主人公の歩いた主なコースと思いです。

九月の五日間 十月の五日間 八月の六日間
     
燕〜大天井〜槍〜徳沢〜上高地 上高地〜蝶〜常念〜大天井〜中房温泉 折立〜薬師沢小屋〜高天原〜双六〜わさび小屋


 主人公の思いから・・・
 ・わたしは山に行くと涙もろくなる自分を発見する。それは山が、わたしの心を開いてくれるということだろう。
 ・山に登ると、時として風景を前にしただけで・・、たまらなく涙腺が緩む。それが嫌ではない。何だか素直になれたような気
  になる。
 ・『加藤文太郎の単独行についてのエッセー』から「彼の臆病な心は先輩や案内に迷惑をかけることを恐れ、彼の利己心は
  足手まといの後輩を喜ばず、ついに心のおもむくがまま独りの山旅へと進んで行ったのではなかろうか。
  ーーーーまあ、そんなところはあるよなあ。わたしは山に心を開きに行く。そして、一人の方がより、そうなる。だから、一人
  が好きなのだと思う。
 ・【主人公が編集長に昇格し:部下の仕事をみて】 わたしがやった方が、いい仕事ができる。けれど、そう思えるのも自分
  が経験を積んだから。若手を育てるには”待つ”度量がなくてはいけない。それでこそ上に立つ者だ。・・・と理屈では分か
  るが・・。
 ・先に進めず、迷っている道から、ちょっとずれてみる。そういうことの大切さを、山が教えてくれた。
 ・こんな大きな風景の中に、ただ一人の人間であるわたし。それが頼りなくもまた愛しい。・・・・思い通りの道を行けないこと
  があっても、ああ、今がいい。わたしであることがいい。