book(2021)

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月下のサクラ
(柚木裕子)

図書館77(571)78
2018年に紹介した『朽ちないサクラ』の続編、シリーズ第二弾。「希望部署の捜査支援分析センターに配属された泉。県警の会計課の金庫から約一億円が盗まれた、犯人は県警内部の者か?事件を追ううち、背後に大きな真相が隠されていることが分かる・・・」 因みに泉の所属する“機動分析係”とは事件現場で収集した情報を解析・プロファイリングし、解決へと導くといった仕事をする部署、“防犯カメラ”の映像の解析からここまでの追跡ができるとは・・・。公安(サクラとは公安を指す隠語)は相変わらず、『公安は国家を守るという大義名分のもとに、人の命さえも奪う愚者だ。やつらは権力を利用して上からの命令を機械のように遂行しているだけだ』 組織に巣くう不条理な倫理に挑戦する女性刑事、面白い!
沈黙のパレード(被害の圭吾)
図書館76(570)77
ガリレオシリーズ第9弾、「静岡のゴミ屋敷の焼け跡から、3年前に東京で失踪した若い女性の遺体が見つかった。逮捕されたのは、23年前の少女殺害事件で刑事・草薙が逮捕し、無罪となった男。だが今回も証拠不十分で釈放されてしまう。町のパレード当日、その男が殺された・・・」 容疑者は被害者の女性を愛した普通の人々。彼らの“沈黙”に、天才物理学者・湯川が挑むというもの、始め何となくまだるっこい感じがしたが後半になると俄然面白くなる。最後の最後でどんでん返しが二転三転!複数の共犯者で成り立つトリックは何となくアガサクリスティーの『オリエント急行殺人事件』を思い起こしてしまった。来年には適役の福山雅治主演で映画化(シリーズ第三弾)されるとのこと。
テスカトリポカ
(佐藤究)

図書館75(569)76
暴力の嵐に臓器売買が絡まる目を背けたくなる物語、これが直木賞と山本周五郎賞を受賞している!「メキシコのカルテルに君臨した麻薬密売人のバルミロは、対立組織との抗争の果てに海外に逃走、潜伏先のジャカルタで日本人の臓器ブローカーと出会う。二人は新たな臓器ビジネスを実現させるため日本へと向かう・・・」 宮部みゆきが『麻薬という呪いと、血と生贄を求める古代の神々。想像を絶する激しい暴力の果てに現れる血肉を備えた神の姿。登場人物ほぼ全員悪党なのに、奇妙な愛嬌とユーモアがあって、恐ろしいのに魅力的だ』 と言っていますが、私には苦痛に満ちた展開で、途中で何回かやめようと思ったが、ただ結末が気になりやめられなかった。う~ん、どんな評価をしたらいいか迷う。
闇医者おゑん秘録帖 - 花冷えて(あさのあつこ)
図書館74(568)75
“女の人生は一つではない。哀しい子を身ごもった女たちが闇医者をすがってやってくる。おゑんが診るのは、患者の身と心。しなやかな女の強さと美しさの物語”おゑんシリーズ第二弾。中編2篇 「竹が鳴く」「花冷えて」、 難産の末産まれてくる赤ん坊に、おゑんは呼びかける 『この世が極楽だなんて口が裂けても言えやしないさ。楽しさよりも辛さの方がはるかに勝っている。信じるより憎しみ合うことの方が多いだろうね。でも、生きてみる値打ちはあるんだよ。あるからこそ、産まれてくるんだからね』と、かつては赤ん坊だった我々も心に留め置く言葉では・・・。 女の性(さが)と業、女って弱いのか強いのか、愚かなのか賢いのか、怖いのか可愛いのか・・・。おゑんの人間の心への興味がすごい!
この嘘がばれないうちに
(川口俊和)

図書館73(567)74
『コーヒーが冷めないうちに』の続編。今回は、愛する人を思う気持ちから生まれた4つの“不器用で優しい嘘”がキーになっている。「第一話:22年前に亡くなった親友に会いに行く男の話。第二話:母親の葬儀に出られなかった息子の話。第三話:結婚できなかった恋人に会いに行く男の話。第四話:妻にプレゼントを渡せなかった老刑事の話」 登場人物の秘密も少しずつ明かされていく、このシリーズは続けて読むと人物関係がわかり面白い。『親にとって、子供はいつまでたっても子供なのである。ずっと、ずっと見返りも求めず、常に子供だけの幸せを願い、愛情を注いでくれた母』 『人の心は本当に分からない。悩んでいると、大事は人の気持ちさえ見えなくなることがある』 。
血の雫
(相場英雄)

図書館72(566)73
ネット社会と福島の原発事故後の問題を絡めたミステリー仕立ての物語。「都内で連続殺人事件が発生。殺されたモデル、タクシー運転手や老人に接点はなく、捜査は難航。捜査一課の刑事・田伏はITオタクの新米・長峰と犯人を追うが、事件はインターネットを駆使した劇場型犯罪に・・・」 “人々は事実の真偽を問うことなく話題性や刺激の強さを求め、無責任にSNS上に拡散させていく” SNSの怖さをイヤというほど思い知らされる。この小説の凄いところは、単なるネットの裏側を駆使した犯罪かと思和わせるがキーワードは“福島”だった。何故か犯人に同情してしまう。『自主避難者への住宅支援が打ち切られ。避難した行く先々で差別され、心ない言葉をぶつけられる』 この現実、切ないです。
花下に舞う
(あさのあつこ)

図書館71(565)72
弥勒シリーズ最新刊(十作目)”いつもより早めに下手人がわかったなと思ったら、やはりそんな簡単なことではなかった。「口入屋の隠居と若女房が殺された。木暮信次郎は、二人の驚愕の死に顔から、今は亡き母が洩らした“死の間際、何を見たのであろうか”という意味不明の呟きを思い出す。謎めいた事件と才知にたけた女性であったと知る母の過去が・・・」 20年前に死んだ母の言葉がキーワードになるなんて、このシリーズは時代小説ながらもミステリーとしてもとっても面白い。 信次郎が遠野屋に『人は人を頼りに生きられはしねえよ・・・。誰かに支えられないと生きていけねえやつが誰かを支えることなんざできやしねえのさ』と。 3人の今後も気になる、このシリーズ長く続きそう。
白鳥とコウモリ(東野圭吾)
図書館70(564)71
東野圭吾版“罪と罰“、嘗ての『白夜行』を思い出す、分厚いがまさに一気よみ。「善良な弁護士、白石健介が遺体で発見された。捜査が進むうちに、倉木達郎という人物が容疑者として浮かび上る、そして彼は自分の犯行だと警察に自供した。自供内容は何の矛盾点も見つからないので、警察は彼を犯人と断定し、検察も起訴する方針を固めていた。しかし、この自供内容に疑問を感じ動き始めたのが倉木容疑者の息子の倉木和真と被害者白石健介の娘の白石美令だった。」30年前の殺人事件も絡み、容疑者と被害者の息子と娘、立場の相反する者たちの葛藤。一旦起訴したらそれを押し通そうとする弁護側と検察側、今の法曹界を見る気がする、それとSNSの怖さ!真相ははちょっと切ない。
コーヒーが冷めないうちに(川口俊和)
図書館69(563)70
泣ける四つのお話「喫茶店“フニクリフニクラ”には、ある席に座ると望み通りの時間に戻れるという不思議な噂があった。過去に戻るには面倒なルールがいくつもあったが、その全てを守った時、優しい奇跡が舞い降りるのだという」 第一話 恋人:結婚を考えていた彼氏と別れた女の話。第二話 夫婦:記憶が消えていく男と看護師の話。第三話 姉妹:家出した姉とよく食べる妹の話。第四話 親子:この喫茶店で働く妊婦の話。誰にもある『あの時何故ちゃんと言わなかったのだろう』という後悔の気持ち、それを過去に戻り自分の気持ちを伝えたい。過去に行っても現在が変わるわけではない、でも自分のこれからの生き方は変えることができるかも・・・。心温まる奇跡!映画化されているとは知らなかった。
闇医者おゑん秘録帖(あさのつこ)
図書館68(562)69
『おゑんシリーズ』第一弾、悩める女たちが自分の人生を切り開いてゆく様を描いている 「産んではいけない子どもを孕んだ女たちを受け入れ、子堕ろしを行ってきた“闇医者”のおゑん。彼女の元には、奉公先の若旦那と恋仲になった女中、あやかしの子を孕んだと訴える武家の奥方など、複雑な事情を持つ者たちがやってくる・・・」 女と生まれたなら背負わざるを得ない業、女性でないと書けない話、切ない中にも希望が持てる。“弥勒”とは違う面白さがある。『女は男のように、遠い先など見はしない。高い山の頂きを仰ぎ、いつかあそこにたどり着きたいと、望んだりしないのだ』 『今も昔も政を司る連中なんてのは自分の身を守るためなら、どんな非道でも行うなんもんですね』 。
某(川上弘美)
図書館67(561)
68
何ともまぁ、不思議な小説。「主人公は当初、成長も変化もせず、さまざまな人間に“擬態”して転生を繰り返す。不思議な生命体・某として登場。女子高生や事務職員の青年や日雇い労働者となって人間と関わり、同種の生命体に出会うことで、少しずつ自分の輪郭を知り、愛やさみしさを知る・・・」 しっかりと読むと、いろんな問いかけがあることが分かる『“私”とは何か? 個人とは、人間とは? 共感、愛、家族、老い、そして死とは何か?」 性別や身元を替えながら何百年も生きる『オーランドー』というヴァージニア・ウルフの小説があるそうです(読んでいない)。著者は好きな作家の一人、小説家とはいろんなことを考えるもの、すごい小説です。
足が未来をつくる
(海野弘)


67
ナナイさん紹介の本。「第1章:視覚の帝国、第2章:足の文化史、第3章:対抗文化としての足(ウォーキングの復活」と言った内容です。ちょっと理屈っぽいが、2章以下は興味深く読めた。
・巡礼=異世界への旅:巡礼では社会的身分にかかわらず平等である。「サンティアゴ巡礼」
・ウォーキングの復活:今日の自然環境保護運動の一つのきっかけが、自由に歩き回る権利、歩行権を求めること。
・足の文化としての登山:山を遠くから見ている時と、実際に登ることは全く違う。目の山は美しいが足の山はきつい。山に入ると、山との葛藤が始まる。『ワンゲル』と『登山』の意味の起源を初めて知った。
雷神
(道尾秀介)

図書館66(560)
66
久しぶりの道尾作品「埼玉で小料理屋を営む藤原幸人のもとにかかってきた一本の脅迫電話。19歳の一人娘・夕見を守ることは出来るのか。昭和の終わり、故郷の村で起こった“母の不審死”と“毒殺事件”。その真相を解明するため、幸人は、娘・夕見と姉・亜沙実とともに故郷での調査を試みる。なぜ、母は死んだのか。父は本当に『罪』を犯したのか。新たに繰り広げられる悲劇・・・」 ちょっと長いけど巧みに巡らされた伏線、ラストは一気に伏線回収、『主人公の名前の幸は南の枠を外した幸』というエピソードなども手がかりの一つになる。 “この世にはどんな神様もいない”というラストが切ない。犯人が真実を語らない展開なので、真相は推察の範疇だが“なるほど”と思える結末。
鬼を待つ
(あさのあつこ)

図書館65(559)
65
弥勒シリーズ九作目”「飲み屋で男二人が喧嘩をした。一人は大怪我、殴った男は遁走の果てに首を吊った。町方にすれば“些末な”事件のはずだった。しかし、怪我を負った男が惨殺されたことから事態は大きく展開し、小間物問屋〈遠野屋〉の主・清之介の周囲で闇が蠢く。同心木暮信次郎と岡っ引の伊佐治が辿り着いた衝撃の真相とは・・・」 亡くなった女房のおりんにそっくりの女が現れ清之介の心が乱れる、また、おりん殺しの源庵が出現し、事態は思わぬ方向へ。今回もミステリアスな部分が多い、こんな展開になるとは・・・。『政というより政権のための争いをおぞましいと感じております。おぞましいものはおぞましい化け物しが生み出しませぬ』 。
女のいない男たち(村上龍)
図書館64(558)
64
映画“ドライブ・マイ・カー”の原作が収録された短編集。映画はこの短編集の他の作品『シェラザード』と『木野』のエピソードも交えて作られていることがわかる。映画の方がわかりやすくて面白い!松本清張の“砂の器”、映画の方が優れていたのと似ている。この本にある複数の物語を繋ぎ合わせた監督の力量を考えると、カンヌ映画祭で脚本賞をとったのが分かる気がする。他に『イエスタディー』『独立器官』『女のいない男たち』の三編、どれも著者らしい、いずれも女との適切な関係を結ぶことに失敗し、相手を永久ないしは半永久的に失った男たちの物語。[パズルは完成せず、物語は完了せず、ただ読後は一切が共振する]という評があった最初に著者が“まえがき”を書いているところが面白い。
リボルバー
(原田マハ)

図書館63(557)
63
「パリ大学で美術史の修士号を取得した髙遠冴は、パリで小さなオークション会社に勤務していた。ある日オークションに、錆びついた一丁のリボルバーが持ち込まれる。それは、フィンセント・ファン・ゴッホの自殺に使われたものだという・・・」 “たゆたえども沈まず”でゴッホを描いた著者が今度はゴッホの自殺の謎に迫る。アルルでの耳切事件ののちに、ゴッホから立ち去ったゴーギャンの独白。ゴッホは自殺だったのか?殺されたのか?果たして引き金を引いたのは誰だったのか?死の真相は?ミステリーとしても十分に面白いが、二人の天才画家がたどる不遇の人生を振り返る。何故、天才達は生きているうちに評価されないのでしょう?『オルセーに行った時の絵を数点Kkochan's Galleryに掲載)』
沈黙の終わり・下
(堂場瞬一)

図書館62(556)
62-2
下巻に入ると俄然面白くなる。「二人は、被害者の共通項である塾の講師に目をつける。そしてあぶり出されたのは、ある大物政治家による圧力が警察の捜査を止めたのではないかという疑惑。同じ新聞社の政治部からも取材をやめるよう忠告を受けるが・・・」 ここ最近の政治の世界を予見していたような話。殺人事件に手心を加えるようなことは実際は無いとは思うが、でもあるかも?と思わせる怖さがある。『政治家というのはクソみたいな連中ですね。・・・権力の中枢にいると感覚が鈍ってしまうのかもしれない』 『今更、新聞の信頼を乗り戻すのは難しいかもしれない。俺は、一番の原因は、権力に対する真っ当な批判がなくなったことじゃないかと思う』 。
沈黙の終わり・上
(堂場瞬一)

図書館61(555)
62-1
「定年間際で胃がんの手術をきっかけに東日新聞・柏支局に希望して異動した松島。さいたま支局で県警周りをしている4年目の若手古山。幼女が殺害され江戸川の近くに捨てられる事件が発生。調べてみると江戸川を挟んだ千葉埼玉の狭い地域で33年間のうちに似たような幼女の殺害、行方不明事件が8件もあった。しかし警察は何故か捜査の手を緩め全てが未解決だった。県警を跨ぐ不審な隠蔽工作に二人は新たな疑問を持ち警察の不祥事を記事にするが…」 。縄張りに拘る県警のプライド。利権を死守したい政治的圧力、何故警察は捜査の手を緩めたのか?著者が新聞記者だったこともあり、今のメディアへの警鐘、批判ともとれるが、祈りかな?。(下巻へ続く)
兵諫
(浅田次郎)

図書館60(554)
61
“蒼穹の昴”シリーズ第6部(3年前の第5部で終わっていなかった) 「日本で二・二六事件が起きた1936年。中国の古都、西安近郊で、国民政府最高指導者、蒋介石に張学良の軍が叛旗を翻すクーデターが発生。蒋介石の命は絶望視され、日米の記者たちは特ダネを求め、真相に迫ろうとする。日本では陸軍参謀本部で石原莞爾が情報を操っており、中国では西安事件の軍事法廷で、張学良は首謀者ではないとする証言が・・・」 。『蒼穹の昴』から21年、登場人物も多く思い出すのに苦労する(読むうちに思い出すけど)。当時、日本という国がどんなだったか、特に私の嫌いな石原莞爾、時代を動かしていたのはやはり軍人か・・・。軍が力を持つと碌なことにはならない
あんなにあんなに
(ヨシタケシンスケ)
図書館59(553)
60
この著者は二作目、前はエッセイ集だったが今回は(子供からシニアまで楽しめる)絵本、フフフと笑える前半、後半じわっときて泣ける。「子育ては“あんなに”の連続。あんなに欲しがっていたのに、あんなに心配してたのに、あんなに泣き虫だったのに、あんなに小さかったのに。そして自分も、あんなに若かったのに、もうこんなにシワが・・・。」 わずか48ページの絵本10分で読んでしまう。それなのに人の一生が詰まっている、(家族の成長物語)喜びも悲しみも幾年月!絵と文にホッコリ、子供と、昔子供だったすべての人に読んでもらいたい本。親離れ、子離れって哀しいね。
雲の果
(あさのあつこ)

図書館58(552)
5
9
弥勒シリーズ八作目”著者が『この“雲の果て”を境にして、少しずつ変容していく予感がする。信次郎は信次郎らしく清之介はまさに清之介そのもの』 だった、と言っている。更に目が離せなくなるが今回は「遠野屋の元番頭が亡くなった。その折、火事で焼けた仕舞屋で見つかった若い女が殺される。亡くなった女の元にあった帯と同じ作りの鶯色の帯が番頭の遺品から見つかった。事件は思わぬ方へ・・・」 大きく話は動かないが前巻と同じようにミステリアスの濃い話になっている。信次郎が言う『十人のうち八人が合点するってのは、胡散臭いじゃねえか。誰も合点がいかないようなことが起こるのが世間だ』 と。藤沢周平の神谷玄次郎(捕物帖)とシャーロック・ホームズを彷彿とさせる。
赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。
(青柳碧人)

図書館57(551)
5
8
前作「むかしむかしあるところに死体が・・・』(2020年book紹介)は日本の昔話だったが、今回はアンデルセンの童話をベースにした連作短編集。『シンデレラ』 『ヘンゼルとグレーテル』 『眠り姫』 『マッチ売りの少女』を面白く謎解きの話に変えている。クッキーとワインを持って旅に出た赤ずきんが途中で出会う殺人事件を解決していく話。「シンデレラ:ガラスの靴の共犯者、ヘンゼルとグレーテル:甘い密室の崩壊、眠り姫の国で起きた殺人事件、マッチ売りの少女の野望」 原作童話では、可憐な主人公たちが殺人を犯す?とんでもないことに・・・。赤ずきん自身の目的も絡み、四編すべてを通して大きな物語として完結する。特に謎解きの好きな人にはワクワクしながらサクッと読めます。
神よ憐れみたまえ(小池真理子)
図書館56(550)
57
殺人現場の描写から始まる570ページにも及ぶ壮大な物語。「昭和38年、百々子は12歳美しい少女だった。両親を殺されるという不幸に見回れるが、裕福な家だったことや周りの善良な人たちのおかげで、不自由のない生活を送り、音楽家を目指すが、その人生は波乱に満ちたものになっていく。一番身近にいた者の歪んだ恋情が物語の軸となり、彼女を苦しめる。最後ようやく・・・」 12歳から62歳まで、数奇な人生を歩くことになる主人公、読む程に先が気になり長いけど一気読みです。やはりこの人の本は濃厚。タイトルの『神よ憐れみたまえ』は父が聞かせたレコード・バッハの“マタイの受難曲”の中の曲名です。10年の歳月をかけ,、夫・藤田宜永(昨年1月没)を看病しながらの執筆
家族じまい
(桜木紫乃)

図書館55(549)
56
中央公論文芸賞受賞、村山由佳が『どうやったらこんな一行が書けるんだろうと唸る文章が、随所に』と。通った道、いつか来るであろう将来。リアルさ、繋がりのある女性5人の子供時代の思い出から、終末の暮らしまで・・・。「新しい商売に手を出しては借金を重ね、家族を振り回してきた横暴な父と、そんな夫に苦労しながらも共に歳を重ね、今は記憶を失くしつつある母。親の老いに直面して戸惑う姉妹と、さまざまに交差する人々。夫婦、親子、姉妹…家族はいったい、いつまで家族なのだろう」。重いテーマ、でも最後まで一気読み。『ふたりを単位にして始まった家族は、子供を産んで巣立ちを迎え、またふたりに戻る。そして、最後はひとりになって記憶も散り、家族としての役割を終える』 切ないけど胸に迫る。
花を呑む
(あさのあつこ)

図書館54(548)
55
弥勒シリーズ”の七作目”今回は深紅の牡丹を口から溢れさせ、妾に怨み殺されたと噂される怪異に挑む信次郎たち、 「大店・東海屋の主が変死した。内儀は、夫の口から牡丹の花弁が零れているのを見て失神し、女中と手代は幽霊を見たと証言した。北町奉行所同心、信次郎は探索を始めるが、事件はまたも遠野屋清之介に繋がっていく、一方伊佐治の息子の嫁おけいが行方不明に・・・」。新たな展開へ、毒婦も登場し目が離せなくなる。『泣いてけりがつくことなんて無い。泣くより、嘆くより、失ったものにこだわり続けるより、まず、前を向かねばならない。人は後戻りできない生き物だ。前に進むしかない』 『笑うんだよ。辛いときほど悲しいときほど笑うんだ。笑えば邪気が払えるからね』。
プリンス
(真山仁)

図書館53(547)
54
軍事政権下の東南アジアの国・メコン(ミャンマーがモデル?)を舞台に権益確保に動く米英中の思惑、軍事政権内の駆け引き、民主化を希求する若者たちを描きながら“民主主義”とは何かを問うています。「メコンから日本に留学したピーターは、大学で政治活動に情熱を注ぐ犬養渉と知り合う。祖国の民主化をめざして、父・ジミーが大統領選に出馬することを知ったピーターは、渉とともに帰国。しかし、ジミーが暗殺される・・・」 。メコンにある希少資源を巡り、大国の思惑が絡む見にくい利権争い(資源利権確保のためなら第三国を迂回しても反対派に武器を輸出する等)。日本がミャンマー問題に積極的に関わらない理由も何となく分かった。“どうせ国なんて変わらないよ”と感じている人に読んでもらいたい。
地に巣くう
(あさのあつこ)

図書館52(546)
53
弥勒シリーズの六作目”信次郎と清之介の関係性が相変わらず面白い!「信次郎が腹を刺された。岡っ引の伊佐治、小間物問屋・遠野屋清之介に衝撃が走る。襲った男は遺体で大川に上がる。背後で糸を引く黒幕は何者なのか。深まる謎のなかで見えてきたのは、信次郎の父親・右衛門の衝撃の“過去”だった」 封印していたのに清之介がついに人を斬ってしまう、今後の展開はどうなる?人の業や心の闇の世界を見せつけてくれる。読み始めると先が気になってしょうがない、2日もあれば読んでしまう。このシリーズは巻を重ねても色あせない、早く次を読みたいが、ゆっくりと楽しみたい気持ちも・・・。著者は、この“弥勒の月”が初の時代劇と言うが時代小説の言葉の言い回しと漢字の当て方が非常に巧い。
神のダイスを見上げて(知念実希人)
図書館51(545)52
隕石衝突による人類滅亡系カウントダウン小説「地球に向けて巨大小惑星ダイスが接近中。人類はあと5日で終わりを迎える。女子大生・漆原圭子が刺殺体で見つかった。高校生の弟・亮は、ダイスが衝突する“裁きの刻”前に、自分の手で犯人を見つけ出そうとするが・・・」 限られた時間の中で人間はどう生きるか?それに、隕石が落ちてくるからと暴徒と化した人達やデモで荒れ狂う街の雰囲気もなかなか・・・。真偽不明な情報が飛び交い怒りが政府に向かうくだりは、今のコロナ禍の時代にピッタリ!『人は自分の力ではどうしようもない事態になって初めて、自分がちっぽけな存在だって気づく。そして祈るの。自分たちよりも大きな存在に』 本当に衝突するのかも気になって一気読み。この著者のものでは一番面白かった。
ライフ
(小野寺史宜)

図書館50(544)
51
青春小説とあったが、まぁマッタリと生きている27歳の青年が主人公「会社を辞めて、コンビニでバイトをして暮らしている幹太の日常を描くお話。劇的なことは何も起こらないし、起こることは上の階の人との関わりだったり、バイトのおばちゃんとの会話だったり、どれもささやか。それでも、少しずつ周りの人の環境が変わるなかで、主人公も少しずつ変わっていく?」温かいお話で悪人が出てこないところがいいが、定職にはついておらず親を心配させるばかりの主人公にどこまで共感できるか・・・。私たち年代から見ると今の若者にはこんな生活をしている人が多いのかな?と考えさせられた。『ものごとはなるようにしかならない。努力したからうまくいくわけではないし、努力しなかったからうまくいかないわけだはない」 と言う生き方。
ドキュメント(湊かなえ)
図書館49(543)
50
先に紹介した『ブロードキャスト』の続編、著者には珍しい青春もの。著者が『人と人。対面でのコミュニケーションがむずかしくなった今だからこそ、”伝える”って何だ?ということを、真剣に考えてみました』 と言っています。今回ミステリー要素も入って面白かった。「三年生引退後、圭祐らは新たにテレビドキュメント部門の題材としてドローンを駆使して陸上部を撮影していく。やがて映像の中に、煙草を持って陸上部の部室から出てくる同級生の良太の姿が発見された。圭祐が真実を探っていくと…。」 報道におけるプライバシーの問題、偏向報道、視聴者が見たいもの、伝え手が伝えたいもの…さまざまな課題が交錯する。ただ全国を目指す青春小説でないところが著者らしい。今のオリンピック報道を見ていると何となくうなずける。
冬天の昴
(あさのあつこ)

図書館48(542)
49
弥勒シリーズの五作目”相変わらずの面白さ、「若い同心と女郎との心中事件が起きる、信次郎は何か違和感を感じ、十年前にもあった似たような事件を調べなおす。そこに、信次郎の今の情婦とでも言うべき品川宿“上総屋”の女将であるお仙の過去が絡んでくる。そして前作で登場したおうの・・・。」男たちの陰で、お仙・おうの、ふたりの女たちが聡く凛として格好よい。殺気は見事に見抜くが、女の情念はこれっぽっちも察知できない清之助!『おれたちには及びもつかねえ悪が、この世には蔓延ってんだ。そういうやつらがこの世を動かしている。・・・おれたちの遥か上で、でっかい悪が高笑いしてんだよ。わかるだろう。この世の権勢を手にした者がどれほどの悪になるか』 このシリーズはリズムがよくてとても読みやすい。
本心
(平野啓一郎)

図書館47(541)
48
“自由死”(自分で自分の人生をお終いにすること)が合法化された2040年の日本。最新技術を使い、生前そっくりの母を再生させた息子は、“自由死”を選んだ母の本心を探ろうとする。「仮想世界を実体験できるアバターの仕事をしている主人公は事故で亡くした母をVF(ヴァーチャル・フィギュア)で作成し、実際の母に近づけるため、職場の同僚や愛読した作家と会うことで彼女の人生を追体験していく・・・」 。『経済格差や自然災害、ウィルスの蔓延など、現実の世界の過酷さに耐えかねた人々が、仮想現実の世界に逃げ込むようになった』 著者が『テーマは、「最愛の人の他者性」です。“マチネの終わりに”、“ある男”に引き続き、愛と分人主義の物語であり、その最先端です』 と言っています。少し難解で理屈っぽいが、著者らしい。
真夜中のカーボーイ(山田五郎)図書館46(540)47 『真夜中のカーウボーイ』は、1969年公開のアメリカ映画。これはその映画を見た世代が39年後に再会し、その時に果たせなかった夢を追うという物語。切なくも私たち年代には何とも懐かしくノスタルジックなお話しにはまった。「“好きに死なせてほしいのよ”と、アパレル会社経営の富豪の女と、出版社勤務の冴えない男が始めた心の旅・・・。高3の時の約束を果たすために、57歳の女と男は真っ赤なメルセデスSL550に乗り込んだ。デビット・ボウイを歌いながら“最高の死”の瞬間を求める道行きが始まるーー。目的地は1976年の夏と同じく南紀白浜。違うのは、元カノのデコが癌で死にそうなことだった」 。『風の盆恋歌』をちょっぴり思い出す。神田川~大阪中之島公園~熊野(那智の滝)と歩いた場所が出てくるのもいい。
東雲の途
(あさのあつこ)

図書館45(539)
46
弥勒シリーズの四作目”、面白いとしか言いようがない。屍体に隠された瑠璃石の謎、清之介の秘された過去へと話は向かう 「橋の下で見つかった男の屍体の中から瑠璃が見つかった。探索を始めた同心の木暮信次郎は、小間物問屋の遠野屋清之介が何かを握っているとにらむ。そして、清之介は自らの過去と向き合うため、岡っ引きの伊佐治と遠き西の生国へ。そこで彼らを待っていたものは…」 。少しづつ清之介の過去が見えてくる。『身の丈に合った日々が一番大切なことを、あれもこれも望めば望むだけ平穏な心根を損なうことを、ちゃんと心得ていた』 『みんな己の身が可愛いんだよ。権勢にしがみついて、その悦楽を覚えちまったやつらは特に、な。己の保身、欲のためには何だってやっちまう』 しっかりと身に沁みる話。
推し、燃ゆ
(宇佐見りん)

図書館44(538)
45
“推す”というのは、芸能的な活動をする人をファンが応援することだそうです、知らなかった。「主人公は社会にうまく馴染めない女子高生『あかり』で、彼女は男女混合アイドルグループの『上野真幸』くんを熱烈に応援しています。彼女はおそらく発達障害のようなものを抱えており、それによって居場所のようなものを見出せず、“推し=上野真幸”を応援することだけが生きがいになっています・・・」 読み始めて、何だこれ?って感じだが、社会にうまくなじめない子の話というのが分かってくると、うなずけるものがあった。ただ、SNS上での炎上など私たち年代には初体験の話が進んでいく。やはり完全に理解するのは難しい。著者はまだ大学生、本著は第164回芥川賞を受賞、デビュー作『かか』は三島由紀夫賞を史上最年少で受賞している。
斜め屋敷の犯罪
島田 荘司
図書館43(537)
44

アンソニー・ホロヴィッツが愛読書にしているとのこと。『清張以前の』の本格的探偵小説(最初の刊行は1982年)、完全に謎解きを楽しむものでちょいと懐かしかった。御手洗シリーズ第2弾、「北海道の最北端・宗谷岬に傾いて建つ館通称“斜め屋敷”。雪降る聖夜にこの奇妙な館でパーティが開かれたが、翌日、密室状態の部屋で招待客の死体が発見された。人々が恐慌を来す中、さらに続く惨劇。御手洗潔は謎をどう解くのか?」 伏線の張り方が見事です、再読したらもっと楽しめるかも・・・。リアリティありませんが、謎解きに挑戦したい方向けといったとこころか。ただ、屋敷の構造が特殊で見取り図と本編を何度も行ったり来たりしないとわかりにくかった。日本ミステリー界を変えた傑作tと言われている、大幅加筆の改訂完全版です。
木練柿
(あさのあつこ)

図書館42(536)
43
弥勒シリーズの三作目”。今回は連作集、どれにも印象的な花が登場する。『楓葉の客』:招かざる客によって思いがけない事件が・・、『海石榴の道』:“つばき”と読む、椿の花はぽとりと落ちる。男に縋ってしか生きられなかった哀しい女に死を運ぶ。『宵に咲く花』:夕顔(宵闇花とも)、白い花の記憶に怯える女が、過去を乗り越え幸せを引き寄せる。『木練柿』:清之介と(一作目で亡くなった)おりんとの恋が描かれる。面白い! 著者はシャーロック・ホームズに魅せられ、やがて藤沢周平に出会ったとのこと。『どんなときも、背を向けて逃げることをしなかった。誰かを欺くことも自分をごまかすこともしなかった。貧しい農家に生まれ、僅かな銭と取引され、生きるためには身体さえも売らねばならなかった女が、持ち続けたただ一つの矜持だった』。
その裁きは死(アンソニー・ホロヴィッツ)
図書館41(535)
42
この著者は『カササギ殺人事件』以来2冊目、今回はシャーロック・ホームズに対するワトソンの立場で作家自身が語り手となっている(数々のミステリー賞を完全制覇)。「離婚を専門とする弁護士が高級ワインで頭を殴打されて殺された。現場の壁に書かれていた謎の数字“182”。私・アンソニー・ホロヴィッツは元刑事のホーソーンによって、事件の捜査に引き込まれていく」 。登場人物が多くて最初戸惑いますが、出てくる人物がすべて挙動不審、私は全く推理できなかったけど・・・。もう一回読むと伏線が理解できるのかも。本格ミステリーの好きな方、犯人当てに挑戦してみては?。『カササギ殺人事件』よりスッキリ読める。因みに著者は、私の大好きだったテレビドラマ『刑事フォイル』の脚本も書いていたそうです。
夜叉桜
(あさのあつこ)
図書館40(534)
41
弥勒シリーズの二作目”(2007年刊行)。死んだ女の簪が、因縁の二人を引き寄せる「江戸の町で、女郎が次々と殺されていく。誰が、何のために?切れ者ゆえに世にいらだつ同心・信次郎は、被害者の一人が挿していた簪が、元暗殺者の小間物問屋主人・清之介の店『遠野屋』で売られていたことを知る・・・」 前作に引き続き 清之助が持つ闇と信次郎の鋭利な感性、伊佐治の頭脳と経験値が絡み合って、ヒリヒリした空気が最後まで途切れない。このシリーズにはまった。「欲に蝕まれ、愛憎に泣き、笑い、誰かを疎み、恨み、疎まれ、恨まれる。なるほど人とは不自由なものだ。ただひたすら生きるためにだけ生きることはできない」人と人とが絡み合う事件、独特の世界を作り出している。 。
おまじない(西加奈子)
図書館39(533)
40
著者が“あなたを救ってくれる言葉がこの世界にありますように”と、帯には『さまざまな人生の転機に思い悩む女子たちの背中をそっと押してくれる魔法のひとこと-』と。それぞれにどこか生き辛さを感じているような女の子が主人公の八つの短編集。「栽培に集中する農家の老人は何年経っても変わらないことに救われる(いちご)。 母に強く誘われて1ヶ月滞在する事になった祖父と孫娘。いい祖父といい孫を演ずることについて話する(孫係)。など」 読みやすく気持ちの中にスーッと入ってきます。読むときっと“自分と同じ”と思えるお話があるでしょう。『悪態をつくのは限られた人にだけ、本当に信じられる人にだけです。インターネットに書き込むなんてもっての外、それは本当に卑怯なことです』。
図書館の子(佐々木譲)
図書館38(532)
39
先入観もなく、タイトルに惹かれて読んだら、何とタイムトラベルを扱った短編集(6編)だった。「遭難者(東京空襲3月7日の警告)、地下廃駅(過去からの越境、約束を反故にした未来)、図書館の子(猛吹雪の中、未来の自分と?図書館での出逢い)、錬金術師の卵(500年後の未来へ)、追奏ホテル(約束を破った場合の悪夢)、傷心列車(7年越しの再会)」 時の旅人たちを巡る話。私としては最後の『傷心列車』がよかった。この手の話は大好きな私、とても面白く読めた。???何でと考えたりすることも当たり前のこと。自由に時代を往き来できて、理不尽な過去をかえられたらいいのになぁ~。時代の流れに翻弄される人々を描いているのは著者らしいが、SFものって初めてだった。
抵抗都市
(佐々木譲)

図書館37(531)
38
『帝国の弔砲』と同じ歴史改変ミステリー。日露戦争に負けた後のロシア統治下に入った東京を舞台にした警察小説。「日露戦争に負けて11年経った大正5年、実質ロシアの支配下にある日本、ロシア統監府や駐屯地などが皇居周りに点在する首都東京で男の水死体が見つかった。捜査を始めた警視庁の二人の刑事に、反ロシヤ運動の情報機関の特別警察や統監府保安室から圧力がかかる・・・」 大胆な発想、作家というのはよくもこんな話を思いつくものだと思う。著者が『今の日本社会のひずみを語るのであれば、歴史改変という形がいいだろうと思っていた。そして、今の日本への問題意識を示すために、この舞台を選んだ』と語っています。ラストがちょっと尻切れトンボみたいな気がしたが、どうも続編が出るとの噂も・・・。
半席
(青山文平)

図書館36(530)
37
前に紹介の『泳ぐ者』の5年前に書かれた徒目付片岡直人の話、「徒目付の片岡が上役の組頭・内藤雅之から持ち込まれる事件の“なぜ”を解く・・・。精勤していた老年の侍がなぜ刃傷沙汰を起こしたのか。歴とした家筋の侍が堪えきれなかった積年の思いとは、など」。代々の旗本の家になるために精励していた片岡が、腰掛けに過ぎなかったはずの徒目付の職務の“人臭い”面白さに心を動かされていくのが6編の短編で語られていく。時代小説×ミステリ、面白い!事件の裏にある人間の業。『泳ぐ者』よりこちらを先にを読んだ方がいい。『この世に真実はなく、事実だけがある』 因みに“半席”とは半畳という意味だが、この物語では(父と二代続けて)旗本にならないと永代旗本になれないため家格が半席となる。
深夜の博覧会
図書館35(529)
36
副題は“昭和12年の探偵小説”、先日紹介した『たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説』の前日譚、2018年に出版されている。「似顔絵書きの少年那珂一兵は、帝国新報の記者降旗瑠璃子の依頼を受け、名古屋で開催されている“汎太平洋平和博覧会”の取材に同行することになる。そこで一兵は、趣味人の伯爵、宗像昌清。満州の大富豪、崔桑炎らに出会う。煌びやかな博覧会に目を奪われる一兵。そんな中、東京と名古屋をまたにかけた、猟奇殺人事件が発生・・。」関東大震災のどさくさに大杉栄らを殺した甘粕憲兵大尉や、関東軍の陰謀、アヘン戦争など、この時代のギラついた人々や、出来事を見ることにも、一方大都市の猥雑なモダニズムなどノスタルジーを感じさせる舞台にも目を奪われていく。
もう、聞こえない(誉田哲也)
図書館34(528)
35
不思議な話には妙に惹かれるのです。「『声が聞こえるんです、女の人の声が』 傷害致死容疑で取り調べ中の被疑者が呟く。一向にわからぬ被害者男性の身元、14年前の未解決殺人事件。2つの事件を繫げるのは“他界した彼女”…」 。帯にある“死んだ少女”“失踪した女”“追い廻す男”“聞こえる女”の4人が2つの事件の解決の鍵に。 読み始めはガッツリ警察小説かと思ったが、何と幽霊ならぬ言霊が出てきて話は一変、不思議な世界に入り込んでいく。半分まで読んだところで“エッ”と思うような展開になり後は一気読みです。色々と伏線が張り巡らされているが、読んでいる時にはなかなか気づかないもの。ミステリー好きな方はどうぞ !
沙林/偽りの王国(帚木蓬生)
図書館33(527)34
作者は精神科医、医師の視点から“オウム真理教”犯罪の全貌を小説として描いた。地下鉄サリン事件から26年が過ぎた今、教団が創設される経緯から、数々の事件、裁判に至るまで、詳細に記述されほんどノンフィクションの感じ。医学的見地から、サリン他一連の毒物への解説が詳しいが、これは難解で手こずった。第二次世界大戦中、中国大陸で人体実験を繰り返した七三一石井部隊も、教祖の代わりに君臨したのは“国家”としての旧日本軍だったと述べていますが、ここでも医学系のエリートがヘッドハンティングされていた事実を考えると、何故オウム真理教に優秀な若者が取り込まれていったかがわかる。長野県警のずさんな捜査も重大なミス。麻原彰晃を“逃げる教祖”として裁判のシーンなど、何とも情けない教祖様です。
泳ぐ者
(青山文平)

図書館32(526)
33
タイトルからは想像もできない、犯した結果だけではなく“何故こんなこんなことが起きたのか?”人間の心に潜む闇をあぶりだす徒目付片岡直人の人間追求の物語。「離縁された妻はなぜ三年半も経って、病床の前夫を刺したのか。徒目付の片岡は“真相”を突き止めたかに思えるが最悪の事態に。折も折、耳に入る奇妙な噂。毎日決まった時刻に、冷たい大川を不恰好に泳ぐ男がいる。何のために?」 ミステリーと言うより人間の奥深い心の有り様を描いている。『まさかそんなことはすまいと想うことを、人は往々にしてする。もしも、その人が政に携わっていたら、国がすることになる。よくもわるくも国は人で動く』 『人は誰でも鬼と添う。人に生まれつけば鬼と棲み暮らすのは避けられない』 江戸の町と食べ物の話が少しくどいが、読後感はすごくいい。
たかが殺人じゃないか(辻真先)
図書館31(525)32
副題に“昭和24年の推理小説”とある。タイトルからして何とも軽い感じがしますが、とんでもない『たかが殺人・・・』 と言いたくなるような悲しい物語が背景にある。著者は88歳、戦後混乱期のこの時代を主人公たちと同じように生きた経験を持つ。「昭和24年戦争の傷跡が未だ色濃く残る復興期が舞台。ミステリ作家を目指す少年の勝利は推研と映研の合同での一泊旅行で密室殺人事件。さらに夏休み最終日の夜、台風が襲来する中で起きた廃墟での首切り殺人事件に遭遇・・・、いたる所に仕掛けられてた伏線。」 謎が解けるにしたがい悲しき真実が明らかになる。いつの時代にもいる偉そうな奴らの私利私欲や陰謀が絡む。進駐軍統治下の映画談義も面白い『自由闊達なハリウッドが赤狩りにさらされている。政治家が露骨な干渉を始めたんだ』
元彼の遺言状
(新川帆立)

図書館30(524)31
本年度『このミステリーがすごい! 』大賞受賞.。金に目がない凄腕女性弁護士が活躍する、遺産相続ミステリー 「“僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る” という奇妙な遺言状を残して、大手製薬会社の御曹司が亡くなった。学生時代に彼と3か月だけ交際していた弁護士の剣持麗子は、犯人候補に名乗り出た男の代理人として出かけるが・・・その後、別の殺人も起き思わぬ方向へ」 軽く読めて、話の展開が面白い。“わがままで強引、稼ぐことにこだわる痛快な女性”を主人公にしたかったそうです。胸のすく活躍をしてくれます。 著者自身が凄い、プロフィールをみると『1991年生まれ。アメリカ・ダラス出身、宮崎市育ち。東京大学法学部卒業。司法試験合格・弁護士として勤務しながら小説を書いている』 世の中、凄い人がいます。

クララとお日さま
(カズオ・イシグロ)

図書館29(523)
30
ノーベル賞後初 6年ぶりの新作。今回は高度な人工知能を搭載した人型ロボットが語る近未来小説。「10代の少女の姿を模した人工親友〈AF〉のクララは、ショーウィンドウ越しに約束を交わした女の子・ジョジーの家へ買われていくことに。病弱だが快活なジョジーとその幼なじみ・リックと交流を深めていくクララだったが、次第にジョジーの容態が悪化していく。ジョジーの健康を祈るクララはお日さまなら願いを叶えてくれると信じ、ある約束をするのだが…。」 優しくて温かい物語なのに切ない。身勝手な人間と自分の使命を従順に成し遂げようとするAFとの対比、イシグロ作品で一番好きな『私をわたしを離さないで』を思い出します。『孤独・愛・人間そして格差・分断』 など、現代社会への批評性がうかがえるのは「自由や平等といった民主主義的価値が次々とほころんでいく時代への戸惑い」を感じた結果だと著者が言っています。「かつて人々は共産革命を恐れ、格差に対する警戒心を持っていたが、冷戦崩壊以降、持つ者と持たざる者の格差は開き続けている。よくないこととは分かっていても実際に正そうという力が存在しない」 本作はそこに注意を向ける試みだったとも・・・。データを移し替えれば人間の複製も理論上可能となったSF的未来、しかしそんな中で“心”は存在するのか?人間とは何か?を問いかけています。著者の言葉を借りながら少し理屈っぽくなりましたが、一人称の語りで読みやすいです。ぜひ、手に取ってみてください、クララという素敵な少女に出会えます。
灰の劇場(恩田陸)
図書館28(522)
29
始まりは三面記事【今年四月二十九日に西多摩郡奥多摩町の北氷川橋(高さ二十六メートル)から日原川に飛び降りて死亡した二人の女性の身元は、二十四日までの青梅署の調べで、大田区のマンションに同居していたAさん(四五)、Bさん(四四)と分かった。二人は都内の私大時代の同級生だった】 著者が二十数年(1994年)に前に衝撃を受けた事件を“事実に基づく物語”として虚実取り混ぜ書いている。話の運びもちょいと変わっていて(1)では2人の女性の物語、(2)ではその執筆に取り組む〈私〉の日常、そしてもう一つの「(1)」ではその物語を書き上げた後の〈私〉が舞台化に立ち会う物語がつづられる構成になっている、最初は戸惑います。〈私〉は著者自身です。2人はどんな生き方をしてしてきたのか?何故自殺したのか?
52ヘルツのクジラたち(町田そのこ)図書館27(521)28 2021年の本屋大賞を受章。『52ヘルツで鳴くクジラの声は仲間に聞こえない』 「自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚(キコ)と、母に虐待されムシと呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い」 新たな魂の物語が始まるというもの。文章は読みやすいが内容は重い、“虐待児童を取り上げる難しさ”を著者が語っています、『この小説が少しでも読者の気づきになったとしたら、すごくうれしいですね』 と。しかし、ラストは心救われる展開になります。『ひとというのは最初こそ貰う側やけんど、いずれは与える側にならないかん。いつまでも、貰ってばかりじゃいかんのよ。親になれば、尚のこと』 『ひとには魂の番がいるんだって。愛を注ぎ注がれるような、たったひとりの魂の番のようなひと。あんたにも絶対いるんだ』 。
あしたの官僚
(周木律)

図書館26(520)
27
「厚労省キャリア技官の松瀬、30歳。『官僚たちの夏』に憧れ、念願の官僚となるも、実態は深夜残業は当たり前、ブラック企業顔負けの現場だった・・。国会議員からの突き上げ、関係省庁と板挟み、ノンキャリ後輩の尻ぬぐい、激烈パワハラ上司。さらには“国民”からの苦情電話に苦悶する日々・・」 そこに新潟県で謎の公害病が発生し原因究明に追われていくというお話。与野党問わず国会の先生たちに振り回される官僚たちの残酷物語です。政治家の横暴極まり、『あしたの・・』 ではなく、昔から今までこのような実態はほとんど変わっていません。これでは公務員を目指す若者が減っていくのもうなずける。『政治家の“国民に選ばれた”という事実は、凡人(政治家)に傲慢さを与える。その凡人を選んでしまった側に、本当の原因がある』 。
JR上野駅公園口(柳美里)
図書館25(519)
26
全米図書賞翻訳部門受賞作(過去に『たけくらべ』 『万葉集』そして『献灯使』が受賞)。平成天皇と同日に生まれたフリーターの男の魂を描く「1964年開催のオリンピックの前年に出稼ぎでやってきたカズは、若くして息子を失い、60歳でようやく出稼ぎを辞めて郷里帰るが7年後に妻と死別。世話をしてくれる孫娘に迷惑を掛けるわけにはいかないと家を出る。流れ着いた先の上野公園で、ホームレス生活を送ることに・・」 物語の最後には、3・11の津波にのみ込まれる故郷と孫娘の姿が描かれる。あとがきに『多くの人々が、希す望のレンズを通して東京オリンピックを見ているからこそ、わたしはそのレンズではピントが合わないものを見てしまいます』と書いています。著者にはコロナ禍にある2021年も見えていたのでしょうか?
弥勒の月(あさのあつこ)
図書館24(518)
25
初版は2006年、“弥勒シリーズ”の一作目。今年十作目が出た人気のシリーズ。『“闇”と“乾き”しか知らぬ男たちが、救済の先に見たものとは?哀感溢れる時代小説!』というコピーに惹かれて読んだ。初読み作家、解説を児玉清が書いている、中身が濃く読み応えのある本です。「小間物問屋遠野屋の若女将・おりんの水死体が発見された。同心・木暮信次郎は、妻の検分に立ち会った遠野屋主人・清之介の眼差しに違和感を覚える。ただの飛び込みと思われた事件だったが、清之介に関心を覚えた信次郎は岡っ引・伊佐治とともに、事件を追い始める」 心に闇を秘めている3人の男たちの生き様が読む者の気持ちを引きつける。コロナ禍においては、こういう下町人情物って、心にしみますね。
帝国の弔砲(佐々木譲)
図書館23(517)
24
日露戦争で日本が負けた世界を描く歴史改変小説「第一次大戦前、ロシア沿海州に開拓民として入植した日本人夫妻の次男の登志矢。鉄道技能士となって将来に夢を抱いていたが、ロシア帝国軍に徴兵され前線へ。戦乱を生き延びて復員すると、今度はロシアには革命の嵐が吹き荒れ、登志矢もそれに巻き込まれていく・・・」 その彼が、何故日本に潜伏するソ連の工作員になっていたのか?虚実取り混ぜた物語に当時のロシアの状況がよくわかる。日露戦争は朝鮮・満州の支配権をめぐり日本とロシアの間でおこなわれたれ帝国主義的戦争。戦争って何もいいことはありませんね。『世の中には、絶対に許しちゃいけないことが二つある。弱い者をいじめることと、貧しい者から盗むことだ』。

風よあらしよ
(村山由佳)


図書館22(516)
23
吉川英治文学賞受賞。 明治から大正にかけて『青鞜』の編集に携わった婦人解放運動家であり無政府主義者であった伊藤野枝。「生涯で三度結婚、7人の子を産み、28歳で(内縁の夫)大杉栄と共に憲兵隊に虐殺される」。女性や弱者のために声を上げ続けた彼女の生涯を描たい評伝小説。あの時代の息づかいを感じ、圧倒される。タイトル『風よあらしよ』は“強い風こそが好きだ、逆風であればもっといい”と向かい風に向かっていく彼女の強い意思を表している。100年も前から今まで権力というものは形を変えるだけで本質は変わっていないことがよくわかる。 (以下本文より)
・どんなに安定した家庭の中にじっとしていようと思っても、その安定が国の支配や統制によってもたらされるものでしかないのなら、結果として不安定きわまりない。権力者の気分次第でいつ取り上げられるかわからない幸福にしがみつくことに何の意味があるだろう。
・あなたがた、批判されるのがそんなに怖いの?きっとそうなんでしょうね。見たところ周りに置くのは絶対に楯突くことのない人間か、いざという時には二つ返事で動いてくれる脳みそのない兵隊ばかりのようだし。
・国家や、軍や、新聞ばかりではない。民衆こそたいがい愚かだ。冷静に考えれば明らかに理屈の通らないことを鵜呑みにし、無責任に言いふらし、自分の頭はろくに使わず、声の大きい者や力の強い者の陰に隠れようとする。
アンブレイカブル
(柳広司)

図書館21(515)
22
「1925年、治安維持法成立。太平洋戦争の軍靴が迫るなか、罪状捏造に走る官憲と、信念を貫く男たち…。 『蟹工船』の取材と執筆に熱中するプロレタリア文学の旗手・小林多喜二。 反社会的、非国民的思想犯として特高に監視される反戦川柳作家・鶴彬(つる・あきら)。 同業他社の知人たちに不可思議な失踪が続き、怯える編集者・和田喜太郎。 不遇にありながら、天才的な論考を発表し続ける、稀代の哲学者・三木清。」 信念を貫く彼らと、彼らを追い込んでいく内務省官僚参事官。『東条内閣の狂った算術・・・2+2を7にする。これが戦後日本の算術だ。真顔でそう言って恥じることのない考え方だ』 この時代の怖さを痛感じるが、今の時代も裏では同じようなことが起きているのでは?表に出ないだけ・・・。
星の旅人
(黛まどか)

21
2008年、2013年に読んだ本をまた読むことに、後味の悪い本を読んだのでスッキリとなりたかった。巡礼後に初めて読むことに、感動三度!著者が歩いたのは1999年私たちが歩く15年前、当時状況は悪かったようだが、旅で感じることはやはり同じ。私は思い立ってから実行するまで6年、彼女は4年かかったとのこと 「巡礼をするには2ヶ月近い日数がかかる、資料もなかなか手に入らない、周りを説得し、旅への不安と戦う・・・。これが内なる道の探訪の始まりだった」 と。自分自身の旅を思い出しながら読むと、ほとんどの地名やその時の状況を覚えていることにビックリ。時に自作写真集『聖地・サンティアゴへの旅』で再確認をしながら、再度カミーノを歩いた気持ちになった。今、コロナで思うようにいきません、あの時に行ってよかった!
殺人出産
(村田紗耶香)

図書館20(514)
20
“夜ふかしの本棚”で推薦の本、とんでもなかった。表題作を含めて四つの短編。またもや芥川賞受賞作家、やっぱりね!一作目『殺人出産』は、100年前殺人は悪だった。だが今は10人産んだら1人殺せる。命を奪う者が命を造る“殺人出産システム”によって人口を保つ日本になっていた・・・。というもの、ラストが特にグロテスクで苦しい。二作目は『トリプル』恋愛も家庭も3人で成り立つというもの、これもどうかな?三作目は『清潔な結婚』快楽のためのセックスは不潔、セックスレスの二人はどうして子供を作る?四作目は『余命』医療が発達してこの世から死がなくなった、死を希望すると死亡許可証をもらって自分で死ぬ準備をする。深読みすると殺人、出産、セックス、結婚、死について考えさせられるが、狂った世界としか思えない。
馬鹿と嘘の弓
(森博嗣)

図書館19(513)
19
初読みの著者、不思議な世界。タイトルからは、内容は想像できないが「探偵は匿名の依頼によりホームレス青年の調査を始める。そんな中、青年と面識のあった老ホームレスが路上で倒れ、死亡。彼は大学の元教授で、遺品からは青年の写真が見つかった。それは依頼人から送られたものと同じものだった…」 といったお話。いろんな人がいろんな生き方をしていている、底流に“「働かざる者食うべからず」の一般的な考え方と「富の不均衡」”があるような気がした。探偵事務所の所長と所員、二人とも女性でとても魅力的です。 『本来の基本的人権というのは、持てる者も持たざる者も、人間として平等であり、同じだけ生きる権利を持っている。自由に振る舞う権利を持っている。という意味です』 。
心淋し川
(西條奈加)

図書館18(512)
18
タイトルは“うらさびしがわ”直木賞受賞作。『江戸の片隅、小さなどぶ川沿いで懸命に生きる人々のささやかな喜びと深い哀しみみが胸にしみる』と帯にあった。全六話の短編連作集「心淋し川:心町(うらまち)で生まれ、育ってきた十九歳になるちほの恋。閨仏:不美人な妾ばかり4人を囲う六兵衛長屋。その一人、りきは張方に仏の顔を彫り始める。はじめましょ:飯屋を営む与吾蔵は昔の女が歌っていた歌を歌う幼い娘に出会う。冬虫夏草:十年前事故に遭い、歩けない身体になってしまった息子を溺愛する母親。明けぬ里:岡場所育ちの二人の女の生きる姿。灰の男:心町の差配・茂十の過去」 不安や不満、悲しみなどやり場のない感情を抱えた人たちの人生が描かれる。どれも切ないが、勇気が湧いてくる。













たちどまって考える

(ヤマザキマリ)


図書館17(511)
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アマビエ
は著者の作品です
『テルマエ・ロマエ』の著者。イタリアと日本をいつもは行ったり来たりしていた生活が一変。このパンデミックで否応なくたちどまる。嫌なことや不安になることからは目を背けたくなる。でもこんな時だからこそ、今だからこそ自分に何が出来るかどうするべきか考えるべき、と著者は訴えています。島国と民主主義の考え方、今まで知らなかった中国とイタリアの関係など、とても興味く読んだ。“疑ってかかれ、わきまえるな”いゃ~、目から鱗でした。
・イタリアは都市封鎖という行動制限の施策に従っていた=夫曰く「何を言っているのさ、人の命が優先されるのは当然じゃないか。とにかく命さえあれば復興はできる。歴史はそれを証明している』。
・カメラ目線で『経済よりも命が優先』であることを語ったコンテ首相。それに対し、原稿の書かれた紙に目を置いたまま自分の言葉ではない表面的な表現を連ねていては、聴いている人には何も届かない。
・メルケル首相の演説でも、政治の透明性、国民との知識の協力について述べています。それらは民主主義が成り立つための根幹とも言える要素です。
・日本の政治はどうも曖昧で、優先順位がはっきりと見えません。政治のみならず、社会一般に言えることかもしれませんが、決断を下すべき立場の人たちが責任から逃れようとしているのが今の風潮です。
・基本として『お願い』によって感染を抑制するという日本のコロナ対策は、どこに権力があって、どの組織が責任を持って発言しているかが曖昧です。その際たるものが『不要不急』という言葉。
・憲法9条に反対するデモに参加した主婦が『政治に足を踏み入れるような人と友達になりたくない』とLINEグループからはずされた。政治には国民の誰もが介入を許されるべきです。
・息子の指摘もあり、私はSNSをできるだけ控え、その分を読書をしたり、映画を観るようになりました。
・自分の頭で物事を考えられない人が大半になった時に、社会に発生する不穏な現象がどのようなものかは、ナチズムやファシズムを振り返れば容易に想像がつくでしょう。
・人間が起こした戦争という非常に不条理事態により、何もかも失った人々は『人生は思い通りにならないもの、どんなことでも起こりえる』という洗礼を浴びた。この考え方は、今ひとつのヒントになるように感じます。
・このウイルスはまるでコミュニケーションの密度が高い文化圏(イタリア、アメリカ、ブラジル、スペインなど)を狙い撃ちしているかのようです。日本のコミュニケーションスタイルは真逆です。
・コロナ対策から見えてきたのは、日本ではそもそも民主的なリーダーが求められているのか、という側面です。政策決定が二転三転するときでも『まあ、なるようにしかならない』と国民の側に諦観というか傍観というか、どうも政治との間に冷めたものが漂っているように思えてなりません。選ぶ側がそのような姿勢では、デモクラシーはいつまでも成立しないでしょう。
・日本では、人々に自由な理念や考え方を育ませるための疑念や批判の精神が根付いていないのです。というよりも根付かせたくないのかもしれません。
・「人文系はいらない、理系だけでいい」といった政治家の発言がありましたが、人間のメンタルの飢えを満たし、国の成熟度を高めるのは、テクノロジーにも劣らない、文化芸術といった分野です。
・突然の対策を強いられた結果、見なくてもよかったものまで意識が向くようになった。例えば『アベノマスク』や『Go Toトラベル』に費やされる費用など、道理はわかっても、なんだか納得のいかない政策や提案が実施されている。
・日本での感染者数に外国からは疑いの目で見られていた。イタリアでは、感染者が出た後、検査件数、感染者数、陽性率、重傷者数、退院数などが一目でわかる統計サイトが保険機関や各新聞社により随時更新され、人々はニュース以上に内容を確認し、取るべき行動を判断していた。
・人類こそ地球にとって温暖化や環境破壊といったダメージをもたらす、ウイルスみたいな性質を帯びている。危険生物をとりまとめた図鑑に『人類』が掲載されていないのがおかしいくらいです。
ナイルパーチの女子会(柚木麻子)図書館16(510)16 フワフワした女子会の話かと思ったら、とんでもなかった。山本周五郎賞を受賞している。「大企業に勤める美人なキャリアウーマン・栄利子(30歳)は、女友達がいないことがコンプレックスだった。そんな栄利子の日課は、SNSで『おひょうのダメ奥さん日記』を読むこと。ある日、同じ街に住む日記の作者・翔子に偶然出会う。二人は急速に親しくなってゆく。ブロガーと愛読者、そこから理想の友人関係が始まるように互いに思えたが・・・」 段々と思わぬ方向へと変わっていく女の友情(?)物語。読み終えた感想“怖いですね”。読んでいてちょいときつかったが先が気になり何とか完読した。ナイルパーチとは『淡水魚で食用魚だが一つの生態系を壊してしまうほどの凶暴性を持つ魚』とのこと。TVドラマ化されていたようです。
ブロードキャスト
(湊かなえ)

図書館15(509)15
えっ、これ何ミステリーじゃないの?と思ってしまった。この著者にしては珍しい学園青春ものです。「中学時代、駅伝で全国大会を目指していた圭祐は、あと少しのところで出場を逃した。高校入学後、交通事故によって競技人生を断念した圭祐は、放送部に入部。新たな居場所で再び全国を目指すことになる・・・」 放送部にスポットをあてたというところが面白い。読んだ人は昔の自分の部活風景を思い出すのでは?。『伝えるということを、もっと真剣に考えてみたいと思う。話す、書く、スマホで伝える。手段はたくさんあるのに、伝わっていない大切なことがありすぎるような気がするんだ』 そうですよね。本作は熊本県他の公立高校の入試問題にも採用されたそうです。
ゆずこの形見
(伊藤たかみ)

図書館14(508)14
「妻が出張先のホテルで死んだ。実は男との浮気旅行だった。幼い息子と土産の冷凍カニを残された夫は、妻の本心を探るため、不倫相手に会いにいく・・・」 となれば面白そうですが、私に理解力がないのか全く面白くなかった。表題作と他に『夢見入門』が収められているが、これも面白くない。どうも、芥川賞作家は苦手です。退屈な会話やくだらない挿話が多く、途中でやめてしまうのは嫌だから全部読んだけど、読むのが辛かったという本です。こんな本を好む人もいるのでしょうね。(因みに著者は男性です)。
麦本三歩の好きなもの(住野よる)図書館13(507)13 図書館勤務の20代女子、麦本三歩のなにげなく愛おしい日々を描いた心温まる日常小説。(コピーより)「麦本三歩には好きなものがたくさんある。歩くこと。寝坊すること。本を読むこと。食べること。仕事先では怒られがちだけど、大きなチーズ蒸しパンを食べれば気分は上々。休みの日は、お気に入りの音楽を聴きながらひとり時間を満喫する・・・。何も起こらない毎日だけどなんだか幸せ」 。実際にこんな子いたらイラッとするかもしれませんが、読んでいて幸せな気分になる本です。『何かしらの摩擦があって、人と人は親密になるものなのだろう』そうかも。人は未熟であっても成長する生き物と教えてくれている気がします。著者は“君の膵臓が食べたい”(2016年book照会)の住野よるです。
永遠のおでかけ
(益田ミリ)

図書館12(506)
12
イラストレーター益田ミリのエッセイ集、珠玉の20編を収録。父が死を迎える前後を中心に父との思い出を爽やかに切なく語っている、心優しくなる本です。「がんにかかり余命幾ばくもないと言われた父。普段どおりの生活を送りながら、気負わず、でも、かけがえのない時間を父と過ごしたいと願う私。やがて父はこの世界から旅立っていき、ささやかなお葬式が執り行われた。悲しみは波のように現れては消える。私の感情は、どこへ向かうのか?」 誰しもが、後からあの時こうすればよかったと後悔することはたくさんありますが、この本はその先をどう生きていけばいいかも教えてくれます。 『白黒つけず、川の流れのようなつきあいがあってもよい』 『素直に気持ちを伝え、面倒くさがらずに生きろ』 と。
少年と犬
(馳星周)

図書館11(505)
11
第163回直木賞受賞作。一匹の犬をめぐる6っつの話が描かれる。2011年の東日本大震災から2016年の熊本地震までの5年間、ひたすら南に向かう犬が出会う人たちとの触れあい。「家族のために犯罪に手を染めた男、仲間割れを起こした外国人窃盗団の男、壊れかけた夫婦、体を売って男に貢ぐ女、死期の迫った老猟師、震災のショックで心を閉ざした少年、それぞれの心に寄り添う一匹の犬の旅。 果たして犬は何を求めて南を目指しているのか・・・」 それぞれの章が人間の弱さや優しさを感じさせてくれるが切ないです。まるで神の遣いの様な犬、ラストはもちろん涙・涙。『犬を愛する人に掲げる感動作!』 とありましたが、私のように特に犬好きでもなくても、感動する本です。ネタバレ、東日本大震災と熊本地震が舞台となっておるのです。
始まりの木
(夏川草介)

図書館10(504)
10
著者の言葉より『少しばかり不思議な話を書きました。木と森と、空と太地と、ヒトの心の物語です』と。柳田国男の“遠野物語”を思いながら自然崇拝の人間の心を書いている、心洗われる本です。「変わり者の民俗学者古屋と教え子千佳が日本各地(弘前・岩木山、京都・鞍馬、松本市・伊那谷、宿毛市・同行二人、東京文京区)を旅する五つの話。『大きな岩を見たらありがたいと思って手を合わせる、立派な木を見たら胸を打たれて頭を下げる。大きな滝を見たら、滝壺に飛び込んで打たれるし、海に涼む夕日を見て感動する。そう感じる、これがこの国の人たちの神様との付き合い方だ』 それに『風が流れたときは阿弥陀様が通り過ぎたときだ。小鳥が鳴いたときは、観音様が声をかけてくれたときだ』 と、自然をこんなに感じるようになればいいですね。
路(ルウ)
(吉田修一)

図書館9(503)
9
浅井リョウが『この小説“路”は、手に取るだけで、重なる頁の隙間から良質な物語の予感が香り立ちます』と。話は1999年、台北~高雄間の台湾高速鉄道を日本の新幹線が走るところから始まり、2007年に開業までの日々が、様々な視点から綴られる。「プロジェクトチームの一員入社4年目の商社員・多田春香、先輩の安西、日本で働く台湾人青年・劉、台湾で生まれ育ち終戦後に帰国した日本人老人・葉山など・・、一人ひとりの人生が重なり合っていく」心温まると同時に切なくもあるが台湾と日本人の織りなす人間ドラマです。『台湾の人が日本を思う気持ちに比べると、日本人が台湾のこと(台湾と中国のこと)を知ろうとする気持ちは、お粗末としかいいようがない。いつか、台湾の人が日本を思う気持ちを、日本人が気づく日が来ることを願う」。
真夏の雷管
(佐々木譲)

図書館8(502)
8
北海道警シリーズ第八弾!久しぶりに読みました。JR.北海道の保線記録改ざん事件で首になった元組合活動家と、母に見捨てられた鉄道好きの少年との出会いから始まる悲しい物語。「小さな園芸店の裏口が破られ、窃盗目的の侵入があった。盗まれたのは肥料、爆薬の原料にもなる硝酸アンモニウム。同じ頃、模型店で精密工具を万引きした小学生男子が補導される。2つの事件の関連がわかるにつれ、思わぬ方向へ・・・」 物語の終盤、時間との勝負になっていくところはまるで映画を見ているようで、うまいですね。JRを首になった者が再就職する際、就職会社への照会に対しJR側がすごい悪意ある意見を述べるなど、人が再生しようとしても、どうしようもない現実も見えてくる。ちょいと涙腺が緩むいい小説でした。
夜ふかしの本棚(中村文則他)
図書館7(501)
7

朝井リョウ/円城塔/窪美澄/佐川光晴/中村文則/山崎ナオコーラ 。6人の作家が心を震わせた五十九冊を紹介したエッセー集。読んだ本も何冊か入っていたが、“これは”と思うのが十数冊ありました。そのうち読んでみようと思う。作家の個性もわかり面白かった。沖縄に移住した俵万智の歌 『「オレがマリオなんだよ」島に来て息子はゲーム機にふれなくなりぬ』 なんかわかりますね。山崎ナオコーラ「私は将来のために読書をすることや、未来に役立てるために勉強をすることが嫌いだ。今を楽しく生きるために学ぶのだ」 それと私の大好きな中村文則 「現在の日本の流れは非常に危険だと思っている。作家として、書くべきことは書かねばならないという思いもあった。どんな戦争にも、裏には必ず利権があることは言うまでもない」 等々・・。

アンダークラス
(相場英雄)

図書館6(500)
6
“震える牛”“ガラパゴス”に続く田川信一シリーズ第三弾、今回はアンダークラス(技能実習生、非正規雇用など下層階級)の犠牲で成り立っている社会の闇をあぶり出していく社会派ミステリー。「老人施設で働く外国人実習生のベトナム人女性が末期がんに苦しむ老女の自殺を幇助した容疑で逮捕される。捜査に加わった田川は検視写真『手』に疑問を抱く。捜査は能代から神戸、東京へ。そして捜査線上に世界の流通業界の覇者として君臨するIT企業があがる」 コロナ禍の今、大もうけしているAmazonなどがモデルと思わせる、この世界の仕組みがよくわかる、日本という国も下層国に向かっているという現実も。「何をしてもこの国は何も変わらん。役人やら社長、政治家ばっかりええ思いして、ウチらたいな下層民は一生働いても歯車のまま死ぬ』。
俺はエージェント(大沢在昌)
図書館5(499)
5
『新宿鮫』の著者がこんな軽いものを、2017年に刊行されたのに今の世の中を見ています。「ある居酒屋にかかってきた一本の電話、それは23年ぶりに復活した、あるエージェント組織の極秘ミッションだった。主人公はスパイ小説好きのフリーター青年・村井。元凄腕エージェントだったという常連客の白川老人と行動することになり、敵対する組織の殺し屋たちに命を狙われるはめに・・・」 最後はしっかりと巨悪組織の陰謀を追いつめるていく。思わぬ展開にあれよあれよという間に引き込まれます。世の中の正義とは?『地球全土が原始共産主義にでもならない限り、経済原理から逃れられる国はひとつもない。戦争は必ず起こる、戦争こそが停滞した経済を活性化させる、最大の手段だからだ。国家が利益を求める限り、行き着くところは戦争しかない』。
百舌落とし
(逢坂剛)

図書館4(498)
4
スタートから33年、ついにMOZUシリーズ完結、ですが、ラストは切なく権力に対する無力感が漂う。「元民政党の大物議員が両瞼を縫い合わされた上で殺されるという怪事件で幕を開ける。被害者は頸部を千枚通しで一突きされ、現場には例の百舌の羽が・・・、あの伝説の殺人鬼、百舌の手口だだった」 前2作からの続編として読むとよくわかる。今回、防経済を衛省の大学の研究機関への予算増額と学術会議が絡んだり、自然破壊(核廃棄物の処理や地球温暖化など自然破壊の問題など身近な出来事も上がってきます。それに人工知能技術の国際争奪戦へと展開し、研究資金の流れや武器も日用にも使われる技術から転用される危うさなどの現実も見せてくれます。『悪は滅ぶことなく、百舌は何度も蘇ると』いうのが作者の言いたいことなのか・・・
墓標なき街
(逢坂剛)

図書館3(497)
3
百舌シリーズ第6弾(前作から3年後の2015年刊行)。『鵟の巣』の続編といった感じ。鉄鋼会社の武器輸出三原則違反疑惑に端を発し、政界の暗闇や過去のいくつかの百舌事件がからんでゆく「百舌事件についての記事執筆を依頼された記者の残間。一方では武器輸出に関わる商社と政権の癒着が起きていた。点と点を繋ぐ大杉や美希の前に再び百舌が現れる・・・」 今回、大杉の娘が登場少し物語に変化を与えるが3作目までのハードさはない。が、最後までぐいぐい引っ張られるのはいつも通りです。武器三原則に反発する武器メーカー、集団的自衛権の行使を狙う国会議員たちが三原則撤廃をもくろんでいることや、“防衛装備移転三原則”などと名称を変えてまでなし崩しに武器の輸出入を認めさせようとする暗躍等興味深く読めます。
ノスリの巣(逢坂剛)
図書館2(496)
2
百舌シリーズ第5弾(前作から4年後)、今回百舌が生まれ変わったということではない 「途方もなくみだらで美しい女。警視庁美人刑事を巡る怪しい噂。特別捜査官・倉木美希と私立探偵・大杉良太が調査に乗り出した時、標的も牙をむく! 今、暴かれる百舌を超える闇の正体・・・」。この公安シリーズは、政治権力による警察支配を目的とした陰謀との闘い。だが、倉木尚武に続いて津城警視正が死んだあと、2人だけでの闘いには限界があったのか、今までのシリーズに比べると、あっけなく終わったという感じ。でも、ハードボイルドで面白いのはそのまま。『諸悪の根源は、警察を権力維持の装置として利用する政治家と、それにすり寄るキャリアの警察官だ。割を食うのは使い捨てにされる底辺にいる叩き上げの警察官です』と。
十字架のカルテ(知念 実希人)
図書館1(495)
1
精神鑑定医の話で、連作短編集だが読み応えがある。「心神喪失者は罰せられない。刑法第39条。ならばその十字架は誰が背負うのか。精神鑑定医と若き精神科医が探る5つの事件と心の闇。心神喪失か心神耗弱か詐病か。究極の心理戦により明らかになる本当の理由」 鑑定にも簡易鑑定と本鑑定があるなんて知らなかった。私は今まで、責任能力があってもなくても犯罪は犯罪でしょう、という派ですが現実にはこんなことがあるんだろうなと考えさせられた。『無罪や不起訴になった触法精神障害者は多くの場合、措置入院になっていた。その後は医療サイドに丸投げだ。その後のことを司法は関知してこなかった。退院させるか社会復帰させるのか、判断は治療に当たる医療者に一任されている』 と。

2021年book ランキング 
 1 位 クララとお日さま
 2 位 JR上野駅公園口
 3 位 弥勒シリーズ
花下に舞う 鬼を待つ 雲の果 花を呑む 地に巣くう 冬天の昴 東雲の途 木練柿 夜叉桜 弥勒の月 
 4 位 沈黙の終わり(上・下)
 5 位 月下のサクラ
 6 位 沈黙のパレード
 7 位 血の雫
 8 位 白鳥とコウモリ
 9 位 神よ憐れみたまえ
10 位
11 位 闇医者おゑん秘録帖-花冷えて  闇医者おゑん秘録帖
12 位 兵諫
13 位 おまじない
14 位 家族じまい
15 位 コーヒーが冷めないうちに この嘘がばれないうちに
16 位 あんなにあんなに
17 位 52ヘルツのクジラたち
18 位 雷神
19 位 リボルバー
20 位 女のいない男たち
21 位 プリンス
22 位 風よあらしよ
23 位 沙林 偽りの王国
24 位 たちどまって考える
25 位 少年と犬
26 位 本心
27 位 テスカトリポカ
28 位 神のダイスを見上げて
29 位 真夜中のカーボーイ
30 位 図書館の子
31 位 心淋し川
32 位 その裁きは死
33 位 赤ずきん、旅の途中で死体と出会う。
34 位 抵抗都市
35 位 深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説
36 位 泳ぐ者
37 位 半席
38 位 たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説
39 位 路(ルウ)
40 位 始まりの木
41 位 ドキュメント
42 位 ブロードキャスト
43 位 もう、聞こえない
44 位 百舌シリーズ
(5)ノスリの巣
 (6)墓標なき街 (7)百舌落とし
45 位 推し、燃ゆ
46 位 元彼の遺言状
47 位 アンブレイカブル
48 位 帝国の弔砲
49 位  永遠のおでかけ
50 位 斜め屋敷の犯罪
51 位 灰の劇場
52 位 馬鹿と嘘の弓
53 位 あしたの官僚
54 位 アンダークラス
55 位 真夏の雷管
56 位 麦本三歩の好きなもの
57 位 ライフ
58 位 殺人出産
59 位 ナイルパーチの女子会
60  俺はエージェント
61 位 十字架のカルテ
62 位  ゆずこの形見
ランク外 星の旅人
夜ふかしの本棚
  足が未来をつくる

                         ※はノンフィクションです。