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2度目のはなればなれ
41(824) |
『バットマン』シリーズなどでも知られるマイケル・ケイン(1933年生まれ)、俳優人生最後の映画。「退役軍人の老人バーナード。彼は妻と暮らす老人ホームを抜け出し、ノルマンディー上陸作戦の70年記念式典にたった独りで向かう決意をする。彼が行方不明だという警察のSNS投稿をきっかけに大騒ぎになる。2人が離ればなれになるのは、今回が人生で2度目だった。しかし、1人で出かけたのにはある理由があった。」。戦争経験者、従軍者の悲しみや辛さ、生き残りの苦しさと、離れて帰りを待つ人の感情と夫婦愛。素晴らしい映画。妻が『もし、またどこかに行くことがあれば、私もいっしょに行くわ・・・』と、その通りの二人の人生に幕が下りる。 |
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本日公休
40(823) |
台湾の俊英フー・ティエンユー監督が、母親をモデルに家の理髪店で撮影したというヒューマンドラマ。「台中の下町で40年にわたり理髪店を営むアールイ。彼女のもとに、普段はなかなか顔を見せない3人の子どもたちが現れ、連絡の取れなくなった母を案じ始める。それは、離れた町から通ってくれていた常連客の“先生”が病の床に伏したことを知ったアールイは、店に『本日公休』の札を掲げ、古びた愛車でその町へ向かったのだった…」台湾映画って珍しい,、劇的な出来事は何も起きないがジワ~ッと胸が熱くなる。40年近く理髪店を続けながら3人の子供を育て、夫を亡くし、今は常連客との触れ合いが一番の楽しみ。優しが身に染みる一本。 |
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サウンド・オブ・フリーダム
39(822) |
児童誘拐、人身売買、性的虐待など、国際的性犯罪の犠牲となった少年少女を救い出す話で元政府職員のティム・バラードの奮闘を、実話をもとに描いたドラマ。「アメリカ国土安全保障省の捜査官ティムは、性犯罪組織に誘拐された少年少女の追跡捜査をしていた。彼は少年少女の命を救うため、南米コロンビアへの潜入捜査に挑む」。公開までに5年もかかった映画、中南米は酷い環境だが、人身売買の買い手はアメリカが一番多いとか…。『世界中の子ども達が守られて、世界が平和であります様に。そう祈らずにはいられない素晴らしい映画』。という評があったがまさにのとおり、戦争もひどいがそれよりももっとひどい世界があることを思い知らされる。 |
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おしゃべりな写真館
38(821) |
中原丈雄主演、喪失感や不安を抱えた者同士が、不器用に寄り添い、写真を通じて再生していくと言うお話。「北海道十勝平野の鹿追町。歴史ある写真館を舞台に、緑内障を患う写真家(中原丈雄)と心に傷を抱えた山村留学の少女との出会いと、ふたり暮らしを始めた彼らを見守る幽霊たち(義父:橋爪功と妻:賀来千香子)が心を通わせていく・・・」悪人が一人も出ない心温まるドラマ。美しい北海道の自然と心温かい人々の心が身に染みる。物語の中に出てくる写真集に写された(実際の)鹿追町の皆さんの笑顔が素晴らしい。お薦めの一本、ご覧ください。「つれづれ日記」に舞台挨拶の様子を載せています(ここをclickしてください)。 |
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ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ
37(820) |
2019年公開され主演のホアキン・フェニックスがアカデミー賞主演男優賞を受賞した『ジョーカー』の続編。今回はジョーカーが出会う謎の女リー役でレディー・ガガが出演している。「5人を殺害し勾留中のアーサー。ある日、音楽療法のプログラムを受けていた彼は、そこで謎めいた女性リーと出会う。彼女との交流をきっかけに、アーサーの中で抑え込まれていた狂気が再び…。」。レディー・ガガが出ているということはやはりミュージカル仕立てとなっている。歌は素晴らしかったが前作からしたら物足りなかった。『フォリ・ア・ドゥ』とは、フランス語で“2人狂い”という意味で、ひとりの妄想がもうひとりに感染し、複数人で妄想を共有することがある感応精神病のこと。 |
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シビル・ウォー
アメリカ最後の日
36(819) |
「権威主義的な大統領に反発し、連邦政府から19の州が離脱したアメリカ。テキサスとカリフォルニアは西部同盟を結び、政府軍との間で内戦が勃発、各地で激しい武力衝突が繰り広げられていく。そんな中、戦場カメラマン、ジャーナリスト4人が追い詰められた大統領にインタビューすべく、バンに乗り秩序の崩壊したアメリカを首都に向けて出発する」というロードムービー。内戦と言っても、全く無秩序に人を殺す恐ろしさ、今、世界中こんな戦争が起きている。『トランプを見るとよくわかるが対米追従の日本、アメリカ自体が大きく変わってしまったのに日本はそのことを真正面から受けとめられているのか気になるところである』との評もあった。(写真の星条旗の☆は二つ)。 |
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太陽がいっぱい
35(818) |
今年88歳で亡くなったアランドロンがこの1作で一気にスターに。初めて観たのは高校生の時(1960年)次は2010年、今回3回目。(スマホのメルアドはこの映画の原題を使っている)「貧しい青年トムは、金持ちの道楽息子フィリップの父親に頼まれ、彼を連れ戻すためナポリにやってきた。金にものを言わせ女遊びに明け暮れるフィリップに怒りと嫉妬を覚えたトムは、フィリップを殺して彼に成りすまそうと計画するが…」。今見ても全く色あせていない。たまらないラストシーン、『南欧の、どこまでも明るい日差しが降りそそぐ浜辺で、ビーチ・チェアに横になり、成功の美酒に酔いしれるトム。ふっと漏れる呟き“太陽がいっぱいだ…”』。そこにニーノ・ロータのテーマ曲が流れる。 |
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ボストン1947
34(817) |
「1936年のベルリンオリンピック。ソン・ギジョンとナム・スンニョンは世界記録を樹立する。第2次大戦終結後、祖国は解放されたが、日本代表として出場した彼らの記録は日本の記録のままだった。祖国の記録を取り戻すために、彼らは若きマラソンランナーを育てボストンマラソンに挑む。」。ゴールシーンでは泣くのを我慢できなかった、金がなくても、あの日止まった時間を動かすために走る。日本とアメリカ、二つの国に翻弄された韓国、私たちの知らない悲劇が語られる。『自国の国旗をつけて走る事に意義があり、それを訴え納得させる力。そして走りで見せつけた底力。』。“炎のランナー”“マイウェイ”を思い起こすようなスポーツ映画だが、それだけにとどまらないい良作。 |
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フィリップ
33(816) |
発禁処分後60年の時を経て、ポーランド人作家レオポルド・ティルマンドの自伝的小説の映画化された。と言うことで過激な内容ではと思い、恐々観にいったが何のことはなかった。ドイツ・ナチへの復讐がナチス将校の妻を誘惑して捨てることとは…。「1941年、ワルシャワで暮らすポーランド系ユダヤ人のフィリップはナチスによる銃撃に遭い、恋人サラや家族を目の前で殺されてしまう。2年後、彼は自身をフランス人と偽ってドイツ・フランクフルトの高級ホテルのレストランでウェイターとして働きながら、ナチス将校の孤独な妻たちを次々と誘惑することでナチスへの復讐を果たしていた。
嘘で塗り固めた人生、そんな中、美しいドイツ女性と出会うが・・・」 狂った時代の話。 |
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夏の終わりに願うこと
32(815) |
離れて暮らす父と再会した少女の揺れ動く心を描き、世界各地の映画祭で注目を集めた人間ドラマ。「ある夏の1日。7歳の少女ソルは大好きな父トナの誕生日パーティーのため祖父の家を訪ねる。病気で療養中の父と久しぶりに会えることを無邪気に喜ぶソルだったが、準備に駆け回る家族の異変に気が付いていく。よろこびや戸惑い、希望や不安…」。たんたんと子どもや家族の姿を描いているが、音響・BGMも無くホームビデオを観ている感じでちょっとっ退屈した。子供がだんだんと父親との別れを感じ取っていく様はよく描かれていたが…。『クレオの夏休み』の方がはるかによかった。(葉子ママは画面に酔いました)。 |
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墓泥棒と失われた女神
31(814) |
ギリシャ神話の悲劇のラブストーリーをモチーフにした、墓泥棒たちの数奇な物語。「80年代、イタリア・トスカーナの田舎町。忘れられない恋人の影を追う、考古学愛好家のアーサー。彼は紀元前に繁栄した古代エトルリア人の遺跡をなぜか発見できる特殊能力を持っている。墓泥棒の仲間たちと掘り出した埋葬品を売りさばいては日銭を稼ぐ日々。ある日、稀少な価値を持つ美しい女神像を発見したことで、闇のアート市場をも巻き込んだ騒動に発展していく」
空想と現実の境目を35mや16mのフイルムを使い分けて表現しているが、少しわかりにくい。歌や踊り、トスカーナの映像美、これぞイタリア!と言う感じ。ラストがちょいと切ない。原題は“La
chimera《幻想》”。 |
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めくらやなぎと眠る女
30(813) |
本作は村上春樹の六つの短(「めくらやなぎと眠る女」「かえるくん、東京を救う」など)をフランスのアニメーション作家でもあるピエール・フォルデス監督が再構築した春樹原作初のアニメ。「2011年、東日本大震災後の東京置手紙を残して突如家を出たキョウコ、妻の突然の失踪に戸惑うも北海道へ向かうことになる小林。そして、巨大な“かえるくん”と迫りくる大地震から東京を守ろうとする片桐・・・」
う~ん、やはり難解、村上春樹を深く読んだことがある人なら想像はつくと思うが…。答えが全く明かされないので伏線回収が好きな人には向かない。想像力を働かせて見る映画。オリジナル版(英語)と日本語吹き替え版があり吹き替え版を観た。 |
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ある一生
29(812) |
『“激動の20世紀、アルプスに生きた名もなき男の愛と幸福に満ちた一生”世界40か国で翻訳、160万部以上発行されたベストセラーの映画化』と言うことで観た。「1900年頃、オーストリア・アルプス。孤児の少年アンドレアスは、遠戚の農場で虐げられながらも老婆のアーンルを心の支えに働く。成長し、日雇い労働者として渓谷のロープウェイの建設作業員になった彼は、最愛の女性マリーと出会い、結婚生活を始めるが…』。80年にわたって暴力、戦争、貧困に耐えなければならなかった主人公、しかし、そんな彼の人生の中にも幸福な瞬間と大きな愛があった。人生の終焉を迎えたときにそれでも幸せだったと言えるか?オーストリア・アルプスを背景に.抒情的に描かれる。 |
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クレオの夏休み
28(811) |
「父親と暮らす6歳のクレオにはグロリアとい乳母がいて2人は仲が良くいつも笑いに包まれている。ある日グロリアは故郷のカーボベルデの島へ帰ることになる。クレオは夏休みにグロリアに会いに行くのだが、この休みの間にグロリアのお母さんのお葬式、長女ナンダの出産、という大イベントに遭遇する。そしてグロリアの注意を引く赤ちゃんに嫉妬し自分だけのグロリアでいてほしいと願うが叶わない。」。主役のクオレは5歳半、とても可愛らしく表情が素晴らしい。主要スタッフは監督をはじめほぼ全員女性というだけあって、見つめる目がとてもやさしい。クレオの成長を、とても愛らしく、頼もしく、絵描いた、とてもいい作品。 |
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風が吹くとき
27(810) |
レイモンド・ブリッグズによる絵本を原作に、核戦争の恐怖を描いた1986年製作の名作アニメ。日本語吹替え版は大島渚が監修し、森繁久彌と加藤治子が夫婦の声を担当している。「イギリスの片田舎に住む老夫婦。世界情勢が深刻化する中、夫は政府が出した核戦争に対するパンフレットに従ってシェルターを準備し始める。そんなある日、彼らの国に核ミサイルが着弾する。」 核爆弾が落とされ、瓦礫になった中で生き延びた2人がじわじわと衰弱していく姿が辛い。監督は、長崎に住む親戚を原爆で亡くしているという日系アメリカ人のジェームズ・T・ムラカミ。音楽をロジャー・ウォーターズ、主題歌をデビッド・ボウイが手がけたことでも話題になった。ずっと残りつづけてほしいし名作。 |
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WALK UP
26(809) |
韓国の名匠ホン・サンスが、都会の4階建てアパートを舞台に芸術家たちが織りなす人間模様を描いた人間ドラマ。アート作品で、真実と夢、その境界も判然としない。建物に入った時、夢が始まったのか?。物語性があるわけではない、何なの?と思うがが観た後の感じはいい。「娘と共に旧友ヘオクが所有するアパートを訪れた映画監督。彼はアパートに住む各階に住む女性たちと、それぞれの葛藤やささやかな喜びについて語り合っていく。そのアパートは1階がレストラン、2階が料理教室、3階が賃住宅、4階が芸術家向けのアトリエ、地下がヘオクの作業場になっている。」モノクロームののせいか映画の雰囲気がとてもよく」
フランス映画を見ている雰囲気。男は結局女次第! |
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大いなる不在
25(808) |
サン・セバスチャン国際映画祭で藤竜也が最優秀俳優賞を、サンフランシスコ国際映画祭では最高賞のグローバル・ビジョンアワサードを受賞した作品。森山未來、藤竜也でおくる認知症×サスペンスによる傑作ヒューマンドラマ!「卓は、ある日、小さい頃に自分と母を捨てた父が警察に捕まったという連絡を受ける。妻と共に久々に九州の父の元を訪ねると、父は認知症で別人のようであり、父が再婚した義理の母は行方不明になっていた。卓は、父と義母の生活を調べ始めるが…。」。自分が自分でなくなる、あるいは身近な人が変わってしまう、こんな状況の怖さや辛さを思うと胸が苦しい。別人になっていく夫を受け入れられず、家を出る直美の行動を責めらるか? |
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マッドマックス/
フュリオサ
24(807) |
前作『マッドマックス/怒りのデス・ロード』に登場した女戦士フュリオサの若き日の物語を描く、シリーズ5作目。「世界の崩壊から45年。故郷や家族、すべてを奪われたフュリオサは、暴君ディメンタス将軍と鉄壁の要塞を牛耳るイモータン・ジョーが土地の覇権を争う、狂気に満ちた世界と対峙することになる。狂ったものだけが生き残れる過酷な世界で、フュリオサは復讐のため、そして故郷に帰るため、人生を懸けて修羅の道を歩む。」
前作から9年、やはり面白かった。人間の欲望、狂気は永遠に変わらないということか・・・。“北斗の拳”はマッドマックスシリーズから影響を受けたと原作者の原哲夫が語っている。 |
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九十歳。何がめでたい
23(806) |
作家・佐藤愛子が日々の暮らしと世の中への怒りや戸惑いを独特のユーモアでつづったエッセイ集(2018年bookで紹介)を、草笛光子主演で映画化。「愛子は、90歳を過ぎ断筆をして人付き合いも減り、鬱々と過ごしていた。彼女のもとに、昭和気質でベテラン編集者吉川がエッセイの執筆依頼を持ち込む。ヤケクソで連載を始めると、生きづらい世の中への怒りを赤裸々に綴った内容は意図せず大反響を呼ぶ…」。原作とは違い、編集者の家庭の事情なども出てきて面白かった。草笛光子が原作と同じ実年齢が90歳というのもすごい。元気の出る映画、いつまでもこんな年寄りでありたい!(迷惑かな?)。 |
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ONE LIFE
奇跡が繋いだ6000の命
22(805) |
ナチスの脅威から669人の子どもたちを救ったイギリスの人道活動家ニコラス・ウィントンの半生を描いた伝記ドラマ。『シンドラーのリスト』や『杉原千畝』を思い出す。「1938年。何百人ものユダヤ人の子どもをナチスの脅威から救い、イギリスに避難させたニコラス・ウィントン。50年後、彼はすべての子どもを救うことができなかったことに対し、深い悲しみと苦悩を抱え続ける…。」。
669人の命が結果的に6000人もの命に繋がった。世界のいたるところでで戦争が始まっている、今この時代だからこそ観るべき、人の温かな心と無償の愛が生み出した奇跡の物語。クライマックスは涙腺崩壊必至。名優アンソニー・ホプキンス主演。 |
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バッドボーイズ RIDE OR DIE
21(804) |
ウィル・スミス&マーティン・ローレンスによる『バッドボーイズ』のシリーズ第4弾。「マイアミ市警の敏腕ベテラン刑事コンビマイク・ローリーとマーカス・バーネット。ある日、彼らの亡き上司ハワード警部に、麻薬カルテルと関係があったという汚職疑惑がかけられる。無実の罪を着せられたハワード警部の汚名をすすぐべく独自に捜査に乗り出すマイクとマーカスだったが…」。私はこのシリーズは初めて見たが、前のものを見ていなくても存分に楽しめた。あまり考えないところがいい、理屈なしにアクションを楽しめる。梅雨のじめじめしたこの季節にはスカッとしていいかも…、アクション好きな方はどうぞ! |
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ミッシング
20(803) |
幼女失踪事件を軸に、失ってしまった大切なものを取り戻していく人々の姿を描き出すヒューマンドラマ。「幼女の失踪事件。あらゆる手を尽くすも、見つからないまま
3 ヶ月が過ぎていた。娘・美羽の帰りを待ち続けるも少しずつ世間の関心が薄れていくことに焦る母・沙織里は、夫・豊との温度差から、夫婦喧嘩が絶えない。唯一取材を続けてくれる地元テレビ局の記者・砂田を頼る日々だった。」。とにかく、石原さとみの壊れていく母親の演技がすごかった。悪意に満ちた社会、監督の言いたいことは“この世界は理不尽で死にたくなるようなことばかりだが、確かに生きるに値する”と言うことかな?現実にネット上にあふれる誹謗中傷、何とかならないのだろうか・・、人の心が怖くなる。 |
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ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ
19(802) |
息子を救うために米国大統領(ブッシュ)を訴えた母親の実話を元にしたドイツ映画。「2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロの1カ月後。ドイツのブレーメンに暮らすトルコ移民クルナス一家の長男ムラートは、旅先のパキスタンでタリバンの嫌疑をかけられ、キューバのグアンタナモ湾にある米軍基地の収容所に収監されてしまう。母ラビエは息子を取り戻そうと奔走するが・・・」
やっぱり母は強し、理不尽な権力にも負けずに息子を助けるべく奔走する姿がたくましい。母親役の女優がコメディアンということもあるかもしれないが、シリアスな内容にもかかわらず、軽快なタッチの映画になっている。今も、世界のいたるところでこのようなことが起きているのだろう。 |
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お終活 再春!
人生ラプソディ
18(801) |
2021年の「お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方」に続くシリーズ第2弾。今度も笑って泣ける。「千賀子と真一は結婚五十年の節目を迎える。娘の亜矢も高級介護施設の栄養士に転身し、恋人の涼太と結婚目前で順風満帆。ある日、千賀子は終活フェアで、梓から再春をすすめられ、独身時代に習っていたシャンソンを再開する。だが、思わぬ騒動が持ち上がる…」。寅さんがなくなって久しい中、悪人が出てこないこんな映画を観るとホッとする。女性は活発で色々と人生を楽しんでるけど、男は定年退職してからは自宅引きこもり…とならないよう心がけましょう。観た人のレビューをみると結構高い点数がついている。 |
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関心領域
17(800) |
アウシュビッツ収容所の隣で幸せに暮らす家族がいた。『今もあの時と同じことが繰り返されている。あなたが観るのは“無関心”という恐怖』。カンヌ国際映画祭やアカデミー賞で国際長編映画賞を受賞した。「軍服姿の夫と妻、そして躾の行き届いた子どもたちの
“幸せな日常”が映し出されるが、何かがおかしい。時折響く銃声に叫び声、高い塀の向こうに聳え立つトンネル、立ち昇る黒い煙…」。深く深く考えさせられる映画、(壁の向こ虐殺が行われているのに)まるでサラリーマンの日常を見ているよう・・、この不気味さ。今の日本、安倍政権以来国民を欺き問題を隠している権力者たちを思うと、私たちの無関心さが怖い。
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猿の惑星/キングダム
16(799) |
『猿の惑星』をリブートしたシリーズ第4弾。「今から300年後の世界、猿たちは絶対的支配を目論み、巨大な帝国<キングダム>を築こうとしていた。一方、人類は退化し、まるで野生動物のような存在となっていた。そんな世界で生きる若き猿ノアは、ある人間の女性と出会う。彼女は人間の中で“誰よりも賢い”とされ、猿たちから狙われていた。猿と人間の共存は不可能なのか。はたして、この世界で生き残るのは…。」
少し長すぎる気がした。ラストの意味するところは・・・、ウイルスによって“言葉を話す能力”を奪われた人間、果たして人間は失われた言語能力を取り戻すことができるのか? |
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無名
15(798) |
中国で約181億円を上回る大ヒットを記録。中国映画界最高の賞とされる第36回金鶏賞にて主演俳優賞(トニー・レオン)、監督賞、作品賞の3冠を受賞。「941年・上海。政治保衛部のフーは、部下のイエと友人のワンと諜報活動を続けていた。フーは、任務に失敗した国民党の女スパイを助け、上海在住の日本人要人リストを手に入れる。だが、第2次世界大戦が激化する中、イエは日本側とも繋がる二重スパイで…」。はじめ、点と点を線でつなぐかのような編集で時系列がバラバラなのでわかりにくかった、ただラストになると伏線回収がうまく、なるほどと納得させられる。背景にあった歴史や関係性を少しでも知っていると、なお面白かったのでは・・・。それにしても関東軍は歴史上日本のの恥! |
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青春ジャック 止められるか、俺たちを 2
14(797) |
1980年代、舞台は名古屋の映画館『シネマスコーレ』。その立ち上げに集う人たちの群像劇。「映画監督を志望する劇場アルバイトの金本法子、同じく映画監督に憧れ大学上京と同時に若松プロに入る井上淳一。自らの映画を上映する場を求めて映画館を作る若松孝二(井浦新)、そこの支配人を任される木全純治。
名画座では客が入らず、ピンク映画を上映して映画館を維持していく。また時はフィルムからビデオに移り始めた時代」。本作の監督・井上淳一が若松に弟子入りするシーンなど、自身の経験をもとに撮っているので、あの時代がよくわかる。『「これから、これから」、今がダメでも次がある。涙だけじゃない。そこには笑いがある。絶望だけじゃない。希望がある』青春の物語。 |
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ゴジラxコング
新たなる帝国
13(796) |
ハリウッド版『ゴジラ』シリーズと『キングコング』の世界観をクロスオーバーさせた“モンスターバース”シリーズの5作目。「怪獣と人類が共生していく中、未確認生物特務機関『モナーク』が異常なシグナルを察知する。やがてゴジラの“地上世界”とコングの“地下空洞”が交錯、ついに出現した未知なる脅威とゴジラ、コング、そして人類は対峙する。」。モスラまで出てきた、まさに怪獣大戦争。ゴジラの原点からするとかけ離れているが、これはこれで面白い。二大怪獣がまさかの共闘、ただ、ゴジラファンの私としてはゴジラの活躍にやや物足りなさを感じた。これまで日本版が30作、
ハリウッド版が6作、アニメ版が3作作れているそうで人気のほどがうかがわれる。 |
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オッペンハイマー
12(795) |
原爆を作った男の物語。今回のカデミー賞では作品賞、監督賞など7部門で受賞。「第二次世界大戦下、アメリカで立ち上げられた極秘プロジェクト“マンハッタン計画”。これに参加した
オッペンハイマーは優秀な科学者たちを率いて世界で初となる原子爆弾の開発に成功する。しかし原爆が実戦で投下されると、その惨状を聞いたオッペンハイマーは深く苦悩するようになる。その後、冷戦や赤狩りなど、激動の時代の波に飲み込まれていく…。」。物理学や政治的な要素が多く、複雑な内容で前半はわかりにくかったが、話が進むにつれ理解できるようになる。原爆投下後、彼が水爆開発に反対の姿勢をとったこと等で次第に追い詰めらていくのも見所の一つ。広島・長崎の映像は無し。 |
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デューン
砂の惑星 PART2
11(794) |
『DUNE デューン 砂の惑星』の続編。一作目は観ていないが“すさまじい映像世界”とあったので前作を予習してから観に行った。確かに映像はすごく映画館で観ないと面白さは半減するでしょう。ただ、あまりにも話が長く盛り上がりにかけた。やはり、スターウォーズの方が面白い。「西暦1万190年。人類は宇宙帝国を築き、各惑星を1つの大領家が治めていた。皇帝の命を受けたアトレイデス家は、希少な香料を産出する砂の惑星『デューン』を統治すべく旅立つ。しかし彼らは現地で、宿敵ハルコンネン家と皇帝が仕組んだ陰謀に直面する。父を殺され、自身も命を狙われることとなったアトレイデス家の後継者・ポールは、全宇宙をかけた戦いに身を投じてゆく。」と言うもの。 |
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せかいのおきく
10(793) |
2023年キネマ旬報で日本映画第1位に選ばれた作品、監督は阪本順治。『“人と人のぬくもり”と“いのちの巡り”を鮮烈なモノクロ映像で描く、新たなる日本映画の誕生』
とあった。「武家育ちでありながら今は貧乏長屋で質素な生活を送るおきくと、古紙や糞尿を売り買いする最下層の仕事につく中次と矢亮。侘しく辛い人生を懸命に生きる三人はやがて心を通わせていくが、ある悲惨な出来事に巻き込まれたおきくは、喉を切られ、声を失ってしまう...。」
糞尿を汲んだり運んだりするシーンがリアルすぎる、モノクロでよかった!つらく厳しい現実にくじけそうになりながらも一所懸命に生き抜く庶民の姿がいい。人の優しさが身にしみる映画。 |
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愛と哀しみのボレロ
9(792) |
クロード・ルルーシュ監督、1981年の作品。ヘルベルト・フォン・カラヤン、グレン・ミラー、ルドルフ・ヌレエフ、エディット・ピアフの四人の国籍の違う音楽家たちをモデルに彼らの1930代から44年間にわたる波瀾に満ちた愛とさすらいの人生を描いている。3時間を超える大作だが全く飽きないし、今見ても古さを感じさせない。ただ、人物関係や役者が親と子の二役を演じていたり、また時代が40数年にもわたるので関係性がわかりにくいがラストのシーンで納得がいく。映像と音楽そしてダンスシーん(特にラスト)が素晴らしい。と言ってもミュージカルではない、人間ドラマ。戦争が人の運命を変えていく様は哀しい。今も同じようなことが世界で起きている、人間の愚かなことよ。 |
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コット、はじまりの夏
8(791) |
1980年代初頭のアイルランドを舞台に、9歳の少女が過ごす特別な夏休みを描いたヒューマンドラマ。「大家族の中で育ち、家族といても孤独を感じていた寡黙な少女。そんな彼女は、夏休みに預けられた親戚夫婦のもとで優しさと愛情に包まれ、ひとつひとつの生活を丁寧に過ごす中で、これまで経験したことのなかった生きる喜びを実感していく・・・」。
ラストははかなさも漂う。子供ならではの視点、家族の絆を丁寧に描いたとてもいい映画。『純度100%の優しく温かい話』 との感想もあった。主演のキャサリン・クリンチは12歳でIFTA賞(アイルランドのアカデミー賞と言われる)主演女優賞を史上最年少で受賞。 |
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風よ あらしよ
劇場版
7(790) |
原作は2021年にbookで紹介しているがこれはNHKで放映されたドラマの劇場版。大正時代に、筆の力だけで結婚制度や社会道徳に異議を唱えた女性解放運動家・伊藤野枝の生涯。「貧しい家を支えるための結婚を蹴り上京した伊藤野枝は。平塚らいてうの青鞜社に入ることに。やがて野枝が中心になり婦人解放運動に発展していく。3人目の夫となる無政府主義の大杉栄と出会い、さらに運動にのめり込んでいく。しかし、関東大震災が起こり、理不尽な暴力が彼女を襲うことに・・」著者が
『100年が経ち、また同じ過ちが繰り返されようとしている今だからこそ心に刻まなければいけない、真実の映画です。』と語っている、まさにその通り100年たっても権力者は変わらない。 |
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罪と悪
6(789) |
熊本出身の高良健吾が新聞で『近くで見られるので、ぜひ足を運んでください』と言っていた作品。2017年に公開された降旗監督の『追憶』を思い出した。中学時代を共に過ごした少年たちがある事件をきっかけにちりぢりに、20年後に再開するという話。「13歳の正樹が殺された。そして同級生の少年たちのうち1人が犯人を殺し、殺害現場となった家に火を放つ。22年後、罪を背負った幼馴染3人は再会するが、あの時と同じ場所でまた殺人が起きる。さびれた町で一体何が起こっているのか・・・。]
罪の真実と正義の在り方を問うとあった。映画の中で『その人が罪と思わなければ罪にはならない。』と、どうだろう?面白かった。熊本では『ユナイテッド・シネマ』他一館で上映。 |
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哀れなるものたち
5(788) |
ベネチア国際映画祭金獅子賞受賞、アカデミー賞では11部門にノミネートとなるとミーハーな私は観たくなる。「天才科医のバクスターの手によって胎児の脳を移植されたベラは、不幸な死からよみがえる。世界を自分の目で見たいという欲望に駆られたベラは、放蕩者の弁護士・ダンカンに誘われて大陸横断の旅に出る」
社会のルールや見えない抑圧、支配したがる男たちの思惑などものともせずに無知からどんどん成長していって人間ができあがっていく、その過程が面白いが理解できたかといえばできていないかな・・・。主演のエマストーンが凄いが、あそこまでやる必要があったのかな?ダークファンタジー、私的には後味のいい映画ではなかった。R18+映画。 |
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ニューヨーク・オールド・アパートメント
4(787) |
Denkikanの紹介に「祖国ペルーを捨てNYで不法移民として暮らすデュラン一家。アメリカン・ドリームを夢見る母と年頃のピュアな息子たち。そんな“大都会の弱者”である貧しい移民家族に訪れた悲劇。日陰で生きる〈何者でもなかった〉彼らが恋をして、大切な何かに気づき、はじめて〈自分〉として生きる意味を見出していく。観る者の心を掴んで離さない。真の幸せとは何かを問う、珠玉の名作。」とあった。移民ものにありがちな暗いイメージはなく、見終わってすがすがしい気持になる。アメリカという国の難しさもあるが、詰まるところ人間かな?スイス映画だがNYでのロケがすごい、それとスイス人男性がどうしようもない役で出ているのも面白い。 |
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エクスペンダブルズ
ニューブラッド
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シリーズ第4弾。現実離れしたアクションものですが、何となく好きなシリーズだったのに、“これ何?”という感じだった。主演はスタローンではなくステイサム、アクションシーンはマアマアだが内容が今一(予告編でもしかしたらと思っていたことが当たった)。「バーニー(スタローン)と再び組むことを決意したリー(ステイサム)がエクスペンダブルズのアジトに足を運ぶと、そこにはかつての仲間たちに加え、新たなメンバーも顔をそろえていた。今回のミッションは、テロリストが所有する核兵器を奪還すること。もし失敗すれば第3次世界大戦が勃発しかねないという危険なものだった。」。スタローンのアクションを期待していて人はがっかりだったのでは・・・。 |
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窓ぎわのトットちゃん
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黒柳徹子が自身の子ども時代をつづった「窓ぎわのトットちゃん」をアニメーション映画化したもので、これはbookで紹介した『続』の始まるまでの物語。「明るい性格の小学1年生・トットちゃんは、落ち着きがないという理由で学校を退学させられてしまう。彼女は母親が見つけた学校“トモエ学”に通うこととなる。そこで小林校長先生と出会い、子どもの自主性を大切にする自由でユニークな校風のもとでのびのびと成長していく。」 戦争プロパガンダが教育や社会に入り込んでいるが、トットちゃんはそれを遮ってしまう。そういうものには与したくないという意思が強くでている。”教育”は絶望でもあり、希望でもある、と。
暖かくて、悲しくて、すごく心を動かされる。 |
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PERFECT
DAYS
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役所広司がカンヌで最優秀男優賞に輝いた映画、キャッチコピーは『こんなふうに生きていけたなら』。監督はドイツのビム・ベンダース、小津安二郎作品とも関係が深い。「平山はトイレ清掃員をしながら過ごす日々に満足している。昔から聞き続けた音楽に耳を傾け、休日に買う古本に読み耽ることに喜びを感じていた。小さなフィルムカメラで木を撮ることが好きな彼はある日、思いがけない再会をして…」
カメラアングルなどまるで小津映画を見ているよう、大きな事件が起きるわけでもないが見終わって胸にじわ~っと胸にしみてくる佳作。ラストのショット、人生への満足と後悔を表現する役所の演技が素晴らしい。 |