ともに生きる・子どもの詩

ジャーナリスト  福田雅子

 

夏休みを迎えた子どもたちの元気な声が海や山に、そして小さな公園にもあふれる季節です。大阪府の人権室が小学生や中学生から詩や読書感想文を募集して18回を迎えます。小学校低学年の部、○○小学校1年生の吉本匠汰(しょうた)さんの作品から。

   うんてい

 やすみじかんに うんどうじょうへいった。
 まみちゃんがうんていをしていた。
 ぼくも うんていに とびついた。
 てをもちかえるとき あしがおおきくゆれた。
 どんどんいくと まみちゃんがいた。
 ぼくのあしがゆれてまみちゃんにあたった。
 ぼくは ごめんといった。
 もうちょっと あとでしゅっぱつしたら 
 よかったなあと おもった。

*****

“うんてい”とは雲にかける梯(はしご)という字を書くのですね。青空を見上げて雲 の流れを追う匠汰さんの姿が彷彿とします。
 次は小学校高学年の部、△△小学校4年生の雑喉谷(ざこだに)珠美さん。

    友だち

 みえちゃんは、あそべないといったのに、前川さんとあそんでいた。
 いつのまにかわたしは、みえちゃんに「うそつき。」とどなっていた。
 みえちゃんは、しょぼんとしていた。
 まわりのくうきがおもいように感じた。
 なぜかさびしくなった。
 みえちゃんは、かおがまっさおだった。
 せなかがすうすうする。
 すっきりしなかった。
 きもちがよくなかった。 

みえちゃんとあそびたくなった。
 でもあやまりたくなかった。
 みえちゃんからあやまってくれた。
 すごくうれしかった。
 せなかがあったかくなった。
 きもちがよかった。
 わたしもあやまった。
 すっきりした。
 みえちゃんはかおがあかくなっていた。
 わたしもすこしははずかしかった。

*****

子どもの世界の日常に、人間と人間が触れ合い緊張がただよう。“まわりの空気がおもいようにかんじた”珠美さんは友だちの顔色を気づかいながら自分の淋しさを身体いっぱいに感じていて、しっかりとふたりは向き合っています。

学校でのいじめや、家族の虐待は、いま緊急の社会問題です。それぞれに臨床的な指導や支援も必要ですが、相手の心とからだを丸ごと直視しあう、その真剣さに打たれます。

中学生と高校生の間に“知らんぷり”を装う空気が拡がっているのが心配です。小学生のふたりの詩に人間大好きの力を感じます。

                               終わり