CINEMA(2024)

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無名


15(798)
中国で約181億円を上回る大ヒットを記録。中国映画界最高の賞とされる第36回金鶏賞にて主演俳優賞(トニー・レオン)、監督賞、作品賞の3冠を受賞。「941年・上海。政治保衛部のフーは、部下のイエと友人のワンと諜報活動を続けていた。フーは、任務に失敗した国民党の女スパイを助け、上海在住の日本人要人リストを手に入れる。だが、第2次世界大戦が激化する中、イエは日本側とも繋がる二重スパイで…」。はじめ、点と点を線でつなぐかのような編集で時系列がバラバラなのでわかりにくかった、ただラストになると伏線回収がうまく、なるほどと納得させられる。背景にあった歴史や関係性を少しでも知っていると、なお面白かったのでは・・・。それにしても関東軍は歴史上日本のの恥!
青春ジャック 止められるか、俺たちを 2

14(797)
1980年代、舞台は名古屋の映画館『シネマスコーレ』。その立ち上げに集う人たちの群像劇。「映画監督を志望する劇場アルバイトの金本法子、同じく映画監督に憧れ大学上京と同時に若松プロに入る井上淳一。自らの映画を上映する場を求めて映画館を作る若松孝二(井浦新)、そこの支配人を任される木全純治。 名画座では客が入らず、ピンク映画を上映して映画館を維持していく。また時はフィルムからビデオに移り始めた時代」。本作の監督・井上淳一が若松に弟子入りするシーンなど、自身の経験をもとに撮っているので、あの時代がよくわかる。『「これから、これから」、今がダメでも次がある。涙だけじゃない。そこには笑いがある。絶望だけじゃない。希望がある』青春の物語。
ゴジラxコング
新たなる帝国


13(796)
ハリウッド版『ゴジラ』シリーズと『キングコング』の世界観をクロスオーバーさせた“モンスターバース”シリーズの5作目。「怪獣と人類が共生していく中、未確認生物特務機関『モナーク』が異常なシグナルを察知する。やがてゴジラの“地上世界”とコングの“地下空洞”が交錯、ついに出現した未知なる脅威とゴジラ、コング、そして人類は対峙する。」。モスラまで出てきた、まさに怪獣大戦争。ゴジラの原点からするとかけ離れているが、これはこれで面白い。二大怪獣がまさかの共闘、ただ、ゴジラファンの私としてはゴジラの活躍にやや物足りなさを感じた。これまで日本版が30作、 ハリウッド版が6作、アニメ版が3作作れているそうで人気のほどがうかがわれる。
オッペンハイマー

12(795)
原爆を作った男の物語。今回のカデミー賞では作品賞、監督賞など7部門で受賞。「第二次世界大戦下、アメリカで立ち上げられた極秘プロジェクト“マンハッタン計画”。これに参加した オッペンハイマーは優秀な科学者たちを率いて世界で初となる原子爆弾の開発に成功する。しかし原爆が実戦で投下されると、その惨状を聞いたオッペンハイマーは深く苦悩するようになる。その後、冷戦や赤狩りなど、激動の時代の波に飲み込まれていく…。」。物理学や政治的な要素が多く、複雑な内容で前半はわかりにくかったが、話が進むにつれ理解できるようになる。原爆投下後、彼が水爆開発に反対の姿勢をとったこと等で次第に追い詰めらていくのも見所の一つ。広島・長崎の映像は無し。
デューン
砂の惑星 PART2

11(794)
『DUNE デューン 砂の惑星』の続編。一作目は観ていないが“すさまじい映像世界”とあったので前作を予習してから観に行った。確かに映像はすごく映画館で観ないと面白さは半減するでしょう。ただ、あまりにも話が長く盛り上がりにかけた。やはり、スターウォーズの方が面白い。「西暦1万190年。人類は宇宙帝国を築き、各惑星を1つの大領家が治めていた。皇帝の命を受けたアトレイデス家は、希少な香料を産出する砂の惑星『デューン』を統治すべく旅立つ。しかし彼らは現地で、宿敵ハルコンネン家と皇帝が仕組んだ陰謀に直面する。父を殺され、自身も命を狙われることとなったアトレイデス家の後継者・ポールは、全宇宙をかけた戦いに身を投じてゆく。」と言うもの。
せかいのおきく

10(793)
2023年キネマ旬報で日本映画第1位に選ばれた作品、監督は阪本順治。『“人と人のぬくもり”と“いのちの巡り”を鮮烈なモノクロ映像で描く、新たなる日本映画の誕生』 とあった。「武家育ちでありながら今は貧乏長屋で質素な生活を送るおきくと、古紙や糞尿を売り買いする最下層の仕事につく中次と矢亮。侘しく辛い人生を懸命に生きる三人はやがて心を通わせていくが、ある悲惨な出来事に巻き込まれたおきくは、喉を切られ、声を失ってしまう...。」 糞尿を汲んだり運んだりするシーンがリアルすぎる、モノクロでよかった!つらく厳しい現実にくじけそうになりながらも一所懸命に生き抜く庶民の姿がいい。人の優しさが身にしみる映画。
愛と哀しみのボレロ

9(792)
クロード・ルルーシュ監督、1981年の作品。ヘルベルト・フォン・カラヤン、グレン・ミラー、ルドルフ・ヌレエフ、エディット・ピアフの四人の国籍の違う音楽家たちをモデルに彼らの1930代から44年間にわたる波瀾に満ちた愛とさすらいの人生を描いている。3時間を超える大作だが全く飽きないし、今見ても古さを感じさせない。ただ、人物関係や役者が親と子の二役を演じていたり、また時代が40数年にもわたるので関係性がわかりにくいがラストのシーンで納得がいく。映像と音楽そしてダンスシーん(特にラスト)が素晴らしい。と言ってもミュージカルではない、人間ドラマ。戦争が人の運命を変えていく様は哀しい。今も同じようなことが世界で起きている、人間の愚かなことよ。
コット、はじまりの夏

8(791)
1980年代初頭のアイルランドを舞台に、9歳の少女が過ごす特別な夏休みを描いたヒューマンドラマ。「大家族の中で育ち、家族といても孤独を感じていた寡黙な少女。そんな彼女は、夏休みに預けられた親戚夫婦のもとで優しさと愛情に包まれ、ひとつひとつの生活を丁寧に過ごす中で、これまで経験したことのなかった生きる喜びを実感していく・・・」。 ラストははかなさも漂う。子供ならではの視点、家族の絆を丁寧に描いたとてもいい映画。『純度100%の優しく温かい話』 との感想もあった。主演のキャサリン・クリンチは12歳でIFTA賞(アイルランドのアカデミー賞と言われる)主演女優賞を史上最年少で受賞。
風よ あらしよ
劇場版


7(790)
原作は2021年にbookで紹介しているがこれはNHKで放映されたドラマの劇場版。大正時代に、筆の力だけで結婚制度や社会道徳に異議を唱えた女性解放運動家・伊藤野枝の生涯。「貧しい家を支えるための結婚を蹴り上京した伊藤野枝は。平塚らいてうの青鞜社に入ることに。やがて野枝が中心になり婦人解放運動に発展していく。3人目の夫となる無政府主義の大杉栄と出会い、さらに運動にのめり込んでいく。しかし、関東大震災が起こり、理不尽な暴力が彼女を襲うことに・・」著者が 『100年が経ち、また同じ過ちが繰り返されようとしている今だからこそ心に刻まなければいけない、真実の映画です。』と語っている、まさにその通り100年たっても権力者は変わらない。
罪と悪

6(789)
熊本出身の高良健吾が新聞で『近くで見られるので、ぜひ足を運んでください』と言っていた作品。2017年に公開された降旗監督の『追憶』を思い出した。中学時代を共に過ごした少年たちがある事件をきっかけにちりぢりに、20年後に再開するという話。「13歳の正樹が殺された。そして同級生の少年たちのうち1人が犯人を殺し、殺害現場となった家に火を放つ。22年後、罪を背負った幼馴染3人は再会するが、あの時と同じ場所でまた殺人が起きる。さびれた町で一体何が起こっているのか・・・。] 罪の真実と正義の在り方を問うとあった。映画の中で『その人が罪と思わなければ罪にはならない。』と、どうだろう?面白かった。熊本では『ユナイテッド・シネマ』他一館で上映。
哀れなるものたち

5(788)
ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞、アカデミー賞では11部門にノミネートとなるとミーハーな私は観たくなる。「天才科医のバクスターの手によって胎児の脳を移植されたベラは、不幸な死からよみがえる。世界を自分の目で見たいという欲望に駆られたベラは、放蕩者の弁護士・ダンカンに誘われて大陸横断の旅に出る」 社会のルールや見えない抑圧、支配したがる男たちの思惑などものともせずに無知からどんどん成長していって人間ができあがっていく、その過程が面白いが理解できたかといえばできていないかな・・・。主演のエマストーンが凄いが、あそこまでやる必要があったのかな?ダークファンタジー、私的には後味のいい映画ではなかった。R18+映画。
ニューヨーク・オールド・アパートメント

4(787)
Denkikanの紹介に「祖国ペルーを捨てNYで不法移民として暮らすデュラン一家。アメリカン・ドリームを夢見る母と年頃のピュアな息子たち。そんな“大都会の弱者”である貧しい移民家族に訪れた悲劇。日陰で生きる〈何者でもなかった〉彼らが恋をして、大切な何かに気づき、はじめて〈自分〉として生きる意味を見出していく。観る者の心を掴んで離さない。真の幸せとは何かを問う、珠玉の名作。」とあった。移民ものにありがちな暗いイメージはなく、見終わってすがすがしい気持になる。アメリカという国の難しさもあるが、詰まるところ人間かな?スイス映画だがNYでのロケがすごい、それとスイス人男性がどうしようもない役で出ているのも面白い。
エクスペンダブルズ
ニューブラッド


3(786)
シリーズ第4弾。現実離れしたアクションものですが、何となく好きなシリーズだったのに、“これ何?”という感じだった。主演はスタローンではなくステイサム、アクションシーンはマアマアだが内容が今一(予告編でもしかしたらと思っていたことが当たった)。「バーニー(スタローン)と再び組むことを決意したリー(ステイサム)がエクスペンダブルズのアジトに足を運ぶと、そこにはかつての仲間たちに加え、新たなメンバーも顔をそろえていた。今回のミッションは、テロリストが所有する核兵器を奪還すること。もし失敗すれば第3次世界大戦が勃発しかねないという危険なものだった。」。スタローンのアクションを期待していて人はがっかりだったのでは・・・。
窓ぎわのトットちゃん

2(785)
黒柳徹子が自身の子ども時代をつづった「窓ぎわのトットちゃん」をアニメーション映画化したもので、これはbookで紹介した『続』の始まるまでの物語。「明るい性格の小学1年生・トットちゃんは、落ち着きがないという理由で学校を退学させられてしまう。彼女は母親が見つけた学校“トモエ学”に通うこととなる。そこで小林校長先生と出会い、子どもの自主性を大切にする自由でユニークな校風のもとでのびのびと成長していく。」 戦争プロパガンダが教育や社会に入り込んでいるが、トットちゃんはそれを遮ってしまう。そういうものには与したくないという意思が強くでている。”教育”は絶望でもあり、希望でもある、と。 暖かくて、悲しくて、すごく心を動かされる。
PERFECT
DAYS


1(784)
役所広司がカンヌで最優秀男優賞に輝いた映画、キャッチコピーは『こんなふうに生きていけたなら』。監督はドイツのビム・ベンダース、小津安二郎作品とも関係が深い。「平山はトイレ清掃員をしながら過ごす日々に満足している。昔から聞き続けた音楽に耳を傾け、休日に買う古本に読み耽ることに喜びを感じていた。小さなフィルムカメラで木を撮ることが好きな彼はある日、思いがけない再会をして…」 カメラアングルなどまるで小津映画を見ているよう、大きな事件が起きるわけでもないが見終わって胸にじわ~っと胸にしみてくる佳作。ラストのショット、人生への満足と後悔を表現する役所の演技が素晴らしい。

2024年cinema  ランキング 
 1 位 PERFECT DAYS
 2 位 オッペンハイマー
 3 位 青春ジャック 止められるか、俺たちを 2
 4 位 風よ あらしよ 劇場版
 5 位 コット、はじまりの夏
 6 位 ゴジラxコング 新たなる帝国
 7 位 窓ぎわのトットちゃん
 8 位 無名
 9 位 せかいのおきく
10 位 罪と悪
11 位 哀れなるものたち
12 位 デューン 砂の惑星 PART2
13 位 ニューヨーク・オールド・アパートメント
14 位 エクスペンダブルズ ニューブラッド
  ※ 愛と哀しみのボレロ
※はデジタル・リマスター版として再上映されたものでランキングから外しています。
 同様にネット配信やDVDで観たものやドキュメンタリーも外しています。