book(2020)

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コロナ後の世界
ポール・クルーグマンら世界の知性6人のインタビュー
大野和基編

図書館55(481)
63
新型コロナウイルスが国境を越えて感染を拡大させる中、現代最高峰の知性6人にインタビュー、6人とも“今回のパンデミック、それは私たちに深く考えるきっかけを与えてくれたこと”と言っています。
・ジャレド・ダイアモンド(UCLA地理学教授)「21世紀は中国の時代にはならない」
 中国は四千年の歴史の中で、一度も民主主義国家になったことはない。アメリカもトランプが勝てば
 独裁国家に近づくかもしれません。軍事クーデターを必要としない独裁です。
 日本でも同じ、危機を乗り越えるために最も効果的なことはまともな政治のために投票に行くことです。
・マックス・テグマーク(マサチューセッツ工科大学教授)「AIで人類はもっとレジリエントになれる」
 AI は核や生物兵器以上に、非常にパワフルで厄介なものになる可能性がある。
・リンダ・グラットン(ロンドン・ビジネススクール教授)「ロックダウンが日本人の新しい働き方を生んだ」
・スティーブン・ピンカー(ハーバード大学心理学教授)「人間の認知バイアスが感染症対策を遅らせた」
 中国の独裁主義が感染拡大を助長した。中国政府の印象が悪くなることを恐れたのでしょう。
・スコット・ギャロウェイ(NY大学経営大学院教授)「パンデミックでGAFAはますます強大になっていく」
 GAFAは、脳・心など人間の感覚に直接アプローチします。検索エンジンや結びつきで世界の覇権を
 握りました。彼らの使命は金儲けだけです、ミスを犯したのは我々です。多くのテック企業の幹部は自
 分の子どもたちにiPadなどのデジタルデバイスを使わせませんでした、その害を認識していたのです。
・ポール・クルーグマン(ノーベル経済学賞受賞者)「本当の景気回復はコロナ収束後にやってくる」
 コロナが拡大し始めた時情報を隠した中国も悪いがWHOは国際機関として機能を果たしていない。
 トランプの頭の中は、壊れた家具がごちゃ混ぜに詰まった屋根裏部屋のようなものです。
毒島刑事最後の事件(中山七里)
図書館54(480)62
連作短編っぽい構成ですが、不倶戴天・伏竜鳳雛・優勝劣敗・奸佞邪智・自業自得の四字熟語からなる5つの章で構成されしっかりつながっています。SNSの悪意と匿名性の陰に潜む、最低の犯罪者に異色の刑事が挑む話 「エリート会社員連続殺人事件、出版社連続爆破事件、婚活パーティ参加者連続塩酸火傷事件と毒島刑事が立て続けに起こる事件を解決する。その陰には“教授”なる黒幕の姿が…。」。これには前作があり、今作はその続編というより前日譚にあたる刑事をやめる前の最後の事件となります。自分の手を汚さないSNS上の犯人、もちろん犯人はにくいがこの毒島刑事というのもくせ者で絶対に敵にはまわしたくない人物です。前作『作家刑事毒島』も読んでみようっと。
むかしむかし・・・(青柳碧人)
図書館53(479)61
タイトルは“むかしむかしあるところに、死体がありました。”昔話×ミステリー!。「一寸法師の不在証明」「花咲か死者伝言」「つるの倒叙がえし」「密室龍宮城」「絶海の鬼ヶ島」の5編を収録。みんなが知っている昔話を少し悪意(?)に満ちた解釈で民話ミステリーへと再生しています。話の順にアリバイ、ダイイングメッセージ、倒叙、密室、クローズドサークルとミステリーの要素がしっかりと詰まっています。よくもまぁ、こんなお話を考えつくものだと思います。めでたく終わらない昔話です『容疑者一寸法師・打出の小槌トリック、主人殺しを捜す花咲か爺さんの忠犬の献身、悲劇は繰り返す鶴の仇返し、愛憎渦巻く竜宮城殺人(魚)事件、鬼ヶ島のそして誰もいなくなった』ちょいと悲しくもあります。
かがみの孤城
(辻村深月)

図書館52(478)60
“生きづらさを感じているすべての人に贈る物語”とありました。「学校での居場所をなくし、閉じこもっていた中学一年生のこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた。なぜこの7人が、なぜこの場所に・・・」ファンタジーっぽいっが、中身が濃い。2018年の本屋大賞ほか、いろんな賞をもらっています。『“自分はみんなと同じになれない” 普通になれないは、ずっと思ってきたことだった。学校に通っている他のみんなみたいにうまくできなくて、同じになれないことに気づいて、だから絶望していたし、苦しかった。――普通かそうじゃないかなんて、考えることがそもそもおかしい。』。
ベルリンは晴れているか(深緑野分)
図書館51(477)59
1945年7月、ナチス・ドイツが戦争に敗れ米ソ英仏の4カ国の統治下におかれたベルリンと、1928年ヴァイマル共和制下の時代ヒトラーの台頭から、滅亡までを描いている「アメリカ軍の兵員食堂で働く17歳のドイツ人少女アウグステ。ある夜、彼女はソ連の(内務人民委員部)に連行される。戦時中に孤児となった彼女を匿い、命を救った恩人クリストフが歯磨き粉に含まれた毒で急死したのだ。関係者の一人として疑われるも解放された彼女は、クリストフの甥に訃報を伝えるため、バーベルスベルクの街を目指す」。第二次世界大戦前後の暮らし。ナチスドイツの残虐さ、それに洗脳されたドイツ国民。ここまで人は冷酷になれるものなのか・・。読んでいて苦しくなります。今でも世界のどこかでこのようなことが起きている。ヒトラーが自分の思い通りにならない人間を粛正、日本でも『反対する官僚は異動してもらう』 など、きな臭い。
繊細さんの本(武田夕紀)
図書館50(476)
58
『気がつきすぎて疲れる』人が、自分のままで生きることでどんどん元気になっていく! 内容は「HSP(生まれつきとても敏感な人)専門医カウンセラーが、繊細でストレスを感じやすい人が、繊細な感性を大切にしたまま、ラクに生きる方法を伝授する」という本でした。部分的には自分に当てはまることもあるかなぁ~、と思うところもありましたが4分の1くらiい読んで後は拾い読みでした。まわりの人が気づかない小さな変化を感じ取ってしまうあなた、『気にしなくてもいいんじゃない?』 『何でそんなに気がつくの?』と言われたりする人は読んでみて下さい。“毎日のストレスを防ぐワザ”とか“人間関係をラクにする技術”“自分を活かす技術”など書かれています。私にはちょいとピンと来ないところもありましたが・・・。
アクロイド殺し(アガサ・クリスティー)
図書館49(475)
57
“海外ミステリー史上最も有名な被害者がいる。1926年刊行の『アクロイド殺し』に登場するロジャー・アクロイド。その鮮やかなトリックは今も輝く”という新聞書評につられてン十年ぶりに読みました。クリスティーが作家デビューして今年で100年。今、読んでも全く色あせていません。「深夜の電話に駆けつけたシェパード医師が見たのは、村の名士アクロイド氏の変わり果てた姿。容疑者である氏の甥が行方をくらませ、解決が難しく・・・。だが、村に越してきた変人が名探偵ポアロと判明し、局面は新たな展開を迎えることに」 結末は完全に忘れていました。時間の経過や容疑者達の動きや会話、どれをとっても怪しいことばかり、トリックはじっくり読むとわかるんですが、私の灰色の脳細胞はかなり衰えていることを実感しました。
ウツボカズラの甘い息(柚月裕子)
図書館48(474)
56
餌食になるのは“金と欲を持っている女達” 柚月裕子はやはり面白い。「解離性障害によって苦しむ主婦・文絵は、パーティ会場で同級生だったという加奈子と再会。 加奈子の事業による化粧品販売に誘われ、生気を取り戻していく。一方鎌倉で起きた殺人事件で、刑事たちがなぜか文絵のもとに。 そして加奈子の行方が分からなくなる・・・」 美しかった自分を取り戻そうと、騙されているとも知らずに調子に乗る様は痛ましい。女性が美しくありたいという気持ち、金の魔力。ウツボカズラは食虫植物、人を食い物にする悪女の物語。怖いですね!『いい大学を出たから幸せが保証されるとは限らない。学歴がないからといって、不幸なわけでもない。どんな境遇であろうと、胸を張って笑える人生を送れる者が、幸せなのだ』。
首里の馬(高山羽根子)
図書館47(473)
55
第163回芥川賞受賞作。 芥川賞は、直木賞より少し難しいというイメージ通りちょいと難解。しかし読後感は心地よい。「未名子は沖縄の資料を集めた古びた郷土資料館でボランティアで資料整理を手伝っている。一方、世界の果ての遠く隔たった場所で一人で生きている人(宇宙飛行士、南極の地下、扮装地域のシェルターの中とか)たちにオンライン通話でクイズを出題するオペレーターの仕事をしていた。ある台風の夜、沖縄在来種の宮古馬が庭に迷いこんだことから、未名子の日常はしだいに変化していく・・・」 背景には沖縄の人の苦難の歴史や独特の風土が描かれています、でも著者は富山の出身です。オンライン通話をしている相手から『ニホンとはちがって』という話が出てくるが、ちょいと日本を皮肉っています。
流浪の月(凪良ゆう)
図書館46(472)
54
BL作家の非BL作品、本屋大賞受賞作品です。BL作家の作品と言うことで何となく二の足を踏んでいたのですが、心の行。き場を失った男と女の物語。「幼女誘拐監禁事件の犯人と被害者になってしまった大学生の文と9歳の少女更紗。15年の時を経て、別の土地で名前を変えてコーヒショップを営む文と、いつまでも被害者としてのレッテルを貼られ、同棲している彼氏のDVにも苦しめられている更紗。この二人が再び出会うことに・・・」 児童虐待、性暴力、デジタルタトゥー、病気、DV等が複雑に絡み合いながら二人の人生が描かれる。“事実と真実は違う”と、当人にしかわからない真実、世の中の常識や評価、それに誹謗中傷。果たして二人の行く末は?。読みながら苦しく感じることも、でも読み終えると心にずしんときます。
お父さんはユーチューバー(浜口 倫太郎)
図書館45(471)
53
軽いタイトルにだまされました、家族や友人と過ごす日々がどれほど大切かということを教えてくれます。感涙ものです。「宮古島のゲストハウス“ゆいまーる”のひとり娘、小学5生の海香は絵を描くことが大好きで、将来は東京の美術大学に入りたいと思っていた。父親の勇吾はいろんな商売のアイデアを思いついては失敗する。ゲストハウスの収入だけではとても東京に進学なんてできない、そんなある日、勇吾が宣言した。『俺はユーチューバーになる!』と、YouTubeが何かも知らなかったのに・・・」 タイトルからは流行り物をテーマにしたコメディくらいにしか思わなかったが、何と心が爽やかになる感動の物語でした。宮古島は行ったことがありませんが、是非訪れてみたいと思わせてくれます。

焦眉
(今野敏)

図書館44(470)
52
樋口(警部補』)シリーズ、今回は政治がらみで動く特捜検事との闘いが見物です 「世田谷区で男性が刺殺され、捜査一課の樋口も現場に急行。野党議員を内偵中の東京地検特捜部の検事・灰谷は、現場付近の防犯カメラに映っていた事実だけを理由に議員秘書を拘束。刺し傷から怨恨と確信する樋口らは検察の横暴にもめげず・・・」 現代の若者の政治に関する考え方や、政治のあり方なども出てき面白くて一気に読み終えました。樋口は次のように考える『人はあらゆる局面で政治的に自由でなくてはならない、そこをいい加減にしていると、いつしか為政者は巧妙に国民の権力を奪い始める。実は今の政権が危険だと感じている』 が、一方『警察とは本来、権力を守るための暴力装置なのです』と考える者もいる。また、アメリカ追従の日本に対して『テレビなどのマスコミは、バラエティーなどの手法をアメリカから学んだが、ジャーナリズムの精神と手法を学ぶことはなかった。結果おそろしく低俗な国民がこの国にははびこることになった』とも。検察の動きには、以前の厚労省の女性官僚に対する冤罪事件も思い起こします。
アキラとあきら(池井戸潤)
図書館43(469)
51
2006年~2009年にかけて雑誌に連載されていたものを2017年に大幅に加筆修正し文庫本として刊行されたもの。TVドラマ化もされ、半沢尚樹がTVで大ヒットする前の作品ですが、倍返しの精神が生きています。「零細工場の息子・山崎瑛と大手海運会社東海郵船の御曹司・階堂彬。生まれも育ちも違うふたり。やがてふたりが同じ銀行に就職、いろんな試練が降りかかる。逆境に立ち向かうふたりのアキラの、人生をかけた戦いが始まる・・・」 小学生時代から約30年の物語、700ページを超えますが軽くアッという間に読めます。一つ一つのエピソードが池井戸らしいです、半沢尚樹を初めどの作品にも私たち一市民が歯がゆく思っていることを主人公が解決してくれることに胸がスカッとするのです。
ビラヴド・下(トニ・モリスン
図書館42(468)
50-2
この時代、奴隷の所有者には、財産である奴隷の逃亡を返還を請求する権利があるとする『逃亡奴隷法』があり、セスが自分の最良である子どもの命が“汚される”のを防ぐために『安全』なあの世へ行こうとした彼女の苦悩。読んでいて心が痛くなります。アメリカの人種差別が根深く解決しないのも、こんな歴史があるからなのでしょう。映画やニュースで垣間見るだけですが、トランプのもと現代のアメリカでは形を変えて差別が続いているのです。『愛そうと望み選んだものを愛することができる場所-欲望を持つのに許可など要らない場所-にたどり着くこと、それこそ自由だ』 と、しかし、その場所にも白人の魔の手が伸びてきたのです。上下合わせて500ページの長さですが、伝わってくるものの重さに押し潰れそうになります。
ビラヴド・上(トニ・モリスン
図書館41(467)
50-1
タイトルは『ビラヴド( 愛されし者)』となっている。著者は黒人女性で初めてノーベル文学賞に輝き。また、本作はピューリッツァー賞も受賞。舞台は1840~70年代。南北戦争が終わったとはいえ、黒人たちに人権は全くなかった時の話。生まれたばかりの娘が白人に過酷な目に遭わされないよう願うあまり、我が手であやめてしまう母親の内面を描くいている「娘とひっそり二人暮しをする中年の黒人女性セテ(逃亡奴隷)。彼女には、自分の幼い娘を自らの手で殺してしまった前科があり、その家には赤ん坊の幽霊が出る。しかし昔同じ奴隷だった男性が現れ追い出してくれる。一見平穏が訪れるが、忽然と現れた謎の若い女が現れる。女の名はセテが自らの手で殺した娘の墓碑銘“「ビラヴド”と同じだった。(下巻へ続く)


逃亡者
(中村文則)


図書館41(467)
49
戦争と経済に関する一冊の本『戦争で稼ぐ人々』を出版したフリーのジャーナリストが主人公。謎の組織から狙われるというサスペンス小説のような始まりから、物語は誹謗(ひぼう)中傷が飛び交う現代日本、潜伏キリシタンから明治まで続く日本のキリスト教弾圧、太平洋戦争末期のフィリピン、原爆と時空をまたいで展開していく。“信仰、戦争、愛” 全てが書かれ読み応えのある長編500ページ)です。以下本文から
・従軍慰安婦や南京大虐殺などの歴史問題、ジェンダー格差やLGBT、貧困問題など右傾化する日本。
・ある宗教のリーダーは言う『日本は、中国と韓国と北朝鮮に乗っ取られようとしています』と。
・世論調査で反対が上回る法案も次々強引に可決していた。全体主義に向かう流れには段階があると
 される。今の政治はそのステップを徐々に進んでいるように思える。日本的な気味の悪い流れ・・・。
・与党は外国人労働者受け入れ拡大の法案を、詳細も決めずに強引に可決した。細かいことは後から
決める、という信じがたい法案だった。データも嘘が飛び交い、日本の国会は事実上壊れている。
・原爆が人々から最低の兵器となっているのは、広島と長崎の人達が残酷さを訴えているからです。
・なぜ神は信者が行う蛮行にまで、沈黙なさっているのか、被害だけでなく、加害者になることまで・・。
・ネット世論誘導を請け負う業者は色々ある。マスコミがやらねばならないのはその正体を暴くことだ。
・原発事故が起きても政府はやめない、東京に原発を作り事故が起きない限りやめない。
・キング牧師の言葉 『最大の悲劇は、悪人達の圧政や残酷さではなく、善人達の沈黙である』。
棲月
(今野敏)

図書館40(466)
48
隠蔽捜査シリーズ第7弾、竜崎署長大森署最後の事件。「私鉄と銀行のシステムが次々にダウン。不審に思った竜崎は、いち早く署員を向かわせるが、警視庁の生安部長から横槍が入る。さらに、管内で殺人事件が発生。一方、同期の伊丹から“異動の噂が出ている”と告げられた竜崎は、これまでになく動揺する・・・」 キャリア官僚の滝崎が今度はどんな行動を取るか?相変わらず自分の筋をとおしますが、所轄の署長になったことで人間的にも変わってきた滝崎がいい。このシリーズは4作目でした、肩がこらずにスイスイと読めます。今回は途中から何となく犯人像がわかってしまいました。『自分で自分の人生に責任を負おうとすれば、不満を世の中のせいにしたり、やりたいことがない、なんて言っている暇はないはずだ』 。
流人道中記・下
(浅田次郎)

図書館39(465)
38-2
待ちに待った下巻、期待通りでした。「仇敵を探して旅する侍、無実の罪を被る少年、病を得て、故郷の水が飲みたいと願う女など・・・。そんな時玄蕃は機転と思慮深さで解決していく。玄蕃の抱えた罪の真実が旅路の果てで明らかになる。武士の鑑である男がなぜ、恥を晒して生きる道を選んだのか」。読みながらいつまでも、一緒に旅したいと思ってきます。『本来はおのおのが心得なければならぬ当然の道徳こそが礼。功利や我欲によって礼を失ったゆえに、法という規範が必要とされるようになった。すなわち自分たちが信ずる法は、人間の堕落の所産に過ぎない』また『礼ってのは、法のなかった結構な時代に、人が自ら律した徳目のことだ』とも 。“困難は人を小さくする”と玄蕃は言う、しかし、乗り越える力を持つには?
潮騒はるか(葉室麟)
図書館38(464)
47
『女の決意の裏には、ある男を思い続ける切ない悲恋が隠されていた。時は、“安政の大獄”目前、時代の大変革がうねりを上げる中でまことを信じ、生きる人間の姿を描く』。こんなコピーを見ると読みたくなります。前作『風はるか』は読んでいません。この著者のものは『蜩の記」』同様、心が洗われます。「蘭学を学ぶ夫・亮を追い、弟・誠之助と彼を慕う千沙と共に長崎に移り住んだ鍼灸医の菜摘。コレラが蔓延し、診療と看護に忙殺される。そこへ千沙の姉・佐奈が不義密通の末、夫を毒殺し、脱藩したとの報が舞い込む。しかも身重だという。逃避行に隠された真実を追う・・・」 尊皇攘夷に絡んで話は展開、勝麟太郎やシーボルトの娘イネの登場や腑分けの話まで出てきます。人を想う心と女性の強さが胸を打ちます。
夜の谷を行く(桐野夏生)
図書館37(463)
46
『連合赤軍』事件を女性ならではの視点から描く、“革命左派には女性が多く、妊娠出産を経て新たなコミューンを作る理想があった”と・・。この時代を生きた私には忘れられない事件です。『山岳ベースで行われた連合赤軍の“総括”と称する凄惨なリンチにより、12人の仲間が次々に死んだ。 アジトから逃げ出し、警察に逮捕されたメンバーの西田啓子は5年間の服役を終え、人目を忍んで慎ましく暮らしていた。40年後永田洋子が獄中死、そして東日本大震災・・・と、何かが動き出した』 今でも、いろんな形でこの事件は取り上げられていますがさすが桐野夏生です。極限状態の人間の行為、だが誰しもその状況に置かれたらそうなってしまう可能性がある。運命に翻弄された哀れな女性の話、ラストには救いが待っています。
祝祭と予感(恩田陸)
図書館(県4)36(462)
45
直木賞を受賞した『蜜蜂と遠雷』(2017年book紹介)のスピンオフ短編集・6編。
「祝祭と掃苔」 亜夜とマサルと、それに塵が二人のピアノ恩師・綿貫先生の墓参りをする。
「獅子と芍薬」 芳ヶ江国際ピアノコンクールの審査員ナサニエルと三枝子の若き日の出会いとその後を描く。
「袈裟と鞦韆」 作曲家・菱沼忠明が課題曲“春と修羅”を作るきっかけとなった一人の教え子との追憶。
「竪琴と葦笛」 ジュリアード音楽院に留学したマサルがナサニエルと出会うエピソード。
「鈴蘭と階段」 楽器選びに悩むヴィオラ奏者・奏(かなで)に天啓と思える奇跡がおきる。
「伝説と予感」 ピアノの巨匠ホフマンが幼い塵と初めて出会った風景。
前作を思い出しながら読みます、もちろん前作を読んでからの方が面白い。
黒い画集『坂道の家』松本清張
図書館35(461)
44-7
「まじめだけが取り得の冴えない中年男が若い女性にのめりこみ、しだいに嫉妬や独占欲が狂気に転じてゆく。その先には殺意が・・・」 狂っていく過程をリアルに描いていて怖くなります。これまで6度ドラマ化されていますが、1991年いかりや長介、黒木瞳主演のものは見物だったでしょうね。人間の惨めさといやらしさがしっかりと出ています、清張文学の真骨頂でしょうか?(以下ネタバレ)解説で『うぶな中年男が情痴の道を転がり落ちる様が巧みに描かれているが、その情痴のかすかなときめきでさえも、ただちに不安の色どりに消されてしまう』 とありましたが、まさにその通りで、読みながら“こんなことでいいのか”とドキドキしながら読むことになります。
黒い画集『紐』松本清張
図書館35(461)
44-6
ラストの2行が効いています。このシリーズ7編はほとんど男と女の事件が元になっていますが、特にこのラストが“まさか”そこまで・・・と思わせます。「多摩川の河川敷で、40過ぎの男の絞殺死体が発見された。被害者の姉・青木シゲや妻・梅田静代によると、殺された梅田安太郎は、岡山県津山で、神主をしていたが、東京で危険な事業に乗り出そうとしていたという。捜査主任の田村警部は周辺人物の行動を追跡するが、情報の乏しさ・アリバイの成立などにより、捜査はいったん暗礁に乗り上げる。」 うまい筋運びに、保険調査員がいい活躍をするが・・・。そう、簡単にはいきませんね。人の心の裏にあるものの怖さを堪能ください。
黒い画集『凶器』松本清張
図書館35(461)
44-5
この話はよく覚えています。ネタバレになりますが「強欲な爺が殺される事件が起きる、容疑者となった未亡人の家を徹底的に捜索して凶器の発見に尽力するものの、ついに発見できず、決め手がないまま犯人逮捕を逃し事件は解決をみないまま3年が過ぎる。後日、凶器は硬くなった餅ではなかったかと・・・、何と自分もその餅を食べているのである」 44ページの小品ながらピリリと効いています。『天城越え』同様、読後に何とも言えぬ余韻が漂います。
黒い画集『寒流』松本清張
図書館35(461)
44-4
「銀行の支店長沖野は、挨拶廻りの時料亭の女主人・奈美を知った。ある日、奈美が増築のため1千万円の融資を頼みに来た。彼は店の経営状態からみて取引を承諾、それから二人は親密の度を増していく。結婚を口にする奈美に、病弱の妻をかかえる沖野の心は動いた。 そんな時、常務取締役・桑山(沖野は桑山により抜擢されていた)が支店を訪ねて来て、奈美と出会う。ここから沖野の不幸が始まる・・・」 著者の描く人物像は、『自らの安全と出世を願う人たちである。しかし、不幸なことに知らずして陰の部分を持ってしまう』という評がありました、こシリーズはまさにその通り。“寒流“はタイトルそのまま巨大組織に立ち向かってしまった故に人生に狂った男の話です。映画にもテレビにもなっています。
黒い画集『天城越え』松本清張
図書館35(461)
44-3
『私は二十歳、高等学校の制帽をかぶり・・・、湯が原温泉に泊まり、そして朴歯の高下駄で天城を登ってきた』で始まるのは、川端康成の“伊豆の踊子”。こちらの主人公は16歳の鍛冶屋の伜、逆に下田温泉から修善寺に向かったのだ。先日、NHKで大谷直子主演のドラマが再上映されました「大正末期、天城峠で起きた殺人事件。ベテラン刑事と若い刑事の2人が捜査をするが事件は迷宮入り。家出をした少年が天城峠で出会ったのは優しい娼婦。やがて少年の一途で純粋な心が・・・」 年上の美しい女性にあこがれる少年の心情! これが、事件の鍵だったのです。映画は田中裕子が演じました。文句なしに面白い。松本清張は何年たっても色あせませんね。
黒い画集『証言』松本清張
図書館35(461)
44-2
『黒い画集』第2話、6度もテレビ化されています。今年の5月にも谷原章介主演でドラマ化されました。雰囲気的には原作にはかないません、しかし、よく話を膨らませていました。「東和毛織の管財課長・石野は、同じ課の事務員梅谷との情事を楽しんでいた。十二月十六日の木曜日も、いつものように石野は、会社が終ると新大久保のアパートに梅谷を訪ねた。その帰途、駅の近くで近所に住む保険外交員の杉山とすれちがい挨拶をかわしてしまった。その彼が強盗殺人でつかまった・・・。三日後、石野は刑事の訪問を受けた」 ラストに『人間の嘘には、人間の嘘が復讐するのであろうか・・・』 と、怖いですね。一つの嘘が人を破滅へと導くのです、みなさんご用心!
黒い画集『遭難』松本清張
図書館35(461)
44-1
“天城越え”を含めたシリーズ10編の中から清張自信が選んだ7編が収録されている。まず、最初は“遭難”「銀行に務める江田・浦橋・岩瀬の3人は、8月鹿島槍ヶ岳に登った。雨の降る中、途中で遭難江田が救援に向かうも、岩瀬は疲労と寒気から錯乱状態に陥り、黒部渓谷の奈落へ転落死する。ある日、江田は岩瀬の姉・真佐子と従兄の槇田に呼ばれ、遭難現場を訪ねたいとの申し出を受ける・・・」 遭難に至るまでの描写がすごいです。私がまだ登山の登の字も知らなかった1958年の作品ですが、今でもこの本を読んだときの知識が私の登山の中で生きています。『リュックを下ろして、途中で何度も長い休みをすることは、帰って疲れるものです』だから、今でもあまりゆっくり座っては休みません。



定年夫婦のトリセツ(黒川伊保子)
図書館34(460)
43
夫婦のイライラ、原因は「脳」にある。夫婦は定年からの40年が長い。脳科学が教えるコワい妻、ポンコツ夫の処方箋。夫婦は後半戦が勝負』 シリーズ三作目、これが一番すっきりました。(以下本文より)
・夫婦は、「真反対の機能」の組み合わせだ。そう自覚するところからしか、本当の夫婦は始まらない。
・「半径3mの外側が男の守備範囲」 「男女が同じ」はかえって危険だ。
・妻を否定する必要なんてあるのだろうか、客観的にみて妻が間違っているとしたって、それをわざわざ夫が妻につ伝えるメリットなんてあるのだろうか?。妻を否定するのは最小限にとどめた方がいい。
・穏やかな気持ちでご飯を食べる。その間は、不安や愚痴を垂れ流すことは禁止。喧嘩していても休戦。
・夫は妻のわがままに照れされて生きている。
・『夫の禁則5箇条』 ・妻の行き先をいちいち聞かない。・朝食を食べながら「昼食は?夕食は?」と聞かない。・「たまの正論」を振りかざさない。・妻を手足代わりにしない。・ことばをケチらない。
・『妻の禁則5箇条』 ・いきなりストッキングをはかない。・ことばの裏を読まない。・口角を下げない。・縄張りを侵さない。・「あ~もうこれやらなくていいんだ」は言わない。
「最後に」 ・夫婦は投げ出さない方がいい。ふっくらと優しい夫婦の朝は、結婚30年を越えた頃腐れ縁の旗にやってくる。定年による環境変化で、“夫婦のしあげ”に失敗するなんて残念すぎる。と・・・。
みなさん、今からでも遅くはありません、努力しないとね・・・。
妻のトリセツ(黒川伊保子)
図書館33(459)
42
本書は2018年12月、『夫のトリセツ」2019年10月、定年夫婦のトリセツ』が2019年4月に出されました。本書は子育て真っ最中の夫婦から、我慢、また反省したりしながら連れ添っている夫婦まで、読むべき本です。私たちリタイア組は次に『定年夫婦・・・』です。=女性脳の仕組みを知って、戦略を立てよう=から始まり、「女性脳の仕組みから、妻の不機嫌や怒りの理由を解説し、夫側からの対策をまとめた、妻のトリセツ」 “妻が怖い”“妻の顔色ばかりうかがってしまう”“妻から逃げたい”というそこのあなた、家庭に平穏を取り戻すための必読の書!『妻は無意識に家庭で起きるかもしれない事故を未然に防いでくれているのだ』『女性脳は心の通信網と事実の通信網の2本を使っているが男性は事実の通信網しかない』『女性脳のストレスは、夫の6倍近い家事や“家族のための気づき”を休みなく行っている結果、たまったものだ』 など。
熱源
(川越宗一)

図書館県332(458)
41
直木賞受賞、明治初期から太平洋戦争の終焉まで、サハリン(樺太)、ヨーロッパから南極までを舞台に「ポーランド独立と、アイヌとの深すぎる関係を軸に、日本とヨーロッパをめぐるアイヌの壮大な物語。『樺太?、地図帳の白い部分でしょ』くらいしか認識のない私の心にぐいと突き刺さってきました。しかも史実を元にしたノンフィクションだということにビックリ!いかに歴史を知ることが大事かを思い知らされました。『ロシア人がこの島に残ったが、人の数は和人が多かったから・・、日本語が上手になった。朝鮮人、中国人も多い、自分たちアイヌ、それにオロッコやニクブン、他の先住民も日本というこの旗の下、樺太で暮らしている』 “日本は単一民族の”というアホな大臣がいますが、こんな本はまず読むことはないのでしょうね。
猫を棄てる(村上春樹)
図書館31(457)
40
サブタイトルは“父親について語るとき”(父親は2008年に90歳で亡くなっている)。担当編集者が『村上文学を読むときの一つの羅針盤のような作品なのではないかと』と言っています。「ある夏の日、僕は父親と一緒に猫を海岸に棄てに行った」ところから始まる父親・家族との関係。興味深く読みました。最後に「僕がこの個人的な文章において一番語りたかったのは、ただひとつのことでしかない。それは、この僕はひとりの平凡な人間の、ひとりの平凡な息子に過ぎないこと」 と、また“あとがき”で「この文章で書きたかったことのひとつは、戦争というものが一人の人間-ごく当たり前の名もなき市民だ-の生き方や精神をどれほど大きく深く変えてしまえるかということだ。そして、その結果、僕がこうしてここにいる」。
罪人の選択(貴志祐介)
図書館30(456)
39
著者デビュー前に雑誌掲載された短編を含む、本格ミステリから最新SFまで4編が収録。
「夜の記憶」:暗黒の海の中で目覚めた水生動物と太陽系脱出前の最後の時を過ごす夫婦の話。
「呪文」:植民惑星の調査。マガツ神とか諸悪根源神信仰とかおどろおどろしくて描かれるが、今一。
「罪人の選択」:罪人に二つの食物のどちらに毒物が入っているかを命がけで選択させるお話。面白い!
「赤い雨」:巨大エネルギー企業が悪魔を作り出して、過激派がテロでそれを解き放った・・・。生物は絶滅の危機に陥る。パンデミックが起きたときあらわになる人間の本性。今読むべき一冊?
ミステリ集かと思ったら表題作以外はSFものだった(あとの二作が面白い)。
流人道中記・上
(浅田次郎)

図書館29(455)
38-1
「姦通の罪を犯したという旗本・青山玄蕃、この男に蝦夷松前藩への流罪判決が下り、押送人に選ばれた19歳の見習与力・石川乙次郎とともに、奥州街道を北へと歩む。口も態度も悪いろくでなしの玄蕃だが、道中で行き会う弱き者を決して見捨てぬ心意気があり…」 。この男、一体何者なのか?初め、どんな話なのか淡々と進みますが、そのうち深みにはまってしまいます。宿屋の女将や按摩師など、それぞれの視点で語られる。 『根底には〈法:制度〉とは何かという問いかけが込められている・・・』という評もあります。今まで読んだ浅田ものを思い出すシーンも出てきます。下巻に入ると、読み終えたくないという感情がわくそうです、下巻が楽しみ!(下巻へ続く)
猫君
(畠中恵)

図書館28(454)
37
“しゃばけ”の著者が描く『お江戸ファンタジー』 軽~く読めます。「20年、生き続けた猫は、人に化けて言葉を操る妖怪“猫又”になる。花のお江戸に猫又の陣地が六つあり、各陣の新米猫たちは江戸城内の学び舎“猫宿”で修業に励むが、彼らの力を試そうと様々な試練が課せられていく・・・」 かつて織田信長だった魔王と呼ばれる猫長や、明智光秀であった師匠など、テンヤワンの騒ぎに思わず引き込まれます。猫のしぐさを想像してほっこりしたり、猫好きの人には堪らないかもしれません。よくこんな物語を考えつくものです、魔法使いといえば“ハリーポッター”も思い出したりもします。
茶聖
(伊東潤)

図書館27(453)
36
“茶の湯”という一大文化を完成させ、豊臣秀吉の側近くに仕えた千利休、その謎めいた心根と切腹の真相に迫る。「力で天下を支配しようとする秀吉、茶の湯で国の静謐を得ようとする利休、相反する二人がどのように結びつき離れていったか?」 初めて知った茶の湯の世界と利休の人物像、少し長い(500ページを超える)が面白い。茶の湯と権力との結びつき、これが最後に悲劇(?)を生む、何か今の時代とも共通するものがあります。信長、秀吉、家康らとの心理戦、死と隣り合わせに生きる人間たち・・・。『人は穏やかな生涯を送るよりも、大義のために生き、大義のために死ぬことの方がよほど幸せだ。わしは静謐な世の中を作り出さねばならぬ』利休が“茶の湯”を広めようとした理由はがわかる。秀吉を陰で動かした『フィクサー』、『稀代の商人』または『芸術家』とも言われる利休”あなたはどう思いますか?

夫のトリセツ
(黒川伊保子)

図書館26(452)
35
“妻のトリセツ”第二弾(「次はぜひ夫編を」読者の熱い声に応えてついに登場) 『そもそも男性の脳と女性の脳は、とっさの行動が正反対になるようにチューニングされている。事が起これば、ゆっくりと気持ちを聞いて欲しい女性脳と、すばやく問題解決してやりたい男性脳では、反応が分かれてしまうのだ。当然、一緒にいて、阿吽の呼吸で、気心の知れる相手じゃない』 かつては愛して結婚した相手。しかし、時が経つにつれ、「わかってくれない」「思いやりがない」「一緒にいると、イライラする」などと・・・。
読むとなるほどと納得することがたくさん、「結婚70年時代」を幸せに生きるための戦略の書として今からでも遅くはありません手に取ってみてください。反省です。(以下本文より)
・守ってあげたい相手だからこそ、問題解決を急ぐのが男性脳だ。「大丈夫?」「わかるよ」と言う前に「君もここが悪い。直しなさい」と言ってくる。
・夫婦の対話で気をつけることは、夫の言葉を裏読みしない。夫の言葉には多くの場合、裏がない。
・優しい言葉を言えない男が、その優しさを伝えるアイテム。それこそ妻が差し出す「あなたがいなきゃ、生きていけない」なのではないだろうか。

ほか、最終章に出てくる“カサンドラ症候群”と“アスペルガー症候群”の話は、興味深く読みました。
アーモンド(ソン・ウォンピョン)
図書館25(451)
34
本屋大賞翻訳部門第1位、初めて読んだ韓国文学。さらりとした文章でとても読みやすい。「脳の扁桃体(アーモンド)が人より小さく“感情”がわからない16歳の少年と物心もつかないうちに親とはぐれて不良少年となった二人の成長物語」 まわりから『怪物』と呼ばれる二人が出会っていく中で何かが変わっていく・・・。友情や親子愛、異性愛など、人とのつながりの大切さを教えてくれます。『親は子どもに多くのことを願うものさ。でもそれがだめなら平凡を願うんだよ。それが基本だからね。ところが実は一番実現するのが難しい目標なんだ』 著者は4年前に子どもが生まれたとき『この子がどんな姿であっても、変わりなく愛を与えることができるだろうか』 その問いからこの本が生まれたと言っています。



天、共に在り
=アフガニスタン三十年の戦い=
(中村哲

図書館24(450)
33
『なぜ、日本人の医師が1600本の井戸を掘り、25kに及ぶ用水路を開けたのか?』昨年12月に凶弾に倒れた中村医師による自伝です。著者が“地球温暖化による砂漠化という現実に遭遇し、遠いアフガニスタンの抱える問題が、実が「戦争と平和」と共に「環境問題」という、日本の私たちに共通する課題を浮き彫りにしている”と語っています。「自分の伯父火野葦平とのかかわりから、医師を目指したこと、アフガニスタンでの活動が書かれています」 (以下著者の言葉より)
・家庭内暴力や自殺も、人権思想が浸透しているはずの先進国で圧倒的に多いのは皮肉である。健全な倫理感覚と権利意識は案外反比例するのかもしれない。
・ある海外医療団体が語る、白々しく美しい言葉より、天を仰いで叫ぶハリマの自暴自棄の方が真実だった。
・『水を求めて』若い母親が死にかけた我が子を胸に抱き、何日もかけて診療所を目指した。たどり着いても、待つ間に胸の中で死亡。
・日本でまことしやかに報道された“ピンポイント攻撃”の実態は、無差別爆弾であった。
・当時日本では「難民キャンプで活動するNGOなどを守るために、自衛隊を派遣する」という名目で議論されていた。参考人として呼ばれた私は「自衛隊派遣は有害無益、飢餓状態の解消こそが最大の問題」だと話したら、議場騒然、ヤジや罵声を浴びせられた。結論ありきの“参考人招致”だったのだ。
・「欧米軍対タリバン」という図式は消え、銘々がカネや復讐や政治的意図で暴力集団に参加したり反発してりしていった。
・東日本大震災後、経済力さえつければ被災者は救われ、それを守るために国是たる平和の理想も見直すのだという。これは戦を図上でしか知らぬ者の危険な思想だ。物騒な電力に頼り、不安と動揺が行き交う日本の今の世情。
・一見勇ましい論調が横行し、軍事力行使も容認しかねない風潮を眺めるにつけ、言葉を失う。平和を願う声も薄れがちである。
今の、世界の指導者たち(もちろん我が国も)は、こういった現実には目もくれないのでしょうね。
タイトルの『天、共に在り』は聖書の語る神髄である、幼い頃に読んだ童話から神の諭す表情が、常に自分の中にあるように感じていた。というところからきています。
MISSING(村上龍)
図書館23(449)
32
サブタイトルは“失われているもの”。村上龍は40年以上も前の『限りなく透明に近いブルー』以来。私小説ではと思いながら読みました。主人公の内面の記憶と想像と現実が入り交じり、現実か、幻影か、判別できなく分からなくなる。ただ、後半になると読むスピードは上がってくる。「制御しがたい抑うつや不眠に悩んでいた小説家は、混乱と不安しかない世界に迷い込み、母の声に導かれて迷宮を彷徨い続ける」 という話。『父親は、怒鳴り声で家族を威圧することが、強さだと勘違いしていた。実は弱いからすぐに怒鳴るんだと・・・』 母親の影響とか父親の影響とかが、いかにその後の生き方に影響を与えていたか、不思議な話でした。映画のタイトルが、章ごとについているのですが、理解できませんでした。
主よ、永遠の休息を(誉田哲也)図書館22(448)31 2009年に紹介した“ストロベリーナイト”より前に構想が練られていたものを2010年に文庫化。「通信記者の鶴田。コンビニ強盗現場に居合わせて犯人逮捕をスクープし、店員の桐江と知り合う。逮捕に協力して立ち去った現場で遭遇した男から、暴力団事務所の襲撃事件について訊ねられた鶴田は、調査の過程で、14年前に起きた女児誘拐殺人事件を知る・・・。犯人は精神鑑定の末、措置入院という形で社会復帰』 。 最後まさかの“真実”が明らかに!解説に『幼い女の子が歪んだ欲望の犠牲になり、しかも無残に殺されるというのは“痛ましい”だけでは収まらない、心がずたずたにされるような気持ちになる』 とありました。どこまでも悲しく切ない物語。ラストの主人公のつぶやき『・・・俺も・・・好きだった』 に救われます。
十二人の手紙(井上ひさし)
図書館21(447)30
1980年4月に刊行した本が、今年10万部を増刷するヒット作に。著者は没後10年、“手紙”形式の連作短編ミステリー、今読んでも“言葉の魔術師“さすが~と唸ってしまいます。『十二の悲喜交々の人生が描かれ、中には登場人物がリンクしている作品もある。 素晴らしいのは、プロローグとエピローグの繋ぎ方。 こんな風に全ての物語を繋げてしまうとは・・・』 という評がありましたがまさに名人芸、寂寥感だったり、悲劇だったり、と切なくなります。「BOOK」データベースに『キャバレーのホステスになった修道女の身も心もボロボロの手紙、上京して主人の毒牙にかかった家出少女が弟に送る手紙など、手紙だけが物語る笑いと哀しみがいっぱいの人生ドラマ』 と、40年の歳月を経て何故ブレイクしたか、読むと納得です。
安楽死特区(長尾和宏)
図書館20(446)
29
東京オリンピックの財政的な失敗をまだ尻ぬぐいできていない2024年。国は社会保障費で潰れそうになっている、しかし国民皆保険は維持したい。ならば長生きしたくない人に早く死んでもらった方がいい。そこで“安楽死法案”が可決される。東京のある地区を安楽死特区として、見込みのない重病人や認知症の人たちを募集する」 傑作なのは“特区”の隣に“カジノ特区”があることです、ここでは人生最後に思う存分お金を使わせようという狙いがあります。政府はいろんな手を、まず『75歳以上の透析治療を一律に保険適用から外す』 から始まり、年寄りや貧乏人は早く死ねと言う施策が次々・・・。『この国は、命と経済を天秤にかけて“安楽死特区”を作ったのです』 何か今の安倍政権ならやりかねないと思うところが怖い!『何かが国策になるときは、いつだって国民のためではない、金の問題ですよ』 と。
大名倒産・下(浅田次郎)
図書館20(446)15-2
図書館が閉館していたので下巻まで時間がかかった) あることからこの地に福をもたらす約束をしてしまった貧乏神、彼が呼んだ七福神の手を借りて、借金を抱えた家を再興させるという“奇跡”に向かって話は進んでいきます。「歳入が1万両に対し、積もり積もった借金はなんと25万両!、このままでは倒産してしまう。さらに、そこへきて参勤交代で国元へ帰らなくてはならず、莫大な金がかかるそれでもあきらめない小四郎と、幼なじみの側近たち。彼らの熱意は、豪農や町人、さらには貧乏神に七福神までもを巻き込んで・・・」 笑いあり、涙ありの浅田節、著者が『ちりも積もり積もって山となれば、あとはたのむ、と課題を先送り。結局、つけを払わされるのは若い世代・・・』と言っています。今の社会と同じ!

果てしなき流れの果てに
(小松左京)


図書館県219(445)
28
小松左京全集に“復活の日”と一緒に収録されていました。10億年の時空を舞台に歴史改変の可能性を探ると・・・。う~ん、こんな感想がありました『途中から何が何だか、色々ワープして大混乱。全くついていけないところもあったけれど、うっすらもしかしてこれはあの人?とか自分の中で繋がると嬉しい。 最後ここに繋がるのかと、なるほど!となりました』 私もそうでした、さらりと読んだだけでは理解できませんがラストは何となく無事着地しました。結論を言うと面白いです。もう一回読むとよくわかるかも、読んだ人がいたら感想をお聞かせください。話は「白亜紀(恐竜時代)からスタートし、現代・古墳の奥の地層から変てこな砂時計が現れて、それを調べていた野々村という物理学者が姿を消す(ここまではミステリー調)。その後、色んな世界の話しになり、そこは宇宙だったり、過去だったり、未来だったり、地球が滅びる世界。日本列島が滅びていたり・・・」と、無限の宇宙の中で生きていく人類の運命と、人間というものの意味とを問うという壮大なテーマを持っています。『長い、残酷な歴史をかえりみて“エゴイズム”とうものが人間をどんなに無残な集団殺戮に駆り立てるか』 1965年に書かれているとは思えないほど、未来描写がすごい。著者の思考の流れ(頭の中)はどうなっているのだろう?

復活の日
(小松左京)


図書館県219(445)
27
56年前(1964年)に4年後の世界を舞台に書かれているが、今の時代を予見しています。現実が小松左京を後追いしている。あとがきに『20世紀後半の人類全体の理性に対して、はなはだ楽観的な見解を持っている』と書いていますが、それは米・英・ソ三国の全面的核兵器廃止条約がまさに調印されようとしていた時代だったのです。しかし、それから半世紀現代社会は(特にトランプ、習近平が出てきた頃から)時代を逆戻りしています。物語の中にトランプを思い起こすような(ケネディが選んだ道を逆戻りする)極右のきちがいじみた大統領が出てきます。「米ソ冷戦時代。西側の研究所から細菌兵器として研究されていた新種のウィルスが持ち出されます。これを乗せたセスナ機がアルプスの雪山に激突、飛散していく。その数ヶ月後人類は滅亡、南極にいる10000人を残して・・・」 『医学は人命を救おうとする一方、呪わしい細菌兵器の研究にも利用されている。核兵器も電子工学もそうだ。一方で人類を助けようと努力し、他方で人類を絞め殺そうとしている』 核ミサイルの時代になって著者は“惑星的な危機が現実問題になった”と言っています。原点は戦争です、人類を滅ぼすのははやり人間なのでしょうね。
(裏話)外国に一度も行ったことない著者が資料集めにアメリカ文化センターで文献を書き写していたら係員がコピーしてくれて大変驚いたそうです。まだ、日本にはコピー機が出回っていない時代だったのです。

茶色の朝
(フランク・パヴロフ)


図書館県118(444)26
“ごく普通の国家”が、日々の生活に知らぬ間に忍び込み、人々の行動や考え方をだんだんと支配するようになるという怖いお話です。1998年にフランスで刊行されベストセラーに、「ある日政府がおかしな法律を作る。茶色以外のペットを飼ってはいけないという法律だ。主人公の“俺”はおかしいな? と思いつつ、引っかかりは無視できる程度だし、ルールに従ってしまった方が楽で安心で毎日楽しいことだけ考えていられる。おかしなルールで泣いている人も見たけど、マアうまくやって賢くなればいいのに。やがて政府の法律は徐々に変化し、いきなり“その朝”が我が身に訪れ、秘密警察が我が家の玄関を叩く…。」 哲学者・高橋哲哉さんが『“茶色の朝”を迎えたくなければ、思考停止をやめることです』と言っています(茶色がフランスではナチズムを連想させる色です)。特定秘密保護法や安全保障関係法案、そして共謀罪と、国家主義的な傾向の強まりを懸念する声が上がる中、現在の我が国を見ているようです。日本でも“茶色化”が進んでいるのでは・・・。この本が書かれた当時、西ヨーロッパ全体に広がっていた極右運動への危機意識からだったそうです。すべて茶色でなければ許されない世界とは?無関心やあきらめ、思考を停止してやり過ごしていくことが、どんなに恐ろしい結末「茶色の朝」を招くのか・・。絵のページも含めて本文は30ページに満たない(寓話的で読みやすい)本です、とくとご覧あれ!
剣客商売(池波正太郎)

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このシリーズは吉川英治文学賞受を受賞しているのですね。20年くらい前に買っていたものを本棚で見つけて読みました、TVでは観ていましたがやはり原作も面白いですね。田沼意次の権勢はなやかなりし江戸中期を舞台に剣客父子の活躍を描く「剣術ひとすじに生きる白髪頭の粋な小男・秋山小兵衛と浅黒く巌のように逞しい息子・大治郎の親子が剣に命を賭けて、江戸の悪事を叩き斬る」お話で、魅力ある登場人物たちでさらりとさわやかに読めます。これはシリーズの第一作目で7編を収録。『剣客というものは、好むと好まざるとにかかわらず、勝ち残り生き残るたびに、人のうらみを背負わねばならぬ』 これがいろんな事件を巻き起こすのです。勧善懲悪の世界をご堪能あれ!
三四郎
(夏目漱石)

24
明治42年に刊行された、漱石の代表作。今、若者はコロナで入学はしたものの学校には行けません。これは熊本の高等学校を卒業して東京帝国大学に入学するために上京した三四郎の姿を描いています(若者に早くこのような体験をしてもらいたいです)。「見る物聞く物の総てが目新しい世界の中で成長していく。そんな中、自由気儘な都会の女性里見美禰子に出会い、彼女に強く惹かれてゆく」様が興味深い。近代文学の中では少ないと言われる青春小説、三四郎は自分の前には三つの世界が展開すると考えます。“今までの環境:家”次が“学問、知識の世界”そした“燦として耀いている:女性”彼の心は揺れ動く。いつの時代も青春というものはこうなんでしょう。大人になって読んでも、なお面白い。“インフルエンザ”という病名が明治にもあったのには驚きました。(40歳の時の夏目漱石です)

穂高小屋番 レスキュー日記(宮田八郎)
図書館電子書籍
17(443)23
2018年4月に海難事故で不慮の死を遂げてしまった穂高岳山荘小屋番の宮田八郎が残した「山で死んではいけない」というメッセージを多くの登山者に届けたいとして、書き残していたメッセージ。遭難救助の初体験から、霧の中の危機一髪のヘリ・レスキュー、季節ごとの遭難歳時記等、心に残る遭難救助の数々が描かれている。山を愛する人には必読の書です。山に登る者として学ぶべきことがたくさんあります。『人の都合と山の都合:登山においては山の都合が優先されるべきです。休日であるから山へ行くというのは人の都合です。たとえば天候などの状態がよくないのであれば人が合わせるしかない。また、いくら山にお願いしても、風が弱まることもないのです、こりゃ山の機嫌が悪い山頂に行くのはあきらめるか、と』 『ぼくは山へ登るのなら覚悟が必要であろうと、それは“心がまえ”と言い換えてもいいかもしれません。“気合い”でもいい。決して軽い気持ちで山へ行ってはならないという“覚悟”です』 『登、山道ですれ違うとき、下る人は谷側へよけてはいけません。下る人が山側へよけて、登る人に路肩に注意しながらすれ違ってもらうべきです』 『山に登る人の事情はそこにある自然には関係ありません。ビギナーであろうとベテランであろうと、山は人を差別しません。危険や困難は誰にも等しくあるのです。“俺だけはダイジョウブ”なんてことはありません』 『山を畏れること。山に謙虚になること。山の経験を積むとは臆病を重ねることでありましょう』 何回も足を踏み入れた穂高とその周辺、地名や場所が頭の中を蘇りました。山を絶対になめてはいけません。
キネマの神様(原田マハ)

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志村けん主演で映画化、今年の12月公開予定でした、その原作。映画好きにはたまらない 「39歳独身の歩(あゆみ)は突然会社を辞める、が、折しも趣味は映画とギャンブルという父が倒れ、しかも多額の借金が発覚。 父が雑誌『映友』に歩の文章を投稿したのをきっかけに歩は編集部に採用され、あることがきっかけで父の映画ブログをスタートさせることに・・」。“ニュー・シネマ・パラダイス”に“フィールド・オブ・ドリームス”や“七人の侍”など、数々の名作を絡めながら映画を愛する人たちへの応援歌です(ラストはじんわり涙!)。『人間の普遍的な感情、笑いや涙、恐怖や驚きが映画館にはある。ありとあらゆる人生がある』 『シネコンみたいな無個性の映画館ばかりじゃなくて、館主の個性が出る名画座の役割もある』 著者は、美術や映画など芸術分野にとても明るくペンネームもゴヤに由来している。
寝ぼけ署長(山本周五郎)

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昭和22~23年に発表された現代物の小説で十話の話が出てきます。著者には珍しく推理ものですが、すごく面白い。主人公の“寝ぼけ署長”は弱く貧しく、虐げられている人々の見方なのです『赤ひげ診療譚』の新出医師を思い起こします。「普段居眠りばかりしている五道署長、実はきわめてらつ腕の警察官。続発する難事件を、多くは未然のうちに防止してしまうので、町は起訴事件も少なく、つねに平穏です。初めは無能よばわりされていた署長の実態が理解されにつれ市民の辛抱は高まっていく」 読み終わると心が救われる気がします。 『法律の知識のある者は、知識のない者を好むままに操縦する、法治国家だからどうのこうのということをよく聞くが、人間がこういうことを口にするのは人情を踏みにじる時に決まっている、悪用だ』 現政権の沖縄に対する態度がまさにその通りです。

ルポ沖縄
国家の暴力

(阿部岳)

20
2016年7月、6都府県警から派遣された機動隊員約500人が、人口140人ほどの沖縄・高江に集まった。ここで起きた攻防、国家による暴力は、日本のどこにでも起こりうる。国家権力が牙をむき出しにする現場に通い続けた番記者による、渾身のルポルタージュ ...』。著者は作家・百田尚樹が『沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない』と言った“沖縄タイムス”の記者・編集委員です。
名目は「負担軽減」「沖縄のため」と、しかし実態は「基地機能の強化」「米軍のため」(辺野古新基地建設)というのがよくわかる。始まりは2016年7月参院選で自民党の島尻安伊子の落選が決まった10時間後に工事着手、出来レースだった。沖縄の人の声は全く無視、どのような抵抗を試みても“沖縄だから”と言う気持ちが政府はもとより本土の人間にもあるのでしょう。それに、ネトウヨをはじめ“ヘイトと差別”を平気で口にする人、『反対派は日当をもらっている』というデマ、百田は『抗議行動の中核は中国の工作員、中国から金が流れている』と、根拠をただしたら『ない』と。いろんな動きが、本土が受け入れない米軍基地を沖縄に作ることにあるのです。沖縄に対する差別がここまでひどいとは・・・。『沖縄では基地問題は政治問題ではない、命と尊厳の問題である』 。 著者もいろんなことを言われているが、メディアには“番犬”として、権力を監視することが求めれているのです。

怖いもの知らずのたち
(吉永みち子)

19
2009年に出された本で、田部井淳子さんのサイン入りです。田部井さんが仲間の女性たちに『私、シャンソンを習ってみたいなぁ』と言ったことから始まった「森の女性会議(働く女性のための山の会)」のメンバー6人でコンサート開くことになる。結婚、子育て、仕事、介護などの波乱に富んだそれぞれの人生と、素人がコンサートを開くまでのいきさつをからませながら、夢を実現させた経緯を描いたノンフィクション。生きる元気を与えてくれます。 その女性たちとは(現在はリタイアして人生を楽しんでいる)
・田部井淳子:1939年生まれの登山家、世界初の女性エベレスト登頂者。
・脇坂麻智子:1941年生まれ、オーストラリアでの経験を生かし日本ロレックス社・宣伝広報の責任者。
・秋岡久恵:1948年生まれ、演劇を志したときもあったが、イタリア、アメリカを経験しPR会社の社長に。
・高橋利子:1940年生まれ、元タカラジェンヌ~専業主婦~会社経営者。
・山口積恵:1944年生まれ、セブンイレブン・ジャパンの取締役執行委員オペレーション本部サポート部長。
・志賀こず恵:
1948年生まれ、日航スチュワーデス~専業主婦~検事弁護士。
と、皆さん輝かしい経歴ですがここに至るまでの努力のすごいこと。最後は山歩きで結びついたのです。
 『若けりゃいいってもんでもない。何かをしようというのに遅すぎることなどない』


路傍の石
(山本有三)


18
80年近く前に書かれた、誰もが一度は触れたことのある名作です。私もまだ少年時代だった頃読んだ物語、今でも記憶が鮮明です。もちろん映画も観ました。60年ぶりに読み直してもなお素晴らしい!年をとってからの方が面白いと思うのかもしれません。
昭和12年から連載され15年に『ペンを折る』として中断され未完に終わった小説ですが、書かれた部分だけでも見事に完結していると言われています。『勉学に励みたくても貧乏のため、奉公にでなくてはならなくてはならなかった主人公の吾一の成長を描いている』 彼のひたむきで正直な姿に、古い時代の話、でも却って今の時代の子供にも、大人にも読んでもらいたい一冊です。私がこの中で今でも忘れらない座右の銘にしたいくらいの言葉・・・。『たったひとりしかない自分を たった一度しかない一生を 本当に生かさなかったら 人間、生まれてきたかいがないじゃないか。』 以下本文より心に響く言葉を・・・。
・働くってことは“はた”を“らく”にしてやることさ。はたの人をらくにしてやると自分もきっとらくになるんだ。
・学校ってのは先生の魂と生徒の魂の触れ合う道場だ。それで初めて、生徒は何ものかを体得するのだ。一生忘れないものを身につけるのだ。
・人をたよりにするなよ。たよりになるのは自分だけだぞ。いいか、人間は一人だ。
最後に『ペンを折った』理由・・・戦争の時代に入り、この作そのもが国策に反するものでないことは断言します。が、あとの章に入り検閲が入り、修正を余儀なくされます。筆を曲げてまでも書く勇気はなかった。と、こんな時代に帰らないことを祈ります。
膠着(今野敏)
図書館16(442)17
今野敏にしては軽いビジネスものです。「老舗メーカーの、社運をかけた新製品開発。できたのは“くっつかない接着剤”、要するに新製品は失敗作だった。同じ頃に会社は外資から買収を仕掛けられ、社内にはスパイがいるらしい。果たして会社は新商品の販売方法を見いだし、ピンチを抜け出せるのか・・・。」就職できればどこでもよかった新入社員と、ピンチに燃える凄腕営業マンのコンビが絶体絶命の会社を救うことができるのか? サラリーマン応援小説です。『合理化だの能力主義だのといったぎすぎすした世の中が嫌いなんだよ。アメリカ型の競争社会が当たり前だという風潮がどこか間違っている』 『モノを作る人よりもそれに金を貸す人や、金を集める人の方が豊で偉くなるということが問題だ』 その通り!
世界を・・(ヨナス・ヨナソン)
図書館15(441)16
タイトルは『世界を救う100歳老人』、『窓から逃げた・・・』の続編、著者が続編を書いたのは“その後、世界がよりよい場所にならなかったのは地獄の火を見るより明らか”だったからと・・・。トランプにメルケル、プーチン、金正恩、世界のリーダーが続々登場 「アランの101歳の誕生日に、親友ユーリウスと熱気球乗り込んだはいいが、インド洋上空で墜落、大海原を漂流する二人を助けたのは、なんと北朝鮮の船だった!」ここから冒険が始まる。物語の世界は『引っ込めトランプ。頑張れメルケル。怖いぞプーチン』と言ったところか。公務よりツイッターで自国民を侮辱することに熱心なトランプ、プーチンによる風説の流布がアメリカやイギリスなど世界を歪めているなど、ネット社会がもたらす怖さにも警告をならしています。
大名倒産・上(浅田次郎)
図書館15(441)15-1
「丹生山松平家三万石を襲いだばかりの若き殿様。御尊家には金がない。調べてみれば藩の経済事情は火の車。奇跡でも起こらぬ限り返しようもない額の借金に押し潰される寸前の弱小大名家。父である御隠居はこの苦境を見越して、四男である小四郎に家督をとらせたのだ。計画的に“大名倒産”を成した暁に、腹を切らせる役目のために…」 そうとは知らず真面目の上に糞がつく若き殿様、実は妾の子で足軽出身、幼なじみを登用し難題を切り抜けることができるか?貧乏神や七福神まで登場しテンヤワンヤの騒動、どうなることやら・・・。『禍福は糾える縄のごとしと申してな。悪いことがあれば必ずその分だけ、よいこともあるものじゃ。よって災いにへこたれてはならず、また福に甘んじてもならぬ』。下巻へ続く。
背中の蜘蛛(誉田哲也)
図書館14(440)14
監視社会の現状・スノーデン事件、ハーウェイの問題、現実にこんな事が起きているのをみると小説の世界とばかりは言い切れない。いかに私たちが監視されているかがよくわかります「池袋で男の死体が発見された。目撃者もなく捜査は難航、しかし“タレコミ”がきっかけになり捜査が急転。それから約半年後新木場で爆殺事件が発生。こちらも進展しない中、“タレコミ”が転換点となる。一体誰が・・・」 権力にはおいしい装置。国家が密かにネットを掌握し国民を監視するシステムを稼働させるとどうなるか?『テクノロジーは、人を幸せにもするけど、確実に不幸せにもする。ダイナマイト、電力、原子力、通信、放送、インターネット、すべてがそうだ。自動車の自動運転も、やがてはとんでもない惨禍をもたらすに違いない』。
窓から・・(ヨナス・ヨナソン)
図書館13(439)13
“天声人語”で紹介された、タイトルは『窓から逃げた100歳老人』。舞台はスウェーデン、規則でがんじがらめの老人ホームを抜け出した主人公のアランが若き日の冒険を回顧する 『100歳の誕生日、アランは老人ホームの窓から逃げだし、途中でスーツケースを奪ったことから追われる羽目に・・・。と、生まれてから爆弾の知識を得て世界各国の要人たちと出会い、原爆の開発に関わり、囚われの身になったり、ヒマラヤを越えたりと波乱万丈の人生。チャーチル、トルーマン、スターリン、毛沢東、金日成などとのかかり合う過去」が語られる。20世紀の歴史的事件の陰にアランありと言わんばかり、ハチャメチャなお話しですが、風刺がよく効いていて胸のすく思いがします。世界45カ国で翻訳されている。
カササギ殺人事件・下
図書館12(438)
12-2
何と下巻を読み始めたら全く別の物語なのです。この本はふたつのパートが組み合わさっていて、上巻は名探偵アティカス・ピュントの活躍を描き、下巻は2015年の現代、作中の『カササギ殺人事件』を書いた小説家アランの担当編集者である“私”がアランの死を巡る衝撃的な事件を追う形で、誰が犯人かわからないまま終わった上巻の謎を読み解いていきます。こう書いてもわかりにくいと思います、私もこんな構成の本は初めてでした。一作で二度謎解きができるというもの、最後はもちろん二つの物語が連関します。ネタバレになるので内容は書けません、ミステリファンならぜひ手に取ってみてください。『ミステリとは、真実をめぐる物語である--それ以上のものでもないし、それ以下のものでもない』 。
カササギ殺人事件・上
図書館11(437)
12-1
著者はイギリスの作家(アンソニー・ホロヴィッツ)。“アガサ・クリスティへの愛に満ちた完璧なるオマージュ・ミステリ”とありました。数々の賞をもらっています。「1955年7月サマセット州。鍵のかかった屋敷の階段の下で倒れていた家政婦のメアリ、彼女は掃除機のコードに足を引っかけたのか、あるいは…。その死は、小さな村の人間関係に少しずつひびを入れていく。余命わずかな名探偵アティカス・ピュントの推理は―。そんな中、次の殺人が起きる」いうもの。舞台はまさに「ミスマープル」や「ポアロ」を彷彿とさせるイギリスの美しい田舎の村であり、登場人物たちの思考、行動が複雑にからみあいながら進む形式もとてもとても興味深い。クリスティーファンの私としてはワクワクした気持ちで読みました。(下巻へ続く)
罪の轍(奥田英朗)
図書館10(436)
11
昭和38年東京五輪の前年に起きた吉展ちゃん事件をモデルにした犯罪ミステリー。「浅草で男児誘拐事件が発生し、日本中を恐怖と怒りの渦に。事件を担当する捜査一課の刑事・落合は、子供達から“莫迦”と呼ばれる北国訛りの男の噂を聞く・・・。世間から置き去りにされた一人の人間が浮かんでくる」 犯人像は?単なるミステリーではなく、警察小説、サスペンス、群像劇、すべての要素を含んでいて一気読み!著者が『労働状況も悪く、男女平等でもなかった。ただ、みんな豊かになろうっていう目標を持っていた。オリンピックは、戦後日本がもっとも自信をつけたイベント。 この時代を背景に描きたかった。一方、来年の東京五輪は“完全な商業主義だし、国民の夢を託すものでもない”』と言っています。
鹿の王 水底の橋(上橋菜穂子)
図書館9(435)10
“鹿の王”のその後。『なによりも大切にせねばならぬ人の命。その命を守る治療ができぬよう、政治という手が私を縛るのであれば、政治と戦わねばなりません』 と。本物の医療とは何か?「オタワルの天才医術師ホッサルは、祭司医・真那の招きに応じて、恋人ミラルとともに清心教医術の発祥の地・安房那領へと向かう。ホッサルはそこで、医術に秘められた歴史を知るが、次期皇帝争いに巻き込まれていく」。病とは、医術(先進的医術対保守的医術)とは、死に向かう人にとっての安寧とは何か等、深いテーマです。著者が『流れる川の底に目をこらすと、かつて橋だったものの痕跡が、今でも水底で、両岸をつないでいる、そういう「絆」がこの世にはあるものです。』と語っています。読むほどにはまってしまいます。
代償(伊岡瞬)
図書館8(434)
9
2014年に刊行。二部構成になっています、一部はあまりの痛々しさに読み進めるのが苦痛になりますが(イヤミス要素)二部は法廷劇の形で(ミステリー要素)、悪人を野放しにしてはいけないという因果応報的なメッセージで、救われます。「一部では両親を火事で亡くしてしまった小学生の圭輔が、遠縁で同学年の達也の家に引き取られ、全てを奪い取られていく。二部では弁護士になった達也の元へ、逮捕された達也から依頼が舞い込む。“自分は無実の罪で逮捕された、助けて欲しい”と。 これがとんでもない依頼だった・・・。」 達也は人の気持ちや命をなんとも思わない(胸くそが悪くなるくらいの)根っからの悪人、こんな人物を考え出したものです。先の展開が気になり早く読み終えたいと思った本でした。


ライオンのおやつ
(小川糸)


図書館7(433)
8
素晴らしい本です。人の優しさが心の奥にしみます。「若くして余命を告げられた主人公の雫は、瀬戸内の島のホスピスで残りの日々を過ごすことを決め、穏やかな景色のなか、本当にしたかったことを考える・・・」 。涙無しでは読めませんが、辛く悲しい涙ではありません。喜びいっぱいの、清々しい涙です。こんな人たちに囲まれて最期を迎えたいと思わせます。自分の生き方をもう一回見つめ直さなくてはという思いにも・・・。以下本文より
・粥有十利(しゆうゆうじり)といって、お粥には十のいいことがあると言われています。色艶やがよくなる。力が出る。 寿命が延びる。安らかになる。頭が冴えて口の中が爽やかなになる。消化がよい。病気を防ぐ。飢えをいやす。渇 きをいやす。お通じがよくなる。
・思いっきり不幸を吸い込んで、吐く息を感謝に変えれば、あなたの人生はやがて光り輝くことでしょう。
・よく眠り、心と体を温め、よく笑うことです。いい人生をおくりましょうね。
・なるようにしかならない人生。そのことを体全体で受け入れて命が尽きるまでその瞬間まで精一杯生きることが人生を全うするということなのだろう。
・人生で酸いも甘いも経験した。私の人生は、生きることのままならなさを学ぶためにあったのかもしれない。
2020年本屋大賞ノミネート作品
です、お薦めの一冊です。
落日(湊かなえ)
図書館6(432)
7
直木賞候補!『未来』あたりから、少し湊ワールドの雰囲気が変わってきました、イヤミスではありません。“絶望の深淵を見た人々の祈りと再生の物語”、読後感もいい。「脚本家の真尋は、映画監督の長谷部から新作についての依頼を受ける。それは15年前に真尋の故郷で起きた『笹塚町一家殺害事件』をテーマにした作品を創りたいというもの。判決も出て、話題になることもない事件を今更どうして掘り返したいのかと訝るが、監督の期待に添えるように調査を進めるうちに、隠されていた真実が・・・」 監督の過去も絡み、話しは思わぬ方向へ、最後は点と点が結びつきます。著者の作品は、事件を解決するだけではなく、関係者の心情や隠されていた背景を暴く点が素晴らしい、今回も期待を裏切りません。
サランヘヨ 北の祖国よ(森村誠一)
図書館5(431)6
1950年朝鮮戦争時代におきた『ノグリンの悲劇』(無抵抗の避難民を米軍が空と陸から攻撃し虐殺した事件)から60年近くたった現在、これに端を発する殺人事件が起きる。「ツアーでノグリン虐殺事件の舞台となった所へ行った男女が旅行後も集まり、それぞれに何かしら関わりのある現在・過去の殺人事件の解決に協力していく」お話し。『北朝鮮帰国事業』(北政府と朝鮮総連が在日の人々(日本人妻なども含む)を北に帰国させた事業)。が、これが拉致や工作員を生むことに、後に裁判も起こされるが『北と総連を裁くことに裁判官が怯えている』とも言われ、棄却された事実がある。『過去に学ばない者には、未来はない。過去に学ぶことが未来の志の拠点となる』。 事件の動機を北朝鮮と絡めたことは少し強引かな?

(伊岡瞬)

図書館4(430)
5
2017年に紹介した『悪寒』に出てくる、真壁刑事の過去が語られます(『悪寒』の前年に刊行)。まさに一気委読みの面白さです。「初めての結婚記念日の夜、真壁の妻・朝美が殺された。 それから1年後、退職を決めていた2週間前に奥多摩分署管内で、全裸美女冷凍殺人事件が発生。被害者の左胸には柳の葉のような印。辞職前の真壁は動揺する、その印は亡き妻にあった痣と酷似していた、 何かの予兆なのか? 真壁を引き止めるかのように、次々と起きる残虐な事件・・・」 。結局真壁は否応なしに関わることになるが、事件は全く思わぬ方向へ・・・。警察内部の権力闘争や夫婦関係、親子関係など人情話も散りばめられ、飽きさせません。今の世の中、こんな残虐な事件が起きても不思議ではないですね。
理不尽に勝つ(平尾誠二)

4
「自分の弱点を強さに変える、とは? 理不尽を経験することで人は鍛えられ、成長する。ラグビー日本代表監督、日本サッカー協会理事を歴任した著者が、日本人が失った戦闘意欲を養う方法」 。確かに今の草食系の若者や競争を嫌う現代の人たちに読ませたい話です。著者は『小泉政権が推し進めた規制緩和、これ以降富裕層と貧困層が極端に二分化してしまった。でも、格差是正といっても格差はなくならない。むしろ理不尽な状況にへこたれない強さを植え付けるべきだ』と言っています。が、私たちにこんな強さや環境があるといいですけど。他に『理不尽に感じた時はネガティブにとらえずポジティブにとらえる』 『いい時は悲観的、悪い時は楽観的』とか『自分が困難に立ち向かい変わっていくことで、状況も変わるのだ』とも。やはり、一つのことを成し遂げた人の言葉は重いですが、私にはちょいと遠いかな。“市原悦子のことば”を藤沢周平とするなら、こちらは英雄が主役の司馬遼太郎の感じ、私は藤沢周平派です。




いいことだけ考える
“市原悦子のことば”

(沢部ひとみ)


図書館3(429)
3
2019年1月に亡くなった市原悦子さんの「ことば」を20年にわたり交流を続けたノンフィクション作家の沢部ひとみが単行本としてまとめたものです。
「その日食べられて、大事な友達が数人いて、目の前の仕事をやるだけで満足」
「親の教えは『あやしい男の子どもを孕むな、警察のお世話になるな』だけ」
「今のテレビは音も色も氾濫しているだけで、単なる塗り絵みたい」
「75才のちょっと前から断捨離を始めたんです」
「独り身は強くなりますよね。なんか甘さがなくなる」
「女が幸せじゃなきゃ、男も幸せにならないのよ」 など25の言葉、人生を考えるヒントがいっぱいです。
また、『平和への思い』も、しっかり伝わってきます。
以下、わたしの心に残った部分を抜粋します。
・人間ってちっぽけだってことを思い知らされたは、昔話はめでたしめでたし、で終わる話ばかりじゃない。どんなに素直になってもいいことは起らない。努力しても実らない。理不尽なことがどんどん起る。それでもこつこつと生きていく。大きなものの中で生かされていくのが人間なんだ。
・モノを減らして、お部屋も小さくして、髪も短くして、リヤカーひとつで引っ越しができるような暮らしが理想です。
 食器は、ご飯茶碗とお椀とお皿と小鉢があればそれだけでいい。
 着る物は、あいもの四枚、冬物二枚、カシミヤのコートj一枚、それでけっこう。・・・できたらね。
・役を作るうえで、悪人、善人というのはない。美しい人、醜い人とうのはない。人には、美しい瞬間と醜い瞬間があるだけだ。
・集団的自衛権を使うことが認められましたね。『自衛』とか『戦争の抑止力』とか信じられない。原発事故への対応もあやふやなまま、国は原発を輸出しようとしている。被爆者、水俣病患者を救済しましたか。『国民の命と財産を守る』と言っても空々しい。・・・『芸能人には“政治の話しは色がつく”と嫌う風潮があるが、彼女はそんな風潮をどこ吹く風とやり過ごす剛胆なところがあった』と著者のコメント。
・歳も歳だから『老い』は自分でも身に染みています。・・・どんなにポックリ逝きたくても、そうはいかない。考えてもしかたのないことを思い悩んでも憂鬱になるだけでしょう。だからいつも笑っているの。本当にだらしのない私。
・昔、死を前にしたお友達に『今何を考えているの?』って聞いたら 『いいことだけ』って。病床にあっても、あんなことをしようとか、こんなことをしようとか。何かを創り上げていく想像は心を穏やかに、豊かにしてくれる【いいことだけ考える】=今の私も同じね。
仮面病棟(知念実希人)
図書館2(428)2
著者は現役の医者です。映画化されるので読みました「療養型病院にピエロの仮面をかぶった強盗犯が籠城し、自らが撃った女の治療を要求、先輩医師の代わりに当直バイトを務める外科医・速水は、事件に巻き込まれる。脱出を試みるうち、病院に隠された秘密を知ることに」 閉ざされた病院でくり広げられる密室ミステリー!筋立てはマアマアですが文体が今一でした。コピーには『怒濤のどんでん返し!一気読み注意』 とありました、確かに先が気になって一気読みはしたが、かなり早いときに先が見えてきました。軽くサクッと読める本です。(これからネタバレ)臓器移植を希望してもすぐにはドナーが現れない時、すべてとは言えないまでも現実にこのような事が医療の(裏の)世界ではあるのでは?
恋のゴンドラ(東野圭吾)
図書館1(427)1
久し振りに読んだ東野圭吾。今回はスキー場を舞台にした男女の恋の物語、7つの短編集ですが話しはつながっていて登場人物も主役が入れ替わるのです。ミステリーではないけど、それぞれにラストにどんでん返しがあるのが見事。「広太は、合コンで知り合った桃美とスノボ旅行へ。ところがゴンドラに同乗してきた女性グループの一人は、なんと同棲中の婚約者だった。ゴーグルとマスクで顔を隠して、果たして山頂までバレずに済むのか・・・(第一話)。ほかゲレンデを舞台に、8人の男女を巻き込み、愛憎劇へと発展していく」お話しなのです。感情移入したり反対にこれはないよな等と思いながら読みましたが、ハラハラドキドキ勘もいいです。男女の仲は難しい?冬の暖かい部屋でお読みください。

2020年book ランキング 
 1 位 天、共に在りアフガニスタの三十年の闘い
 2 位 逃亡者
 3 位 ビラヴド (愛されし者)上・下
 4 位 復活の日
 5 位 流人道中記 上・下
 6 位 ライオンのおやつ
 7 位 黒い画集 『遭難』 『証言』『天城越え』『寒流』『凶器』『紐』『坂道の家』
 8 位 コロナ後の世界
 9 位  夜の谷を行く
10 位 ベルリンは晴れているか
11 位 むかしむかしあるところに死体がありました。
12 位 ウツボカズラの甘い息
13 位 熱源
14 位 焦眉
15 位 かがみの孤城
16 位 お父さんはユーチューバー
17 位 キネマの神様
18 位 十二人の手紙
19 位 猫を棄てる
20 位 落日
21 位 アキラとあきら
22 位 茶聖
23 位 毒島刑事最後の事件
24 位 首里の馬
25 位 茶色の朝
26 位 罪人の選択
27 位 定年夫婦のトリセツ
28 位 妻のトリセツ
29 位 夫のトリセツ
30 位 大名倒産(上・下)
31 位 潮騒はるか
32 位 流浪の月
33 位 穂高小屋番 レスキュー日記
34 位 寝ぼけ署長
35 位 MISSING 失われているもの
36 位 果てしなき流れの果てに
37 位 主よ、永遠の休息を
38 位 祝祭と予感
39 位 棲月: 隠蔽捜査7
40 位 小説「安楽死特区」
41 位 背中の蜘蛛
42 位 罪の轍
43 位 カササギ殺人事件
44 位 ルポ沖縄 国家の暴力 米軍基地建設と「高江165日」の真実
45 位 怖いもの知らずの女たち
46 位 アーモンド
47 位 いいことだけ考える 市原悦子のことば
48 位 鹿の王 水底の橋
49 位 猫君
50 位 剣客商売
51 位 世界を救う100歳老人
52 位 窓から逃げた100歳老人
53 位 代償
54 位
55 位 サランヘヨ(愛する) 北の祖国よ
56 位 膠着
57 位 恋のゴンドラ
58 位 仮面病棟
59 位 繊細さんの本
60 位 理不尽に勝つ
ランク外 アクロイド殺し
三四郎
  路傍の石

                         ※はノンフィクションです。