cinema(2014)

 ゴーン・ガール

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『ドラゴン・タトゥーの女』 『ソーシャル・ネットワーク』などデヴィッド・フィンチャー監督の最新作、 ミステリー/スリラー映画です。沢木耕太郎が新聞のコラム『銀の町から』に書いています”不穏醸し出す輝きの落差”と前半の夫の側の語り口から後半になると一変します。いやぁ~、面白かった。ドラゴンよりこちらがぞくっときます。話は「結婚5周年に突如姿を消した妻を捜す男が警察の捜査やメディア報道に追い込まれ、さらに妻殺害の疑いを掛けられてしまう・・・」ところから始まります。理想の夫婦が抱える秘密を暴く、怖い怖いお話しです。
ネタバレになったら面白くないので、ここらへんでご勘弁を・・・。
ふうけもん

19
この映画は2008年に製作。翌2009年に公開が予定されていたが直前に中止となり、紆余曲折を経て、今年から各地の市民ホールの巡回上映の形で一般公開が開始されたものです。便利屋の元祖である右近勝吉をモデルとする、実話を基にした映画です。『ふうけもん』とは佐賀弁で「愚か者」という意味だそうです。『釣りバカ日誌』の栗山富夫監督、中村雅俊他豪華配役です。”家族とは、友情とは、信頼、許しとは”といったテーマが笑いと涙の中で描かれています。
右の写真は富山監督とスリーショットです。
イコライザー

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私の好きなデンゼル・ワシントン主演、ある感想に『96時間のノリ」と言うのがありましたが、私的には『必殺仕掛人』でした。「元CIAエージェントのマッコールは、いまはホームセンターで働く。かつてのマッコールは、身のまわりにあるあらゆる物を武器に変え、警察では解決できない不正をこの世から瞬時に消してしまう『イコライザー』と呼ばれる男だった。マッコールは娼婦の少女テリーとの出会いから、再びイコライザーとしての仕事を・・・」 どんな仕事も19秒でこなすスピードも見応えがあります。エクスペンダブルス3よりこちらが面白いかな?
エクスペンダブルス3

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シルヴェスター・スタローン、ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ドルフ・ラングレン、アーノルド・シュワルツェネッガーのいつものメンバーにメル・ギブソン、ハリソン・フォード、アントニオ・バンデラスなど超豪華配役の第三弾。よくもこんなに集めたものです『オールスター感謝祭』、お話しはいつもの通りの展開で、こんなことありかよと言う荒唐無稽アクションがスカッとして頭を使わずに楽しめます。それにしても消耗品軍団は強い!私はジェイソン・ステイサムが好きです、ハリソン・フォードはやはり年取ってきましたね。私たち年寄り軍団も頑張らなくては・・・。
ふしぎな岬の物語

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モントリオール世界映画祭審査員特別賞グランプリとエキュメニカル審査員賞を受賞しています。「青い海に抱かれた岬の先端にある小さなカフェ。店主の悦子とカフェに集う人々の何げない日常、そしてそれぞれの人生に起こるちょっとしたことを丁寧に描いていますが、穏やかだった村の暮らしにも変化の風が吹き始める・・・。」 村の人々は苦しみの先にどんな未来を見つけるのだろうか? 観ていて心が暖かくなります。この映画は、実在の喫茶店から想を得た小説『虹の岬の喫茶店』が原作です。吉永小百合が企画に加わっています。
グレース・オブ・モナコ
公妃の切り札

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2014年のフランス・アメリカ・ベルギー・イタリア合作の伝記映画。ハリウッド・スターからモナeコ公妃となったグレース・ケリーが、存亡の危機に立たされた公国を救うために見せた「一世一代の大芝居」を描いています。47歳とは思えないニコールキッドマンが素晴らしい、『今までに主役候補が現れては消えていく中、監督のオリビエ・ダアンはキッドマン側からの依頼でスカイプ面談して、即決した』ということです。「クローズアップで主人公の心理を物語れる究極のナルシスト、キッドマンのほぼワンマンショーの趣きだ」とありましたがまさにその通りでした。
ジャージー・ボーイズ

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さすが、イーストウッド、時間とお金の損はないです。1960年代に人気を誇った伝説のポップス・グループ「ザ・フォー・シーズンズ」を題材に、名曲「君の瞳に恋してる」誕生の裏に隠された4人の若者たちの栄光と挫折、そして再生を描いたドラマ。「ニュージャージー州の貧しい町に生まれた4人の若者たち。金もコネもない者が町から逃げ出すには、軍隊に入るかギャングになるしかなかったが、彼らには類まれな美声と曲作りの才能があった。4人はスターダムを駆けあがっていく・・」 観ていて自然と歌を口ずさみ体がリズムを取り出します。懐かしい「シェリー」が最高!
柘榴坂の仇討

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bookに2003年に紹介した(五郎治殿御始末所収)浅田次郎原作の映画化。
「主君のあだ討ちを命じられた武士の不器用な生きざまを通し、幕末から明治へと時代が激変する中、武士として、人としての誇りと覚悟を持って生きる侍たちの姿を描く」。監督は『沈まぬ太陽』などの若松節朗、音楽を久石譲が担当。中井貴一が主人公を熱演し、阿部寛、広末涼子、歌舞伎役者の中村吉右衛門ら実力派が出演しています。変わりゆく時代に己を失わない男たちの姿以上に、それを支えジッと耐えて生きる妻たちに胸迫るのもがあります。
猿の惑星:新世紀(ライジング)

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「猿の惑星:創世記(ジェネシス)」の続編です。今回は猿の視点で描かれていて、前作を見ていなくても十分楽しめます。「猿のシーザーが天性のリーダーシップを用いて仲間を率い、人類への反乱を起こしてから10年。勢力を拡大し、手話や言語を操るようになった猿たちは、森の奥深くにコロニーを築いていた。一方、人類は、わずかな生存者たちが荒廃した都市の一角で息をひそめて日々を過ごしていた・・・」 こんな中で人間と猿が出会ったあらどうなるか? 人間より人間らしいシーザー、猿も人間と同じ道をたどるのか?観てのお楽しみ!
フライト・ゲーム

11
高度1万2000メートルを飛ぶ旅客機で繰り広げられるサスペンスアクション「ニューヨーク発ロンドン行の旅客機に、警備のため搭乗した航空保安官ビル。しかし、離陸直後、ビルの携帯電話に『1億5000万ドル送金しなければ、20分ごとに機内の誰かを殺す』との脅迫メールが届く。やがて1人目の犠牲者が出てしまう・・」 ノンストップで進む犯人捜しのスリルとサスペンスは最高です、映画が長くないのもスリルを凝縮しているのでしょう。犯人がわかってからのラストに向けてのシーンも迫力満点です。それにしても62歳リーアム・ニーソン、格好いい!
ビヨンド・ザ・エッジ

10
『何故、山に登るのか?、そこに山があるから』これは1924年エベレスト北壁に消えたマロリー(75年後に遺体が発見される)の言葉ですが、この映画は1953年にニュージーランド人の登山家エドモンド・ヒラリーと、シェルパのテンジン・ノルゲイらによって成し遂げられたエベレスト初登頂を描いたものです。
再現ドラマと当時のアーカイブ映像や本人たちへのインタビューを交えてで描いたドキュドラマで、前人未踏の山に挑む精神力の強さに圧倒されます、こんな強さがないとできないでしょう。画面を見ているだけで足がすくみます。
GODZILLA
ゴジラ

反核をテーマにしているところなど60年前の第一作(最高傑作と言われている)のオリジナルの精神を継承しています。発電所を巨大な揺れが襲う。そして原子炉は制御不能に陥る。何かを思い出しますね。圧倒的な“自然”の前になす術のない人類の無力さを思い知らされます。サンフランシスコでの大決闘「子孫を残すという本能に忠実なつがいのムートーと、それらを追うゴジラ、そして核による過ちを繰り返そうとする人類が交差する 」 ラストに 『怪獣王、この街の救世主なのか?』というところがいい。ゴジラファンとしても言うこと無し、面白かった~!
オール・ユー・ニード・イズ・キル

原作が日本とは知りませんでした(2004年に発行された桜坂洋のSF小説)。いわゆるタイムループものです、タイムスリップとは違います。「宇宙からの侵略者と人類の戦いが続く近未来を舞台に、同じ時間を何度も繰り返すはめになった兵士が、幾度もの死を経験し、成長してきながら地球を救う」と言った話です。 ドラえもんは体ごと過去の世界にいけますが、こちらは過去の自分に情報を送るのです。女兵士役のエミリー・ブラントがいいです『プラダを着た悪魔』に出ていたのですね。ある評では今年の夏映画は、これがイチオシ必見作と言っていました。
ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅

『愛すべき旅の途中でいつしか心と心をつないでいく父と息子のハートウォーミングな物語』 こんな話は大好きです、数々の賞をもらっています。モノクロームの映像で描いたロードムービー 「モンタナ州に暮らす大酒飲みで頑固な老人ウディのもとに、100万ドルを贈呈するという胡散臭い手紙が届く。すっかり信じ込んでしまったウディは、妻や周囲の声にも耳を貸さず、歩いてでも賞金をもらいにいくと言って聞かない。そんな父を見かねた息子のデイビッドは、無駄骨と分かりつつも父を車に乗せてネブラスカ州を目指す」 いろんな出合いの中で人間が見えてきます。
大統領の執事の涙

実在したホワイトハウスの黒人執事の人生をモデルにしたドラマ。奴隷から大統領執事となり、7人の大統領に仕えた男の波乱に満ちた人生を描いています「1950年代、まだ南部で黒人が奴隷扱いされていた時代に育った少年セシルが、いかにして一流の執事になったか・・、アイゼンハワー、ケネディ、ジョンソン、フォードなど、歴代の大統領に仕えながら、キューバ危機、ケネディ暗殺、ベトナム戦争といったアメリカの国家的大局を背景に」又、キング牧師やマルコムXまで絡んできてとっても興味深いです。史実とフィクションをないまぜにした素晴らしい出来です。
鑑定士
顔のない依頼人


『トルナトーレ監督(『ニュー・シネマ・パラダイス』)が、豪華で知的で刺激的な謎を散りばめた、極上のミステリーを誕生させた』とあっては絶対観に行きます。物語は「ある屋敷の美術品鑑定依頼。引き受けたのは、天才的鑑定眼をもち、世界中の美術品を仕切る一流鑑定士かつオークショニアにして、人間嫌いのオールドマン。それはごくありふれた依頼のはずだった。しかし、屋敷で彼を待っていたのは、壁の向こうから決して姿を現さない依頼人の女・・」 謎が謎を生みますが、ラストが切ない。いたる所に伏線が張ってあります、見破られないままに終わった!
ウルフ・オブ・ウォールストリート

レオナルド・ディカプリオとマーティン・スコセッシ監督が組んだ映画。「世界一の金融街を舞台に20代で証券会社を設立して億万長者になるも、証券詐欺の違法行為で逮捕された実在の株式ブローカー、ジョーダン・ベルフォーの生き方」を描いていますが、セックスとドラッグと浪費の限りを尽くした3時間の映画、面白いけど観ていて疲れました。ホントにこんな男がいたなんて信じられない感じです。
『下品な視点のエネルギーが全編を通じてあふれている』だって、また『これぞエンターテイメントだ』と言う声もあるそうです。わからない・・・。
小さいおうち

2013年初めにbookで紹介したのがようやく映画になりました。bookでも書きましたがこのようなお話は大好きです。さすが山田洋次監督、期待を裏切らない出来でした。ヒロインの松たか子のきれいなこと・・・。第64回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門にも出品されています。温かい心になれるこんな映画に乾杯です。あるコラムに『人知れず消えていったであろう人々の営みを見つめる山田監督の視線はとても温かい。たとえそれが白日の下にさらすことのできない恋心であっても。深い余韻に浸れる良作だ』 と・・、あらすじはbookをご覧ください。
ゼロ・グラビティ

サンドラ・ブロックとジョージ・クルーニーが共演するサスペンス大作。「地上から600キロメートル上空に浮かぶスペースシャトルで船外作業中に事故に遭い宇宙へと放り出されたふたりのサバイバル、漆黒の闇の中で地球との交信手段も絶たれたふたりは無事帰還できるのか?」 よくもまぁ、次から次へと危険が降りかかります。サンドラが「宇宙なんて嫌い」という台詞がありますが、よ~くわかるという気持ちになります。ハラハラ連続の映画でした(ジャスミンと同じ感想です)。画面はとってもキレイです。
永遠の0


2010年にbookで紹介したのが映画化されました。筋はわかっていてもいても涙です。「『娘に会うまでは死ねない、妻との約束を守るために』。そう言い続けた男は、なぜ自ら零戦に乗り命を落としたのか。終戦から60年目の夏、健太郎は死んだ祖父の生涯を調べていた。天才だが臆病者。想像と違う人物像に戸惑いつつも、一つの謎が浮かんでくる―。記憶の断片が揃う時、明らかになる真実とは・・」 今の時代には感じられない男の絆、家族の絆をしっかり描いています。結構いい出来ですが、どちらかというと原作本がいいです。読んでください。