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それでも空は青い
(荻原浩)
図書館53
(965)
52 |
“人と人の組み合わせの数だけ、物語がある… 心が軽くなる7つの物語!”。「・『うん』『いや』しか言わない夫に疑いを持つ妻・7歳年上のバツイチ恋人との距離に悩むバーテンダー・絆が揺らぐ双子の子どもたち・外でうまく話せず、祖父と野球の練習をする小学生など・・・。」。亡き友に思いを馳せる話、少しせつないSF、ちょっと笑えるオカルトと読んでいて人生てそれぞれだよなと思わせる話だった。2019年に読んだ『海の見える理髪店』の著者、この人のものは何故か胸に染みる。『人づきあいに疲れた心をそっとほぐしてくれる。家族や近しい人との間で揺れ動く感情を描いていて』そっと背中を押してくれる。 |
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日傘を差す女
(伊集院静)
図書館52
(964)
51 |
タイトルを見て著者の妻だった夏目雅子の『時代屋の女房』を思い出して手に取ったが、松本清張の『砂の器』感を漂わせた社会派推理小説だった。「都心のビルの屋上で、胸に銛が刺さった老人の遺体が発見された。彼は和歌山県太地町に住む捕鯨船の伝説の砲手と判明。捜査本部は他殺を裏づける証拠を得られぬまま、自殺と結論づけた。しかし、その直後、酷似した凶器で殺害された遺体が次々と見つかる。警視庁捜査一課の二人の刑事が、赤坂、和歌山、青森で地を這う捜査の果てにつかんだ真相は…。」。衰退した捕鯨と旧習の残る花柳界と政界の闇、竜飛岬あたり(三厩)出身の女たちが東京で生きる厳しさ、哀しさ…。犯行の詳細や犯人の動機が描き足りない気がしたがいい本だった。 |
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本を守ろうとする猫の話
(夏川草介)
図書館51
(963)
50 |
『君を守ろう…」より7年前の本。「古書店に祖父と二人で暮らしていた高校生の林太郎、突然祖父が亡くなり学校へも行かず、一人古書店で引きこもっていた。そこに現れたのが一匹の猫。猫からの依頼で主人公は同級生の沙夜も一緒に、本を救いにいくつもの冒険に出発、そこで様々な事件にあい困難を解決していく。」。哲学的な部分もあるが本を巡る話は古今東西の名作も出てきて面白い。『読書には苦しい読書というのもあるのだ、難しい本を読むことは、山に登ることと似ている。愉快な読書もよい、けれども愉快なだけの登山道も見える景色には限界がある。一歩一歩喘ぎながら登るのも登山の楽しみだ。』。『人を思いやる心を失うと、嘘をつき、人を傷つけ、弱いものを踏み台にして何も感じなくなる。』。 |
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炎天夢
東京湾臨海署安積班
(今野敏)
図書館50
(962) 49 |
『安積班シリーズ』の19作目で、2019年刊行。「東京湾臨海署管内の江東マリーナで死体が浮かんだという。被害者はグラビアアイドルの立原彩花と判明。近くのプレジャーボートで被害者のものと思われるサンダルが見つかった。ボートの持ち主は、立原が愛人との噂がある芸能界の実力者だというが…。芸能界を取り巻くしがらみに、安積班が立ち向かう。」。相変わらずの上意下達の警察組織、内紛はいつも通り、話は淡々と進みちょっと物足りなかった。安積班長が少し人の気持ちを考え過ぎる気がする。それでもこのシリーズ25冊も出ている人気シリーズ、著者が主人公を気に入っているのかも? |
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神無島のウラ
(あさのあつこ)
図書館49
(961)
48 |
外周15キロ、人口100人にも満たない鹿児島県のz離島。『令和の“二十四の瞳”』と、しかし壷井栄の時代から70年以上経つと時代も子供たちの境遇もこんなに変わるのか…。「全校生徒わずか12人ほどの学校に深津は20年ぶりに教師として帰ってくる。しかし、地元の子に加え不登校や家庭内虐待などの事情を抱えた『島留学』の子供たちも通っていた。傷ついた子供たちと触れ合ううち、彼自身が封印していた20年前の過去の事件や、母親との確執に向き合うことになる。」。最近、著者の時代ものばかり読んでいたので『バッテリー』シリーズなどあさのあつこの青春ものを改めて思い出した。子どもや先生たちの鹿児島弁もなかなかよかった(著者は岡山県生まれ)。 |
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君を守ろうとする猫の話
(夏川草介)
図書館48
(960)
47 |
『本を守ろうとする猫の話』(世界40カ国以上で読まれたロングセラーで2017年刊行)の続編とは知らずに読んだ。「喘息の持病を持ち周囲に助けられながら生きるナナミは、図書館で本が少しずつ消えていることに気づく。探索の最中、青白い光に包まれた書棚の通路の奥で、翡翠色の目をした猫と出会い、その先へと踏み込む。たどり着いたのは、巨大な壁と兵士が守る、本が次々と燃やされている不気味な城だった。効率や欲望に囚われ心を失った大人の世界、そして大切な本を焼く過酷な試練に対し、病弱なナナミが猫と共に勇気を出して立ち向かう。」。ファンタジーではあるが、なかなか奥が深い。『目に見えるものがすべてではない、大切なものは、いつも心の中にある』。本好きにはたまらない。 |
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町奉行日記
(山本周五郎)
46 |
全集の中の痛快な時代劇短編。「新任の町奉行・望月小平太が、一度も奉行所に出仕しないまま、奇抜で型破りな方法で悪事を暴き、町の難題を次々と解決。権威に頼らず、地元の悪党ややくざ者の親分らと直接わたり合い、圧倒的な胆力と度量で懐に飛び込んで改心させ、見事に一掃してしまう」。主人公の子平太が椿三十郎の原型?面白かった。 |
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こんな夫婦に誰がした?謹んでお慶び申し上げます
(綾小路きみまろ)
45 |
中高年を罵倒しつつエールを送るのが、毒舌漫談家・綾小路きみまろの真骨頂。図書館が閉まっているので本棚の隅っこにあったのを引っ張り出した、約20年前に描かれているが今読んでも面白い。「オジンも、オバンも、生きる権利があるのです!」「お元気で何よりです、その顔で!」「ネコをかぶってきた妻は、いまやブタになり、無担保でもらった妻は、いま湯たんぽになりました」「鬼嫁の
空腹と思えぬ 三段腹」「鬼嫁の 落ち着く先は 鬼ババア」…。『人生のはひふへほ:“は”半分でいい。“ひ”人波でいい。“ふ”普通でいい。“へ”平凡でいい。“ほ”ほどほどでいい。』。人生なんて、寝て、起きて、食べて、働いて、トイレに行ったり来たり…の繰り返しじゃないか?いったいどうなってんのぉ?責任者を呼んでくださいよ。 |
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舞風のごとく
(あさのあつこ)
図書館47
(959)
44 |
青春時代小説「小舞藩(おまいはん)シリーズ」の第3作、シリーズものとは知らなかった。「小舞藩が大火に見舞われた。執政たちの対応が遅く、苛立ちを募らせた樫井透馬は、側近の新里正近らと人々の救済に奔走する。やがてこの大火が単なる失火ではないのではという疑いが芽生え、更に藩内の権力争いの影も見え隠れし―。若者たちは自らの人生・世の中とどう向き合うのか…。」。爽やかな若者たちの正義を貫く姿が微笑ましい。『政略、駆け引き、政争。政に纏わる諸々を全て否とはしない。闇を知らずして光のみを語っても虚しい。わかっている。しかし、民の命や暮らしを脅かし、奪ってまで為さねばならないどんな為政もない。それを推し進めるものを許せない』。 |
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エムエス
継続捜査ゼミ2
(今野敏)
図書館46
(958)
43 |
元ノンキャリ刑事の大学教授と女子大生が継続捜査案件に挑む、シリーズ第2弾。「“継続捜査ゼミ”と呼ばれる小早川ゼミの5人の女子大生は、冤罪をテーマにしようとする。授業で学内ミスコン反対のビラを配る女子学生高樹晶が小早川と話をした直後、何者かに襲われ、高樹に対する傷害容疑で小早川が任意同行される。教授に代わり、ゼミ生たちが事件の真相を明らかにしていく。」。今回小早川が容疑者となったりで、警察の体質、冤罪が生まれる過程、人間は間違えるなど…。一つの事件が起きても真相を突き止めることの難しさも描かれていて前作よりは面白かったかな、相変わらず軽いノリではある。タイトルの『エムエス』って何だろう? |
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ニンジャ 公安外事・倉島警部補
(今野敏)
図書館45
(957)
42 |
“公安の仕事”シリーズ第8弾!今回は8篇の短編集。「日本の公安にはニンジャがいる。公安のエース倉島。次期エース候補西本。元刑事のベテラン白崎。注意深き公機捜隊員片桐。気配を消せる若手伊藤。倉島警部補がチームで挑む8つの事件。これが、諜報の世界。ロシア人スパイ、美しき台湾公安捜査官、謎のテロリスト…」。公安の刑事とは治安維持、事件を未然に防ぐために命を賭けている。ロシア、ウクライナについても書かれていて、興味深かった。ロシアの北海道侵攻、中国の台湾侵攻の可能性についてはさすがにゾッとした。面白いけど、ちょっとさっぱりしすぎているかな。スパイ天国の日本、『スパイ防止法』があった方がいいのか?人権や表現の自由の侵害がなければいいのだが…。 |
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夫婦善哉
(織田作之助)
図書館44
(956)
41 |
織田作之助5作目の小説(昭和15年に発表)、『続夫婦善哉』(2007年に発見された)も一緒に収録されている。「売れっ子芸妓・蝶子は、安化粧問屋の若旦那である柳吉と恋に落ち、親の反対を押し切って駆け落ちする。柳吉は妻子持ちで、父親から勘当されていたため二人の生活はすぐに困窮。ボンボン育ちで優柔不断な柳吉は、蝶子に小遣いをせびっては遊び呆ける始末。それでも蝶子は柳吉を一人前にしようと、別の座敷に出て働き、貯金をして彼を支え続ける。」。この中に出てくる“自由軒のカレー”と“法善寺の夫婦善哉”を食べたくて読んでみた。『夫婦善哉』が2つのお椀に分けて出されるのは、「1人前の量を2つに分けた方が量が多く見えるから」という大阪商人ならではのアイデアだが、“夫婦”の意味も。 |
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ママはいつもつけまつげ
(神津はづき)
図書館43
(955)
40 |
2023年89歳で亡くなった女優・中村メイコの素顔を、次女の神津はづきが初めて綴った、愛情とユーモアが詰まった傑作エッセイ。「大酒のみで常に酔っぱらっていて、毎夜大勢のお客が夜通しどんちゃん騒ぎ、外では女優として様々なタイプの母に演じ分ける、買い物も人に物をあげるのも大好き。昭和のスターらしいハチャメチャなエピソードが次々と…。」。子どもたちが酔っぱらった母・メイコを、自転車の後ろに乗っけて深夜に家まで連れていくエピソードなど、面白い出来事が満載。美空ひばりもしょっちゅう訪れ、仲が良かったらしい、彼女の違う一面を見た。2歳半から女優として働き小学校しか出ていないメイコ、天性の才能を持ち、素晴らしい夫と、素敵な子供たちにも恵まれた幸せな一生! |
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すべてが円くなるように
(原田マハ)
図書館42
(954)
39 |
真珠がつなぐ人生と夢を描く、七つの短編集!。「フェルメールとの約束:展覧会を一目見ることができたら、フェルメールに捧げる物語を書くと決め、作家の私はアムステルダムに向かった。あの日のエール:パリで設計事務所を営む祖母に憧れ、建築の勉強をしている杏樹。祖母からシャルロット・ペリアンの写真を見せられ、衝撃を受ける。海からの贈りもの:リタ、碧海、芦花はハーバードの同級生。メトロポリタン美術館の学芸員であるリタの企画展のため久しぶりに鳥羽で集まることに。他4編」。4作目(ユーレイカ)にに登場する森茉莉は、森鴎外の娘で作家、それと喫茶店『邪宗門』も実在しているなんて知らなかった。読後は温かい気持ちになる極上の短編集。 |
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猟銃・闘牛
(井上靖)
図書館41
(953)
38 |
著者初めての作品『猟銃』(天城が舞台)、次に書いたのが芥川賞を受賞した『闘牛』、第四作目が『比良のシャクナゲ』、井上文学の出発点。「猟銃:ひとりの男の十三年間にわたる不倫の恋を、愛人の娘・妻・愛人の三通の手紙によって浮彫りにした恋愛心理小説。闘牛:社運を賭した闘牛大会の実現に奔走する中年の新聞記者の情熱と、その行動の裏側にひそむ孤独な心情を、敗戦直後の混乱した世相のなかに描く。比良のシャクナゲ:学問に人生を捧げた78歳の老学者。家族をかえりみず、死の直前まで研究に没頭し続けた。周囲の理解を得られなくても自分の信じた道を突き進む人間の孤独と、激しい情熱を浮き彫りに…。」。70年以上も前の作品、すごい! |
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ポップ・フィクション
(堂場瞬一)
図書館40
(952)
37 |
大正時代、出版華やかなりし頃のお話。「文学雑誌の編集者だった松川は、カリスマ編集長の緑岡と意見を違えて『市民公論』を辞め、人気作家の菊谷主宰の『文學四季』で編集者をするが、ここでも菊谷との諍いで辞めてしまう。自ら作家になろうと書いてみるが書けず、悶々としていたところ、創建社の藤見から新雑誌『エース』の編集者として採用され、その手腕で『エース』を当時異例の100万部発行の大雑誌にした。」。菊池寛、芥川龍之介をモデルにした人物が登場する一方、徳川夢声、谷崎潤一郎など実名で登場する人物もいてなかなか興味深い。かつて国民大衆雑誌『キング』が『エース』のネタ元とのこと。警察ものでない堂場瞬一も面白い。 |
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昇華
機捜235
(今野敏)
図書館39
(951)
36 |
シリーズ第三弾、「警視庁機動捜査隊の高丸卓也と縞長省一。彼らの機捜車のコールサインは235だ。衆議院解散に伴う総選挙が決まる。そんな中SNSに法務大臣殺害予告が投稿された。ある事件で捜査一課特殊犯捜査第一係係長・葛城に評価された機捜231の大久保実乃里は、設置された特別捜査本部に呼ばれ、高丸、縞長とともに、坂本の選挙区・川越で坂本の選挙事務所に潜入捜査に入る。」。シリーズの1と2も読んでいるが、どれもコンビを組んでいる老刑事の味がいい。今回主人公二人のほかに新たに女性刑事が登場するが、面白いキャラクターで今後の活躍も期待される。(第一弾“機捜235”:19年、第二弾“石礫”:22年紹介)。 |
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二人キリ
(村山由香)
図書館38
(950)
35 |
昭和に起きた猟奇的事件、阿部定事件をモチーフにした小説。500ページ近い長さだが一気に読ませる。猟奇的な部分だけでなく、何故こんなことが起きたのか、幼少期から晩年まで定の生き様を描いている。「その女は愛する男を殺し、陰部を切り取り逃亡した…。脚本家の吉弥は、少年時代に昭和の猟奇殺人として知られる『阿部定事件』に遭遇。以来、定の関係者を探し出し、証言を集め続けてきた。定の幼なじみ、初めての男、遊郭に売った女衒、更生を促した学校長、被害者の妻、そして、事件から三十数年が経ち、小料理屋の女将となっていた阿部定自身…。」。大島渚を思わせる人物も登場、そして坂口安吾、織田作之助など、いかにこの事件が人々の関心を引いていたのか。 |
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ニュースが消える日
(堂場瞬一)
図書館37
(949)
34 |
またも堂場瞬一「大手全国紙の整理記者を辞め、実家の印刷所が発行するの地域紙の編集長になった戸倉大介。部数1万部、編集部員3人、週3回発行、全4ページ。人口25万人の平和な地方都市に事件は少なく、行政発表や街ネタが中心の、刺激に乏しい紙面だ。そんな中、S若き市長が自宅前で何者かに襲撃された。これはテロか?」。著者は読売新聞の記者をしていただけあり記者の動向には詳しい、現代の新聞のおかれた立場などがよくわかる。それにしても今の時代ネットばかりで新聞を読まない人が増えたのも悲しい。『想像力が乏しいのは現代人の特徴かもしれない。―ネットばかり見ているからだよ。もっと小説を読もう。想像力を養うには小説が一番いい。』。 |
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白いジオラマ
(堂場 瞬一)
図書館36
(948)
33 |
今回も堂場瞬一。ネグレクト、独居老人、詐欺、子供の貧困…。「元刑事で、現在は神奈川県小田原市鴨宮で“防犯アドバイザー”を務める麻生和馬は、元引きこもりの孫・新城将に言った。『二万円やるから、俺のバイトを引き受けろ。張り込みだ』。無茶振りされた孫は、〈捜査〉ならぬ〈調査〉を開始する。やがて浮き彫りになる家族の断層…。」。ジィさんの鍛え方も昭和の雰囲気がいっぱいのところが面白い、それに仕方く付き合っていく孫も微笑ましい。あまり緊迫感はないが読み進んでいくうちそれなりにはまっていく。これは2作目らしく1作目の『共鳴」は未読』。多作と言われる著者、こんな軽いのも書くんだ。 |
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怨嗟の回廊
ボーダーズ5
(堂場瞬一)
図書館35
(947)
32 |
警視庁SCU(特殊事件対策班)シリーズ(5作目)、このシリーズ知らなかった。「SCUに特別な捜査命令が下る、それはある現職警察官を探れというものだった、不自然な高級車を所有し、怪しげな事務所に彼が立ち寄るところまで掴むが、その矢先、彼の部下が負傷し、キャップも失踪してしまう、その裏には10年前に起きた事件が関わっており…。」。始めは、何かもたもたした感じだったが途中からは読み進むスピードも上がる。警察内部の悪者あぶり出しものは面白い!警視総監直属の組織、こんなものがるかわからないけど、これだけ大きな組織だといいも悪いもいろんな人間がいて大変だろうな。組織の不祥事はどうしても隠したいもの。 |
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裂けた明日
(佐々木譲)
図書館34
(946)
31 |
近未来、内戦化の日本を舞台にした逃避行。「日本社会が孕む諸問題が紛糾した挙句、占領に分断、内戦が起きる。定年後の嘱託も辞め、独り暮らしの沖本信也。そこに幼い少女を連れた女性が現れた。テロと銃撃が横行する日本で、信也は二人を守り抜くと決意。役所勤めの経験を生かし、軍事境界線を突破、あらゆる危機を回避していく。だが、なぜそこまで身を懸けるのか?」。ラストで真実が明かされるが切ない。『緊急事態法が発動後、戦争に反対するリベラルなジャーナリストが数百人、片っ端から検挙され投獄された。』。平和ボケした今の日本、明日への警告かもしれない。『する必要のない戦争を始めた国の末路なのだ。仕事も住むところも、最後には食べるものさえ亡くなる。』。 |
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イクサガミ 神
(今村翔吾)
図書館33
(945)
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残り九人、遂に完結!「最終決戦、開幕。東京は瞬く間に地獄絵図に染まった。血と慟哭にまみれる都心の一角で双葉は京八流の仇敵、幻刀斎に出くわしてしまった。一方の愁二郎は当代最強の剣士と相まみえることに…。」。急速に近代化しながら混沌とした明治という新たな時代を迎え前時代の遺物と化した武士達の葛藤、実に読み応えがあった。駅逓局(郵政省)の局員が当時銃を持たされていて、前島密のもとすごい活躍をする。これまでの様々な謎が明かされてゆくが、292人のうちラストまでたどり着いたのは何人か?切なくも少し希望の持てるラスト、面白くて二日もあると読んでしまう。 |
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鷹の飛翔
(堂場瞬一)
図書館32
(944)
30 |
シリーズ最終。主人公二人も定年1年前、妻との問題、健康の問題を抱えながら最後の事件に挑む。「2012年夏。都内で起きた四件の殺人。被害者は四半世紀前の都内飛翔弾事件の容疑者だった。同一犯か、別個の事件なのか。動機は?捜査一課理事官の高峰、目黒中央署署長の海老沢。激変する時代に翻弄される二人は、それでも警察の未来を見据え、後進に背中を見せ、最後の戦いに…。」。親子二代にわたる、捜一と公安一課との確執はまだ続く?これでシリーズ終わりと思うと寂しい。シリーズは“昭和編:焦土の刑事、動乱の刑事、沃野の刑事、平成編:鷹の系譜、鷹の惑い、鷹の飛翔”。面白い!『政治に対しては無関心。それが民主主義の最大の敵だと思うが、無力な政治に関心を持つのは難しい』。 |
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二人の嘘
(一雫ライオン)
図書館31
(943)
29 |
2021年に読んでいたのに忘れていて、読んでしまった。「人を殺した男。それを裁いた女。社会の片隅で黙々と生きる元服役囚が封じ込めた人生。感情を殺して生きる(東大法学部を首席で卒業した)エリート美人判事が忘れようとした人生。二つの人生が交差したときに・・・。」
ある編集者が『40代の高倉健と30代の吉永小百合しか演じることができない男と女』と書いていたが、まさにその通りイメージぴったり、そんな感じで読むといい。裁判の仕組みもよく描かれていて、読み始めは法廷ものかと思ったがそうではなかった。奥が深く法曹界の話、男と女、貧富の差などさまざまな格差の中で起きる悲劇。哀しくて、最終章の“悲劇”のタイトル見て、先を読むのをためらった。 |
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鷹の惑い
(堂場瞬一)
図書館30
(942)
28 |
『日本の警察』シリーズ(昭和編:3作、平成編:3作)、これは平成編の第2作目。捜査一課の刑事と公安の刑事である2人の主人公の視点から描かれる。「21世紀に沸く平成日本。海外逃亡していたはずの極左の最高幹部が突然仙台に現れ、公安に衝撃が走った。身柄の移送を担当した公安一課の海老沢は、警察官人生最大の痛恨の失敗を犯す。一方、捜査一課の高峰は目黒の空き家で殺害された元代議士秘書の身辺を探る。被害者の経歴には6年間の不自然な空白があった。二つの事件は地下水脈で絡み合い、30年前の亡霊が姿を現す。」。世の中の流れにどう対応していくか?警察の組織を守るためにはどうするか?など、相変わらずの駆け引き。壮大な歴史警察小説、やっぱり面白い。 |
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六月の満月
(一雫ライオン)
図書館30
(941)
27 |
「山井章吾は二十歳の時、人を殺めた。出所した彼を出迎える者は、一人もいなかった。巴実日子は二十二歳の時、ある事件によって未来と希望を奪われた。それでも彼女は、あえて笑顔で生きていた。そんな二人が出会い、ほのかに惹かれ合う。なんでもない日常が、互いの孤独を溶かしていった。だが、過去は簡単には眠らない…。」。どこか暗く悲しいものが多く、だんだん不穏になっていくが何故か読み始めると止まらない魅力がある。前に読んだ(2021年)『二人の嘘』もそうだったが、奥が深い。『6月の満月』はストロベリームーンとよばれ、この時期の月は空の低い位置を通るため夕焼けのように赤みがかって見える。 |
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椰子・椰子
(川上弘美)
26 |
2001年に刊行された本で本棚に眠ったままだったが図書館本が無かったので読んでみたところ、おとぎ話みたいでとても面白かった。「妊娠中のもぐらと一緒に写真をとったり、町内の縄文人街を散歩したり、子供たちを折りたたんで押入れにしまったり、中くらいの災難に見舞われ一時乳房等の数が二倍になったり。奇想天外でヘンテコで不気味な出来ごとが、次々と繰りだされる日常を、ごく淡々と送る女性の、ユーモラスな春夏秋冬。」。著者と挿絵を描いた山口マサとの『あとがきのような対談』で話しているが、ほとんど夢で見たことなどを綴っているようで、非現実的ながらすごく引き込まれた。やっぱり作家ってすごいと思わせる一冊。 |
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人生が変わる白内障手術 第2版
(山﨑健一朗)
図書館29
(940)
25 |
新聞に宣伝(第3版)が載っていたいたので、図書館から第2版(2020年発行)を借りてみた。私もそろそろ白内障が気になっているので…。白内障とはどんなものかはわかったが、後はフェムト
セカンド レーザー白内障手術や3焦点眼内レンズ等のお薦めばかりで、保険のきかない先進医療なので手の出ない私には参考にならなかった。 |
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子供に伝える日本国憲法
(井上ひさし)
図書館28
(939)
24 |
この本もさくらちゃんにプレゼントした本(もちろん周りの大人たちにも読んでもらいたくて)。井上ひさしがいわさちちひろの絵とともに『前文』と『九条』を分かりやすく解説。そして、あとがきに「日本国憲法は、むごたらしく悲しい戦争はもうすまい、という日本人の願いはもちろん、世界の人たちの想いや願いをひとつに集めたものだと。その日本国憲法を捨てることは、世界の人たちから希望を奪うことになる。」と書いている。今の大人たちにも是非読んでもらい、各家庭に一冊置いておきたい本。政治家ってこのような本は読まないのだろうな。国民の望まない憲法改正に躍起になっているのは国民主権を権力者の手に取り戻したいのが見え見え…。騙されないようにしないと。 |
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ひらがな名作
(齋藤孝 監修)
図書館27
(938)
23 |
“一生役立つ【自信】が身につく!”と、実は5~8歳向けの絵本、さくらちゃんへの入学プレゼントに買ったのだが大人の私たちが読んでもとても面白いので図書館で借りた。日本のむかしばなし、世界の童話から、落語、神話、詩まで、幅広いジャンルの25話を収録。忘れていた、知らなかったいお話など250ページ近い厚さだが、子供もゆっくりと楽しく読めるように工夫されている。小学校入学頃の孫のいる方プレゼントにどうぞ!。 |
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殺し屋の営業術
(野宮 有)
図書館26
(937)
22 |
江戸川乱歩賞受賞作。初読み作家、意表を突く展開が面白かった。「契約成立のためには手段を選ばない、凄腕営業マン・鳥井。深夜のアポイント先で、刺殺体を発見。凶行に及んだのは、金で殺人を請け負う殺し屋だった。鳥井は口封じとして消されそうになるが、『ここで私を殺したら、あなたは必ず後悔します』と語り出す。そう、これは商談なのだ。『あなたは幸運です。私を雇いませんか?この命に代えて、あなたを救って差し上げます』常識を覆す発想から走り出す…、」。怖い怖い、邪魔者はどんどん消されていく、ラスト近くなると“え?あれ!?そういうこと!?って”なっていく。こんな話をよく考えつくものだ。 |
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サチコ
(群ようこ)
図書館25
(936)
21 |
「サチコは両親が残してくれたマンションで一人暮らし。内向きで、控えめで、読書さえしてれば幸せ。『褒められもせず、苦にもされず』がモットー。そんなサチコが55歳で早期退職『食堂キング』でアルバイトを始めた。気のいい店主夫妻やユニークな客に囲まれ、人生のあれこれを学んでいく」というお話。事件という事件は起きず、ささやかな人生の豊かさを味わえる本。キャッチコピーは“あなたのすぐ隣にいる、女性の物語”とあった。『平凡な人生をつつがなく過ごせるのが、人として一番しあわせだとおもうよ』と姉の言葉、それに『本を読むたびに、感激したり胸を打たれたりするのは事実だけどそれによってどれだけ人間的に成長したかは自分ではわからない』と、私も同じように思った。 |
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鑑定人氏家京太郎
(中山七里)
図書館24
(935)
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民間で科学捜査鑑定を請け負う鑑定センターのお話、初めて見る世界で面白かった。「民間の科学捜査鑑定所、所長の氏家は、女子大生3人を惨殺したとされる猟奇殺人犯の弁護士から再鑑定の依頼を受ける。容疑者の男は、2人の殺害は認めるが、もう1人への犯行は否認している。相対する警視庁科捜研との火花が散る。裁判の行く末は?」。一気読み、私たち一般人は“科捜研”の結果は間違いないと思っていたが、DNAの鑑定もこんなに奥が深いことを初めて知った。しかも、鑑定結果は検察・裁判所側に有利、弁護士には不利、だから複数の“検定結果”が必要なのだ。作家って一つの物語を書くのに資料集めや専門家に教えを乞うたりと大変な努力が必要だということも改めて感じた。 |
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普天を我が手に 第三部
(奥田英朗)
図書館23
(934)
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昭和25年朝鮮戦争、バブルから天皇崩御と昭和が終わり物語は完結。大河のごとき昭和史、トータル1800ページの大長編、私たちが生きてきた時代とはこんなだったんだと歴史の裏まで見えた。「正義感溢れる検察官の志郎。運送会社から政界に担ぎ出される四郎。女性新聞記者としてパイオニアのノラ。そして音楽やプロレスで日本人の娯楽を追い求めた満。」この4人の生き様で昭和のできごと(東京オリンピック、田中角栄、よど号事件、あさま山荘などなど)が描かれる。また、金権政治への怒りも見える。いつまでもアメリカの言いなるのか、ホントの独立国になるのはいつのことか?『曲がったこと嫌い、世の中を正すためには権力が必要だ。天があまねく地上を覆う限りの所、つまり普天を手にしなけらばならない』。 |
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イクサガミ 人
(今村翔吾)
図書館22
(933)
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『天』を読んだときは3部で終了のはずだったが4部まで延びている。292人から始まったデスゲーム(蠱毒)、第3部は残り23人から始まる。静岡、横浜を抜け、丘蒸気で東京へ。「人外の強さを誇る侍たちが島田宿で一堂に会した。血飛沫の舞う戦場に神と崇められる『台湾の伝説』が現れ、乱戦はさらに加速する!数多の強敵を薙ぎ倒し、ついに東京へ辿り着いた愁二郎と双葉を待ち受ける運命とは…。残り9人」。乱戦に次ぐ乱戦、まさにノンストップエンターテインメント。ラストの蒸気機関車の屋根での無骨との死闘(過去にも映画などで何度も見たことのあるシーンだが)は見もの。最終巻は『神』、神展開になるか、期待が増す!Netflixでの映像は観てないが、どうなんだろう?観た人がいたら教えてください。 |
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ブレイクニュース
(薬丸岳)
図書館21
(932)
19 |
“デジタル社会の現代へ警鐘を鳴らす、SNS時代の新たな社会派小説”とあった、すごく面白くて納得させられた。「児童虐待、8050問題、冤罪事件、パパ活の実情などを取り上げる『ブレイクニュース』。マスコミの真似事と揶揄する意見がある一方で、取材者・野依美鈴の魅力的な風貌なども相まって動画の視聴回数は一千万回を超えることも。年齢・経歴とも不詳、彼女の正体を探るべく、週刊誌記者の真柄は情報を収集。すると…。」。YouTubeを舞台にしていて今の世情をそのまま問題にしている。ネット社会の無責任な振る舞いに怒りややるせなさを覚えている人はぜひ読んで欲しい。『今“指殺人”と言われて問題になっています。自分がキーボードや液晶画面に打ち込んだ言葉によって、人を殺すということです。』。 |
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雑草と恋愛
れんげ荘物語
(群ようこ)
図書館20
(931)
18 |
何とホンワカした生き方。「有名広告代理店を早期退職し、ボロアパートに住み月十万円ずつ蓄えを切り崩しながら穏やかに暮らしているキョウコ。手ぬぐいで頬被りしてアパートの庭の雑草抜きに勤しんだり、隣人のチユキさんの悩みを聞いてあげたり、友だちのマユちゃんが遊びにきたり…と、楽しく自由な日々。」。シリーズ9作目、(本作には出てこないが)キョウコさんは45歳で退職し今は56歳くらいの設定らしい。トイレもシャワーも共同のアパート、とても私には住めそうもないがそこがオアシスに見えるようなお話。『年齢を重ねたからと言って思慮深くなるわけではない。余計なことばかり身について、ずる賢くなっている可能性もある。もしかしたら小学生の時がいちばんまともだったかも。』。 |
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白露―警視庁強行犯係・樋口顕
(今野敏)
図書館19
(930)
17 |
SNSの問題と、外国人労働者差別問題が扱われてる。「工事現場で刺殺体が見つかり発見者は、そこで働く外国籍の男性。捜査一課の樋口班が捜査を進めるなか、SNSでは彼の実名が晒され、外国人であることを理由に犯人ではないかと疑う書き込みが投稿される。投稿者の特定を急ぐが、発見者の顔写真と現住所まで投稿されてしまい、さらには逮捕や強制送還を望む意見まで出てくる。さらにフェイクニュース…。」。ネット住民が何故誹謗中傷などに走るのかが何となくわかる、少し安心?『ネットの炎上は多数派の意見のような錯覚を起こしてまう、でもねごく少数の人たちが騒いでいるけのことなんです。極端な意見を少数の人が何度も投稿するからなんです』。ネット上で高市の支持が多いのもこんなことか…。 |
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アルプス席の母
(早見和真)
図書館18
(929)
16 |
タイトルからしてグッとくるものがあった。「神奈川で看護師をしながら一人息子を育てる秋山菜々子。シニアリーグで活躍し強豪校からも注目された息子・航太郎が選んだのは、大阪の無名・新興校だった。息子とともに大阪へ移り、新生活をスタート。常連校を倒すという大きな夢に挑む。
だが、寮生活で激痩せしていく息子、そして故障、理不尽で厳しい父母会の掟に悩む母。果たして二人の夢は叶うのか?」。単なる野球小説ではなく、親子の絆、母親たちの連帯、そして『子離れ』をテーマにした成長物語。それにしても大阪のおかん達の凄まじさ、息子の努力も当然だが、めげずに監督や父母会に立ち向かう母の強さ。甲子園に出場する選手の親御さん達はとても大変なのがわかる。精神面も金銭面も…。 |
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佐伯警部の推理
(佐々木譲)
図書館17
(928)
15 |
“ベストセラー『道警』シリーズ待望の第2シーズン開幕!佐伯宏一が戻ってきた。”とあったが、なかなか、事件の性格が掴めない、ああでもない、こうでもないと、中盤過ぎまで、一体どんな事件なんだと煮え切らない展開が続く。流石に終盤は一気に畳み込んでけど。「札幌大通署から函館方面本部へ異動し、警部に昇任した佐伯宏一が、函館の工業団地で発見された変死体を発見。青函フェリーターミナル付近を舞台に、組織の壁や重大事案の難題に挑む…」。というもの。1950年生まれの著者も例年の切れが感じられなかった。著者が地図と言うか地理に関心を持っているせいかやたらと道路や町の説明が多すぎて興ざめした。初期の頃の『エトロフ発緊急電』や『警官の血』が懐かしい。 |

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地上の楽園
(月村了衛)
図書館16
(927)
14 |
あまりに悲惨と言うか悲しい(読み進めるのがつらかった)。今までほとんど表に出なかった実態、『祖国は地上の楽園』との北韓当局・朝鮮総連中央の虚偽宣伝および 『人道的事業』だとする日本政府・政党の積極的協力と日本マスコミ・進歩的文化人・日本赤十字社らの北韓体制賛美キャンペーンのもとで推進された『北送事業』。「第一部は楽園に同胞を送り出す運動にのめり込んだ高校生仁学が中心。夢と希望をもって一家で祖国に渡った仁学の親友勇太のかの地で見た真実と絶望の第二部。そしてその後日韓合同のワールドカップの終わった平成8年の時代へと続く」。小泉純也(純一郎の父親)が北送事業を推進した『帰国協共同代表』をしていたなんて知らなかった、このファミリーは今の孫までとんでもない家系と言うこと。5人の拉致被害者が何故小泉の時に帰国で来たか…、拉致問題と帰還事業が密接に関わっている。政治家、総聯、マスコミの大きな犯罪とも言える政策への謝罪は今だもってなされていない。
・独裁者が社会主義を僭称しとるんが世界の実情や。独裁者に取り入ったもんは特権階級としてええ暮らしができる。
・差別とか、偏見とか、そういうのってなくならないんですよ。日本でも韓国でも。
・小泉純一郎の親父がわしらを騙して北朝鮮へ送り込んだ張本人の一人やて書いてる新聞や雑誌をみたことあるか。
・地上の楽園て言ってた大新聞は何しとんねん、政治家もや。自分のしでかしたことに責任を感じてるもんがおるか。
・誰も責任を取ってない。それどころか自分たちが人類史上最悪の大量殺戮に加担した自覚さえない。
・私利私欲のため多くの朝鮮人を徴用し、都合が悪くなると故郷でもない北朝鮮へ帰国させて恥じない日本の政治家。
・差別もあれば憎悪もある。偏見もあれば暴力もある。どれだけ時間が経とうと、人の心は変わらない。 |
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普天を我が手に
第二部
(奥田英朗)
図書館15
(926) |
第二部も600ページ近い。昭和17年から23年までを描く、太平洋戦争勃発の中4人の運命が大きく変わる。「アメリカで危うく命を失いかけ、帰国した竹田志郎/人間魚雷回天特攻隊員の生き残りとして復員した矢野四郎/津田塾の学生の傍らGHQで英語通訳をしながら男尊女卑社会の日本からの脱却へと導く民主主義社会のアメリカの姿に感動する森村ノラ/満州で敗戦を迎えソ連に連行されながらも辛うじて脱走したが恨みを抱えた中国人に処刑される直前に日本に帰国した五十嵐満」。それぞれの立場で世の中の見え方、関わる人たちの在り方が語られる。戦前、戦後とも国、軍人、警察と権力者側の無能さには腹が立つよりあきれてしまう。保守本道の高市内閣、この時代に戻りたいのだろうか? |
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普天を我が手に
第一部
(奥田英朗)
図書館14
(925)
13 |
昭和100年・戦後80年昭和史三部作の第一部(600ページ)。「戦争、革命、陰謀、差別…。大正15年12月、たった7日間しかなかった昭和元年に生まれた4人(穏健派陸軍文官の息子竹田志郎、北陸の任侠親分を育ての親に持つ矢野四郎、自由平等を謳う女性記者の娘森村ノラ、外地大連の興業主の息子五十嵐満)。国家総動員体制に抗う気持ちを持ちつつも戦争へと突き進むあの時代背景の中、彼らの親がどう生きていたのか?」。第一部は昭和元年から16年の開戦までを描いている。2015年から書かれた本(今年単行本として発刊)だが、『危険なのは全員が同じ方向を向くことである』と今の世界(もちろん日本も)、時代が戻っていくようで怖い。資源のない日本の悲劇…。 |
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たとえば孤独という名の噓
(誉田哲也)
図書館13
(924)
12 |
一つの事件を複数の視点で語られる、短編と思いきやすべてがつながっている。「警視庁公安部の佐島は、大学時代の友人・稲澤が勤務先の女性部下を殺害した容疑をかけられて、その取調べに駆り出される。被害者はなぜか、二人が学生時代に共に恋焦がれた女性・綾と瓜二つだった。容疑を否認している稲澤は『彼女はは中国のスパイだったんじゃないか』と言う。」。公安独特の論理と、中国スパイが絡んですごく面白い!スパイ防止法案 中国 帰化 問題がテーマで、今の世相に通じる。中国人が日本の土地を買いあさっているのは儲けだけなのか?中国共産党の底知れぬ怖さ、中国のスパイがこれほど日本社会に入り込んでいたら恐ろしいどころではない。 |
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ウロボロスの環
(小池真理子)
図書館12
(923)
11 |
600ページ近い長編(少し長すぎる)。「前夫と死別し娘と必死に生きてきた彩和は、年上の男性・俊輔と再婚。安定した生活を手に入れた、それは必死で幼い娘を育ててきた彼女にとって人生の安泰が約束された幸福な瞬間だった。だが、俊輔の秘書との関係を疑われたことを機に、俊輔がアルコールと疑心暗鬼に溺れ、徐々に生活が綻びていく…。」。タイトルの『ウロボロス』は自分の尾を噛む蛇=円環を表し、喜びも苦しみも永久に巡り続ける“生”の不安や業を表している。思いもしなかった人生の巡り会わせに後半は一気に進む。やっぱり女性の作家ならでは、でないとこんな女性の心の動きは書けないだろな。ラストは切ない。 |
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三体
(劉慈欣)
図書館11
(922)
カウントせず |
【途中でダウン:半分まで】本著は中国のSF作家劉慈欣による長編SF小説。内容は「“地球より進んだ文明を持つ宇宙人がやってくる”と言うもの。始まりは物理学者の父を文化大革命で惨殺された科学者葉文潔。彼女の絶望がすべての始まりだった。』中国文学にあまり馴染みがないことと、あまりに科学的なことで頭がついていかなかった。それに第2巻(上下)、3巻(上下)と続く長編で読み終える自信がなく頓挫した。我れと思わん方は挑戦してみてください。
『地球上のある超大国は、もうひとつの超大国と世界の覇権を争い、人類の歴史を後退させようとしている』。 |
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もっと悪い妻
(桐野夏生)
図書館10
(921)
10 |
“妻の貌を、男たちは知らない。 男たちの身勝手さを、一行で打ち砕く桐野文学の極北!と。”ラストの一行でハッとさせられる、六つの短編。「悪い妻:精一杯家事・育児に頑張っている妻の話。武蔵野線:離婚した50代男性の情けない話。みなしご:妻を亡くし今は飼い犬との繋がりしかないと改めて感じる話。残念:結婚生活に不満を持つ女性が昔想っていた人の事を知り新たな人生を歩もうとする話。オールドボーイズ:夫の海外赴任中の事故死が自分の心に原因があったと感じる話。もっと悪い妻:元彼と付き合う妻とそれを許す夫の話。」タイトルとは違い精一杯家事・育児に頑張っている妻の話が多い。やっぱりこの著者の目は鋭い、悪いのは妻ではなく男がだらしない。 |
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百年の時効
(伏尾美紀)
図書館9
(920)
9 |
50年前にに発生した未解決の一家惨殺事件が、令和に発見された変死体をきっかけに再び動き出す警察ミステリー。「昭和49年、嵐の夜の佃島事件に始まり、その原因となった昭和25年の函館事件へ、戦中~戦後、昭和の大事件とそれに翻弄される警察組織。混沌の昭和の実像と三時代を貫く刑事たちの矜持。」。戦後八十年・昭和百年記念小説と銘打っている警察大河長編作。550ページの長編、実際に起きた事件も絡ませながら話は進む(事件の発端は満州国)。登場人物や時代背景も含めて読むのに難儀したが、とても面白い。登場人物が紹介されているが年をとったせいか何度もめくりなおしながら読んだ、こんな物語を書く作家を尊敬する。これを書くに何年かかったんだろう? |
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彼女たちは楽園で遊ぶ
(町田そのこ)
図書館8
(919)8 |
タイトルからホンワカ小説と思いきや何と女子高生たちの青春ホラー。と言ってもそんなに怖いものではなく、結構面白かった。九州を舞台とした不思議な物語。「喧嘩別れした親友が高校を退学した。山に施設を作った新興宗教・NI求会に入会したのだ。親友を取り戻そうとする凜音。東京から来てNI求会に入会させられた初花。大人が《楽園》と定めた場所に閉じ込められた子供たちは、その聖地で、禍々しいものと対峙する。その頃町では若者が不思議な死に方をする事件が多発していた。」。著者らしいユーモワを交えながら話はどんどん進み飽きさせない。新興宗教×民間伝承の物語、やはり宗教は怖いと思わせる。 |
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新・教場2
(長岡弘樹)
図書館7
(918)
7 |
『教場』シリーズ最新刊!六つの話からなる連作。「①会意のトンネル②不作為の鏡③遺恨の経路④犯意の影法師⑤黒白の極性⑥金盞花の迷い。」。今回、元風間道場の教え子たちがゲスト講師としてやってくる。自分たちが関わった事件を話しながら核心に触れているところが面白い。このシリーズ6作目だが、よくこんなエピソードを考えつくものだと感心する。今テレビで前後編に分けて新しいのが放映されるが(後編は今夜)、それと近いうちに映画も上映されるよう。まさに木村拓哉のはまり役、映画までは観なくていいかな?『警察学校は、優秀な警察官を育てるための機関ではなく、適性のない人間をふるい落とす場である』と。警官になるのも大変。 |
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同じ星の下に
(八重野統摩)
図書館6
(917)
6 |
初読み作家、読みやすくて 先が気になり一気読み。「両親から虐待されている中2の沙耶は下校中、児童相談所職員を名乗る男の車で誘拐される。監禁下のやりとりで男にやさしさを感じ、彼女は男が本当の父親ではないのかと疑う。一方、男は身代金2000万円が目的の営利誘拐であると犯行声明を北海道警察に送りつけ、粛々と計画を進める。」。ミステリーというよりは人間ドラマ、エピローグのラストは涙!最近、虐待ものが多いが、これは読後感がすごくいい。『世の中には生まれつき目の見えない人や、毎日生きることに必死で夜空を見上げる余裕のない人もいる。たとえ同じ星の下に生まれようとも、この世界は悲しいくらいに不平等だ』
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連写 TOKAGE3-特殊遊撃捜査隊
(今野敏)
図書館5
(916)5 |
シリーズ第3弾!「東京都内でバイクを利用したコンビニ強盗が3件連続発生。警視庁の極秘バイク部隊『トカゲ』にも召集がかかる。上野数馬と白石涼子は捜査本部が置かれた世田谷署へと急行する。新設されたIT捜査専門組織・警視庁捜査支援分析センターも総動員するが、解決の糸口が見つからない…。」。約10年前に書かれたものだが、この頃からネットによる情報の不確かさに不安を覚えている記者がいたことに何となく納得した。物語は単純で先が読める展開、このシリーズはこれ以上続かないかもと言う感じ。あまり考えずにすいすいと読めるところはいい。 |
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ババヤガの夜
(王谷晶)
図書館4
(915)
4 |
世界最高峰のミステリー文学賞『英国推理作家協会賞』ダガー賞受賞のシスターバイオレンスアクション!『血がたぎる、血の気が引く、止められないジェットコースターのような小説』との評があったがまさにその通り、面白くて一気読み。「暴力を唯一の趣味とする新道依子が、関東の暴力団“内樹會”会長の一人娘・尚子の護衛兼運転手となり、過酷な運命に縛られた尚子と共に、血と暴力が渦巻く裏社会で逃避行を繰りかえすことに…」。こういうタイプの話は始めてだったが、すごく面白かった。話の筋立てがよく読みやすい、どんなふうに翻訳されたんだろう?映像化されたら怖いかも…。因みに『ババヤガ』とは二面性の鬼婆のこと。 |
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彼女が最後に見たものは
(まさき としか)
図書館3
(914)
3 |
2021年に読んだ『あの日、君は何をした』に続き家族を描いたミステリー。「クリスマスイブの夜、新宿区の空きビルの一階で女性の遺体が発見された。五十代と思われる女性の着衣は乱れ、身元は不明。警視庁捜査一課の三ツ矢秀平と戸塚警察署の田所岳斗は再びコンビを組み、捜査に当たる。そして、女性の指紋が、千葉県で男性が刺殺された未解決事件の現場で採取された指紋と一致。名前は松波郁子、ホームレスだったことが判明する。」。親子や夫婦のきずなを描いているが、少し重すぎる。『あなたが生まれたときにはまわりの人は笑ってあなたは泣いていたでしょう。だからあなたが死ぬときはあなたが笑ってまわりの人が泣くような人生を送りなさい』。 |
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イクサガミ 地
(今村翔吾)
図書館2
(913)
2 |
2023年第1巻を読んでから2年、文明開化の世、侍たちの『最後の戦い』を描く明治四部作。待望の第2巻!少し忘れていたが読むうちに思い出してくる。「東京を目指し、共に旅路を行く少女・双葉が攫われた。夜半、剣客・愁二郎を待ち受けていたのは、十三年ぶりに顔を合わせる義弟・祇園三助。東海道を舞台にした大金を巡る死闘『蠱毒』に、兄弟の宿命が絡み合う…」。前島密や大久保利通などこの時代に活躍した者たちも出てきてますます面白くなってきた。戦闘シーンの描写に疾走感のようなものがありまさに動画を見いている感じがする。Netflixで配信、実写化もされている。3巻、4巻も出ているので楽しみ。 |
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ぼんぼん彩句
(宮部みゆき)
図書館1
(912)
1 |
さすが名人芸、上手いとしか言いようがない、12の俳句から12の短編小説が作られている。「寿退社後に婚約破棄されたアツコが、行く当てもなく乗り込んだ路線バスの終点で見たもの。学級閉鎖で留守番中のアタル君が巻き込まれた不可思議な事件。自殺同然の事故で兄を亡くした妹が、偶然出会った女子中学生。などなど」。俳句17文字に込められ思いを自由な発想で物語にしているが、よくもまぁと思う、人生の機微や人間模様を、ミステリー、ホラー、人情ものなど多彩なジャンルで描いているのは著者ならではこそ…(俳句を作った人からも好感をもって受け止められている)。『読後に怖さや辛さや哀しさ、生きることの難しさを感じる作品が心に残った』という感想があったが同感! |