cinema(2019)                                                                     

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スペインは呼んでいる
34(670)
「イギリスで仕事も人生も成功している50の男2人。だが、恋人とのことや離れて暮らす息子との関係など、悩みはつきない。そんな2人が、スペインを巡る旅へ。カミーノ・デ・サンティアゴの巡礼ルート、世界遺産の街クエンカ、イスラム文化が色濃く残るグラナダ…」5泊6日のロードムービー。自分の歩いた道も出てくるとのことで期待して観にいったのに、がっかり何を言いたいのかさっぱりわかりません。ただ、スペインの美しい風景とスペイン料理を楽しむにはいい映画です。ラストに「相棒と別れ1人アフリカへ、荒野で車が故障、そこに黒装束の男たちが乗った車が近づいてくる、彼らが『アッラーは偉大なり!』 と叫ぶのです」 何?
ウエスト・サイド物語

33(669)
半世紀以上も前の1961年の映画。高校生の頃、鹿屋には封切館がなかったので鹿児島までバスと船を乗り継いでオフクロと二人で観に行ったのを鮮明に思い出します。アカデミー賞10部門を受賞、今でも充分に楽しめました。「イタリア系のジェット団とプエルトリコ系のシャーク団は、ウエスト・サイド地区を巡る縄張り争いを続けていた。そんな中、ダンスホールで(元ジェット団)のトニーは、シャーク団のリーダー・ベルナルドの妹マリアと出会い、恋に落ちてしまう・・」“ロミオとジュリエット”を下敷きにした悲劇で、今観てもダンスも音楽も素晴らしい!ナタリー・ウッド、リチャード・ベイマー、ジョージ・チャキリス、リタ・モレノと懐かしい顔に逢えました。
国家が破産する日
32(668)
1997年に韓国で実際におこった通貨危機の裏側を描いたドラマ。人気女優キム・ヘスが演じる主人公は韓銀行のスタッフ、実在のモデルはいないが『こんな人がいたらどれほど良かったか』という気持ちで作られたとのこと。「好景気が続くと国民が信じていた。そんな中、韓国銀行の通貨政策チーム長ハン・シヒョンは通貨危機を予測していた。政府は非公開の対策チームを招集するが、国家破産まで残された時間はわずか7日間しか残されていなかった・・」 不都合な事実の隠蔽など、ほぼそのまんま日本を見ているような気になりました。いつも被害が直撃するのは庶民。日本も二の舞にならないように政治家と官僚は国民目線であって欲しい。
マチネの終りに
31(667)
『ラブストーリーでありながら、人生の苦悩、世界の分断や対立といったテーマを織り交ぜ、登場人物たちの心情の変化を緻密に描いた』 はずですが原作ではバグダッドも舞台になり、イラクをはじめとする中東問題なども絡んできました。その部分が映画ではパリのテロ行為に変わっていて緊迫感にやや欠けますが、それ以外は丁寧に描かれていてよかった。原作を読んでいない方が更に面白く感じるのではと思います。『たった、三度会ったあなたが誰よりも深く愛した人だった・・・。』 40代の大人のラブストーリー、若い人には理解できないかも? クラッシックギターの音楽も素晴らしかった。原作がいいといいです。
アイリッシュマン
30(666)
マーティン・スコセッシ監督でロバート・デ・ニーロ、アル・パチーノ出演『第2次世界大戦後のアメリカ裏社会を生きた無法者たちの人生』を描いたもので、何となくゴッドファーザーを思い起こします。「フランク(アイリッシュマン)はトラック運転手として働いてきたが、その傍らでブファリーノ・ファミリーと共に犯罪行為に手を染めていた。彼はファミリーの依頼で人殺しも行ってきた、関与した事件の中には全米トラック運転組合委員長ジミー・ホッファの暗殺も・・・」 。雰囲気はいいのですが、ちょいと長すぎ(210分)で、前半は少しだれます。が、中盤当りから緊張感が増します。ロバート・デ・ニーロたち出演者をCGで若返えらせているところがすごい! 『タクシードライバー』のスコセッシ監督とロバート・デ・ニーロ、健在です。
ターミネーター ニュー・フェイト
29(665)
『シリーズ』6作目で“本作はターミネーター2”の続編となっている。今回ジェームズ・キャメロンがプロデューサーとして復帰。リンダ・ハミルトン演じるサラ・コナーも28年ぶりにカムバック、それにアーノルド・シュワルツェネッガーも出演、原点に返った感じです。63才になったというリンダが何とも格好いい。「未来から来たターミネーター“REV-9”、メキシコの自動車工場で働いている21歳の女性ダニーと弟のミゲルに襲い掛かる。ダニーとミゲルは強化型・女性兵士のグレースに救われ、 何とか工場から脱出した。そして彼らをしつこく追跡するREV-9の前に、サラ・コナーが現れる・・・」 時代の流れと共に変わってきた人間とAIとの闘い、従来のターミネーター神話を新たな形で復活させた。まさにこれぞ『ターミネーター!
米軍が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯
28(664)
基地のない沖縄を訴え続けた(那覇市長や衆議院議員を務めた)政治家、瀬長亀次郎(1907-2001)の生涯を描いたドキュメンタリー。監督は230冊以上に及ぶ亀次郎の日記から事実を掘り起こしています。ベトナム戦争時、米軍による沖縄の核武装化をめぐり、自民党の国会議員がラジオで「沖縄のみなさんは自由陣営の栄光ある戦士」と呼び掛けた。亀次郎は「生活さえできないようにしておいて何が自由か。日本が沖縄を捨て石にした価値観は何一つ変わっていないのではないか」 と記しています。1971年12月の衆議院沖縄・北方問題特別委員会で時の首相・佐藤栄作と繰り広げた激論の記録映像が収められていて、この時から今まで政権の沖縄に対する姿勢は少しも変わっていないことがよくわかります。
ジョーカー

27(663)
『バットマン』で知られるジョーカーの(原作にない)誕生秘話。「ゴッサムシティの貧民街で母親の世話をしながらコメディアンを目指しているアーサー、しかし彼は突然意味もなく笑い出す癖があり、知的障害から他者とコミュニケーションが満足に取れない周りからも“気色悪い”と言われ、暴行も受けてきた・・・」 。全体のほとんどはアーサーとしての物語で、ラストに凶行の限りを尽くし町を混沌へと陥れていくジョーカーへと変わっていく。この映画は世の不条理や一人の人間の夢がゆがんでいく過程も見どころです。しっかりと見ないと妄想なのか現実なのか区別がつかなくなります。マーベル作品とは重みが違う強烈な映画でした。
フリーソロ

26(662)
アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞ほか数々の賞を獲得。「世界屈指の危険な断崖絶壁であり、誰もフリーソロで登りきった者はいない、カリフォルニア州ヨセミテ国立公園にある巨岩エル・キャピタン(高さ975m)に挑むクライマー・アレックス・オノルドの挑戦」。“フリーソロ”とは、ロープや安全装置を一切使わずに山や絶壁を登るクライミングスタイルの一つです。人間の力ってすごい、絶対不可能と思える壁を登ること、それを支える仲間やカメラマン。胸が痛くなるくらい緊張を強いられた素晴らしい映画です。(ネタバレですが)成功がわかっているから観れるのかも・・・(撮影カメラマンも途中からファインダーを覗けなくなります)。
アド・アストラ

25(661)

SF・サスペンスというだけではなく父親と息子の人間ドラマという言う側面も持った映画です。タイトルの“アド・アストラ”はたラテン語で『星へ向かって』という意味とか。「地球外生命体の探索船に乗り込んだ父は16年後に消息を絶つ。ロイ(ブラッド・ピット)は、父と同じ宇宙飛行士の道に進むが、あるとき、父は生きていると告げられ、父が太陽系を滅亡させる力がある実験“リマ計画”に関係していたことも知り、父を探すために宇宙へと旅立つ・・・」。同じ宇宙を舞台にしていても“スターウォーズ”等と違い奥が深いです。何となく『惑星ソラリス』を思い出すが私的にはソラリスの方がいいかな?見る人によっては賛否両論分かれるでしょう。

記憶にございません!
24(660)
笑った、笑った!「支持率2.3%、史上最低のダメ総理と呼ばれた総理大臣の黒田は、演説中に市民の投げた石が頭にあたり、記憶喪失に。各大臣の顔や名前はもちろん、国会議事堂の本会議室の場所、自分の息子の名前すらもわからなくなってしまった黒田は、金と権力に目がくらんだ悪徳政治家から善良な政治家に・・・」 いろんなシーンが現実とダブり笑いが止まりません。ホントに政治家や官僚は記憶喪失に罹ったとしか思えないこの国は喜劇なのだなと思います。ただ、もう少し現実に近いエピソードを入れたら更に面白かったのに。哀しいかな今の日本はまともに政権批判ができないのでこのように喜劇として見せるしかないか。
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
23(659)
『落ち目の活劇俳優と、彼に影のように寄り添う寡黙なスタントマンを主軸に、1969年のハリウッドが画面に蘇る』というもので監督がタランティーノなので期待していましたが、予備知識がなかったせいか今一乗れませんでした。賛否両論分かれる映画でしょう。60年代のファッション、人気のメキンカン・レストラン、車や町並み等々この時代のカルチャーに敏感な人にはたまらないかも知れません。また、ポランスキーとシャロン・テートのほか、スティーブ・マックイーンやブルース・リーなどそっくりさんも出てきて、昔からの映画ファンには懐かしさいっぱいでした。シャロン・テート惨殺事件を背景にタランティーノ監督のハリウッドに対する思いがいっぱい詰まった映画でストーリーらしいストトーリーはありません。
工作 黒金星と呼ばれた男
22(658)
北朝鮮の核開発をめぐり緊迫する1990年代の朝鮮半島を舞台に、北への潜入を命じられた韓国スパイ(ブラック・ヴィーナス)の工作活動を実話に基づいて描いている。いやー、面白かった!社会派韓国映画は自国を断罪するのに躊躇がない。本作はリアリティーを見せてくれながらエンタメを楽しませてくれるところが素晴らしい。派手なアクションなしのスパイものなのに緊迫感がすごい、同時に政治を描きながら人間ドラマでもあります。韓国の政治において、北朝鮮の軍事挑発を誘発させることで、どんなことが作用してくるのかよく分かったし、北朝鮮に対する見方も少し変わりました。平壌のCGを使ったシーンや金正日のメークが素晴らしい、まさに本物です。日本映画よ、負けずに日本の暗部をどんどん曝け出して!
ワイルド・スピード スーパーコンボ
21(657)
『ワイルド・スピード』(カーアクション映画)シリーズ9作目。ただ、これまでのワイスピとはひと味違います。「ロスで娘と暮らす、元FBI特別捜査官・ホブスと、ロンドンで優雅な生活を送る、元MI6エージェント・ショウ。 2人の元に、行方をくらませたMI6の女性エージェント・ハッティを保護して欲しいという政府の依頼が入る。 彼女は全人類の半分を滅ぼす新型ウイルス兵器をテロ組織から奪還したが、組織を率いる、戦士・ブリクストンに急撃され、ウイルスと共に消息をたつ・・・」マクラーレン720sとバイクのカーチェイスや巨大トラックがバンを蹴散らしたり、ヘリとコンボイの闘いなど、グイグイ引き込まれていきます。ジェイソン・ステイサムはかっこいいし、ヴァネッサ・カービーがキレイ!絶対に映画館で観てください
家族にサルーテ!

20(656)
イタリアの風光明媚な島イスキア島を舞台に幸せそうな一族の問題や秘密が徐々に明らかになっていくさまを描いたコメディ 。イタリアでは動員150万にを超える大ヒット!「結婚50周年の金婚式を迎えた両親を祝うため、親戚一同19人が集まる。ところが楽しい食事会が終わる頃、嵐のためにフェリーが欠航となり、2晩を同じ屋根の下で過ごすことになってしまう。そんな状況下で、それぞれの家族たちに、浮気、借金、介護など問題を抱えていることが分かる」 それにしてもイタリア女性のたくましくけたたましいこと、対し男は軟弱ですぐ女に手を出したがる、イタリア人の気質がよ~く出ています。タイトルの“サルーテ”とは乾杯という意味です。イスキア島は名作『太陽がいっぱい』のロケ地でもあります。

新聞記者



19(655)
70年代(黒澤明、山本薩夫監督の時代)以降、久し振りの政治を扱った娯楽映画を大手が配給しました。この映画は『政治の話題を嫌うテレビは、なかなか紹介してくれず』 また『政権に批判的映画にとられると干される』と二つのプロダクションに断られたと藤井道人監督が言っています。でも、“アラジン”や“スパイダーマン”とともに興行収入トップテンに入り3日間で4万8千人、収入6232万円を上げたそうです。アメリカでは今でも政治的な映画も作られているが日本では珍しい。東京新聞記者・望月衣塑子の同名小説が原案 「ある女性記者のもとに届いた、大学新設の極秘情報。その裏に隠された真実を追い求めるうち、彼女は国家を揺るがしかねない官邸とメディアの関係の“裏側”を目の当たりにする…。一方、内閣情報調査室(内調)の若き官僚は先輩の自殺をきっかけに組織を覆う巨大な“闇”目の当たりにすることになる」 実際に起きている事件(性被害告発、加計学園問題など)を思わせる事件が次々を登場します。先に紹介した本“KID”で公安の怖さを思い知りましたが、内調は表に見えないだけまだ怖い。政権に批判的なメディア、官僚、野党議員、デモに参加する一般の人々など反対派と思われる人は(表に出ないようにSNSや、メディアへのリークなどを使い)徹底的につぶしにかかるのです。一番わかりやすい例は前川元文科相事務次官の出会い系バー問題などでしょう。物語のラストに『この国の民主主義は形だけでいい』 と言うセリフが出てきます。現政権をよく表していると思います。
誰がために憲法はある

18(654)
1980年、幼なじみが疎開先の広島で原爆により亡くなっていたことを知った女優の渡辺美佐子(現在87歳)が中心メンバーとなり、ベテラン女優たち(日色ともゑ、岩本多代、山口かりんなど)と34年にもわたり続けてきた原爆朗読劇が2019年で幕を閉じます。この映画では鎮魂の思いを込めて公演を続けてきた女優たちのそれぞれの思いが語られるほか。日本国憲法の大切さを伝えるために、1人語り「憲法くん」を渡辺美佐子が、戦争の悲劇が二度とこの国に起こらないよう、魂を込めて語った様子が描かれています。『戦争反対!原爆反対!』と叫ぶのではなく、若い人に“今を何ごともなく過ごせていることが幸せだ”と思ってもらえばいいと語られます。劇中に原爆で亡くなった子どもたちの最後の言葉を台本に入れるために関連資料を集めたところ、一番多かったのが『お母ちゃ~ん』、二番目が『天皇陛下万歳』 大人も子どももそういう教育をされていたのです。渡辺美佐子が新聞でも語っています『文化が戦争の記憶を継承する役目を果たせなくなった、と。NHKの朝ドラはしばしば戦争を描いていますが、それ以外の戦争を描くドラマは単発ものばかりです。ある制作者が“視聴率がとれなくなって終戦記念日向けのドラマでも難しい”と嘆いていた』と。この映画を観て思ったこと、憲法前文を今一度読み直しましょう。
僕たちは希望という名の列車に乗った
17(653)
『映画にもお国柄が反映され、アメリカは銃系娯楽、フランスは二股系恋愛、ドイツは質実剛健系歴史物だろうか』という記事があった。この作品はまさにそれ・・・、ベルリンの壁建設5年前の(比較的自由に行き来が出来ていた)1956年の東ドイツが舞台「東ドイツの高校生が西ベルリンの映画館でハンガリー民衆蜂起運動のニュースを観る。自由を求めるハンガリー市民に共感した彼らは純粋な哀悼の心から、教室で2分間の黙祷をするが、ソ連の影響下に置かれた東ドイツでは社会主義国家への反逆とみなされてしまう・・・」 実話が元になっています。人としての生き方に戸惑う若者、ナチスドイツが残した爪痕に苦悩する親たち。一種の青春映画です、彼らのその後の人生も気になります。今年のベスト1!
ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
16(652)
2014年、ハリウッドが映画化した「GODZILLA ゴジラ」シリーズ(3部作の)第2作。「前作から5年後の世界を舞台に、復活した神話時代の怪獣たちとゴジラの戦い、それによって引き起こされる世界の破滅を阻止しようとする特務機関・モナークの活躍」を描いています。芹沢博士は1954年版の第一作とは反対の行動をとるのです。ゴジラのほかモスラ、ラドン、キングギドラたちを懐かしい思いで観ました。また、エンドロールがサントラメドレーでゴジラのテーマやモスラのテーマ曲が流れて最高!(エンドロールが終わっても席を立たないで)ゴジラファンにはたまらない作品に仕上がっています。是非大きいスクリーンで観て欲しいです。
ねじれた家

15(651)
アガサ・クリスティー原作、本人が『最も満足している二作』の一つに挙げている作品ですが、知名度が低いです。それはポアロが登場しないから・・・。「大富豪レオニデスが毒殺された。私立探偵のチャールズは、孫娘で元恋人のソフィアから捜査を依頼される。広大な屋敷には、3世代にわたる一族が勢ぞろい、巨額の遺産を巡って、疑惑と嫉妬、敵意と憎しみをぶつけ合っていた」 もちろん古いタイプのミステリーですが驚きの結末、リメークされた『オリエント急行』よりこちらがいい。グレン・クローズが存在感を見せます。制作費10億円をかけたという豪華な調度品や美しい調度品、衣装も見物です。
魂のゆくえ

14(650)
“神の救いとは?”名作『タクシードライバー』の脚本を書いたポール・シュレイダーが監督。「トラーは小さな教会の牧師、信徒の一人メアリーから相談を受ける。夫が環境問題について考えるあまり、(2050年には地球が住める状態ではない)そんな地球に子どもを住ませたくないと出産に反対しているという。トラーは夫を説得することに・・・」宗教、権力、環境問題を背景に、人間の悩みやジレンマに焦点を当てています。決して難しい宗教映画ではありません、が、クライマックスの“マジカル・ミステリー・ツアー”やラストシーンの解釈は色々別れるところでしょう。やはり『タクシードライバー』を彷彿させました。
ふたりの女王メアリーとエリザベス
13(649)
1560年代当時独立国家であったイングランドとスコットランドでの2人の女王と王位継承をめぐる対立等を描いた映画(背景にはカソリックとプロテスタントとの確執も)。タイトルとは違いMary Queen がメインのお話しでした。「16歳でフランス王妃となり、18歳で未亡人となったメアリーは、スコットランドで再び王位につく。しかし当時のスコットランドは、女王エリザベスⅠ世の支配下にあった。メアリーは自身のイングランド王位継承権を主張、エリザベスの権力を脅かしていく・・・」 女性として生きたメアリーと(男として)国家に忠誠を誓うエリザベスとの対比が面白い、それに陰謀渦巻く宮廷が見物!子どもを産まなかったエリザベスの死後、メアリーの息子がイングランドとスコットランドを統合した英国の国王となる。
天才作家の妻 40年目の真実
12(648)
グレン・クローズがアカデミー賞主演女優賞を受賞、夫婦の絆や人生の意味とは何かを描いたヒューマンドラマ。「毎年スウェーデンのストックホルムで華やかに行われるノーベル賞授賞式を背景に、人生の晩年に差しかかった夫婦の秘密が暴かれる。作家としては二流だった夫が結婚後に次々と傑作を送り出してきた・・・」 見応えがありあります。40年にわたる夫婦の生き方、真実は一体どこに?ノーベル賞受賞という大きな出来事によって、夫婦の実態が徐々に暴かれ、守ってきたものが崩れていくことに動揺していく“心揺れる”グレンの演技が抜群です。原題は『The Wife』 こちらが何となくピンときます。
運び屋

11(647)
実際の報道記事をもとに、クリント・イーストウッドが主演・監督をつとめた映画。テーマはサスペンスではなく家族です 「アールは仕事一筋に生きてきた孤独な90歳の男。商売に失敗し、自宅も差し押さえられたとき、車の運転さえすればいいという仕事を持ちかけられる。それはメキシコの麻薬カルテルの“運び屋”だった」 。夫、父親としては家族から受け入れれない孤独な男が人生終盤になって家族との絆を取り戻すことが出来るのか・・・。物語は淡々と進みますが、飽きません。最後のセリフ"時間だけはお金買えなかった"今を生きる人へのメッセージでしょうか?実の娘と親子を演じています。ブラッドリー・クーパーは「アリー」とは別の味でいいです。
バハールの涙
10(646)
ノーベル平和賞を受賞したクルド人・ナディア・ムラドさん。本作はそのクルド人自治区で2014年8月から2015年11月に起きた事件に着想を得ています。“ISと戦う母親らの姿”とそれを取材し真実を伝えようとする女性ジャーナリスト 「ISの襲撃により夫を殺され息子は捕虜として奪われてしまう。自身も奴隷となるが脱出。女性武装集団のリーダーとなり息子を助けるための闘いに挑んでいく・・」 過酷な状況の中、子供を守りたい女性の強さに胸を打たれます。いざという時には男はかなわない、【女性に殺されたら天国へ行けない】と信じるイスラムの戦闘員が彼女たちを恐れているのも分かります。実際に世界ではこんな事が起きているのです。
グリーンブック

9(645)
アカデミー賞作品賞ほかを受賞、 実話をもとにコメディタッチで描かれています。「人種差別が根強く残る1962年、黒人ピアニストと彼に雇われた白人の用心棒兼運転手が、黒人用旅行ガイド “グリーンブック”を手に人種差別が残るアメリカ南部を巡る」人間ドラマ。アメリカでは白人警官による黒人への銃殺、暴行事件が多発し、ヘイトクライムも増加している。そんな中で『 白人が黒人を救う姿を描いている』との批判もあるそうですが、考えすぎかもと思います。正反対の二人が旅をするうちにお互いを知り、理解し、尊敬し合う姿は清々しい、いい映画です。ラストのイタリア移民の人達の明るく温かいクリスマスシーンには心がホンワカ!
ディア・ハンター

8(644)
1978年に公開され、‎第51回アカデミー賞で作品賞、監督賞、など5部門を制した戦争をテーマとした映画、といっても戦闘は描いていません。ベトナム戦争映画の最高傑作と言われ、アメリカ国立フィルム登録簿に登録され永久保存されています。今回、製作40周年を記念してデジタル修復版が公開されました。「1960年代末期におけるベトナム戦争での過酷な体験が原因で心身共に深く傷を負った若き3人のベトナム帰還兵の生と死」を描いています。戦争が人間を狂わせていく怖さに胸が震えます、40年前と感動は変わりませんでした。ロバート・デ・ニーロ、クリストファー・ウォーケン、、デビュー当時のメリル・ストリープが出演しています。
ファースト・マン

7(643)
今年はアポロ11号の月面着陸から50年だそうです。高性能なパソコンも携帯電話のない時代、命をかけて月面着陸を目指した男たちを描いています。「莫大な予算や多くの犠牲を払いながら宇宙開発を進めるNASAに対し、マスコミや民衆は非難を浴びせる。逆風のなかアームストロングは月面着陸作戦の船長に任命される。 家族の心配や、同僚の死を乗り越えて月面に一歩を踏み出す」 華やかな部分しか知りませんでしたが、実際には険しい道のりだった(当然ですね)ことがひしひしと伝わってきます。月面着陸のシーンは最高です、IMAXカメラ、35ミリカメラ、16ミリカメラを駆使したという画面は迫力満点。
家へ帰ろう

6(642)
世界8つの映画祭で観客賞を受賞したロードムービー。「ブエノスアイレスで仕立て屋を営むアブラハム。88歳になった彼は、家は娘たちにゆずり施設で暮らしている。ホロコーストから逃れた際に助けてくれた命の恩人に自分が仕立てたスーツを届けるため人生最後の旅へ出ることに。マドリッド、パリを経由してポーランドへと向かう中、彼はさまざまなトラブルに見舞われる」 旅の途中で出会う女性たちが優しく手をさしのべてくれる、ドイツの土地を踏みたくない彼のかたくなな心もしだいに開けていく。感動的なラストに泣けました。スペイン・アルゼンチン合作の映画です、マドリッド駅や町並みなど6年前を懐かし思い出しながら観ました。
メリー・ポピンズ/リターンズ
5(641)
1965年ジュリー・アンドリュース主演で大ヒットした映画の続編。55年前に観たメリー・ポピンズが帰ってきた。130分間飽きさせません、時にはこんな夢のあるお話しもいい。主演はエミリー・ブラント、他にメリル・ストリープや敵役でコリン・ファースも出ていて賑やかです。「前作から20年後、バンクス一家の長男マイケルは銀行で働いていたが、大恐慌で経済的に苦しく、妻が他界して家の中は荒れていた。融資の返済期限が迫り、家を失う危機に追い込まれた家族の前に、メリー・ポピンズが以前と変わらぬ姿で現れる」 。“ 大人の中にある子どもの心に訴える”という評がありましたが、夢のようなシーンの中に心を揺さぶられるものがあります。
恐怖の報酬

4(640)
1953年イヴ・モンタン主演のフランス映画をウィリアム・フリードキン監督が1977年にリメイクしたが、当時92分の短縮版として上映された。それが今回監督の手により121分のオリジナル版の4Kデジタル修復が行われ完全版として日の目を見ることになったのです。高校生の頃(?)観た1953年版を鮮明に覚えています。話しは「南米のジャングルを舞台に、反政府ゲリラによって爆破された油田の火災を鎮火させるため、1万ドルの報酬と引き換えに、危険なニトログリセリン運搬を引き受けた4人の男たちの命運」を描いています。今観てもすごい映画だと思います、40年前、CGも何もない時代によくこれだけの映像が撮れたものです。原題の“SORCERER”とは、“運命を引く者”という意味があるそうです。骨太映画、面白いです!
私は、マリア・カラス
3(639)
20世紀最高のソプラノ歌手マリア・カラスの言葉と歌で構成されたドキュメンタリー。マリアがつづった自叙伝の内容と友人や愛する人に宛てた未公開の手紙、プライベート映像や音源などで彼女の人生を浮き彫りにしています。オナシス、ジャクリーン・ケネディ、ルキノ・ヴィスコンティといった人たちも登場、また当時のヨーロッパの情景も見られすごくいい。もちろん、彼女の歌声に圧倒されます、歌っているマリアを初めて見ました。スキャンダルやバッシングの嵐の中、倒れても歌うことを諦めなかった信念。53歳で生涯を終えますがドラッグとかアルコール依存ではありません(心臓病)。『私の自叙伝は歌の中に生きている。歌は私の唯一の言語だから』 と。
アリー/」 スター誕生

2(638)
1937年の『スタア誕生』からこれまでジュディ・ガーランド(54年)、バーブラ・ストライサンド(76年)で映画化され今回で4回目。世界的歌姫のレディー・ガガが初主演で感動的な映画に仕上がっている。“アメリカン・スナイパー”のブラッドリー・クーパーが監督・主演を務めています。「歌手になることを夢見ながらウェイトレスとして働いていたアリーがロックスター・ジャクソンと出会い、彼の導きによって才能が覚醒、スターへの階段を駆け上がっていく。しかしジャクソンのキャリアは反対に下降していく」 音楽と切ないラブストーリー、いいね。ガガの歌と演技も素晴らしいですが、クーパーの声と歌のうまさにも脱帽です。主題歌“シャロウ”が最高!
日日是好日
1(637)
本作公開前の2018年9月に樹木希林は他界しています。エッセイスト森下典子が茶道教室での日々をつづった自伝エッセイ「日日是好日“お茶”が教えてくれた15のしあわせ」を、映画化したものです。「やりたいことを見つけられずにいた20歳の典子は、乗り気ではなかったがいとこの美智子に誘われるがまま茶道教室に・・・。以後20数年にわたり通うこととなり、就職、失恋、大切な人の死などを経験し、お茶や人生における大事なことに気がついていく」心温まるお話し、黒木華と樹木希林の所作が素晴らしい。『雨の日は雨を聞く。雪の日は雪を見て、夏には夏の暑さを、冬は身の切れるような寒さを、五感を使って、全身で、その瞬間を味わう』

2019年cinema  ランキング 
 1 位 フリーソロ
 2 位 新聞記者
 3 位 僕たちは希望という名の列車に乗った
 4 位  工作 黒金星と呼ばれた男
 5 位 運び屋
 6 位 バハールの涙
 7 位 マチネの終りに
 8 位 米軍が最も恐れた男カメジロー不屈の生涯
 9 位 国家が破産する日
10 位 ターミネーター:ニュー・フェイト
11 位 記憶にございません!
12 位 ワイルド・スピード/スーパーコンボ
13 位  グリーンブック
14 位 アイリッシュマン
15 位 ジョーカー
16 位 アド・アストラ
17 位 誰がために憲法はある
18 位 ねじれた家
19 位 ゴジラ キング・オブ・モンスターズ
20 位 ふたりの女王 メアリーとエリザベス
21 位 天才作家の妻 40年目の真実
22 位 家へ帰ろう
23 位 家族にサルーテ
24 位 魂のゆくえ
25 位 アリー/スター誕生
26 位 メリー・ポピンズ リターンズ
27 位 ファースト・マン
28 位 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
29 位 私は、マリア・カラス
30 位 日々是好日
31 位 スペインは呼んでいる
  ※ ウエスト・サイド物語
  ※ ディア・ハンター
  ※ 恐怖の報酬
※は、デジタル・リマスター版として再上映されたものでランキングから外しています。