ての鉛筆を見せて『欲しいのを自分で選びなさい』と子供を促した。子供の人格を尊重したかのように見えるこの教育方法はしかし、結果として『君の欲望のままにしなさい。君が気持ちよく感じる方法を選びなさい。それが民主主義です』と教えたに過ぎなかった。大人達がこのような教育を始めたとき、時代は禁欲的な社会から欲望の社会、消費の社会へ急速に移行していた」
「ノーと言える日本人を今さら望まなくても、すでにノーと言う子供達ばかりが育っておるのですよ。両親が老いると子供達は両親自身に金を出させて養護施設へ追いやる。あるいは兄弟の間をたらい回しにする。教師に対しては殴る蹴るの暴行を加える」
「現在、大多数の日本人は大東亜戦争を侵略行為であったと見なしている。ところが奇妙なことに、この認識は自ら吟味したものではなく、戦勝国の解釈を鵜呑みにしたもので、彼ら自身は今も事実の把握を怠っているのである」
「『非暴力が大切な時代で侵略されても殺されても軍備を持つべきではない』という、非暴力の思想が地平に身を置くことなしに非暴力を標榜しているに過ぎないように思う。侵略されてもいいなどという感情は、両親を殺され、妻や子供を殺されたとき、まったく軟弱な考えに過ぎなかったことに気付くだろう」
「戦後の日本人の知性は、マークシート方式により、ますます結果だけを重視し思考の質を不問に付す傾向を、あらゆる方向へと強めているように思われる」
「『インドが日本向くべし』から日本への評価が減じたのは第一に日本人が抜きがたいアジア人蔑視と宗教文化への無理解(欧米人と違い相手国の文化を研究しないままにやってくる)、第二に日本人の英語力とビジネスセンスの問題(『腹を割って話す』では仕事にならない)、第三に何よりもスピードが必要な時代に、能率に対する認識が甘いこと(倦まずたゆまず働き続けるが多くの時間が無駄に費やされている)」
などなどです。さあ、これから私達どうします?
風花
(川上弘美)


L
図書館3
2008年に単行本で出たのが今度文庫本化されました。単行本を図書館で借りて読みましたが川上ワールド満載の切ないラブストーリーです。「日下のゆりは33歳。システムエンジニアの夫卓哉と結婚して7年。平穏な日々が、夫に恋人がいるという一本の電話で破られる・・・」何気ない日常の中で、色あせてゆく愛を描いています。『風花』、『夏の雨』、『大寒』、『立春』等々、季節を思わせる言葉を章ごとの題名にした、13章に分かれている作品で、ゆっくりゆっくり話が進みます。この作者は感情の描き方がすごいと思います、しかもこれ以上無駄がないという文章になっています。心地よい読後感です。
がんばらない

(鎌田實)


K

1974年以来、諏訪中央病院で、「住民と共に作る医療」を実践している著者の、有名になった本です。著者の原点とも言えるこの本を島原の会場で買いました。「医療とは、生きるとは、死ぬとは。原点に立ち戻って考えなくてはという気持ちにさせてくれる」本ですが、読んで自分の人間を見る目が変わったような気がします。『命は長さではなく、輝きなのだ』 『勝てない人生だったあるのだ。人生全てが、競争ではない。がんばってがんばって勝つだけが人生ではない』 『男のロマンと女の不満』 『ぼくたちの二十一世紀は巧みに生きることを子供達に教えてきた。本当にそれでよかったのだろうか』
鎌田先生のブログです http://kamata-minoru.cocolog-nifty.com/blog/

影法師
(百田尚樹)


J
図書館2
また、百田尚樹を図書館で借りました。今回は時代物です、作者が『新に美しい男を描きたい!時代小説だからこそこの男達が書けたのです』と言ったとおり、すごい男が影としての主人公です。「幼くして父を亡くした下士の自分に『武士の子なら泣くな』と怒鳴った少年。それから刀を合わせて刎頸の契りを交わした14歳の秋。それから三十数年、竹馬の友の死を知った国家老となった自分は友の死の真相を追う。何が起き、何があったのか?果たして自分は?」 こんな人間がいるはずがないと思いながらもラストには胸が詰まります。『永遠の0』の出だしを思い出します。
輝く夜

(百田尚樹)


I
原題は「聖夜の贈り物」といいます。誠実に生きながらも幸せになれない女性達にイブの夜、素晴らしい奇跡が起こります。「クリスマスの夜恵子は7年働いた会社からリストラされる。そんな時でも困っている人を放っておけない彼女はホームレスを助ける。すると代わりに「これを使うと願い事が三つまで叶う」と一本の鉛筆を渡された・・・・不思議な奇蹟を描いた「魔法の万年筆」ほか5編の心を揺さぶるファンタジーです。
「永遠の零0」に続く第二作ですが、この作者は前作が評判になったからといって同じテーマでは書いていません。一作ごとに違う世界に誘ってくれます。
一刀斎夢録

(浅田次郎)

上・下
H
壬生義士伝、和違屋糸里に続く浅田版新撰組三部作の最終作です。新撰組三番隊隊長斉藤一の歴史を、大正元年70歳となった斉藤本人が軍人の若者に語って聞かせる筋立てになっています。一刀斎とは「斎藤一」を逆に読んで下さい。
話は「京の新撰組時代坂本龍馬を斬ったところから、鳥羽伏見、会津、そして警官となり、西郷征伐へ向かった『鬼』と恐れられた斎藤と少年隊士鉄之助生き様」が語られます。壬生義士伝の吉村貫一郎も絡んできます。『情けに報いんとすれば、おのれの命のほかに持ち合わせがなかったのですよ』 ラストは切ないです、さすが浅田次郎!
錨を上げよ
上・下
(百田尚樹)


G
図書館1
百田尚樹の最新作、2200枚に及ぶ大長編(上下合わせて1200ページ超)です。終戦後(昭和30年)のたくましい大阪の下町に生まれ育った男の、破天荒にも程がある半生。徹底的なドロップアウトのようで、ある種しっかり筋の通った不思議な男の物語です。昭和60年代から80年代の日本を駆け抜けていきます。大阪〜京都〜東京〜北海道根室〜タイとめまぐるしく舞台は変わり、一気に読ませてくれます。『人は皆、生まれた時は汚れのない玉のような心を持ちながら、人生を渡っていくにしたがい醜いつぎはぎだれけの心になってしまうのだ』 純文学的といってもいいかも・・・人間観察が凄いです。
死にゆく妻との旅路
(清水久典)


F
「末期がんの妻を9か月もワゴン車に乗せて日本各地をさまよい、保護責任者遺棄致死の罪状で逮捕された男性がいた。1999年に起きた事件を2000年秋に雑誌『新潮45』に掲載された手記」です。まだ観ていませんが三浦友和、石田ゆり子で映画化されています。
縫製一筋に生きてきたが、中国製の安価な製品が容赦なく経営を圧迫し始める。長引く不況、膨れ上がる借金。万策尽き果てた時妻の癌を知り借金から逃れるように妻と一緒に放浪の旅に出る夫を最初は好きになりませんが読み終わったときの人を愛するという心情には心打たれます。鎮魂の手記です。
ベルリン飛行指令

(佐々木譲)


E
「第二次世界大戦秘話三部作」の最初に書かれた本です。昨年「エトロフ発緊急電」を紹介しましたがそれより前の昭和63年に書かれたものです。面白さはエトロフ・・の方がありますが、『零戦が1940年ドイツを目指して飛んでいた』という話です。作者が本田技研に勤務していた頃からの関わりで元本田技研の取締役であった人からこの話を聞き、調査研究し書かれたものです。「欧州戦線でドイツは英国の戦闘機スピットファイアに痛めつけられていた。その時に日本の零戦を三国同盟後に移送して欲しいと日本に求めてくる・・、日本海軍札付きのパイロット2人に指令が下り、ベルリンを目指す」。
運命の人
一〜四

(山崎豊子)


D
単行本が出て2年も経たないうちに文庫に、作者が一人でも多くの人に読んでもらいたいと思ったそうです。「1972年沖縄返還に絡む外務省機密漏洩事件。国家、社会、新聞マスコミが一体となって絡んだ事件で、日米間で取り交わされた密約を掴み、糾弾した新聞記者が逮捕され、最高裁まで上がった事件」をテーマにしています。『この作品は、事実を取材し、小説的に構築したフィクションである』と始めに書いてあります、最初は新聞記者が『国民のために正義を貫いている』という態度には全く好感が持てませんが読み進んでいくうちに国家権力のすごさに愕然とします。『異形の大国・・』とは別の視点です。
ダンス・ダンス・ダンス
上・下
(村上春樹)


C
1982年の「羊をめぐる冒険」から6年後に発表された続編です。「資本主義の高度発展への社会批判、空虚感と孤独感が特徴として挙げられる」という評がありましたがそれは感じました。話は『コピーライターとして「文化的雪かき」に従事する「僕」は、何かに呼ばれているような焦燥を感じていた。それを確かめるためには、もう一度「いるかホテル」に戻らなければならない。そこでは誰かが「僕」を求め、「僕」のために涙を流しているのだ』というところから話は発展していきます。作品中に登場する作家牧村拓(まきむら ひらく)は、村上春樹(むらかみ はるき)のアナグラムだそうです(アルファベットで成立します)。
村田エフェンディ滞土録

(梨木香歩)


B
エフェンディとは土耳古(トルコ)語で学士様という意味です。かおやんから借りた本です、何とも優雅な出だしですが読み進むにつれてなかなかものを感じてきます。「時は1899年、トルコの首都スタンブールに留学中の村田君は下宿の仲間と議論したり、拾われてきた鸚鵡(オウム)に翻弄されながら青春を送っていた」今から約100年前のお話ですが、しっかりと今の時代に通じるところがいいです。『私は人間だ。およそ人間に関わることで、私に無縁なことは一つもない』『国というものは勃興、成長、成熟、爛熟、腐敗、解体。これはどうしようもないのだろうか』『支配者は民のことは何も考えていない』など・・。
異形の大国
中国
(櫻井よし子)


A
作者は、当初小泉内閣に対しては好意的だったが後に反小泉に転じています。又、保守論客の一人であり特に改憲論者で、核武装論者で、あまり好きではありませんが、中国のある面を知るにはもってこいの本です。『中国共産党政権の戦略目標は、台湾を合併して、アジアの盟主となり、米国の介入を許さず、日本をも支配することだ。そこに到達するためなら、事実の捏造も歪曲も、開き直りも責任転嫁も彼らは手段を選ばない』と、餃子問題、靖国参拝、東シナ海の資源、台湾問題、環境汚染、国際基準、軍事優先、それに東京裁判〜南京大虐殺などの歴史的認識の間違、徹底して中国批判をしています。
ゴールデンスランバー
(伊坂幸太郎)


@
昨年映画化されましたが見逃したのの原作本です。山本周五郎賞と本屋大賞をもらっています、山本周五郎賞を受賞した本は読んで当たりはずれがありません。
「首相暗殺の濡れ衣をきせられ男の二日間に渡る逃亡劇、巨大な陰謀に包囲された青年、必死な逃亡の中に見え隠れする謎の人達・・・」。平成19年に発表されていますが
”今までの著者の作品のエッセンスが数多く含まれている”ことから、現時点で著者の集大成と評されているそうです。『マスコミ情報とは、嘘はつかないが流す情報の取捨選択はやる』などいかに私達がマスコミ対に翻弄されているかも納得です。