book(1999)

天切り松
闇語り
(浅田次郎)
”大正ピカレスクロマン!粋でいなせな怪盗が意地と見栄とに命をかける”
ホントに好いい男と格好いい女の物語。
「他人に情をかけても決して恩は着せない。人を好いても、好かれようとしない。義というものを知っている」こんな生きかたがとてもすばらしい。
浅田次郎が自分で朗読をして廻っている本です。
やはり1999年最後は浅田次郎でした・・・
いつも泣けます。        (全2巻)
沈まぬ太陽
(山崎豊子)
舞台は中近東からアフリカへ更に10年後のジャンボ機墜落事故の御巣鷹山へと!
企業、組合のエゴ、政・官・財の癒着等巨大な航空会社の裏面と暗躍。
人間の真実を問う主人公の壮絶な闘い。「アフリカの夕日は・・・それは不毛の日々に在った人間の心を慈しみ、明日を約束する、沈まぬ太陽であった」
”この地上でもっとも危険で獰猛な動物は人間である”
”五シンの戒め=私信・保身・邪心・野心・慢心”
徹底した取材等、山崎豊子の小説はホントに面白い。 (全5巻)
黒い家
(貴志祐介)
第4回日本ホラー小説大賞受賞作、と言っても「リング」「催眠」とは違う。
タイプ的には映画「羊たちの沈黙」に近い。
生保会社勤務の主人公が自殺についての一本の電話を受けたことから信じられない悪夢へと入っていく。恐怖、サスペンスたっぷり・・・面白いですよ。
作者は京大経済学部卒・生保会社勤務の経験有り。    (映画化されている)
時雨みち
(藤沢周平)
「時雨みち」をはじめ「滴る汗」「幼い声」「亭主の仲間」など11編の短編時代小説集
この世のやるせなさと、人生のいいかえも取り返しもきかない現実が描かれている。
若い頃捨てた女をついに救出することもできないまま町を歩く主人公の悲哀、落ちぶれた女と対照的な大店の主人とて幸福ではない、しょせん人生やり直しはきかない。(「時雨みち」)
梟の城
(司馬遼太郎)
イヤー面白い。映画化されたから読んだというのではなく、以前買っていたものが頭の上に積んであった。
戦国末期の権力争いを背景に二人の伊賀者の対照的な生きざまを通して忍者の実像描いている。 忍者を正面から書いた最初の小説、しかし、当時作者は「忍豪作家」と呼ばれるのを嫌っていた、もっともな話しと思う。、
昭和34年に刊行された小説。(直木賞)
「買ってはいけない」は買ってはいけない(夏目書房) やはり出ました。「買ってはいけない」で混乱させられた商品情報の整理。
「この世が様々な商品で構成されている以上、精密で真実に近い情報が不可欠という思いから」だと。
「買ってもいい度」が5段階で表示してある。これは何となく納得してしまう。
透光の樹
(高樹のぶ子)
「至純の恋心と肉の悲しみ。千桐は”娼婦”になった・・・人生を貫く極北の恋を描く」 47歳と42歳、2年2ヶ月が永遠の愛に・ちょっと「マディソン郡の橋」を思い出す。
「みんな灰になるし・・・消えてなくなる。・・・誰の記憶にも残らないところで、生まれてきてよかった、この人と出会えてよかった・・・って、」  最近女流作家が面白い。
(谷崎潤一郎賞)
「白き瓶」小説・長塚節
(藤沢周平) 
歌人であり小説「土」を生んだ長塚節の生涯を書いている。解説の清水房雄(歌人)によると、”骨の折れる面白さ”である。残念ながら歌心のない私は短歌について書かれているところは斜め読みしてしまった。
旅と歌に捧げた節の生涯、妻も子も持たぬ37年(童貞だったという説がある)。特に死を間近にした九州への旅(先日私も訪ねた太宰府の観世音寺の仏像の群と鐘)がいい。こわれやすい身体、悲恋に終わった一つの恋、歌人伊藤左千夫との親交。(吉川英治文学賞)
三屋清左衛門残日録
(藤沢周平)
「人間は・・・、衰えて死がおとずれるそのときは、おのれをそれまで生かしめたすべてのものに感謝をささげて生を終わればよい。しかしいよいよ死ぬるそのときまでは、人間はあたえられた命をいとおしみ、力を尽くして生き抜かねばならぬ」老いゆく日々の命のかがやき、淡き恋心、いつも「早春の光」これがいい。
王妃の離婚
(佐藤賢一)
「絶体絶命の王妃を救うため、また自らの青春を取り戻すため、弁護士フランソワが権力者ルイ12世に敢然と立ち向かう」 しかし、初めの4分の1くらいまでは眠い。
3分の1をすぎると面白くなる、アクション・ロマンスあり(特に男と女の描き方がいい)。
フランス語と人の名前がちょっと入りにくいが
よく調べてある、さすがという感じ。
(直木賞)
海鳴り
(藤沢周平
「はじめて白髪を見つけたのはいくつのときだったろう。骨身をけずりむかえた40半ば、残された日々はただ老い朽ちてゆくばかりなのか・・・薄幸の人妻に果たせぬ想いをよせてゆく」 「男が女に描いた夢は底知れず貪欲なのである、女が男に求める愛は人知れず静謐なのである」
藤沢周平の世界がしっとりと迫ってくる世話物・人情物語の名作。
今の年代になってわかるのかな?
これからしばらくは、はまりそう。(上・下2巻)
金融腐食列島U
「呪縛」(高杉良)
第一勧業銀行をモデルにした経済小説(?)。
金融業界・総会屋とのつながり・闇の世界と今の日本、材料には事欠かない、いろいろと想像しながら読むとすごく面白い。

しかし、(当然ですけど)どんな社会にも懸命に生きる人がいることには勇気ずけられます、特に秘書役がとてもいい。東映映画化。(上・中・下3巻)
柔らかな頬(桐野夏生) 「中身の詰まった重厚な小説」といった評もあったが、確かに重い。
5歳の幼児の失踪事件をきっかけに人の孤独と自由、生と死、愛をテーマに様々な人間模様が描かれている。前作のOUTもそうだが女性だからここまで書けるのかもしれない。
結末をぼかしているところところが新たな挑戦(?)(直木賞)
買ってはいけない(週刊金曜日別冊) ミーハーの幸ちゃんとしてはやはり読んでしまいました。
「買ってはいけない」けど家庭の常備本(?)として是非1冊お求めください。
CMや私たちの常識が間違っていることがたくさんあります。でも、逆に何を信じたらいいのかと迷ってもしまいます、自分で読んで判断してください。
OUT(桐野夏生) 衝撃的な小説、「理由」や「永遠の仔」と違った怖さがある。
4人の主婦が犯罪に関わっていく心理状態、パート仲間の夫殺しをかばうための行為とは?(殺人よりも恐ろしい)
クライム・ノベルの傑作(1998年日本推理作家賞受賞)
次の作品「柔らかな頬」(直木賞)がとても楽しみ。
  スプートニクの恋人
(村上春樹)
息子が「一番のお薦め」とのことでで読んだ。私たち年代というか、村上作品に慣れていないと理解しにくい。物語は22歳のすてきな女性が主人公、極端な比喩がなければとても素晴らしい小説。(もっともこの
比喩が村上文学らしいのだそうです)
若い頃は何となくこういったものにあこがれてしまうものです。
きんぴか(浅田次郎) 一見ワルの3人、情には厚く侠気では誰にも負けぬ、裏切られた巨悪に逆襲。胸がスーとする。
プリズンホテルと同様浅田次郎の世界がしっかりと伝わってきます。
しかし、ラストは何となくもの悲しい。
プリズンホテル4巻(浅田次郎) TVよりはるかに面白い(TVは観ていませんけど、それは主人公が男から女に変わったりしてかなりイメージが壊れているようです)。全四巻ですがそれぞれに完結です。
笑いと涙と感動の物語です。(こんな小説も大好きです)
神々の山嶺(いただき)(夢枕獏)
山とミステリー(マロリーも出てくるよ)
登山大好き、ミステリーも大好きな私にはたまらない小説。
獏がよくぞ書いたという感じ。上下2巻あっという間です。
永遠の仔(天童荒太) 初めて読んだ天童荒太ですがとても面白かった。
生きることの大変さ、すばらしさ。(多感な子供時代から大人へ〜)
国石鎚山での殺人(?)からどんでん返しのラストまで一気に読ませます。
間てほんとは弱いものです。
理由(宮部みゆき) まあまあとは言え、さすが宮部みゆき。
すごい人間模様。
読み終えたあとは、ウーンと唸ってしまいます。
地下鉄に乗って(浅田次郎) ファンタジー(泣けます)
ラストが悲しすぎます、でも人の優しさが身にしみます。
浅田次郎の小説は何故泣けるのか?
少年H(妹尾河童) 毎日出版文化賞特別賞受賞作
忘れられかけている太平洋戦争とその時代を少年Hの眼を通して描いた小説。
チョット出来過ぎの気もするが、まあ面白い。(特に下巻)
国家権力や新聞等マスコミの罪は、何時の時代も同じ。
催眠(松岡圭祐) 臨床心理士。小説家。松岡圭祐のデビュー作。(映画にもなった)
多重人格を書いています、面白かった。ラストがチョット決まりすぎの感じもするけど・・・・
ホラーではありません。