生き生き生涯現役

医学博士 田中良治

 

八十歳でスピード違反の義父

どうぞ気楽にお聞きください。眠たい方はお休みになられて結構です。タバコを吸いたい方は遠慮なくお吸いになってください。タバコとかお酒は健康に云々といいますが、タバコはいくら吸っても、死なない方は死にません。これ、本当なんですね。

私の義理の父―家内の父なんていうのは、明治43年生まれですから、90歳近いんでしょうか。今でもタバコを1日30本ですよ。若いときは缶ピースを2缶ですから100本です。ですから、結婚するときに、「かわいそうだけど、おまえの親父は60くらいで、死ぬんじゃないかな」家内に言ったもんです。タバコは100本、酒好き、甘いものも好きの両党使いですね。しかも、食生活が非常におかしい。油ものが好きで、野菜・果物大嫌い。ですから、脂でぎとぎとした肉を食べるんです。こうなりますどう考えても死にますものね。

「もって65かな」なんていってたのが、なんのことはない、今でもぴんぴんですよ。東京・新宿は高田馬場一帯の地主の息子に生まれまして、三菱重工業を32歳で辞め、以来地代で生活してきたんです。最近ゴルフはやめましたけれど、車が好きなものですから、スポーツカーにずっと乗っているんです。5年前ですから、80歳を越してましたが、スピード違反でパトカーに捕まりました。そのときに謝ればよかったんです。すみません、ちょっと感覚がにぶりましたと。そうすればその場での免許の取り消しなんてことにはならないんですが、なんともまあ、パトカーをつかまえて「私の車は、あんたの車と違って、遅く走ったらエンジンに悪い」と言ったんですって。そのくらいの元気がいいんです。どこへ行ってもかなり歩くということ、好奇心が旺盛な人なんですが、食べるものをはじめ、そういう生活でしょう?健康に及ぼす影響を考えると絶対に長生きするはずがないと思うんですが、生きているんです。不思議なものです。

人の健康法をあてにしない

ですから、健康法というのは人様のをあてにしてはだめですね。

よく言うんですが、向かいにいる94歳のおじいさんがーおじいさんというのは、70歳以上と日本ではいっています。多分、2003年から正式に70歳を越した時点でお年寄りということになると思いますが、現時点では年寄りは何歳以上だという定義はまったくありませんー朝起きると、冷たい水をきゅっと飲んで体を拭いておる。あれが長生きの秘訣かな、なんて真似をしても駄目です。下痢を起こすか、肺炎になって死ぬかです。人様の健康法はあてになりません。ご自分で決めるしかないんです。50、60になるとだいたいそれに気がつきますので、それを持続してやることですね

 

長生きは遺伝子と関係している

人間の命は、一人1回ですからどんなに頑張っても2回はないんです。それを考えて生きて行かねばならないんですが、どうも「遺伝子」がかなり影響しているみたいですね。あと10年くらいで遺伝子が解明されてきますから、そうしますと、生まれたときからある程度は何歳くらいまで生きるかはわかってくるそうです。今でもだいたいわかるそうですが、これは絶対に公開しません。例えば私は57歳ですが、私の知り合いの医者のところに行ってちょっと調べてよといったとき、結果が80くらいまででしたら、相手もまだ2・30年は大丈夫というけれど、これが60歳と出たらあと3年ですからとは、相手も言いにくいですよ。

私は1500人ほどの、お年寄りのお相手をさせていただいていますが、相当乱暴な生活をしてきたこのお父さんが何で生きてるのかな、と思うような方がけっこういらっしゃいます。なんでこの方はあれだけ神経質に検診を受けたり、食事管理に気をつけてたりしていたのに、ころっと死んじゃうのかな、と感じる方も多いんです。

今では運命ということで、片づけてきましたが、そうでもないんです。ですから、自分の遺伝子は弱いなという方は、健康管理に気をつけたほうがいいし、自信のある方は、好きなことをやったほうがいいと思うんです。ですから、タバコを吸いたければお吸いになってくださいということなんです。

 

前を見て歩めば疲れない

でもけっして無理はしないほうがいいです。そのなかで生き生きと生きていくためには、まず疲れない生活に徹したほうがいいです。疲れる生活はやめたほうがいいです。国連に加盟している国のなかで、日本とドイツが一番ストレスが多い国らしいですね。

疲れない方法はあるんです。一番いいのは前を見て歩くことなんです。前もしくは上です。右見たり、左見たり、後ろを振り返ったりしますと、人間不思議なことに比べるんです。これが疲れの大きな原因です。もともと我々人間、特に日本人は「よかった、いい人生だった」というのを決めるのは、比較して決めていくんです。そして自分の方が優位な点を見つけると、非常に安堵感を感じるんですね。本当はよくないんですよ。でもそういう比較で人間は生きているんです。

ものを比べるということは、だんだん疲れてしまいます。

ものを比べますと、約88%、自分がだめな人間になってしまうんです。妬み、見栄、取り越し苦労、欲―それにひっかかってしまうと、人間疲れてしまって、ガクッときます。それが続きますと、おかしいことに、自分で自分のことがわからなくなってしまうんです。本音と建前の自分がわからなくなってしまいます。自分の背広を着た別の人間が歩いている感じになるんですね。そうなると、不眠症や疲労で、生き生きなんて感じられなくなります。

 

日本人はマイナス思考国民

私の専門は精神医学なんですが、見比べますと、日本人は、完全なマイナス思考国民なんです。生まれて、ものをしゃべるまで約八千時間、その間、回りからいろんな言葉が耳に入ってきます。それがほとんど否定的、保守的、破壊的なものなんです。「だめ、いけない、よしなさい、壊れた」というのが90%近くです。従って八千時間経って、言葉が出てくるときには、どうしてもマイナス思考の言葉が出てきて、それからずっとマイナス思考の性格構造になってくるんです。

数を数えるときも、我々日本人は1,2,3,4,5と指を内側に折り曲げていきます。だからお金が溜まるといわれるんです。ところが欧米では、握った指を外へ開きながら1,2,3,4,5と数えていきます。

典型的なのは、アメリカのお母さんが10人いて、子どもが10人いる。同じように日本人のお母さんが10人いて、子どもが10人いる。そこにダンプカーが突っ込んできた場合、どういう条件反応を示すかです。アメリカのお母さんは、ダンプに手を挙げて、ダンプを止めようとするんです。日本のお母さんはダンプに背を向けて、子どもを守ろうとするんです。典型的な前向き・外向的な考え方と、典型的な否定的・内向的なものの考え方の差が、瞬間のとっさの判断に出てしまいますね。

 

アメリカでは20点でもまあまあ

 そのほか日本の場合、売り上げの成績だとか、旦那の評価だとか、奥さんの評価だとか、子どもの出来の善し悪しだとか、あらゆるものものの評価を、だいたい80点くらいで設定しています。80点取るとまあまあだなという感じですね。しかし、この80点という数字は、欧米にいくとベリーベリー最高ですよ、60点になりますとアメリカではベリーグッドという言葉を使います。日本ではウーン60点か落第するかしないかぎりぎりのところだな、人様には言えないけど、次に頑張れよという感じでしょうか。40点、向こうではグッドと言います。日本では、困った、人様に顔向けできない、と沈んだ顔になります。20点は向こうではファイン=まあまあで、日本では、おい、どうしようもないぞ、と。それくらい違うんです。日本人はマイナス思考、消極的・内向的なものの考え方に固まってしまうんですね。

 

ライオンの檻に落ちたゴリラ

アメリカのサンディエゴという町に大きな動物園があります。メキシコに近い方なんですが、冬場は寒いんです。寒くなってきますと、動物は動きません。

そこで、人間が動物のぬいぐるみを着て中に入っていることがあるんです。

ある日修学旅行の生徒がたくさん来たときに、ゴリラの檻にゴリラのぬいぐるみを着たアルバイトを入れたんです。日本ではこれは禁止ですよ。本物のゴリラのぬいぐるみですから、ちょっと見たらわからないです。中のアルバイトの学生は走ったり、飛んだりします。そのうち調子にのってロープにつかまったんです。ゴリラがターザンごっこやっていると人気になっていました。ところが、勢い余って、運悪く3メートルの柵を越えて、となりのライオンの檻に入ってしまったらしいんです。

学生はどすんと落ちたときに、身体が硬直してしまいまして、金縛り状態になってしまいました。助けを呼ぶことも出来ない。転んだままです。そのうち、3頭のライオンがのそっと起き、その中の雄ライオンが近づいて来たそうです。子どもたちはライオンとゴリラが決闘するなんて騒いでいますが、ゴリラのアルバイトはもうだめだと思ったらしいですね。うーつと唸りながら鼻先まで近づいて来ます。そのとき雄ライオンが「おい、お前、安心しろ、俺もアルバイトだ」と言ったそうです。これは本当の話です。

 

自分が識別できないと疲れる

なんでこんな話をしたかといいますと、識別できないというのがいちばん人間にとって疲れることだからです。

私どもは4つの病院と、3つの施設でやっていますが、札幌の病院は、ボケ(痴呆症)のおじいちゃん、おばあちゃんの専門の病院なんです。

朝はにぎやかです。洗面所で「おはようございます」と言いますと、向こうも「おはようございます」と返します。「今日はいい天気です」と言えば、向こうも「今日はいい天気です」と。「また明日会いましょうね」と言うと、「また明日会いましょうね」。頭を下げると、同じくらいに頭を下げているんです。非常に礼儀正しく、息が合うんですね。なんということはない、鏡に映っている自分にやっているんです。自分がわからないんですね。

 

自制を強いていると

ボケという病気は、ぱっと一気になるんだったら、悩みの少ない病気じゃないかと、私は思ったりするんです。だって、すべてボケですまされますものね。

よくあるんですよ、おじいちゃんが間違えておばあちゃんのベッドに入って寝ているだとか。特に男性の場合、お仕事をなさっていたときに、性格も非常に真面目で、仕事の内容も真面目なところにいますとね、ボケたときに、エロボケになります。ここにいらっしゃる方は真面目な方ですから、心配かな、なんて思うんですが。日頃世間の目があると自制を強いているというのが、ボケたときに出るんですね。ですから人間、自然体が一番いいんです。まあボケだからすまされるということで、この病気もいいんじゃないかとも思うんですが、人様に迷惑をかけますので、やはりならないほうがいいじゃないかと私は思っています。疲れないで生きる。疲れてきますと、本音と建前の区別がつかず、自分の姿がわからなくなります。そうしますと一番困るのは、自分で自分が嫌いになることなんです。そうすると、どーんと病気のエリアに入ってきてしまいます。ですから、疲れないためには比べないことです。

 

こだわらない、とらわれない生き方を

私は海が好きなものですから、医者にならなければ今は船に乗っていたと思うんです。ヨットが好きでしてときどき船にも乗ります。昨年は「飛鳥」という船に乗りまして、90何日間か日本から離れておりましたけど、そのときテレビを見る習慣をやめました。現在もテレビは見ておりません。

なぜかといいますと、1日せいぜい1時間か1時間半なんでしょうが、そのときに私の頭のなかにインプットされるものが、自分で処理しきれないんです。それでやめました。新聞も大きい見出ししか見ません。細かいところまで見ていると疲れてしまうんです。それでも、自分に必要な情報というものは、十分に入ってくるものなんです。生活にはほとんど関係ないんです。

比べるなといっても、テレビやラジオや新聞やいろいろな情報が日本にはあり、避けることが出来ません、どうしても情報が入ってきますから。ですから、こだわらない、とらわれない、という生き方が一番いいんじゃないでしょうか。日本人は、義理、人情今までのしがらみとかで、自分をガリバーのようにがんじがらめにしていることがあります。これをやってしまいますと、生涯現役とはほど遠いところへ行ってしまいます。

 

ボケを心配するうちはボケじゃない

それから、頼らない、あてにしない、甘えないというこの三つのことがこれからは大切になってきますよね。

これからいよいよ本筋に入っていこうと思うんですが、自分がどこまで、何をしゃべってきたか忘れることがあるんですよ。みなさんはそういうことはありませんか?

たとえば、みなさんはここにいらっしゃいますが、私はどうしてここに座っているんだろう、なんて考えている方がいらっしゃいますか?そういう方がいたら。病院へ行っても手遅れの、健忘症を超えた、病的な物忘れです。物忘れそのものは、いくらやっても病気ではないんですよ。

「最近日記をつけていても、ちょっとしたことを忘れてしまったので困った」とお見えになる方がいらっしゃいます。そういう方は病気じゃないんです。要するに、病気になったら、そういう、つまり物忘れして困っていることすら忘れていまいますから。病院に行こうという気がしませんから。自分はボケじゃないかと心配しているうちは、ボケじゃないということです。簡単ですよ。診断は。

 

定年になったらやることがない

私は生涯現役というのは、精神的なものが非常に大きな割合を占めていると思うんですよ。ものの考え方ですね。常に物事を前向きに、肯定的にという考え方でいくことが非常に大切じゃないかと思います。

県庁を退職した68歳の方の日記を拝見させていただいたことがあるんです。非常に真面目な方で、家も建てまして、子供さんも独立しました。

その方が、朝起きたとき、とってもすばらしい秋晴れのいい天気だった。床の中で、今日は何をやろうかと考えた。そうしたら、やることがない、というんです。考えてみたら、昨日も一昨日もそうだったというんです。ということは、明日も明後日も同じじゃないか。それを考えたときにぐーんと気が沈んだという日記を書いているんです。これはやっぱりよくないですね。

 

年をとると出る五つの悪い癖

人間年をとりますと、悪癖が五つ出てきます。

一つは自分の年を気にすることです。

おれはもう70だ、とモウモウと牛みたいです。まだ、という言葉に切り替えてください。特に女性の方は、40を過ぎますと、自分の年を非常に気にします。自分の高校生のときの写真なんかを取りだしてきて、あたしは高校の時こうだったのとやります。そりゃあたりまえですよね、やせてますよ、肌もピチピチしてますよ。ですから、年は忘れたほうがいいです、人生一回きりなんですから。

二つ目は、過去を振り返ることです。

おれが現職だったときは、と振り返るのはいいんですが、振り返ったら、ちゃんと前に向き直ってください。振り返ったままになってしまうことがあるんです。80代の方で、ちょっとお酒を飲むと、満州にいたときの、引き上げてきたときの、という話しになってしまう方がいるんです。これはあきらかにボケの世界に突入している証拠です。

 

お洒落の大切さ

三つ目はお洒落ですね。お洒落しなくなりますね。

ある銀行の支店長さんで本店の部長さんまでいった方ですが、現役の頃まではきちんと背広を着て、ビシットお洒落だったんです。そのあと2,3年たったら、年がら年中トレーニングパンツ姿なんです。あれはよくないですね。お洒落というのは、外見的なお洒落と精神的なお洒落がありますけれど、外見的なお洒落というのは、変身願望の充足という面もあるんです。それから、自分の存在意識の確認・・・・自分は世の中のためにいるんだ、どしっと座っているんだ、役に立っている、生涯現役だという・・・・に必要なんですね。自分が生きているんだということを人に示したいんです。ですから、外見的なお洒落も大切なんです。

 

長寿のためには友だちが大切

四番目はお友達です。だいたい自分と同じ年代の人たちとでけお付き合いしてしまいがちですが、絶対にいけません。自分より極力若い方とお付き合いするというのが大切になってきますね。同年代が集まりますと、今の若い者はどうのこうのと言いだすんですが、これはよくないですね。人生を楽しく、長寿で、大往生を遂げるためには、友だち関係というのは非常に大切ですよ。50を過ぎたら、長方形の箱にはいるまでー長方形ってわかりますよねーの間、どういう人間と付き合うか決めてしまったほうがいいんです。たとえば年賀状がたくさんきましても、それを仕事関係だなんだかんだとより分けていきますと、精神的にも付き合っていける人間というのはあまりいないものです。特に転勤の多い業種にいた方は、本当に表面的なつき合いで終わってしまうことが多いんです。長方形の箱に入るまで付き合える人間を10人から15人、特定して付き合うしかないんですね。これが非常に大切です。そしてこの友だちの中に自分の子供も、奥さんも入れたほうがいいのです。

 

女性の四つの節目

女性の場合、一生のうち四つ、男性は三つ節目があります。

女性は生まれてから結婚するまで、結婚してから子供が家を出て社会に巣立つまで、今度はふてくされてシワのよった夫が家庭に帰ってくる。まずこの三つです。

日本の夫婦は夫婦であって夫婦でないことが多いのです。結婚したては、旦那は仕事だけ。とにかく走りっぱなし。女性はなんだかんだいっても、下を見て、じっくりと歩んでいきます。そして子供を育てるという目的があります。お互いがほとんど入れ違いの生活なんですが、女性は子供という緩衝帯、男性は仕事という緩衝帯があるからなんとか夫婦という形が保っていけるといわれています。失語症夫婦―夫婦の会話がないんです。そういうところに、ぽつんとシワの寄った夫が定年で帰ってきても奥さんが困っちゃうんですね。おれは勤続何十年で退職金ももらってきた、お前に大島の着物も買ってやった。旅行も連れて行っただろうというばかりで何もしないんですね。ワシモ族―奥さんがいくところにワシモ行く、ワシモとばかりいって離れないーといわれる。よく定年になったあとの離婚がありますが、これはたいていの場合、旦那さんに問題があるんです。

 

夫婦も友だち関係に

男性の方が早く死ぬー今でも平均寿命は女性が83歳、男性は76歳くらいです。

男性は自分で考えている以上に弱虫で依存心が強いんです。血を見てぎゃっと騒ぐのは男性、手術台の上で暴れ出すのは男性だそうです。覚悟がないんですね。そういうデータがあります。

男性は「介護保険とか始まったけれど、おれが足腰が動かなくなったら、なんとか頼むぞ。特におむつなんか、頑張って取り替えてくれよ」なんて言い出すんです。最終的に困ると、男性はあやまるんですって、申し訳ないと。女性は右脳人間ですから、そういうあやまれるのに弱いんです。それで介護してあげるでしょう。旦那は大往生するわけですが、そのあと自分が立ち往生してしまうという四つ目の節目を迎えるわけです。

ですから、生涯現役、というふうに考えたとき、どちらかというと女性の方が気をつけなければと思います。男性の方は、繰り返しになりますが、奥さんも友だちの関係にしなければならないんです。横柄な態度は絶対にだめです。旦那さんが定年になって帰ってきたら、今度は奥さんが外へ出て活躍し、旦那が家に入って活躍するというのも一つあると思います。これはウサギと同じですよ。ウサギは坂を登るのは早いですが、前足と後ろ足の長さが違いますので、下るときは遅い。ですから、下るとき、前足と後ろ足を取り替えると早い。これが発想の転換といいまして、プラス思考・前向き肯定的なものの考え方なんです。そういう考え方に常に変えていかなければならないんです。

 

異性の友だちが大切

娘・息子も社会人としての友だちです。財産をやったんだから、おれのいうことを聞けなんてだめなんです。あまり頼らない、甘えない、あてにしないというものの考え方が、これから大切になってくるんじゃないかと思います。

それから、この四つ目の友だちに関して大事なのは、異性の友だちです。奥さんがいても、これは大切になってきます。不適切な関係とか、そういう意味ではないですよ。異性から入ってくる刺激とか情報というものは、以外と膨大なものなんです。それを常に入れているということは、生涯現役を含め、長生きの秘訣であり、かつまた老けない・ボケない秘訣であろうかと思います。異性の仲間というのはとっても大切になってきますね。正直いいまして、いくつになっても、自分の目の前を通った異性をすーっと目で追っかけるというのは、正しい自然体の姿です。

 

お金は自分で持つこと

五番目は,経済的な問題です。これは大変です。私も30年近く老人医療の仕事をやっていますと、いろいろなケースを目にします。お金は魔物です。

日本の高齢者には、自殺者が意外と多いんです。どういうことが原因でそうなってしまう人が多いのかなと調べましたら、一人で孤独に生きている方ではないんです。夫婦で互いに支え合いながら生きている方でもない。そういう方は健全で楽しい生き方をしてます。多いのは、家族と一緒にいる方―同じ屋根の下にいる、スープの冷めない距離にいる方に多いんですよね。これが理解に苦しむところなんです。日本の問題点です。若い人と、お年寄りに間に深い溝があり、その原因というのは、互いに敬遠しあったり、経済的な問題なんですね。

お金は絶対に自分で持っていた方がいいんです。そのかわり全部持ってはいけません。自分が生活出来るだけのものを預けてください。預けるなら絶対に郵便局です。はい。函館、帯広、留萌などで講演をしてまわったことがあるんですが、こういう話をします。自分と奥さんが生活できるだけのお金は絶対に自分の手の届く範囲のところに持っているべきだと。

 

精神的・経済的自立がそろって生涯現役

日本人はこれがだめなんですね。たとえば入院するとなると、これはお前に任せるから、と息子・娘に託すのはあとの介護は頼むぞとの暗黙の了解なんですね。ところが今の若い人は、意外と守りません。今の若い人たちはまったくドライですから、全部お金を渡して入院しますと、面会にきませんよ。

そうかと思うと、全部独り占めにして入院してきますと、身元がないという形になってしまうんですよ。単身入院なんです。そういう方に限って、亡くなってから持ち物を整理すると、何百万単位のお金が出てくるんです。それで市町村に連絡しますと、一月位してから親戚だと名乗る人間が何人か出てくる。その方がどういう生き方をしてきたのかわかりませんが、やはり人間の生き方がちょっと筋違いしますと、ご遺体も引き取りに来ないんですから。こういう現実がありますので、お金は非常に大切だと思います。ある程度は持つべきです。これがポイントだといえるのではないでしょうか。

生涯現役ということを簡単に申し上げますと、精神的な自立・経済的な自立の二本立てなんです。片方が欠けてもだめです。

精神的自立ということは、少なくても自分の存在意識、社会に役立っているという役割意識、こういうものがなくてはだめなんです。生涯現役という意味は、お金を稼ぐために生涯働けという意味ではないんです。経済的自立とは、全部やっかいになるなということです。

 

長寿と長命

人間が楽しく生きていくということを、私は長寿という言葉を使っています。ただ、毎日おじいちゃんおばあちゃんにたくさん会っていますが、長寿の人にはなかなか会いませんね、長命の人にはたくさん会います。死にきれないから生きているという生き方です。これは非常に残念です。長寿の生き方をするか、長命の生き方をするかは、自分の考え方一つです。先ほど申しました、五つのことを気をつけたり、前向き、肯定的に生きていくしかないんです。

ものの見方は、ちょっとしたことで変わるんです、ほんのちょっとしたことで。同じものでも、前から見るのと、後ろから見るのとではものすごく違うんです。鏡に映る自分もでも、見方一つで全然違ってきます。ここなんです。

できることなら、プラス思考で前向き、肯定的に生きるためには、あまり比べないで生きるということが大切であるということ。私はユニークな心のお洒落という言葉を使うんですが、ユニークな生き方というのは、自分が好きな人が出来るんです。自分が好き、あまり比べない。そうしますと、人間、自然に笑いが出てきます。ユーモアが出てきます。ここなんですね。

 

笑いの効用

笑いのユーモアというのは、生涯現役の生き方では大切です。笑いは医学上でもいいことですからね。まず、脳の活性化、ボケ防止にいい。それからナチュラルキラー細胞という免疫抗体が出来ますから、ガンなど病気に対する抵抗力が出来ます。“わはは”とものすごい声で笑う人がいますけれど笑いは適度な運動になるんですよ。非常に健康にいいんです。食欲不振だとか、性的機能の衰えで、変な漢方薬を飲んだりするでしょう?笑うこと、歩くことでOkです。ですから、その笑い・ユーモアを生み出す土台を作っていくことが大切になってくるんですね。ユニークという心のお洒落―自分で自分が好き、あまり比べないということが出来ると、あまり疲れませんし、非常に明るくなります。子供の教育にもとってもいいのです。経営学的にもいいのです。

 

比べるから子供がだめになる

ある学校のPTAでお話しさせていただいたんですが、子供をだめにする家庭というのは、データが出来ています。特にインテリ階層の家庭に子供の非行が多いそうです。

どうしてかというと、お父さんもお母さんも、何かあると話をして、子供を説得しようとする、それから、他の子供と比べて判断する。この二点で子供はいじけてしまうんです。精神科の医者としても、そうかなと思います。そういう家庭では、自分の家の小学校4年生の子供がテストの答案をランドセルの中に入れて帰ってくる。その点数が80点ではない、40点だとします。子供はすくみ上がってお母さんのところにいかないです、毎回怒られているから。

「幸ちゃんあんたこの点数でどうするの、となりの花子ちゃんはいつも80点じゃない、ええ?」とお母さんは嘘をいう。お母さんだって40点なんてとったことがないともっと嘘をいう。そうすると子供は本当にいじけてしまうんです。

こういうときは逆のことをいうんです。「40点か、でも幸ちゃんよくお母さんにちゃんと見せたね。本当はいやだったでしょう?でも偉い。お母さんは嘘をいうことは嫌いだし、ちょっと頑張れば50点、60点とあがっていくでしょう」と感心すれば、子供はその日から2週間3週間テレビも見ないで勉強しますよ。ちょっとしたもののいい方、ちょっとした工夫です。

 

相手のことを思う

ユニークということが大事であるとともに、ハーモニー、シンプルということも大事になってきます。

ハーモニーというのは、一種の分かち合いということですね。相手の立場に立って物事を考えるトレーニングをするということです。なかなか出来ないことですが、トレーニングすることで、出来るようになります。しかし、相手の立場ばかり考えてもストレスでおかしくなってしまいますから、少しでいいです。そうすると、見方が違ってきますから。

ボケた方が入院してきますと、今は忙しくて出来ませんが、お風呂に入れてあげていました。昔は家庭にお風呂の施設なんかなかったですし、抱えたりするとその人がヘルニアになってしまったりしますから、あまり風呂に入れてあげるとことが出来なかったんです。ですから、下着を着込んできているわけです。下着とは、アカのことですよ。これを一度に落としちゃいますと、風邪をひいちゃいますから何回かお風呂に入れてあげるわけです。何をやるのかとにらんでいます。私はどうするかといいますと、ほめるんです。ほめて、さするのが一番いいんですよ。そうすると意志の疎通が出来てきます。

 

七億円の遺産を私に?

そういう方のなかに、「お前、よく帰ってきたな」という方がいました。何をいっているのかなと思っていたんですが、カルテを見ますと、長男が沖縄で戦死なさっているんです。つまり、長男が戻ってきて、お風呂に入れてくれていると思っているんですね。まだらボケといいまして、ボケているところとそうでないところがあるんです。その人は「七億円の財産をお前に相続させる」というんです。豊平のリンゴ園のおじいちゃんです。頑固な人で、その公正証書まで作ってしまったんですから。まあ、その証書は4人いるお子さんにお返ししましたけれどね。七億円ですよ。

しかし、お風呂ではおばあちゃんにはおじいちゃんと同じようには出来ないですから、おばあちゃんには「おばあちゃん若いですね、肌がすべすべしてますね」と言うんです。言葉も使い方です。80以上ですし、子供を8人9人母乳で育てていますから、肌はすべすべしていません。でもそういうと喜ぶんですね。人間って不思議ですね。馬鹿にして・・・・と思うかもしれないけれど、嬉しいんです。

 

いいところだけを見ると

相手の立場に立ってものを考えるのは大切なことです。

私どもでは、ヘルパーの数が5、600人いるんですが、中にはヘルパーとして適応しない人もいます。恥ずかしい話ですが、あるときおじいちゃんが、ずっと口の中かがやけどなんですよ。どう考えてもおかしいんです。そのおじいちゃんは乱暴なおじいちゃんで、ヘルパーさんに唾をかけたり、いろいろするんです。ヘルパーさんとうまくいってなかったらしいんです。

で、やけど、口内炎が治らない原因がわかりました。おじいちゃんは、右手が利かず、左手がやっと動くくらいで、食事の時は介助が必要で、ヘルパーさんがおじいちゃんの横に座って、流動食的なお粥を口にもっていって、食べさせているんです。そのときのお粥が問題だったんです。熱いお粥だったんです。その人間は直ぐに解雇になりましたが、そういうときはおじいちゃんの悪いところばかり見てしまっているんです。そうすると、すべてが悪く見えてしまうんです。

しかし、おじいちゃんの立場に立ってみれば、見方が違ってくるんです。おじいちゃんのいいところだけを見て、あとは捨てるーそういうトレーニングを三週間続けたら、段々いいおじいちゃんになるし、おじいちゃんから見てもいいへルーパーになるんですよ。ここなんです。人間に悪い人はいないんですから。

私なんか犬に吠えられたことは一度もありません。犬がウウッーといいだしたら、ニコッと笑います。そうすると犬にもわかるんです。吠えません。

しかし、本当の自然体の笑いというのは、赤ちゃんです。赤ちゃんの笑いというのは本当にすばらしい。何も攻撃するものを持っていない、何も防御するものも持っていません。あの赤ちゃんの笑いは、どんな状態の人間でも、ほっとして笑いますね。

 自分を好きで、人と比べないでハーモニーで相手の立場に立って考えるようにすると、笑いが自然に出てくるんですが、このハーモニーが日本人には欠けているんです。

 

大往生

ユニーク・・・疲れないで生きる、ハーモニー・・・相手の立場に立ってものを考える、その次はシンプルということです。簡単にいうと、あまり欲張るなということです。自分の現状に対して、まあこれでいいんじゃないか、とある程度納得する気持ちというのは、とても大切なものなんです。

この三つが揃って、心のお洒落―プラス思考、前向き・肯定的に物事を考えるーが出来、精神的な柱になるんじゃないかと思います。生涯を現役で終えるということは、言葉を代えますと「大往生」ということです。大往生ということは、物理的には、どういう形であれ、70歳を超えなければだめです。同時に、生き方が素晴らしく、楽しかったーつまり、長命ではなく長寿ということが大切なんです。そして、死の恐怖なくしてポッと死ぬのを大往生というんですね。

 

65歳なら長寿の遺伝子を持っている

じゃあ、70歳までどうやってどうやって生きるかというのが問題です。肉体的な問題ですね。

65歳まで生きるということは、正直いって長生きの遺伝子を持っているということなんですよ。戦前生まれの方で現在65歳を超えているということは、その本人が長生きの遺伝子を持っているというふうに私たちは考えるわけです。あとはコントロールの問題です。バランスですね。

ですから、今から極端に健康に注意してもこれはだめです。お酒の好きな方には、やはり晩酌をお勧めします。お好きな方が医者からこういうふうにいわれたとします。「田中さん、週に2日は連続して休肝日を作りましょう」と。それを守ろうとすると、明日、明後日飲めないということになると、いつもは2合までなのに、6合飲んじゃうんですね。タバコもそうです。「田中さん、30本は多いから10本にしてくださいよ」と、だめだといわれて、タバコを吸う夢を見るわけですよ。そうすると朝起きたとたんに、ご飯も食べずにスパスパと立て続けに吸ってしまう。これは悪いですよね。また夜寝る前に、「今日は頑張って7本しか吸わなかった。あと3本吸える」と思うと、その3本を吸わなければいいのに、寝る前に3本をスパスパ吸ってしまう。こういうのは一番よくないです。

 

運動するなら歩くこと

バランスをとりながら、あまり無理をしないほうがいいですが、守って欲しいことが四つあります。一つは運動してくださいということ、しかも歩く運動だけにしてください。あとは一切やらない。今からジョギングだとか水泳をするのは一切だめ。まあ、ゴルフが運動だと思っている方は、絶対にわざと100を切らないでください。100を切ると運動になりません。ごフルは。とにかく歩くこと、これが一番いいです。歩くといっても、不動産屋さんが計測に使う速歩―駅から何分というのに使う歩き方ですーはだめですよ。あれは時速60キロですから。いいのは時速4.5キロくらいです。3日に1度、2日に1度でいいです。雪が降ってきて外を歩くのが大変だというときは、家でテレビを見るとき、立って見てください。立つこと自体がバランスのためにも凄くいいし、運動になるんですから。人間の心臓が止まらないで、肺が止まらないでコツコツと動くためには、それに適した運動があるんです。我々は運動というと、どうしてもスポーツを考えてしまうんですね。スポーツになると根性が出てきてしまうでしょう?あれでは死んでしまいます。お釈迦様も褒めたという牛乳という素晴らしい飲み物があります。非常に栄養のバランスがとれたものです。しかし、牛乳を飲む人よりも、その牛乳を配って歩いている人の方が長生きしています。そして配りながら飲んでいる人はもっと長生きです。

 

30分眠れなくても病気じゃない

二番目に大切なのは眠ることですね。眠るのはいいんですが、必ず起きてくださいね。眠るということは、たいへんな薬なんです。健康管理の原点は睡眠ではないかと私は思います。日本という国は突然死がとっても多く、6.7人に1人の割合です。40,50,60代で。ここにいらっしゃる方のうち10人くらいは、明日会えないケースがあります。この突然死を防ぐ一番の方法が睡眠、発想の転換。一週間のうち一日は、自然体の生活―時計や携帯電話に束縛されないで、眠たいときは寝る、食べたいときに食べるーそういう生活をしてください。

睡眠は非常に大切です。ただ眠れないという方がいらっしゃる、不眠症で、床に入ってから30分は眠れないというんです。これは間違った医学情報が伝わっているんです。床についてストンと眠れる方が異常体質なんですよ。10分20分30分眠れないのは当たり前なんですよ。それなのにあせってしまうんですね。どうして早く眠りたいという方には、昔のように身体を害するような睡眠剤でなくて、睡眠導入剤といういいのがありまして、3時間眠るもの、6時間とか。最近はかなり強いものも出てきているようですが・・・・

 

きんさん、ぎんさんの老後?

きんさん、ぎんさんが百三歳の時に、私の友人の会社のポスターづくりのときにお見えになったので、インタビューさせてもらいました。当時、きんさん、ぎんさんの年収が二千万円ですって。私もびっくりして、「二千万円もらって、何に使うんですか」と聞きましたら、「貯めています」というんです。「貯めるといいましても・・・・」「嫌々、老後のために貯めるんです」。それから「一日の始まりは何時くらいですか?」とたずねました。たぶん、朝5時くらいからというと思っていましたら「一日の始まりは、寝るときからです」と答えるんです。さすがだなと思いましたが、こりゃもうだめだと思って、質問するのをやめました。

それからプロスキーヤーの三浦雄一郎さんのお父さんが92歳です。11月になると東京からこちら、北海道に来て、2月まで居て、3月はヨーロッパに行くんです。そのあとまた東京へ戻るんです。奥さんが7年前に亡くなっていますが、もともと登山の専門家ですから、自分で食事の支度からなにからぱっぱとやってしまう。今年の夏に雄一郎さんが「お父さん、一人で生活するのも大変だから、一緒に暮らさないか」と言ったそうです。そうしたらお父さんは「雄一郎、どうもありがとう。もう少し年をとったらそうさせてもらう」と。自分が年をとっていると思っていない。

 

食べ物を残す勇気を

三番目は本当に守ってもらいたいです。日本の国民病です。平均寿命は、あと、2,3歳は上がりますけれど、おそらくそのあと下がってくると思います。その原因は食べ過ぎです。世界の人口は60億人と考えられています。この中に、1日1ドルの生活、120円くらいの生活が出来ない方が11億7千万人います。今年の5月の国連の発表です。5人に1人がそういう生活です。アフリカでは平均寿命が47歳というところもあります。そういう中で日本の平均寿命は80歳まで伸びています。でも、これからの大きな問題になるのが、食べ過ぎなんです。

ですから、みなさんにお願いしたいのは、食生活を自分でコントロールして欲しいということです。腹八分という言葉がありますが、あれは学校給食が始まったときの言葉ですか、今は腹七分目ですよ。これは本当に大切です。例えばブタはいつも食べているように思われていますけれどこれは違いますよ。もの凄くきれい好きですし、ブタの胃袋に細い胃カメラを入れて観察したデータがあるんですが、食べているようですが、ちゃんと胃袋に余裕を残してやめているんです。日本人は欲で食べますから、もう食べすぎで胃はパンパンですよ。これはたまったもんじゃないです。ですから、自分の目の前で食べ物を残す勇気、捨てる勇気を再認識しなければ、長生きは出来ないです。この三つですね。

 

的を絞った検診を受ける

それと出来れば、的を絞って健康診断を受ける・・・ガンだけ、心臓と頭の血管だけ、頭の血管に問題があった場合は、心臓の血管にも問題が必ずあります。親戚どうしですから。キリンのように離れていませんからね。頭に動脈硬化があれば、心臓にも必ず動脈硬化があります。ですから、循環器の専門的検査を年に一回受けて下さい。それとガンだけの検査です。この二つの検査を重点的にやる必要があります。

それと同時に、病気になってもあまり恐れないということです。一人一回きりの人生なんですし、ある程度年代がいっていますから。ましてや、向こうの世界もまんざらではないという話ですよ。向こうに行ったら、自分の知っている懐かしい方が迎えてくれる可能性が十分あるというんですから。ですから病気に対しては、極力、一緒にやっていこうという感じの付き合い方をすると精神的に凄く楽なんです。

今日は「生涯現役」ということで、まとまらない話をさせていただきましたが、要は楽しく生きるということが基本じゃないかなと思います。ちょうど時間がまいりましたので私の話を終わらせていただきます。

                                                  おわり