CINEMA(2023)

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ナポレオン

38(783)
リドリー・スコット監督が英雄ナポレオン・ボナパルトを新解釈で描いたスペクタクル。「1789年、フランス革命が始まる。マリー・アントワネットが斬首刑に処され、国内の混乱が続くなか、ナポレオンは天才的な軍事戦略で諸外国から国を守り、皇帝にまで上り詰めた。最愛の妻ジョセフィーヌの奔放な振る舞いに悩まされながらも、フランスの最高権力を手中に収めていくが、いつしか侵略や征服へと向かっていく・・・」 。部分的にしか知らなかったナポレオンの物語がよく分かり、とても面白かった。トゥーロンからワーテルローに至るまで迫力みなぎる戦闘シーンも見物だが、結婚式、戴冠式など要所で出てくるジョゼフィーヌのドレスなども見所。何かこの時代の女性は哀しい!
私がやりました

37(782)
フランソワ・オゾン監督が、映画プロデューサー殺人事件の“犯人の座”をめぐって3人の女たちが繰り広げる騒動をユーモアたっぷりに描いたクライムミステリー。いやぁ~笑った、肩の凝らないしゃれたフランス映画。「有名映画プロデューサーが自宅で殺害される事件が発生。容疑者として浮上した女優マドレーヌだったが、親友である弁護士ポーリーヌの力を借り無罪を勝ち取りスターの座へ・・。そんな彼女の前に大物女優オデットが現れ、プロデューサー殺しの真犯人は自分だと主張する。」 軽快な話の中に『女性の自立』を忍ばせ、同時に『嘘に嘘を重ね、真実を見えなくする』のような“現代への揶揄”をさらりと織り込んでいる。1935年のパリも見もの。
バッド・デイ・ドライブ

36(781)
ドイツや韓国でもリメイクされた2015年のスペイン映画 [暴走車 ランナウェイ・カー] のリメイク。リーアムらしいノンストップアクション、まあまあ面白かった。ただ、71歳のリーアムに学校に通う子供がいるのには違和感を感じた(孫にすればよかったのに)。「マットは2人の子どもを学校に送り届ける途中正体不明の男から、車を降りたら爆弾が爆発するという脅迫電話を受ける。彼はその声の主、要求、目的などがわからぬまま運転を続けるが、行く先々で爆弾により車が次々と爆破されていく。しかも、その被害者はいずれも同僚だった」家族との関係もギクシャク、仕事も上手く行かず、挙句の果てに車に爆弾を仕掛けられるという最悪状態、いかに切り抜けるか?
私はモーリーン・カーニー
正義を殺すのは誰?


35(780)
フランスの原子力会社の労働組合代表が国家的スキャンダルに巻き込まれていく姿を、実話を基に描いた社会派サスペンス。「世界最大の原子力企業アレバ社の労働組合代表を務めるモーリーン・カーニーは、中国とのハイリスクな極秘取引を知り、会社の未来と従業員の雇用を守るため内部告発をする。 やがてモーリーンは自宅で襲われるが、権力側は彼女の自作自演だと自白を強要・・・」。2012年~に実際に起きた事件、権力、マスコミに立ち向かい立ち直っていくカーニーを演じているイザベル・ユペールがとても70歳とは思えないくらい魅力的で素晴らしい。現在のフランスの原発は全て中国製だとか、怖いですね。


34(779)
なぜ本能寺の変が起きたのか、そしてなぜ討たれた信長の首は見つからなかったのか?北野武が構想に30年を費やして監督・脚本を手がけた映画。有名武将たちを“偉人”ではなく“狂人”として描いている。「天下統一を掲げる織田信長は、毛利軍、武田軍、上杉軍、京都の寺社勢力と激しい戦いを繰り広げる中、家臣・荒木村重が反乱を起こし姿を消す。信長は羽柴秀吉、明智光秀らを一堂に集め、跡目相続を餌に村重の捜索を命じる。」 正直、私好みではなかった。信長を始め戦国武将達の狂った言動。よく首は飛ぶし、今誰と誰が戦っているのか分からないシーンもあったり。それに武将同士が愛し合っているのが理解できない(信長と森蘭丸は分かるが)。
ゴジラ−1.0

33(778)
“ゴジラ”の生誕70周年記念作品、監督・脚本・VFXを務めたのは山崎貴。『ALWAYS三丁目の夕日』などを手がけた人、『ゴジラ映画に携わることが夢』だったとか。私は第一作目から見ているゴジラファンなのだ。今回“戦争は怖い、だから映画に”と作られた、ラストはウルウル。「戦争によって焦土と化した戦後の日本、全てを失い文字通り『無(ゼロ)』になったこの国に、追い打ちをかけるように突如ゴジラが出現する。ゴジラはその圧倒的な力で日本を『負(マイナス)』へと叩き落とす。戦争を生き延びた名もなき人々は・・」 単なる怪獣映画というより戦争映画、心に傷を負った人たちがどのようにして戦争を終わらせるのか。テレビ小説『らんまん』で夫婦役を演じた二人が主役。
キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

32(777)
3時間半もの長い物語、でも全く飽きない。ノンフィクション『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』が原作。「1920年代、オクラホマ州オーセージ。先住民が住む居留地で、石油が発掘されたことで莫大な富を得た。その財産に目をつけた白人たちは彼らを巧みに操り、脅し、ついには殺人にまで手を染める。そこでFBIは事実究明のために動き出す。」 実際に1925年までに少なくとも60人のオセージ族が死亡し、彼らの土地は地元の弁護士や後見人に相続されたとのこと。アメリカ人も知らない先住民虐殺事件が明かされる。歴史の闇はどこでも隠蔽されている。レオナルド・ディカプリオもいい味を出しているがロバート・デ・ニーロは相変わらず上手い。
ザ・クリエイター
創造者

31(776)
AIは敵か味方か?舞台は近未来の2065年 AI根絶をはかるUS政府対AIとの共生を目指すニューアジアとの戦い。『ローグ・ワン スター・ウォーズ・ストーリー』や『GODZILLA ゴジラ』のギャレス・エドワーズが監督・脚本を手がけている。「遠くない未来、人を守るはずの AI が核を爆発させた。人類対AI の戦争が激化する世界で、元特殊部隊のジョシュアは人類を滅ぼす兵器を創り出した“クリエイター”の潜伏先を見つけ、暗殺に向かう。だがそこにいたのは、純粋無垢な超進化型 AI の少女アルフィーだった・・・。」 現在の世界を見ているような気分にもなる。人間の心を持つようになったAI、そのような世界がそこまで来ているのでは。なかなか面白かった!
ダンサー イン Paris

30(775)
新聞の評に“人生が行き詰まったとき、悩みながらも打開策を見つけ、別の生き方へ歩み出す姿に共感し、勇気が湧いてくる作品”とあった。「パリ・オペラ座バレエ団でエトワールを目指すエリーズは夢の実現を目前にしたある日、足首を負傷してしまう。医師から踊れなくなる可能性を告げられた彼女は、新しい生き方を模索しはじめる・・。そんな時旧友に誘われて行ったブリュターニュの地で、独創的なコンテンポラリーダンスの世界に初めて触れる。」 主演のマリオン・バルボーは本作が俳優デビュー作、パリ・オペラ座のバレリーナでクラッシックとコンテンポラリーを自在に行き来する現役のダンサー。冒頭のオペラ座のシーンからコンテンポラリーのダンスシーンまでどれもが素晴らしい。
ジョン・ウィック
コンセクエンス

29(774)
シリーズの第4作、すべてが『R15+指定』という超ハードアクション。回を追うごとにガンアクションが派手になっている気がする。まるでゲームの世界。「裏社会の掟を破った殺し屋のジョン・ウィックは、粛清から生還する。組織の中で勢力拡大を図る若きグラモン侯爵は、ジョンを守ってきたNYコンチネンタルホテルを爆破し、旧友でもあった盲目の達人ケインを引き入れて追い詰める。ジョンは友人のシマヅに助けを求め、大阪に降り立つ・・・」 ハリウッドのアクション映画は年々過激になって、見ていて面白いのだが現実感がまるでわかない、でもそれがストレス発散にはいいのかな!
名探偵ポアロ
ベネチアの亡霊


28(773)
原作はクリスティの小説「ハロウィーン・パーティ」、ケネス・ブラナーが監督・製作・主演を務めたシリーズ第3弾、ポアロファンとしては楽しみにしていたが今回はあまりパッとしなかった。「ベネチアで降霊会で、招待客が何者かに殺害される事件が発生。誰もが亡霊の仕業だと信じる中、超常現象を完全否定し人間の犯行だと確信するポアロは、その不可解な事件の真相解明に乗り出すが・・・。」 原作は読んでいないが、タイトル、内容もかなり改編されており別の作品といってもいいくらいとのこと。なるほど、だから今までのポアロものと雰囲気が違ったのか・・・、ポアロファンとしてはちょいと残念な感じ。
君たちはどう生きるか

27(772)
宮崎駿監督10年ぶりの長編!一部の観客からは『訳がわからない』という声もあるとのことだが、そんなことはなくとても面白かった。ファンタジーと現実の世界を描く。「太平洋戦争末期。母を空襲で亡くし父と疎開したものの、新生活を受け入れられずにいた少年・真人。ある日、彼は大叔父が建てたという洋館を発見し、謎のアオサギに導かれながら洋館に足を踏み入れる」 少年が“自らの悪意とどう向き合うか?”また“亡き母との絆を保ちつつ新たな母をどう受け入れるか?”と言う問題と“過去の負の歴史どう向き合うか?”など、見方はいろいろあるようで、今までの宮崎作品とはひと味違う。よくこんな世界を作り出せるもの、頭の中を見てみたい。
アウシュヴィッツの生還者

26(771)
アウシュビッツからの生還者ハリーの半生を息子が書いた実話をもとに映画化。「1949年、強制収容所アウシュビッツから生還したハリーは、アメリカでボクサーとして活躍しながら、生き別れた恋人レアを捜していた。レアに自分の生存を知らせるため取材を受けたハリーは、自分が生き残ることができたのはナチス主催の賭けボクシングで同胞のユダヤ人たちに勝ち続けたからだと告白・・」 。ドイツ兵たちを楽しませる余興として行われたユダヤ人捕虜たちのボクシング(負けた方は殺される)、それを異常だと言えない人間を作り上げたナチズム。人間の狂気と愚かさ、これだけ時間が流れても何故か今でも人間は何も学んでいないと思える。生きることの意味を投げかけるている映画。
福田村事件

25(770)
100年前の関東大震災直後の混乱の中、実際に起こった虐殺事件・福田村事件を題材にした映画。「1923年。千葉県福田村に暮らす澤田智一は、日本統治下の京城で日本軍による朝鮮人の虐殺を目撃していたが、妻にも一切話すことはなかった。そんな中、関東大震災が発生。流言飛語が飛び交う中、香川からやって来た薬の行商人たちが朝鮮人と間違われ、やがて興奮した村民の集団心理に火がつき、大虐殺が起こってしまう」 集団の狂気、ホントに怖いです。それをたきつけた権力者達。これを無かったことにしようとしている現代の権力者や一部の国民。次のURLをcrickしてください、新聞の社説が問いかけています。kochan.mypages.jp/23gyakusatunokiroku.html
こんにちは、母さん

24(769)
主演の吉永小百合が『家族のつながりも難しくなっている昨今ですが、地球に生きる人々はみな家族なんだと、少しずつ声を出して行かなくてはならないと思います』と語っている。「大企業の人事部長としてリストラに頭をすり減らす昭夫、家では妻との離婚問題や大学生の娘との関係に頭を抱える日々を送っていた。心配する母の福江(吉永)、ちょっぴりお節介だが情に厚い隣人達、福江が思いを寄せる老牧師、意地っ張りでかたくななホームレスなどが絡んで物語は進む」 まさに現代社会の縮図!そびえ立つスカイツリーの下にも昔と同じ暮らしがある。葛飾柴又同様、街角の先頭や屋形船、戦争の記憶もさらりと織り込みなが下町情緒たっぷりな山田節。爽やか!
リボルバー・リリー

23(768)
2016年に原作を読んですごく面白かったので観に行った。「16歳からスパイとして暗躍し、わずか3年で57人の殺害に関与した過去を持つ小曾根百合は、何者かに家族を殺害された少年、細見慎太に助けを求められる。彼は帝国陸軍資金の鍵を父親から託されており、それを奪おうともくろむ陸軍に追われていた。慎太を助けようとする百合だったが、陸軍の追手はすでに2人のすぐそばまで迫っていた。」。舞台は大正末期の1924年、関東大震災からの復興でモダンな建物が増えいた時代で、その時の雰囲気が出てとてもいい。ハリウッドのドンパチとハイ違うアクションも激しさを求めなければ結構楽しめた。映画になるとこんなものでしょう。行定監督、綾瀬はるか主演。
ミッション:インポッシブルデッドレコニング PART ONE
22(767)
シリーズの第7作、今回初の2部作のPART1となる。「IMFのエージェント、イーサン・ハントに、新たなミッションが課される。それは、全人類を脅かす新兵器を悪の手に渡る前に見つけ出すというものだった。しかし、そんなイーサンに、IMF所属以前の彼の過去を知るある男が迫り、世界各地で命を懸けた攻防を繰り広げることに・・・」人間がITに操られる時代になってきた、映画だけの世界ではないのだろうと思わせる。相変わらず世界を舞台に駆け巡る、美しい水の都ベニスを懐かしい気持ちで観た、また、ノルウェーの山々に囲まれた断崖絶壁からバイクで空中にダイブするアクションシーンなど、見所満載。続編が待ち遠しい。
告白、あるいは完璧な弁護

21(766)
韓国製サスペンススリラー、韓国映画は面白い!「IT企業社長ユ・ミンホの不倫相手キム・セヒが密室のホテルで殺された。事件の第一容疑者となったミンホは潔白を主張し、100%無罪を勝ち取る敏腕弁護士ヤン・シネを雇い事件の真相を探り出す―。そこで事件前日に起きた一つの交通事故がセヒの殺人に関係しているかも・・・」。容疑者の男と弁護士の女の会話でストーリーが進み展開が読めるシーンもあるが、ひとつひとつのシーンから目が離せない。観ている人に予断を与えるような伏線を張り巡らせてあり、もう一回じっくりと観てみたい映画。サスペンス好きにはおすすめ。
インディ・ジョーンズ
と運命のダイヤル

20(765)
『インディ・ジョーンズ』シリーズの第5作、前作から15年ぶりの新作。「“人類の歴史を変える力”を持つ究極の秘宝《運命のダイヤル》を巡り、考古学者にして冒険家のインディが” 、因縁の宿敵、元ナチスの科学者フォラーと全世界を股にかけて陸・海・空と全方位で争奪戦を繰り広げる・・・」 イャー懐かしの冒険活劇。御年79歳のハリソン・フォードのタフなこと、信じられないようなシーンの連続。ドキドキする、しかもユーモアもあるアクションシーンは、このシリーズの醍醐味でしょう。何も理屈をこねることなく楽しめる、2時間半があっという間に過ぎた。アドベンチャー映画を楽しみたい方はどうぞ!
探偵マーロウ

19(764)
リーアム・ニーソン出演100本記念作品。「1939年、ロサンゼルス。私立探偵マーロウのもとに裕福そうなブロンド美女が現れ、姿を消した元愛人を捜して欲しいと話す。依頼を引き受けたマーロウは捜索を進めるうちに、映画産業が急成長するハリウッドの闇を知ることに・・・」。金髪美女の依頼人.行方不明の男性.裏社会との接点.糸を引く権力者.そして明かされる真実とは?妙に懐かしさを覚える、この時代悪をバッサリ切り捨てても問題にならないところが面白い。出てくる車や町並みもなかなかのもの、白黒映画でも雰囲気が出たのはと思える。お年寄りには懐かしいマーロウ!
怪物

18(763)
物語は、母親、教師、そして息子の3の視点で描かれれる。「子供同士のケンカに見えた。しかし、彼らの食い違う主張は次第に社会やメディアを巻き込み、大事になっていく。そして嵐の朝、子供たちは姿を消した・・・」。 母親と教師は、自分の正義感に反する相手を、“怪物”だと決めつけているが、子供たちは、大人たちの考えにに影響され、自分を“怪物”だと思い始める、『“怪物”の正体は、自分の中にある正義感が生む“偏見”なのだ』との評があった。ラストシーンが気になったが、それは『“嵐の去った後の草むら”なのか、“二人だけの世界への旅の始まり”、いわゆる死後の世界を意味するのかは、見る者に委ねられている』 と。
ワイルド・スピード/ファイヤーブースト
17(762)
シリーズ第10昨、「ドミニクはロサンゼルス郊外で恋人レティや息子らと平穏な日々を過ごしていた。しかし、12 年前にドミニクらが倒したブラジルの麻薬王レイエスーの息子ダンテが家族や未来を奪われたことから、激しい復讐心に駆られ行動を起こし始めていた。敵の大胆かつ巧妙な策に翻弄され窮地に立つ・・・。」舞台はローマ、ナポリ、リオ、ポルトガルと旅した気分にさせてくれる。相変わらずド派手なカーアクションは健在、ステイサムのアクションはキレがある。CGあってこそでしょうがよくもこんなシーンが作れるもの。何にも考えずに観られるアクション映画、スカッとします。後編があるとは知らずに観ていた。
アルマゲドン・タイム
ある日々の肖像

16(761)
レーガン政権が誕生し冷戦の緊張が高まった80年代、時代を取り巻く理不尽や不公平が浮き彫りに、「80年代NY、ユダヤ系アメリカ人家庭に生まれた12歳のポールは、公立学校に通っている。彼は、教育熱心な母、働き者の父、私立学校に通う優秀な兄と、不自由なく暮らしていたが、クラスの黒人生徒と親しくなったことで複雑な社会情勢を知ることに・・・」 この時代のアメリカの差別と格差、根深いものがあり胸を締め付けられる。もちろん、現代でもアメリカに限らず日本でも表だっては目立たなくても人の心の中には居座っている。もし、自分がこの子の親だったらどうするだろう?アンソニー・ホプキンス、アン・ハサウェイが素晴らしい。
高速道路家族

15(760)
ホームレス一家とちょっと裕福な女性との偶然の出会いが思わぬ事件を引き起こす・・・。「テントで寝て、夜空の月を照明として暮らすギウと3人の家族。彼らは、高速道路のサービスエリアを転々とし、再び遭遇することのない訪問者に2万ウォンを借りながら食いつないでいる。ある日、すでにお金を借りたことのあるヨンソンと別のサービスエリアで再び遭遇してしまう・・・」 幸せってなんだっけ?家族の幸せと苦しみを見せられた感じ。家族って大事なんだけど、それを間違った父親やはり悲しい。ハッピーエンドとは言えない結末?ラストのラストで意見が分かれる(ハッピーエンドと捉える人もいる)。韓国映画は面白い。
MEMORY
メモリー


14(759)
リーアム・ニーソン主演、アルツハイマー病で記憶を失っていくベテラン殺し屋が最後の仕事に挑む。「アレックスは、すご腕の殺し屋として裏社会で名をはせてきたが、アルツハイマー病を発症して依頼の詳細を覚えられなくなってしまう。引退を決意して最後の仕事に臨む彼だが、ターゲットが少女だと知り、契約を破棄。逆に犯罪組織から少女の命を守り抜こうとする・・・」 筋立てとしてはいいのだが、リーアムを生かせていない感じがして物足りなかった。法は正義を執行しないし、組織は権力やお金には弱い。だから悪い金持ちに罰を与えるには法に背くしかないという終わり方、いいのか悪いのか・・・。
帰れない山

13(758)
北イタリア、モンテ・ローザ山麓を舞台に、自分の人生と本当の居場所を求めて彷徨うかけがえのない友情と魂の交流を描いた大人の青春映画。2022年・第75回カンヌ国際映画祭で審査員賞を受賞「都会育ちの少年ピエトロは、山を愛する両親と休暇を過ごしていた山麓の小さな村で、同い年で牛飼いをする、野性味たっぷりのブルーノに出会う。大自然の中を駆け回り親交を深めてゆく。やがて思春期のピエトロは父親に反抗し、家族や山からも距離を置いてしまう。時は流れ、父の悲報を受け、村に戻ったピエトロは、ブルーノと再会を果たす・・・」 モンテローザ~ネパールと大自然の中、ゆっくりと時の流れを追い2時間半飽きさせない。友情と自然美、堪能あれ。
銀河鉄道の父

12(757)
原作は直木賞受賞作(2018年book紹介)。「質屋を営む裕福な政次郎の長男に生まれた賢治は、跡取りとして大事に育てられるが、家業を『弱い者いじめ』だと断固として拒み、農業や人造宝石に夢中になって、父・政次郎と母・イチを振り回し、 さらに宗教に身を捧げると言い出す。そんな賢治だったが、妹のトシが病気を患ったことをきっかけに筆を執る・・・」 。ラストの『雨ニモマケズ、風ニモマケズ・・・』には涙、しっとりとしたいい映画に仕上がっている。いい作品が生前に評価されないのは寂しい、賢治に限らないけど・・・。原作を読んだ時にも思ったが妹の存在があったから数々の名作が生まれたのでは・・。役所広司、菅田将暉、森七菜の3人の演技が素晴らしい。
ロストケア

11(756)
先日bookで紹介したばかりなのに、映画を観た。小説と違い枝葉を切り落としてありテーマがスッキリとわかりやすかった。一応ミステリーだが犯人捜しより介護問題、家族のあり方など社会派映画に仕上がっている。映画のキャッチコピーは『心優しい介護士の男が、自らの信念に従って殺人を繰り返す。正義感あふれる一人の検事は、そんな犯人に対峙する中で葛藤を深めていく。』 と、物語の後半、犯人の言い分に検事がたじたじとなり自分の生き方を振り返ることに・・・。呪縛にもなり得る家族という存在、間違った正義…、かもしれないが犯人の理屈に納得させられてしまう。今の時代、観てよかったと心から思える映画。自分の将来も怖くなる。
ノートルダム
炎の大聖堂


10(755)
2019年4月15日、ノートルダム大聖堂で火災が発生。この映画はその時の消防士たちの決死の活躍を描く。「ミサが⾏われていた夜、火災警報器が検知を知らせるが、誤報だと思い込んだ関係者たちの動きは鈍い。その間、火は燃え広がっていく。消防隊が到着した頃には、大聖堂は燃え上がり、大聖堂内の消火活動は狭く複雑ななためはかどらない、かけがえのないキリストの聖遺物の救出は厳重な管理があだとなり困難を極めていく…。」 大規模なセットを炎上させてIMAXカメラで撮影した映像とVFX映像の融合したとう、迫力ある炎上シーン。観ていて聖堂が崩れ落ちて祈りの場所がなくなることに胸がジーンとなった。人々が祈りの聖歌を歌うシーンもいい。
生きる LIVING

9(754)
黒澤明監督の名作『生きる』を、ノーベル賞作家カズオ・イシグロの脚本によりイギリスでリメイク。「1953年、ロンドンの市役所で働くウィリアムズは仕事一筋で生きてきた。仕事場では部下に煙たがられ、家では孤独を感じる日々を過ごしたいた。そんなある日、彼は胃がんを患い、そして余命半年であることを告げられる。手遅れになる前に充実した人生を手に入れようと、彼は大きな一歩を踏み出す・・・」 ストーリーは黒澤版と殆ど変わらないが鬼気迫る志村喬と違いビル・ナイには英国紳士のスマートさがある。公務員の事なかれ主義と生きる意味の問いかけはそのまま。『ゴンドラの唄』がスコットランド民謡『ナナカマドの木』に変わっているが郷愁を感じさせるいい歌。
オットーという男

8(753)
あの名優トム・ハンクスが町一番の嫌われ者の男を演じるヒューマンドラマ。こんな役はクリントイーストウッドが得意とするけど、またひと味違う。「町一番の嫌われ者でいつもご機嫌斜め。曲がったことが大っ嫌い・・・。彼が人知れず抱えていた孤独。最愛の妻に先立たれ、仕事もなくした彼は、自らの人生にピリオドを打とうとする。しかし、向かいの家に越してきた家族に邪魔され、死にたくても死ねない。それも一度じゃなく二度、三度も・・・」 隣に越してきた一家のマリソルに限らず登場人物たちの人柄がよくて、すごく心があたたまる。ハートウォーミングな世界に浸れる人情長屋噺と言ったところ、何だか元気ももらえる素敵な映画。
フェイブルマンズ

7(752)
スピルバーグが、映画監督になるという夢をかなえた自身の原体験を映画にした自伝的作品。アカデミー賞に7部門がノミネート、ゴールデングローブ賞は既に最優秀作品賞、最優秀監督賞を受章。「初めて訪れた映画館で映画に魅了されたユダヤ系のサミ少年ー。その後彼は8リカメラを手に、家族の記録を撮り、やがては劇映画を撮り映画監督になる夢を叶えていく・・・」。幼少期から青年期へ、家族との絆、そして彼の中での映画の始まり。と、淡々と描いていて特に強いインパクトはないが見終わってジワ~っと胸にしみてくる。ラストに当時の巨匠ジョン・フォードから『地平線が下でも上でもいい絵になる。真ん中だと退屈でクソだ』とアドバイスを受ける、映画や写真好きの人にはよく分かる言葉。夢を追い続けた少年、技術肌の母親と科学者の父、家族の物語。母親役のミシェル・ウィリアムズがいい。
エンパイア・オブ・ライト

6(751)
「1980年代初頭のイギリスの静かな海辺の町を舞台に、映画館エンパイアで働く辛い過去を持つヒラリーと、夢を諦めてその映画館で働くことを決意した青年スティーヴンの心の交流、少しずつ心を通わせていく二人だったが・・・。」 人種だけではなくあらゆる差別に対する、反発や反対する声があった時代を背景に描かれるヒューマンドラマ。冒頭、ピアノの調べに乗せて館内の灯りがポツリと点灯する、このシーンで既にノスタルジーを感じる。映画が人生に与える癒やし、やっぱり映画は素晴らしい!“ニューシネマパラダイス”や“卒業”など嘗ての名作を思い出す、映画好きには堪らない映画。主演のオリヴィア・コールマンには圧倒される。
ヒトラーのための虐殺会議

5(750)
『議題:1100万人のユダヤ人絶滅政策』 集められたのは15名のナチス・ドイツ政権の高官。“バンゼー会議”の全貌を、アドルフ・アイヒマンが記録した議事録に基づいて映画化したもの。「“ユダヤ人問題の最終的解決”とはヨーロッパにいるユダヤ人を計画的に抹殺することだった。ハイドリヒを議長とする高官15名と秘書1名により、移送、強制収容、強制労働、計画的殺害などの方策が若干の異論はあったものの淡々と議決され、1100万人ものユダヤ人の運命がたったの90分で決定づけられた」。議論はどこの省庁や部隊が虐殺のためのコストを負担するのか?没収した財産を我が物に出来るのは誰か?高官たちの権力争いに集中する。狂っている!ドイツ映画です。
SHE SAID シー・セッドその名を暴け
4(749)
#MeToo運動が世界へ広がる大きなきっかけとなった映画プロデューサーによる性的暴行を告発した女性記者による回顧録を基に映画化。「ハリウッドで大きな影響力を持っていた大物映画プロデューサーのワインスタインが数十年にわたって続けてきた性的暴行についてニューヨーク・タイムズ紙の2人の女性記者が取材を始めるが、ワインスタインがこれまで何度も記事をもみ消してきたことを知る。被害女性の多くは示談に応じており、証言すれば訴えられるという恐怖や当時のトラウマによって声を上げられずにいた。」被害者や記者の葛藤や苦悩、会社、業界などの社会的構造など、いろいろな問題を含んでおり興味深かった。日本の忖度メディアも見習って欲しい。
警官の血

3(748)
私の好きな作家・佐々木譲の同名警察小説を韓国で映画化した警察組織の闇を描いたクライムサスペンス。「警官殺害事件の裏で糸を引く人物として浮上した、広域捜査隊のエース刑事パク・ガンユン。出処不明の莫大な後援金を受け、裏社会に精通しながら違法捜査を繰り返していた。彼を内偵調査するのは、警官の父を持つ新人刑事チェ・ミンジェ・・・」 警察内部の秘密組織とその裏に隠された不正行為、そして、殉職した父の真相。原作とはもちろん舞台も、時代も違うし、900ページもの話(昭和23年から60年間)を2時間で描くのだから三代目の警官が中心となって話は進む。ちょいと『弧狼の血』を思い出す内容で趣が変わっているが上手く作っている。
フラッグ・デイ 父を想う日
2(747)
名優ショーン・ペンが初めて自身の監督作に出演し、実娘ディラン・ペンと父娘役を演じた人間ドラマ。ジャーナリストのジェニファー・ボーゲルが2005年に発表した回顧録が原作。「1992年。偽札事件の犯人ジョンが、裁判前に逃走する。ことの顛末を聞いた彼の娘ジェニファーは、父親への変わらぬ愛情を口にする。そして、彼女と父の大切な思い出が明らかになっていく・・・」 世間から見向きもされない人間を好んで演じてきたペンペーンらしい作品。嘘だらけの父の人生だけど、娘への愛だけは唯一本物で真実なのか?ダメな両親を反面教師に力強く賢く育って行くところに救いがある。『フラッグ・デイ』とは、6月14日のアメリカ国旗制定記念日のこと。
ケイコ目を澄ませて

1(746)
覚障害のある元プロボクサー・小笠原恵子さんの自伝のエッセイ『負けないで!』を原案にした映画「生まれつきの聴覚障害で両耳とも聞こえないケイコは、下町の小さなボクシングジムで鍛錬を重ね、プロボクサーとしてリングに立ち続ける。嘘がつけず愛想笑いも苦手な彼女には悩みが尽きず、言葉にできない思いが心の中に溜まっていく」 主題歌なし、挿入歌なし主人公の台詞なしと、とても静かな映画。夫婦愛、河原の光景、川面を飛ぶ鳥たちのさえずり、主人公の表情が16ミリフィルムで撮影され画面から来る雰囲気が凄くいい。主演の岸井ゆきが実に魅力的、またケイコを見守るジムの会長を三浦友和が演じいい味を出している。

2023年cinema  ランキング 
 1 位 アウシュヴィッツの生還者
 2 位 ナポレオン
 3 位 こんにちは、母さん
 4 位 キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン
 5 位 ゴジラ−1.0
 6 位 福田村事件
 7 位 君たちはどう生きるか
 8 位 怪物
 9 位 私がやりました
10 位 ザ・クリエイター 創造者
11 位 私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?
12 位 帰れない山
13  銀河鉄道の父
14 位 生きる
15 位 バッド・デイ・ドライブ
16 位
17 位 ダンサー イン Paris
18 位 ジョン・ウィック コンセクエンス
19 位 告白、あるいは完璧な弁護
20 位 リボルバー・リリー
21 位 ミッション:インポッシブル デッドレコニング PART ONE
22 位 インディ・ジョーンズと運命のダイヤル
23 位 ロストケア
24 位 高速道路家族
25 位 探偵マーロウ
26 位 名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊
27 位 アルマゲドン・タイム ある日々の肖像
28 位 オットーという男
29 位 ノートルダム 炎の大聖堂
30 位 ワイルド・スピード/ファイヤーブースト
31 位 フェイブルマンズ
32 位 ケイコ目を澄ませて
33 位 SHE SAID シー・セッド その名を暴け
34 位 エンパイア・オブ・ライト
35 位 警官の血
36 位 MEMORY メモリー
37 位 ヒトラーのための虐殺会議
38 位 フラッグ・デイ 父を想う日
※はデジタル・リマスター版として再上映されたものでランキングから外しています。
 同様にネット配信やDVDで観たものやドキュメンタリーも外しています。